日産 キューブ
●マーチベースのハイトコンパクトとして、初代がデビューしたのは平成12年。2代目は平成14年登場し、個性的なデザインが好評を得て人気モデルに成長。現在の中古車市場では、3000台以上の流通量と71.6万円というリーズナブルな平均相場を示している。平成20年の11月にデビューした3代目は、100万円を切る中古車が順調に増加しており、市場の動きに注目しておきたい小型車の1台だ。
中古車マニアでもある清水草一が各著名人と対談し、
クルマ談議に花を咲かせるトークコラム!
- 今号のゲスト
- モータージャーナリスト ピーター・ライオンさん
- 世界の有力誌に寄稿する日本在住・日本語ペラペラのモータージャーナリスト。
世界カー・オブ・ザイヤー会長。
キューブ・バンザイの巻
清水 ピーターさん、現行の3代目キューブの欧米への輸出が始まったみたいですけど、あっちでの評判はどうですか。
ピーター うん、かなりいいですよ。
清水 ホント!?
ピーター たとえばイギリスでは、クールな20〜30代が乗るファッショナブルなクルマ、という感じですね。
清水 へえー。
ピーター 日本では、どちらかというと便利なお買い物グルマという感じでしょう?
清水 主に郊外の主婦が乗るクルマですね。
ピーター でもあっちでは、カフェ・カルチャー的なクルマです。非対称のリアドアもおもしろいと評判だし、アートに感心のある人たちが乗ってますね。
清水 それはすごい。僕は2代目・3代目キューブは、ひょっとして史上初の和風デザイン自動車じゃないか、いわばクルマ界の浮世絵じゃないかって思ってるんだけど、やっぱりそんな感じ?
ピーター いい表現だね。詩人だね(笑)。“日本人が作った彫刻のようなクルマだ”という捉え方です。僕自身もあのデザインはスバラシイと思う。とてもオリジナリティがあって冒険的で、ガッツを感じる。
清水 うれしいなぁ。日本でキューブに乗ってる人たちは、そんなこと思いもしないだろうけど。
ピーター イギリスでは、コペン、フィガロ、それにカプチーノみたいな、日本のカルトカーが一部で人気なんです。
清水 どれも超小型オープンカーですね。
ピーター そう、マイクロオープン。ああいうクルマはヨーロッパにはないでしょう?ただしビートは人気ない。小さすぎる(笑)。
清水 アハハハハ。ピーターさんが乗ったら頭が全部出ちゃうね!
ピーター 交通違反で捕まるよ(笑)。2代目キューブもカルトカーとして、並行輸入されていたんですよ。
清水 へえー。
ピーター ただ、それは日本のために作られたクルマで走りや性能が曖昧だったから、イギリスで有名なジャーナリストが“こんなひどいクルマには乗ったことがない”と、酷評していた。
清水 つまり、日本仕様のキューブをそのままイギリスに持ってったんだ。
ピーター そう。3代目はちゃんとヨーロッパ向けに作ってあるからOKです。
清水 そうかぁ。日本車って、日本向けとヨーロッパ向けじゃ、同じ車種でもまるで走りが違ったりするからね。