スポーティでありながら硬さとはいっさい無縁な、緻密で懐の深い大人っぽい走り。まるで有機体でもあるかのように、路面からのショックをいなすサス、剛性感が強く伝わるボディ。そしてロールスピードは厳格に管理されているため、サスストローク感は残しながらも、フラットで芯のしっかりとした乗り心地をみせる。
また、4輪操舵の4WASを採用する「350GT Type sp」の俊敏で的確なコーナリング性能も新鮮だ。さらにほぼ新開発といっていいVQ・HR型V6エンジンが、V36スカイラインの走りを強く印象づける。レッドの7500回転まで一気に吹けあがりながらも、リヤタイヤが路面を蹴飛ばすような骨の太い加速感。
先代のVQ・DE型の強大なトルクは残しながら、シャープさが加わっている。スポーツセダンに求められるこうした個々の性能の高さはもちろん絶対条件ではあるものの、しかし、クルマ全体として醸し出されるスポーツセダンとしての洗練度を格段に高めたさ”走り味”にこそV36の進化を感じる。ハイスペックを洗練さで包んだ”羊の皮を被った狼”の再来。これがV36スカイラインの走りだ。