自動車保険は契約を結んでいても、保険会社から思いがけず強制解約されるケースもあります。

どのような場合に解約されてしまうのかを知っておくことは、強制解約を回避するためにも必要です。また、強制解約されてしまった後の自動車保険の契約はどうなるのかも気になるところです。

この記事では、自動車保険が強制解約されてしまう理由や強制解約となった場合の等級や再加入について詳しく解説していきます。

強制解約を回避する対策など役立つ情報も紹介するので、参考にしてください。

自動車保険が強制解約となるケース

自動車保険が強制解約となるケース
保険会社は、自動車保険の契約における取り決めを守らない契約者に対して「強制解約」という措置をとることがあります。

強制解約になるケースとして多いのが、保険料の滞納が続いた場合です。他にも、保険会社に告知や通知しなければならない事柄を伝えていなかった場合、また誤った情報を伝えていた場合などは告知義務違反、通知義務違反となり強制解約の対象となります。

また、保険金を受け取る目的で故意に事故を起こすなど、保険会社との信頼関係が大きく崩れるような重大な事由がある場合も強制解約されることがあります。

保険料の滞納について

保険料の滞納について
自動車保険の保険料未払いが続くと、強制解約を宣告されることがあります。

保険料の支払日を忘れていた、払う意思があるのに口座残高が不足していたというケースもあるでしょう。そのため、1回保険料が支払われなかったというだけですぐに解約されるわけではありません。

それまではきちんと支払っていたのに、うっかりしていたという方もいるので、滞納に関してはある程度の猶予が設けられています。

しかし、あまりに長引く場合は故意に支払いをしていないと判断されます。いきなり強制解約されるわけではなく、未払いのお知らせや振込用紙などが郵送されてくるので、確認して滞納分を支払えば保険は継続されます。

どの位の期間、保険料を滞納したら強制解約となりますか?
一般的に2ヶ月間までの保険料滞納なら支払い忘れと判断されるため、速やかに滞納分を支払えば強制解約になりません。ただし、3ヶ月間保険料を滞納すると、強制解約としている保険会社が多いようです。
2ヶ月までの滞納ならセーフ

自動車保険の保険料は、2ヶ月分までなら滞納した場合も強制解約とはなりません。2ヶ月分の保険料の支払い請求がされるので、まとめて支払えば保険契約を継続することは可能だとされています。

ただし、あくまでも「一般的な自動車保険会社の対応」です。中にはもっと短い期間で強制解約となってしまう保険会社もあるので、注意しましょう。

保険会社に連絡し、滞納した2ヶ月分を支払う

2ヶ月分保険料を滞納してしまった場合、気づいた時点ですぐに保険会社に連絡を入れましょう。

口座引き落としにしておいたのに、口座に現金を入れ忘れていて残高がなかったなどのうっかりミスもあるでしょう。故意に未払いにしていないなら、事情を説明して一括払いすれば問題ありません。

また、2ヶ月滞納していると保険会社から振込票が郵送されてくる場合もあります。その用紙を使ってコンビニなどで振り込めば、翌月から通常通り口座引き落としで再開されるでしょう。

ただし、振り込みを忘れると電話などで連絡が来る場合もありますが、強制解約の対象となってしまう場合もあるので注意が必要です。

3ヶ月滞納すると強制解約になる

保険料を2ヶ月分滞納しても、一括払いすればこれまでと同様に保険が継続できる場合がほとんどです。しかし、2ヶ月分の保険料が未払いのまま1ヶ月経過し、滞納分が3ヶ月になると故意に支払わない、悪質な契約者だと保険会社に判断されることが多いです。

このまま契約を継続していても保険料が支払われるかどうか分からないため、自動車保険は強制解約となってしまいます。

保険会社から強制解約の通知が届いたら、取り消すのは難しいので覚えておきましょう。

強制解約の前なら急いで保険会社に連絡して滞納分を支払う

保険料の滞納をして2ヶ月を超え、3ヶ月に到達していなければ、滞納分を一括で支払うことで解約を免れることができるでしょう。

ただし、滞納をして3ヶ月目になると、保険会社は強制解約の手続きに入ります。契約解除の通知が届いた時点で、強制解約は完了となるので注意しましょう。

また、解約手続きに入っていたとしても、通知が届いていないなら、まだ間に合うかもしれません。解約されたくなければ、急いで保険会社に連絡してください。

保険会社によっては滞納分3ヶ月分をすぐに支払えば契約を継続してもらえるかもしれないので、できる限りのことはしてみましょう。

保険料をすぐ支払えないなら解約をする

経済的な余裕がなく、保険料を滞納していることは分かっていても支払えないという方もいるでしょう。

あらかじめ設定した保険料が高すぎたり、収入が急に減ったりすると、支払いたくても支払えない状況に陥ります。その場合は、解約するという決断も必要です。

自動車保険を解約しても車を運転することができますが、もし事故を起こした時は補償がないので大きなリスクを抱えることになります。そのため、経済的な余裕ができるまでは、車に乗らない選択をするのが賢明です。

ただし、自ら解約しても滞納分の保険料の支払いを免れることは難しい場合があります。滞納分の保険料の請求は続くので、保険会社と連絡を取り合って支払える金額で返していくようにしましょう。

告知義務違反について

告知義務違反について
自動車保険を契約する際は、契約者が保険会社に告知しなければならない告知事項が決められています。

契約者は告知事項について正確に嘘偽りのない事実を告知する義務を負っています。そのため、もし故意もしくは大きな過失により、事実と異なる事項を告知した場合は告知義務違反となり、自動車保険が強制解約される場合があります。

告知義務を課される告知事項とは?

告知事項の内容は、以下の5つになります。

  • 契約時に契約対象となる自動車の登録番号や使用目的といった情報
  • 被保険者の氏名や住所、免許証の色などの情報
  • 契約者の自動車の保有台数が10台以上かどうか
  • 前の自動車保険の契約における等級や事故歴
  • 他の自動車保険に加入していないか(重複契約の有無)について

基本的に告知事項は保険料の算定に大きく影響する事項が多いので、正しく申告しなければなりません。事実と異なる告知がなされると、事故の際に保険金が支払われない場合もあるので気をつけましょう。

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通知義務違反について

通知義務違反について
告知事項の中で契約後に特に損害の発生のリスクが高い情報に関しては、通知事項として保険会社が定めています。

通知事項は、契約後に変更が生じた時点で遅滞なく、その変更の事実を保険会社に通知しなければならないものです。

この通知義務を怠ると、最悪の場合は保険契約が強制解約となってしまいます。

通知義務を課される通知事項とは?

通知事項として保険会社が通知を求めている情報は、契約対象車に変更があった場合です。具体的には以下の内容になります。

  • 用途車種の変更
  • 登録番号の変更
  • 使用目的の変更

例えば、保険契約後に引っ越しをしてナンバーを変更した時や、これまでは電車通勤だったのを車通勤に変えたため、使用目的が日常・レジャー用から通勤・通学用に変わった時などが挙げられます。

重大事由の発生について

重大事由の発生について
保険会社とは、信頼の上で契約を結んでいます。そのため、契約者側に保険会社の信頼を裏切るような重大な事由が発生した場合は、強制解約となります。

例えば、保険金を受け取るために知り合い同士で結託して故意に事故を起こす保険金詐欺などです。

また、自動車整備工場と結託して車の修理費用を水増し請求する行為なども挙げられます。

自動車保険は実際の損害額に対して補償を行う保険です。保険会社もプロなので、保険金請求に対し詐欺行為の有無も厳しく調査しているため騙すことはまず不可能です。

自動車保険が強制解約となった場合について

自動車保険が強制解約となった場合について
自動車保険が強制解約となると、今後車を乗るために再度自動車保険に加入する上で様々なデメリットが生じます。

まず、これまで無事故で自動車保険を使わなかった場合、積み上げてきた等級が全てリセットとなります。時間を置いて再加入できたとしても、また新規登録の6等級からのスタートです。

再加入の際は審査に時間を要するので、その間に事故を起こした場合は補償を受けられません。

また、強制解約された事実は告知事項なので、再加入時は新たな保険会社にその旨を告知する必要があります。

自動車保険を強制解約されたら再加入は可能ですか?
強制解約となっても再加入は可能ですが、時間を要する場合が多いです。さらに、これまで積み上げてきた等級は再加入時には引き継げないので、6等級からのスタートとなります。
再加入できても時間を要する

自動車保険が強制解約となってしまっても、保険会社によっては滞納分をきちんと支払えば再加入が可能だとしている所もあります。

ただし、再加入するにしても滞納分を支払わなければならないため、経済的に難しい場合は時間を要するでしょう。

再加入時は強制解約されたことを告知する義務がある

強制解約されても、別の保険会社で新規加入すれば問題ないと考えるかもしれませんが、前の保険会社で強制解約された事実がある場合は、新たに契約を結ぶ保険会社にその旨を伝えなければならないという取り決めがあります。

つまり、強制解約は契約上の告知事項にあたるので、申告しなければ告知義務違反になるということです。そのため、新たな保険会社で強制解約の事実を告知しないで契約ができたとしても、再び強制解約される事由となってしまいます。

また、保険会社間では情報交換をしており、過去に強制解約されたかどうかは少し調べればすぐに把握できます。そのため、強制解約の告知をしなかったことが原因で新たな契約を断られる可能性もあるので注意しましょう。

新規契約の際に等級を引き継げない

強制解約されてから自動車保険に再加入できたとしても、それまで積み上げてきた等級はリセットされてしまうので注意しましょう。

自動車保険の等級制度というのは、事故歴に応じて保険料を割引、割増する制度です。

交通事故などで自動車保険を使うと、事故の内容によっては翌年の等級が1~3等級下がります。事故がないもしくは事故にあっても保険を使わなかった場合は、翌年1等級上がるという仕組みになっています。

保険を使っていなければ加入から毎年1等級ずつ上がっていくので、等級が高くなっていき、保険料の割引率も多くなっていきます。

自動車保険は更新時に別の保険会社に乗りかえることもできるので、積み上げた等級はそのまま新しい保険会社に引き継がれます。しかし、強制解約となれば等級は全てなくなってしまうので、保険に再加入した場合は新規契約の時と同様に6等級からのスタートとなってしまうことを覚えておきましょう。

事故の補償を受けられない

自動車保険が強制解約となれば、解約日は最後の保険料を支払った日まで遡ることが多いです。

車を毎日使う場合は、自動車保険の補償が解約日を境に一切受けられないという状態になります。もし交通事故を起こしてしまったら、自動車保険に未加入となるので補償が受けられず、場合によっては高額な損害賠償を自己負担しなければならなくなります。

もし相手方が亡くなる、身体に重い障害を負った場合は億単位に近い賠償金の請求があるかもしれません。それだけの金額を自己負担するのは、かなりの重荷となります。そのため、補償がない状態を心配するなら、車を運転しないほうが良いでしょう。

自動車保険を強制解約されないためには?

自動車保険を強制解約されないためには?
自動車保険が強制解約されると、等級が引き継げないなどのデメリットが生じます。そうならないように、対策をしておきたいものです。

まず、保険料を滞納しないために口座残高の管理をきちんと行うこと、支払方法を工夫することが大事です。

さらに、保険料が高いと支払いの負担も重くなるので、特約や補償額などの保険内容の見直しも行いましょう。

また、通知事項に変更が生じたら、早めに保険会社に伝えるのもポイントです。

自動車保険を強制解約されないためにはどうしたらいいですか?
強制解約を防ぐには、保険料の支払いを忘れないように口座残高をチェックすること、保険料が高額なら内容を見直して費用を抑えるなどの対策が効果的です。また、告知事項や通知事項に変更が生じたら、速やかに保険会社に連絡しましょう。
保険料の未払いを防ぐために支払方法を工夫する

保険料を支払う経済力があっても、口座の残高不足で保険料が引き落とされずに未払いになってしまう場合があります。

そうならないために出来ることとしては、口座残高を確認する日を決めておいたり、給与振り込みと同じ口座にしておくなどの工夫をしましょう。また、月払いではなく年払いにして更新のタイミングで支払うようにすれば、忘れる心配もありません。

もし滞納分が2ヶ月あるのに今すぐ支払えない場合は、保険会社に相談する、銀行などのカードローンを利用して借り入れするなどの方法もあるので検討しましょう。

保険内容の見直しをする

保険料の金額が高く、収入も減って支払いが厳しくなってきたら保険の内容を見直しましょう。

自動車保険の加入時に必要になるかもしれないと特約をいくつもつけたり、補償額を多くしたりしていると、どうしても保険料が高くなります。

ロードサービス特約などは、クレジットカードを持っていれば同じサービスが代用できる場合もあります。

また、同じ車を長く乗っている場合、年式が古くなると車の価値も下がっていきます。車両保険を手厚くかけすぎると高額な出費になってしまうので、補償額も見直してみましょう。

さらに、店舗を持たない通販型保険は人件費や店舗費用などを削減できるので、同じような補償内容でも店舗型保険より安い傾向にあります。今加入している保険会社を解約して通販型保険に切り替えるというのも、保険料を抑える方法の一つです。

告知事項や通知事項を確認し、変更などが生じたら速やかに保険会社に連絡する

自動車保険の契約時に、契約車両や契約者の情報といった告知事項をしっかり確認して、誤りや偽りがないように事実を告知することが大事です。

特に前に契約していた自動車保険で強制解約の事実があることは告知しなければなりません。できれば伝えたくないことではありますが、隠すと後で発覚した時に再度強制解約となってしまいます。そのため事実は正直に申告しましょう。

また、通知事項に関しても契約後に変更が生じたら速やかに保険会社に通知しなければなりません。事前に通知事項の内容を把握し、変更時にはすぐに連絡できるようにしておきましょう。

強制解約にならないように気をつけよう

強制解約にならないように気をつけよう
自動車保険は約款を守り、保険料をきちんと収めていれば強制解約されることはまずありません。

一度、強制解約されると等級を引き継げない、再加入するのに時間を要するのでその間事故の際の補償がないなど不都合なことが起こります。

できれば強制解約されないほうが良いので、普段から注意が必要です。

まとめ

①自動車保険は保険料の滞納、告知義務や通知義務違反、信頼関係を崩すような重大事由の発生により強制解約に至ることがある
②保険料の滞納は3ヶ月を超えると強制解約になる場合が多い
③強制解約になると再加入に時間を要する、等級を引き継げないなどのデメリットが生じる
④再加入までは事故の補償を受けられないので注意が必要
⑤強制解約を防ぐには、保険料の支払方法を工夫する、保険内容を見直すなどの対策が必要

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