新車で購入した価格を100パーセントとすると、一般に買取・下取り価格は3年後に40〜60％、5年後には30％程度になるといわれている。この下がり具合は、走行距離や、車検の有無、修復歴などクルマの状況によって差が出るが、それ以前に大きく影響するのが車種である。

なぜなら、買い取られたクルマは中古車として販売されるため、そこでの人気が価格に影響するためだ。人気車は回転が早く高く売れるので、多少高くても買い取られるのだ。

ただし、ここで注意したいのは、必ずしも“新車で売れている車　＝　再販価値が高い”というわけではない点だ。まず、販売台数で常にトップを争うトヨタ・カローラと、同じトヨタから販売されていた高級セダンのセルシオを、5年前の新車価格と現在の下取り価格を例にとって比較してみよう。

○セダンの高級車と大衆車の価格比較例 . 5年前の新車時価格 現在の下取り相場 再販価値 トヨタ・セルシオ 4.3A仕様 543万円 182.5万円 33.6％ トヨタ・カローラ セダン1500X 135.8万円 41.5万円 30.6％

販売台数では、圧倒的にカローラが多いが、再販価値はセルシオの方が上だ。他のメーカーでも、同じクラスのクルマを比較すると、やはり数が売れている大衆車より高級車に位置づけられる方が高い傾向がある。これらから新車が売れているからといって、高く売れるわけではないことがわかる。

次に、そのカローラと、RVのハリアーを比べてみよう。

○RVとセダンの価格比較例 . 5年前の新車時価格 現在の下取り相場 再販価値 トヨタ・ハリアー 2.4iRバージョン 270万円 128.5万円 47.6％ トヨタ・カローラ セダン1500X 135.8万円 41.5万円 30.6％

中古車市場ではRV車の流通量に対して人気が高い傾向がある。そのため再販価値にも大きな差が生じている。この傾向は新車価格が比較的安価な軽自動車にもあてはまる。原油価格の高騰などにより、燃費のいいクルマは中古車市場でも人気があるため、高値で売れるのだ。

○軽自動車の価格例 . 5年前の新車時価格 現在の下取り相場 再販価値 ダイハツ・ワゴンＲ 660Fエアロ 112万円 48.5万円 43.3％ スバル・プレオ 660LS 110万円 38.8万円 35.2％

今度はメーカーによって再販価値に差が生まれるのか調べてみよう。まずは人気のハイクラスミニバンを、各メーカー間で比べてみた。

○ハイクラスミニバンの価格比較例 . 5年前の新車時価格 現在の下取り相場 再販価値 トヨタ・エスティマ240LX 250万円 102.3万円 40.9％ ホンダ・オデッセイ2300M 228万円 79.0万円 34.6％ マツダ・MPV2300スポーツ 236万円 64.5万円 27.3％

この例以外でも、総じてトヨタ車の再販価値が高く、逆にマツダ車は比較的低い傾向があるようだ。そのためか、新車を購入する際もトヨタ車はマツダ車より値引きが難しいといわれている。ただし、一概にトヨタ車が高くマツダ車が低いというわけではなく、それに当てはまらないクルマもある。

○ステーションワゴンの価格比較例 . 5年前の新車時価格 現在の下取り相場 再販価値 スバル・レガシィ2.0 GT-B(最終型) 301万円 100.3万円 33.3％ トヨタ・カルディナ1800E 180万円 27.0万円 15.0％

○マツダ車の価格比較例例 . 5年前の新車時価格 現在の下取り相場 再販価値 マツダ・ロードスター 1800RS 234万円 94.3万円 40.3％ マツダ・プレマシー1.8G スポーツパッケージ 190万円 30.0万円 15.8％

最後に、同じ車種でも再販価値に差が出る要因を挙げてみよう。それはオプションと車体色だ。

オプションは、当然多く付属している方が高く売れる。中でも、サンルーフなど後から追加することのできないメーカーオプション、そしてメーカー純正のカーナビなどが付いているクルマは高く査定される。車体色は、白・グレー・黒などのベーシックカラーの方が、赤や黄色などの個性的な色よりも高値がつくことがあるようだ。