自動車を処分したいと考えたときに自動車税を納付してない場合、廃車手続きが可能なのか疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。

滞納していることによって、どのようなトラブルが発生するのか不安に思っている方もいるでしょう。

この記事では、未納状態で廃車手続きを行う方法や滞納により発生するトラブル、納付期限前と後での納付方法などを紹介していきます。

自動車税の納付は所有者の義務です。原則、納付期限までに払う必要がありますが、万が一期限を過ぎてしまった場合の対処方法を把握しておきましょう。

自動車税を納税してない場合でも条件によっては廃車が可能

廃車手続きは、自動車税を納税していない場合でも条件によっては進められます。

しかし、未払いや滞納分の税金の支払い義務はなくなりません。条件によって手続きを進められるとはいえ、滞納が長引けば差し押さえになる可能性もあるため、納付期限までに必ず支払うようにしましょう。

自動車税の納付は基本的に5月末までに行います。トラブルを避けるためにも納付期限をしっかり把握して支払いましょう。

廃車手続きをする時に納税は必ず行う

廃車手続きをする時に納税は必ず行う
自動車税を未納のまま廃車手続きは場合によって進められますが、支払い義務がなくなるわけではありません。将来の納税義務はなくなりますが、過去滞納分の支払い義務がなくなるわけではないため注意しましょう。

滞納を続けると様々なトラブルに発展するおそれがあるため、必ず未納分の支払いは行って下さい。

自動車税の納付義務は毎年4月1日時点の自動車の所有者に課せられます。また、支払い期限は5月末までと長くないため納付が遅れないよう注意しましょう。

自動車税の未納が1年未満であれば廃車手続きは可能

自動車税の未納が1年未満であれば廃車手続きは可能
1年未満の未納がある状態で廃車手続きを行う方法は主に2通りあります。

1つ目は、自分で手続きをした後に未納分の納付書を用いて支払う方法です。該当年の4月から廃車月までの未納分が月割りされた納税通知書が届くため、必ず納付しましょう。

2つ目は、未納のまま買い取ってくれる業者へ依頼する方法です。廃車手続きを代行してくれるため滞納がある場合でも手続きをスムーズに進められるでしょう。

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自動車税の未納により発生するトラブル

自動車税の未納により発生するトラブル
ここからは、自動車税の未納により発生するトラブルを紹介します。

税金の支払いは義務ですので、必ず支払う必要があります。長期間滞納したままにすると様々なトラブルを招くため、早めの対処が大切です。

自動車税を2年以上納税してない場合

自動車税の未納期間が2年以上になると「嘱託保存」の状態になります。

嘱託保存とは、自動車税を未納のまま放置することで税務署から自動車を差し押さえられている状態です。滞納分の自動車税をすべて納付しなければ解除はされません。

そして、未納分を支払うまで所有権を移せないため注意しましょう。廃車手続きは原則所有者のみ行えます。そのため、所有権を移せない嘱託保存の状態では手続きを行えないことを把握しておきましょう。

未納のまま車検が切れた場合

車検を受けるためには、自動車税の納付が完了していなければなりません。車検時には納付後に受け取る自動車税の納税証明書が必要です。納付が完了していないと納税証明書が発行されないため車検を受けられない点に注意しましょう。

また、車検を受けて車検証の交付を受けなければ公道を走行できません。車検証を所持していない状態での運転は法律違反であり、罰則の対象となります。

滞納により自動車を利用できないトラブルが発生するため、必ず期限までに納付を済ませましょう。

職権抹消状態になっている場合

職権抹消とは、運輸局が強制的に永久抹消登録を行うことです。車検が切れて3年経過すると自動車の登録情報が運輸局によって削除されます。つまり、公道を走行できなくなります。

滞納が5年以上になると登録情報が完全に抹消されるため二度と自動車を利用できません。しかし、3年以上5年未満の滞納の場合は削除された登録情報が残っている可能性があります。

廃車手続きを進めるためには、運輸支局で回復届出を提出したのちに、未納分の自動車税の納付が必要です。

長期滞納により財産が差し押さえられることも

納付期限を過ぎても自動車税の未納が続くと20日以内にハガキで「督促状」が届きます。

督促状が送付されたあとも滞納を続けると「催告書」が届きます。書類には何日までに支払いをしなければいけないのか、未納の場合は差し押さえの可能性がある、などの事項が記載されており、延滞金も発生するため注意が必要です。

催告書が届いた後も未納状態であれば「差し押さえ予告通知書」が送付されます。書類には何日までに納付しなければ財産を調査し、差し押さえを実行します。といった内容が記載されています。

また、同時に滞納者の財産状況把握のために、官公署や勤務先、金融機関への調査が実施されるでしょう。それでも自動車税を支払わない場合は、最終的に財産を差し押さえられるおそれがあるため注意しましょう。

納税しないまま廃車手続きする流れ

納税しないまま廃車手続きする流れ
ここからは、納税しないまま廃車手続きをする場合の流れを紹介していきます。

自分で手続きを進める場合

必要書類は永久抹消登録、一時抹消登録ともに、通常の廃車手続きと基本的に変わりません。

永久抹消登録は解体を行ったうえで運輸支局で手続き、一時抹消登録は解体は行わずに運輸支局で手続きの流れは一緒です。

しかし、自動車税未納分の支払いは手続きの前後どちらかに発生します。嘱託保存状態ではない場合、廃車手続き後に送付される納税通知書をもとに税金を納めます。嘱託保存状態であれば先に未納分の納付を済ませてから廃車手続きを行いましょう。

手続きを業者に依頼する場合

業者に廃車手続きを依頼する場合も、必要書類は永久抹消登録、一時抹消登録ともに、通常の廃車手続きと基本的に変わりません。

業者に依頼する場合は、その時点の納税状況をあらかじめ伝えておくとよいでしょう。事前に相談しておけば、必要書類や納税のタイミングなどを教えてもらえます。廃車手続き自体も代行してもらえる可能性があるため、対応方法に不安がある方におすすめです。

また、買取業者へ依頼すれば自動車の状態によっては買い取ってもらえて手元に現金が入ってきます。手続き後の納付であれば、買取金を未納分の支払いに充てることも可能です。

自動車税を未納のまま廃車手続きした場合は後から支払う必要がある?
自動車税の未納分は廃車手続きをしても支払う必要があります。今後の納税義務はなくなりますが、未納分の支払い義務がなくなるわけではないため注意しましょう。

自動車税は5月末までに納付を済ませる

自動車税は5月末までに納付を済ませる
自動車税は4月1日時点での車の所有者に対して課されます。4月1日~翌年の3月31日までの分を納付期限の5月末までに支払います。ただし、5月末が土日の場合は6月上旬まで期限が延びます。

納付書が届くタイミングは自治体によって異なりますが、およそ5月上旬~中旬までには届くでしょう。届いてから納付期限までの期間が短いため、納税し忘れに注意してください。

自動車税の支払い方法

自動車税の支払い方法
ここからは、自動車税の支払い方法について紹介します。

現在は窓口での現金支払い以外にもカードやアプリ、引き落としなど様々な方法が整備されています。

忙しくてもスマホから手軽に納付もできますので、納付書が届き次第すぐに支払いを済ませましょう。

コンビニや窓口での現金払い

自動車税は指定金融機関の窓口やコンビニに納付書をもっていくと現金払いが可能です。納付書を窓口にもっていくだけなので登録や細かい操作が必要ありません。

また、指定金融機関は土日の納付が難しい可能性が高めですが、コンビニであれば土日でも支払い可能です。平日は仕事が忙しく金融機関に寄る暇がない方は、土日にコンビニを利用して支払いを済ませましょう。

ただし、納付書のバーコード部分に汚れや破損があったり、支払金額を修正したりする場合はコンビニで支払えない可能性があります。

インターネットでのクレジットカード払い

自動車税の支払いは、インターネット上からクレジットカードを利用しても可能です。支払方法は一括払いのほか、分割払いやリボ払いの選択が可能です。ただし、分割払いやリボ払いを利用すると手数料がかかる場合があります。

クレジットカードでの支払いはパソコンやスマートフォンからアクセスして行えるため、忙しい方でもすきま時間に納付できるでしょう。

スマホアプリからの支払い

各銀行が提供しているアプリやスマートフォン決済アプリでも支払いが可能です。納付書に記載されているバーコードを読み取るだけで簡単に支払えるため、忙しい方でも利用しやすいサービスといえます。また、決済アプリでは手数料がかからないメリットもあります。

ただし、アプリでの支払いは自治体によって利用できるアプリが異なる点に注意しましょう。事前に管轄の自治体への確認が大切です。

現金の用意が不要で窓口に出向く必要がないため、納付期限ギリギリになってしまっても、すぐに支払いを完了できるため安心です。

口座振替による支払い

自動車税は指定した口座からの引き落としによる支払いも可能です。一度設定してしまえば窓口に出向く必要がありません。また、通帳に納税の記録を残せる点もメリットです。

アプリの操作が難しい、クレジットカードでの後払いは不安という方は口座引き落としを検討しましょう。

未納分の自動車税を支払う方法

未納分の自動車税を支払う方法
ここからは、未納分の自動車税を支払う方法について紹介します。

納付期限を過ぎてからの支払いは納付方法が限られるため注意しましょう。

窓口での現金支払いのみ

納付期限を過ぎてしまった自動車税は、指定金融機関や郵便局、各自治体の窓口にて現金で支払いましょう。

インターネット上でのクレジットカード払いやアプリ決済は利用できません。必ず窓口に出向く必要があるため、忙しい方でも時間を作る必要があります。

また、利用可能な窓口は地域によって異なるため、事前にお住いの自治体に確認しましょう。支払い方法が限られると納付するタイミングを失い、滞納が長引いてしまう危険があります。

費用を準備できる状態であれば必ず納付期限内に支払いを済ませて下さい。

納付期限が過ぎてしまった自動車税はコンビニで支払えますか?
納付期限が過ぎてしまった自動車税はコンビニでは支払えません。各自治体の窓口にて現金で支払いを済ませましょう。

自動車税を納税してないことによるデメリット

自動車税を納税してないことによるデメリット
ここからは、自動車税を納税しないことによるデメリットを3つ紹介していきます。

滞納は様々なトラブルを招くため、必ず早めに納付することを心がけましょう。

①6月以降は延滞金が発生する

自動車税の納付期限は5月末までなので、6月以降は延滞金が発生します。納付期限の翌日から1日ごとに加算されるため、早めの支払いを心がけましょう。

また、1,000円未満の延滞金は端数が切り捨てです。そのため、支払いは1,000円に達してから行われます。

延滞金の加算割合は自治体や機関によって異なります。具体的な金額については管轄の自治体で確認しましょう。

②車検を受けられない

車検を受けるためには納税証明書が必要なため、自動車税の支払いをしていない状態では車検を受けられません。

納税証明書は、自動車税を支払った後に印鑑を押してもらった納付書の半券のことです。

窓口での支払いではなく、クレジットカードやアプリ決済を利用してインターネット上で支払いを済ませている場合は納税証明書が手元にありませんが、電子記録によって納税状況を確認できるため、納税を確実に済ませている場合は心配する必要はないでしょう。

③車を売却する時の手間が増える

自動車を売却する際に納税証明書を求められる場合があります。

納税証明書がないと売り手が本当に納税を済ませているか確認できません。もし、納税証明書を確認せずに買い取った後に未納だった場合、トラブルに発展しやすくなります。

例えば、新しい所有者が車検を行おうとしたときに納税証明書がなくて受けられない場合があります。

新しい所有者との間に発生するトラブルを避けるためにも納税を済ませてから売却するよう促されることも多いでしょう。

自動車税の支払いが困難な場合は猶予制度を検討する

自動車税の支払いが困難な場合は猶予制度を検討する
ここからは、自動車税の支払いが困難な場合に利用できる猶予制度について紹介します。

うっかり忘れてしまったのではなく、何らかの状況で自動車税額分のお金を用意できないこともあるでしょう。そのため、万が一に備えて猶予制度の内容を把握しておきましょう。

徴収の猶予

徴収の猶予とは、一定の条件を満たせば税金の納付を待ってもらえる制度のことです。該当する条件を以下に挙げます。

  • 本人がその財産につき、震災、風水害、火災その他の災害を受け、又は盗難にあった場合
  • 本人又は生計を一にする親族が病気にかかり、又は負傷した場合
  • 本人が事業を廃止し、又は休止した場合
  • 本人がその事業に著しい損失を受けた場合
  • 上記のいずれかの事実に類する事実があった場合

徴収の猶予を利用する際は申請が必要です。管轄の地方公共団体が用意する「徴収猶予申請書」に必要事項を記入し、必要書類とともに提出します。

申請様式は各地方公共団体により異なりますので、必ず管轄の書類を利用しましょう。

換価の猶予

換価の猶予とは、差し押さえた財産を現金に換えて未納の税金分に充てる制度のことです。そして、以下の条件を満たす必要があります。

  • 納税することで、事業の継続又は生活維持が困難になるおそれがあること
  • 納税に対して誠実な意思をもつこと
  • 猶予を受けようとする地方税以外の地方税の滞納がないこと
  • 申請による換価の猶予をすることが適当でない場合として当該地方団体の条例で定める場合にあたらないこと

換価の猶予も基本的に申請が必要です。各地方公共団体が用意する換価の猶予の申請書に必要事項を記載の上、必要書類とともに提出しましょう。

また、申請期限は自動車税の納付期限から6ヶ月以内と決まっているため、期限を過ぎないよう注意してください。

自動車税の納付が難しい場合は、どこへ相談したらいいですか?
都道府県税事務所に分割納付の相談をしましょう。可能であれば納付期限がすぎる前に、早めに相談することをおすすめします。

自動車税を節税するポイント

自動車税を節税するポイント
ここからは、自動車税の支払い負担を軽くするための節税ポイントを紹介します。

毎年余裕を持って資金を準備できるよう、自動車税の納付額を減らすコツを押さえておきましょう。

グリーン化特例を活用する

グリーン化特例とは、電気自動車やハイブリッドカーなど、エコカーの自動車税が優遇される制度のことです。

グリーン化特例は適用期間が決まっていますが、対象外の自動車を選択する場合よりも大幅な節税につながります。

家計と環境にやさしいグリーン化特例をぜひ活用しましょう。

自動車の購入時期をずらす

自動車を購入するとき、月末の場合だと翌月1日に購入する場合よりも1か月多く自動車税の支払いが発生します。

月の後半に購入を検討している場合、急ぎでなければ来月まで待つのも一つの手段です。

また、自動車税は月割ですが、軽自動車税は4月1日時点の所有者に1年分の税金が課されます。そのため、購入を4月2日にすることで1年分の軽自動車税を節税できます。

購入時期により大幅な節税が可能となるため、新しく自動車の購入を検討している方は意識してみてください。

新車登録後13年経過する前に乗り換える

自動車は、新車登録から13年経過すると自動車税や自動車税が増額します。そのため、13年が経過する前に手放したり、乗り換えたりすることをおすすめします。

また、税金以外にも年式が古い自動車はメンテナンス費用が増える傾向にあります。総合的なランニングコストを考えたとしても、13年経過する前に買い替えたほうがよいといえるでしょう。

まとめ

①自動車税の未納が1年未満であれば廃車手続きが可能
②嘱託保存の状態の場合は未納分を支払うまで車の所有権を移せない
③車検が切れて3年経過すると職権抹消となり自動車の登録情報が抹消される
④廃車手続きをしても未納分の納税義務がなくなるわけではない
⑤自動車税の支払いが困難な場合は猶予制度を利用する

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