タイプS はアフリカで人気かも!?
リヤウイングは“制服”効果だが…。
制服というものは、すごい威力を持っている。
たとえば警備員。警備員は公務員でもないし、なんの権限もないわけだが、相手が警備員の制服を着ているだけで、従わなければいけない気分になる。
道路工事の交通整理員もそうだ。顔を見ればカンペキにそこらのオッチャンやオバチャンだが、赤い誘導棒を持っているだけで、大きな権力を持った人のように感じる。
我々ジャーナリストも、普段着だとまったくただの一般人だが、なんでもいいから腕章ひとつしているだけで、人々の見る目が違う。事件現場でも、堂々と中に入って行ける自信がみなぎってくる。
アフリカには、リヤウイングに見立てた鉄パイプをトランクの上に付けたクルマがいた。なんでもいいからケツにウイングらしきものがついていれば、それはレーシングカー的でカッコイイ。鉄パイプの断面は丸いからダウンフォースは生まれないが、それらしいものを付ければ、速そうになるはずだという思い。これは言わば、「レーシシングカー的制服効果」だろう。
ホンダ初の乗用車・Sシリーズの精神的後継モデルとして登場したS2000。その開発の志は高邁なものだったが、販売不振が続くうちに、進むべき道を見失ってしまったようだ。
タイプSに装着された巨大なエアダムやリヤウイングは、確かに効果はあるのだろうが、これをカッコイイと思ってくれるのは、鉄パイプをリヤウイングに見立てたアフリカの人だけではないだろうか。むやみに制服を着るのは考えものだ。