ワゴンRがフェラーリF355よりも美しい!?ワゴンRスティングレーはタマに行くガストのようである!

ワゴンRというクルマには、虚飾を捨てた機能美がある。軽自動車規格という
厳しい枠の中で、どれだけ居住スペースを広く取るか。その研究に邁進し、
全高の制限は2メートルと緩いことに目を付け、背を高くすることで体感的な広々
感を獲得することに成功した、革命的モデルだ。
初代ワゴンRが登場した当時は、まだバブルの余韻も残っていて、クルマはスポーティで背の低い方がカッコいい、という風潮も根強かった。そんな中、いかにも遅そうな、背の高い不安定なフォルムのワゴンRが売れるなどとは誰も思わなかったが、これが大ヒットして、軽自動車はおろか、全国産車の背高ノッポ化を激しく促進することになろうとは。
ワゴンRは、背が高いこともそうだが、機能に徹した直線基調のデザインという点も革命的だった。私はかつて、2代目ワゴンRとフェラーリF355が並んで止まっている現場を見て、「ワゴンRの方が美しい!」と真剣に思ったことがある。美というのは、豊穣だけではなく、節約の中にも存在するのである。
一方ワゴンRスティングレーは、節約の美に豊穣を付け加えようとしたモデルだ。日頃は麦米に干物とお新香という美しくも慎ましい生活をしているけれど、たまにはガストでパーッとメシでも食おうや、ドリンクバー飲み放題だし。そういうイメージだ。それは正直、あんまり美しくないし、機能美は感じられない。
が、たまのガストを、誰が責められよう。私には、ワゴンRスティングレーを責める勇気はない。