トヨタ iQ
●2985mmという全長のボディで、4名定員を可能にしたマイクロプレムアムコンパクトであるiQ。軽自動車より短いボディながら安全性や環境性能、さらには質感なども非常に高いクルマであり、従来のコンパクトカーとは一線を画したコンセプトを持つ。マイクロプレムアムという新しいジャンルがまだ世に浸透していないためか、中古車市場での相場は値下がり傾向にある。
中古車マニアでもある清水草一が各著名人と対談し、
クルマ談議に花を咲かせるトークコラム!
- 今号のゲスト
- 自動車評論家 渡辺敏史さん
- ニューモデルの試乗で世界を駆け巡りつつ、中古車雑誌マニアと呼ばれるほどの中古車好き
iQ・バンザイの巻
我々自動車評論家は、一般ユーザーには人気のないクルマが好きだったりする。ナベちゃんは前回「スズキ・スプラッシュの未使用車に注目っす」と教えてくれたが、今回のお宝は!?
渡辺 スプラッシュの次はトヨタiQですね。新車で160万とかしますけど、それがもう100万くらいで買える。
清水 iQ! ぜんぜん売れてないよね!
渡辺 日本人にはハイブロウ(※1)すぎますから。
清水 ハイブロウというより、日本ではほとんどメリットがないでしょ(笑)。
渡辺 あのクルマがメリットを発揮するのは、スマートが売れてる地域だけですね。
清水 それって、ヨーロッパの都市部だよね。
渡辺 ローマとかニースとか、そういうところですよね。
清水 ヨーロッパって、基本的に駐車場借りないからね。家の前の道路に停めるんだもんね。だから道が狭い都市では場所の取り合いが大変。そういうところでは、全長が短いクルマは、狭いスペースに停められるから便利。場所によっては、CMみたいにホントに縦に止めることもある。
渡辺 そんなメリット、日本には関係ないですよね。ただね、農家なんかでは、全長が短いことに価値があることもあるんじゃないかなァ。ホンダは新型アクティ、小回りが利くようにわざとホイールベース短くしたでしょう?
清水 そう、あぜ道を走りやすくするためにね!でもiQであぜ道走るか?
渡辺 走らないですね(笑)。でも僕は、あぜ道ウンヌンは抜きにしても、あのクルマ好きなんスよ。なにしろ全長3メートル弱で、最小回転半径3.9メートルですから。軽自動車でも4.2メートルくらいでしょ。あれはもうカートですよ。
清水 ヘタすりゃ2車線の道路で切返しなしにUターンできるよね。
渡辺 操縦性もすごく楽しい。トヨタ車の中で一番楽しいですよ。ランチア・ストラトス級(笑)。
清水 それと、超高級車メーカーのアストンマーチンが、“シグネット”っていう名前でiQベースのクルマを売り出すんだよね。
渡辺 ヨーロッパでは、メーカーごとに1台あたりの二酸化炭素排出量の制限が始まるから、そのうすめ液としてでしょうね(笑)。
清水 ほかのメーカーもiQ使ってほしいよね。
渡辺 ランボルギーニ版のiQとか出ないでしょうかね。世界中の高級スポーツカーメーカーが全てiQを使ったら面白いだろうなァ。
※1 知的で趣味がよく高級であるさま。