便利で安い最新の冷蔵庫と同じ!?「これじゃぁ売れるのも仕方ない」
冷蔵庫カーという言葉がある。冷蔵庫のように黙々と働いてくれて、役に立って便利だが、存在感の薄いクルマのことを指す。我々クルママニアは、このテのクルマを憎んでいる。まったく不満を抱かせず、すべてを適度に満たしてくれる、移動のための道具。一般ユーザーには最高のクルマが、クルママニアにとっては最悪のクルマとなる。なぜなら、そういうクルマに乗ったら、自分がやることがなくなってしまうからだ。愛のかけようがないのだ
フィットはまさに、そういうクルマだ。コンパクトなサイズで驚くほど広い室内を持ち、走りは十分、燃費もいい。もちろん値段も安い。完璧だ。どこにもスキがない。これでは我々はやることがない。書くこともない。冷蔵庫について書くことがないのと同じように。
ところで我が家は、最近冷蔵庫を買い換えた。前のヤツの冷えが悪くなってきていて、15年近く使っていたので、そろそろ寿命だろうという危惧もあった。なにしろ冷蔵庫は、止まってくれたら困る。ないとその瞬間から猛烈に困るので、その前にと思って電器屋に行ったのだ。
20万円以上の出費は覚悟して出かけたのに、なんと14万円で、猛烈にいいヤツがあった。それまで我が家の冷蔵庫は、常にラッシュ時の山手線みたいなギューギュー詰めだったのに、新しいヤツにしたら、外寸は大差ないのに容量が増えていて、実に使いやすくなった。こんなにステキな冷蔵庫が、こんなに安くていいのか!という感じだ。
なんだ、ウチの新しい冷蔵庫は、フィットそのものじゃないか。これじゃ売れるのも仕方ないか。