廃車手続き後、今まで加入していた任意保険は解約するものと考えている方は少なくありません。

任意保険は一度解約してしまうと、また新たに契約するときに等級がリセットされるため保険料が割高になってしまいます。

この記事では、等級を維持するための「中断手続き」について詳しく紹介します。

廃車手続き後の等級を維持したい場合は中断手続きを行おう

廃車手続きをした後に任意保険を解約すると、契約中に設定されていた等級は消滅してしまうので注意が必要です。

ここからは、任意保険の等級とは何か説明した後に等級を引き続くための中断手続きについて詳しく紹介していきます。

任意保険の等級とは?

任意保険の等級とは?
任意保険の等級は、1等級~20等級があり、等級の数が大きくなればなるほど保険料が安くなる仕組みです。また、初めて保険を契約した場合は原則6等級からのスタートになります。

等級の設定基準は保険会社によりますが、1年間無事故で保険を使わずに契約期間の満期を迎えれば、等級が1段階上がります。一方、事故を起こして保険を使った場合は次回更新時に等級が下がってしまうので覚えておきましょう。

廃車時に任意保険を解約した場合の等級

前述のとおり、等級数は1年間の保険の使用有無によって決定されますが、車の乗り換えによって廃車手続きする場合、廃車と同時に任意保険を解約することはおすすめできません。

任意保険を解約すると等級は引継ぎされず、乗り換え後に新たに任意保険を契約すると、6等級からリスタートとなります。

等級がリセットされることで、いままで受けられていた保険料の割引率もリセットされます。また、任意保険によって設定されている無事故割引などの特典もリセットされるため、廃車手続き後に新しい車に乗り換える場合には、任意保険の解約はおすすめできません。

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等級を新しい自動車に引き継ぐ方法

等級を新しい自動車に引き継ぐ方法
乗り換えた後の車にも現在契約している等級を引き継げると、お得に任意保険を継続できますが、等級を引き継ぐための方法にはどのようなものがあるのでしょうか。

ここからは、現在契約している任意保険の等級を乗換え後の新しい車に引き継ぐ方法について紹介します。

任意保険の等級を引き継げる中断手続きとは?

任意保険の等級を引き継ぐためには、中断手続きをする必要があります。

中断手続きとは、保険の適用を一時的に中断することを指し、解約とは異なります。保険を解約した場合、保険金額を左右する等級がリセットされてしまいますが、中断手続きをとった場合は10年間、中断時の等級を維持できます。

中断手続きを行う場合は、契約する保険会社に連絡し「中断証明書」を発行してもらいます。この時に契約を中断する理由を証明するものとして、「解除事由証明書」「登録事項等証明書」などの提出が求められます。中断時は必要書類を保険会社に確認しましょう。

なお、10年以上経過した場合は再び等級は初回契約時の6等級に戻るため注意が必要です。

中断手続きの条件

中断手続きの条件は保険会社によって異なりますが、例えば、中断日または保険満期日前に車を廃車・譲渡・売却により手放すこと、または車検切れ・一時抹消、海外渡航していることが条件として挙げられています。

なお、契約中の車を所持している状態では保険の解約手続きができても、中断証明書を取得できないため先に廃車手続きが必要です。

他の保険会社では、保管解約日までに廃車手続きが済んでいることや中断時点での等級が7等級以上あること、などの基準が設けられています。

中断手続きの方法

中断手続きの方法は会社ごとに様々ですが、とある保険会社ではWebまたは電話にて中断証明書の発行手続きを依頼可能です。

他の会社では電話のみの対応であるケースも見られます。電話にて手続き依頼する場合は中断を希望する日までにカスタマーセンターまで電話し、中断に必要な廃車や譲渡に関する証明書を提出します。保険会社にて書類確認が完了した後に中断証明書が発行されます。

中断証明書は再発行可能

もし発行された中断証明書を紛失した場合、そもそも中断証明書の発行を依頼し忘れていた場合は、どのような対応が必要なのでしょうか?

この場合、契約している各保険会社へ一度連絡しましょう。各保険会社では後日の発行や再発行ができます。

一方で、後日の発行や紛失時の再発行には申請期限が設けられている場合があります。保険会社によっては保険満期日から13カ月以内に発行依頼しなければならない場合もあるため、気づいたタイミングでの問い合わせを強くおすすめします。

任意保険の中断後、引継ぎ期限はどのくらいある?
中断手続き後の引継ぎ期間の上限は、およそ10年間に設定されています。ただし、保険会社によっては期間が異なるため、必ず確認しましょう。
もし上限の10年間を超えてしまった場合、中断前の等級が20等級であったとしても、最初の6等級まで引き下げられるため注意が必要です。

任意保険の等級を引き継ぐメリット

任意保険の等級を引き継ぐメリット
任意保険の等級を引き継ぐための中断手続きについて紹介しましたが、中断手続きで受けられるメリットはどのようなものがあるのでしょうか。

ここでは、中断手続きをして、任意保険の等級を引き継ぐことで受けられる具体的なメリットを2つ紹介します。

①保険料の割引率を維持できる

1つ目のメリットは、保険料の割引率を維持できることです。

保険料の割引率は任意保険の等級ごとに定められており、等級の数が大きくなれば割引率も増え、等級の数が小さくなれば割引率も減ります。

契約直後の等級は原則6等級ですが、1年間無事故で保険を使わなければ、翌年度は7等級に変化し割引率が増えます。一方で、1年間無事故であっても保険を使った場合は翌年度の等級が5等級に格下げされるため、割引率が減ります。

等級を上げるためには長い期間を要する一方で、保険を解約すると等級が6等級にリセットされてしまいます。すると割引率はおよそ50%減ることになるため、等級の引継ぎによる割引率の恩恵は大きいといえるでしょう。

②無事故割引を維持できる

2つ目のメリットは、保険会社によって設定されている無事故割引も引き継げることです。

無事故割引とは、保険契約期間中に保険を使わなかったこと以外に、無事故であった場合に適用される割引のことです。保険会社によって割引金額は異なりますが、およそ2000円から3500円ほど保険料が割引されるためお得な特典です。

この割引特典も等級の引継ぎと同じく引き継げるため、保険の引継ぎがいかにメリットの多い方法であるかが分かります。

任意保険の等級を上げるポイント

任意保険の等級を上げるポイント
任意保険の等級を引き継ぐメリットについて紹介しましたが、一つでも等級を上げることが保険料を安く抑えるコツです。

ここからは、任意保険の等級を上げるポイントについて3つ紹介します。

①安全運転で事故を起こさない

翌年度の等級は保険の契約期間中に保険を使用したかどうかで決まります。保険を使用するにあたっては多くの場合、運転中の事故が原因になっています。そのため、安全運転を心がけて事故を起こさず、保険を使わないことが等級を上げる一番重要なポイントです。

等級は多くの保険会社で1等級から20等級に定められており、1年ごとに等級数は前後します。割引率の最も高い20等級になるためには、初回契約時の6等級から考えると14年間無事故で保険を使用しない必要があります。日頃から安全運転を心がけ、注意して運転しておかなければなりません。

②保険料と事故で発生した損害額を比較する

前述したとおり、等級は契約期間内に保険請求するかどうかで上下します。契約者本人が起こした事故以外にも、やむなく発生してしまった事故によって保険請求が必要になる場面は発生します。この時、事故内容によっては等級が3等級下がってしまうことがあり、保険請求してしまったがために保険料が増額してしまいます。

そのため、等級が下がっている期間における保険料の差額と事故で発生した損害額を比較することが大切です。

もしもの時のための保険ではあるものの、お得に保険を契約しておくためにも、保険請求後の保険料と補填額の関係性は常に意識しておきましょう。そして保険を使うかどうか決めましょう。

③セカンドカー割引を利用する

セカンドカー割引とは、家族がすでに車を所有している場合、一定の条件を満たしていれば2台目の車からは等級が7等級からスタートできる制度を指します。

原則6等級からのスタートと比較すると1等級分進めて保険契約を始めることができるため、家族の車を増やすことがあれば、条件を満たせる契約があるか保険会社へ確認することをおすすめします。

保険会社を他の会社に変更する場合、中断証明書で等級を引き継ぐことはできますか?
他社の任意保険に乗り換える際も中断証明書があれば等級を引き継げます。そのため、保険料がより割安な保険会社があれば保険会社の乗り換えを検討してみることをおすすめします。

等級の引継ぎを検討する場面

等級の引継ぎを検討する場面
保険の等級は引き継いだほうが良いのか、新たに保険契約を結ぶほうが良いのか、タイミングによってお得さを感じられる場面は異なります。

ここからは、等級の引継ぎをするかしないか、検討する場面の具体例について紹介します。

自動車を買い替える予定のとき

車の買い替えを検討しているタイミングにおいては、自動車保険を見直す絶好のチャンスです。購入予定の車にあった自動車保険の検討や補償内容の再検討などをすることで、よりお得な保険契約ができます。

この場合でも等級の引継ぎはできますが、引継ぎ手続きのタイミングは注意しなければなりません。

すでに契約している保険期間の満了前に車を買い替え、他社の任意保険へ乗り換えた場合、新たな契約から翌年の契約満了まで等級は上がりません。

契約タイミングを間違えてしまうと、保険料が安くなるタイミングが1年間遅くなってしまうため、保険の乗り換えについては契約期間の満了に合わせて手続きを進めることをおすすめします。

他社の自動車保険に乗り換えたいとき

任意保険は契約者本人に紐づいているため、ライフステージの変化や自動車の種類、各保険会社によるサービス内容の違いによって、保険料は年々変化します。

そして、カーライフは今だけでなく、車に乗っている限り続いていくため、現在の自分にとって条件の良い任意保険を見つけたタイミングは等級の引継ぎを活用した保険の乗り換えを検討するチャンスです。

今の保険内容より良いサービス内容であったり、魅力的な割引内容を打ち出している保険会社が見つかれば積極的に等級の引継ぎをして乗換えていきましょう。

一定期間自動車に乗らないとき

通院や海外出張など、やむをえず車を乗らない期間が発生しても、いつかは再び乗るタイミングがあれば、いまの任意保険は解約せずに等級を引き継げる中断手続きを検討することをおすすめします。

各保険会社によって中断期間は設定されていますが、およそ10年間を上限に設定している保険会社が大半です。

車に乗らないのに保険料を支払うことは無駄ですが、解約してしまうと再び契約した際には初回契約の6等級から再スタートになり、保険料が割高になってしまいます。

保険料の支払いを一旦ストップでき、等級を再開時に引き継げる中断は有効な手段です。

家族の保険料負担を軽減させたいとき

等級は保険契約者の配偶者や同居家族であれば引き継げます。そのため、免許を取って間もない子どもをはじめとした家族の保険料負担を軽減させたい場合には、等級の引継ぎがおすすめです。

とはいっても、等級を家族に引き継いだ場合、保険契約者本人の等級は6等級から再スタートすることは必ず覚えておきましょう。

年齢条件を引き上げたり、ゴールド免許割引をはじめとした割引プランを活用したりすることで、若者が保険契約を初めて結んだ場合の保険料に比べて費用負担を抑えられます。

等級の引継ぎができない場面

等級の引継ぎができない場面
保険の等級は引継ぎができない場合もあります。知らないまま引継ぎができず保険料負担が重くならないためにも、ここから紹介する2つの場面については注意が必要です。

解約から新たな保険加入まで期間が空いてしまうとき

保険の解約から新たな保険に加入するまでの期間が開いてしまった場合は等級が引き継げません。

自動車保険の解約もしくは満了から8日以上経過してしまうと、自動的に等級が消滅してしまい等級の引継ぎができないため注意が必要です。

そのため、しばらく車に乗る予定がなく保険期間が満了になり、その状態のまま放置してしまうと等級の引継ぎで得ることのできるメリットを受けられません。

再び車を運転する機会がある場合には中断手続きを忘れずにしましょう。

保険会社から契約解除されたとき

保険会社から契約解除された場合も等級の引継ぎができません。

保険者に課される告知義務を果たしていない、特に事故事実の隠ぺいをはじめとした虚偽報告をしていた場合には、契約解除される可能性があることを覚えておかなければなりません。

また、告知義務は保険契約前だけではなく、保険契約期間中にも保険者本人に課されています。

契約解除された場合には、契約解除後に新たに再契約したとしても等級の引き継ぎはできないので注意が必要です。

下がった等級は他社に乗り換えることで上げることはできますか?
もし保険を利用して等級が下がっても、他社への乗り換え時に下がる前の等級を申告することで等級の引き継ぎができると考えるのはやめましょう。ノンフリート等級別料率制度は各保険会社間で情報を共有しながら運用されているため、下がった等級を隠して等級は上げられません。なお、保険の乗り換え時に虚偽申告すると告知義務違反として契約解除される可能性があります。

まとめ

①任意保険の等級は保険料の割引率に関係する
②廃車と同時に任意保険を解約すると等級に紐づく割引率が消滅してしまう
③等級を新しい車に引き継ぐ場合は中断手続きがおすすめ
④任意保険の等級を引き継ぐことで、保険料の割引率や無事故割引を維持できる
⑤等級を上げるためには安全運転を心がけることが重要
⑥等級の引き継ぎを検討するタイミングは複数あるので、パターンごとのメリットを考えて行動することが重要

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