廃車手続きは種類が分かれている上に条件によって必要書類や手続きの流れが変わるため、注意点を押さえておく必要があります。
この記事では、廃車手続きの種類から自分で手続きを進める場合と業者に依頼する場合とでの注意点、代行依頼できる業者の種類などを紹介します。
廃車手続きを検討している方で、実際の手続きをスムーズかつトラブルなく行いたい方は、ぜひ参考にしてください。
特に税金の還付に関するトラブルは自分で手続きする場合も業者に依頼する場合も起こりやすいため注意しましょう。
スムーズに廃車を行うために廃車手続きの注意点を把握しておこう
廃車手続きをスムーズに進めるためには手続きの流れや必要書類を把握しておくだけではなく、よくあるトラブルを知り、事前の対策が大切です。
注意点を知っておかないと余計に費用がかかったり、受け取れるはずの金銭を受け取れなかったりと手続き面だけではなく費用面でも負担が増えてしまいます。
廃車手続きにおける注意点を把握しておくことで事前にトラブルの発生を予防しましょう。
廃車手続きには3つの種類がある
はじめに、廃車手続きの種類を紹介します。
手続きは主に永久抹消登録と一時抹消登録、解体届け出の3つに分かれます。それぞれの特徴を把握し、自分の目的がどの処分方法に向いているか確認しましょう。
また、実際に手続きを行う際に問題が発生しないためにも事前に理解度を深めておくことが大切です。
永久抹消登録とは、自動車の登録を永久的に抹消する手続きです。自動車の解体を行ってから永久抹消登録の手続きを進めるため、手続きが完了した自動車には二度と乗車できません。
自動車が走行できない状態である場合や、今後一切乗る予定がない場合などで自動車自体を処分したい場合に必要な手続きです。
永久抹消登録を行うと、自動車税だけではなく自動車重量税の支払い義務もなくなります。また、過払い分は還付を受けられます。
なお、自賠責保険や任意保険は加入している会社で解約手続きする必要があるため、加入会社へ忘れずに連絡して手続きを進めましょう。
永久抹消登録する自動車は解体する必要があるため、将来本当に乗る予定がないか慎重に検討しましょう。家族で利用している自動車の場合は、自分だけではなく使用者全員が納得した上で手続きを進めることが大切です。
子どもが将来成長したら譲りたいといった要望が発生したら、一時抹消登録に切り替えも必要でしょう。
一時抹消登録とは、自動車の登録を一時的に抹消する手続きです。一時抹消登録時に車検証とナンバープレートを返却するため、手続き完了後は自動車を公道で走行させられません。しばらくして同じ自動車に再び乗る場合は中古車新規登録を行い、自動車の登録を復活させましょう。
入院や長期出張でしばらくの間自動車に乗らない期間があるものの一定期間後に再び乗る可能性があるときや、再び乗る予定がなくても譲り先が見つかるまで自動車税の支払いを止めたい場合などは、再登録が可能な一時抹消登録がおすすめです。
一時抹消登録を行うと自動車税の支払い義務がなくなります。また、過払い分の還付金が受け取れるため、無駄な費用を抑えたい方にもおすすめです。
自動車税の還付は手続きが完了すれば受け取れますが、自賠責保険や任意保険は別途自分で解約手続きを行う必要があるため注意しましょう。
解体届出は、一時抹消登録の手続きを完了させた後に、自動車の解体を行いたい場合に必要な手続きです。
将来乗る可能性があるからと一時抹消登録を行っていたが、しばらくして別の自動車を購入する考えになり、今の自動車は処分したいといったときに解体届出の手続きが発生します。
一時抹消登録を済ませた自動車に対し解体届出を行うことで永久抹消登録が可能です。
手続きを行うためには自動車の解体が必要なため、事前に自分で手配を進めるか業者に依頼して解体を行いましょう。その後、運輸支局の窓口にて必要書類を提出すると手続き完了です。
解体返納は、軽自動車の登録を永久的に抹消する手続きを指します。自動車検査証返納届は、登録を一時的に抹消する手続きです。解体届は、一時的に登録を抹消している軽自動車を解体して永久的に登録を抹消する際に必要な手続きです。
自分の今後の目的に合わせて手続き方法を選びましょう。
廃車手続きを自分で行う場合の注意点
ここからは、自分で廃車手続きを行う際に気にかけておきたい注意点を紹介します。
自分で抹消登録をトラブルなく済ませるためには、事前に注意点を把握して対策を考えておくことが大切です。トラブルで余計な時間を費やさないよう参考にしてください。
永久抹消登録を行うためには自動車の解体が必要ですが、解体工場に自動車を持っていく際に自走できない状態の場合は、レッカー車の手配が必要です。
また、一時抹消登録を行っている自動車の解体届出を進める場合、車検証とナンバープレートを返却しているため、自動車は公道の走行ができません。そのため、レッカー車の手配が必要になるでしょう。
任意保険のロードサービスでレッカー車の手配が無料になる場合があります。費用をなるべく抑えて手続きを済ませたい方は、任意保険の内容を確認しておきましょう。
廃車手続きは原則、車の所有者のみが行う権利を持っています。そのため、所有者がディーラーやローン会社などの使用者本人以外の場合は「所有権解除」を行う必要があります。
所有権解除を行うためには基本的にローンの完済が必要です。ローンが残っていると基本的に所有権解除を断られてしまうため、廃車手続きを進められません。
ローンの支払いが完了すると完済証明書が届きますが、所有権はディーラーやローン会社のままです。ローンの支払が完了したら利用していた会社に連絡をして所有権解除を進めましょう。
廃車手続き後に受け取れる自動車税の還付は、手続きの完了が月をまたいでしまうと金額が減ってしまいます。
自動車税は毎年5〜6月にその年の1年間分の金額を支払います。還付金の受け取りは月割のため、例えば7月に抹消登録が完了すれば8月以降の払いすぎた還付金の受け取りが可能です。
しかし、手続きがスムーズに進まず、申請し直しなどが発生して8月1日に完了した場合、8月分の還付金は受け取れません。9月分から還付となり1ヶ月分損をしてしまいます。そのため、手続きは月をまたがないよう注意しましょう。
抹消登録が完了すると、税金の支払い義務は自動で失効されます。しかし、自賠責保険や任意保険は自動で失効しないため、契約会社へ自ら連絡して解約手続きを行う必要があります。
自賠責保険や任意保険も条件によっては、残っている保険期間に応じた返戻金を受け取れるため、忘れないよう注意しましょう。
自賠責保険の解約日は保険会社が必要書類を受け取った日です。そのため、抹消登録完了後すぐに書類を提出できるよう事前準備をおすすめします。
書類が受理されれば1〜2週間ほどで指定の口座に返戻金が入金されるでしょう。書類に不備があれば受け取り日数が長引いてしまいますので、内容をしっかり確認した上で提出しましょう。
一時抹消登録で還付を受けられる税金は自動車税のみです。自動車税は車検証上の所有者に支払い義務がある税金で、税率は排気量や車の種類、購入時期、新規登録からの経過年数、環境性能などにより異なります。
自動車重量税の還付は永久抹消登録で受けられます。自動車重量税は自動車の重さに対してかかる税金で、還付の条件として「解体を行うかつ永久抹消登録を行う」と定められています。そのため、自動車を手元に残す一時抹消登録では還付を受けられません。
ただし、一時抹消登録した自動車を解体して解体届出を完了させると、自動車重量税の還付を受けられます。
ただし、自動車重量税の還付と自賠責保険の解約返戻金は受け取れます。自動車重量税は、解体返納手続きにより受け取り可能です。自賠責保険は、自動車検査証返納届出と解体返納どちらでも受け取れますが、自分で契約会社へ連絡して解約手続きを行う必要があります。
廃車手続きを業者に代行してもらう際の注意点
ここからは、廃車手続きを業者に代行してもらう際の注意点を5つ紹介します。
手続きを業者に依頼すると手間が省けますが、税金の受け取りや手続きがしっかり完了しているかなどでトラブルが発生しやすくなります。
依頼後のトラブルを避けるためにも事前に確認しておきたいことを押さえておきましょう。
廃車買取業者に手続きを依頼した後にキャンセルする場合、一般的にはキャンセル料が発生します。
業者は依頼があると、車の輸送やクリーニング、名義変更などを進めていきます。キャンセルされてしまうと準備にかかった費用や人件費で業者側に損失が発生してしまうでしょう。そのため、キャンセル料が発生するのです。
例えば、家族で乗っている自動車を廃車買取業者に引き取ってもらうとき、契約後に子どもが将来乗りたいからと手元に残しておきたいとなった場合、キャンセル料が発生するでしょう。
使用者側もコストがかかりますので、引き取りをお願いする際はあらかじめ本当に自動車を手放しても問題ないか家族で話し合っておきましょう。
業者へ依頼すると還付金の受け取りでもトラブルが発生しやすい傾向です。
例えば、永久抹消登録では条件に合えば自動車税と自動車重量税の還付を受けられます。そのため、受け取り方法としては、買い取ってもらう車の買取金額に相当額が上乗せされるか、還付金の受け取りを使用者本人が行うかのどちらかになります。
しかし、業者によっては買取金額に上乗せせずに勝手に受け取ってしまうケースもあります。また、買取金額に上乗せされている相当額が妥当であるかも確認が必要です。
税金関係でのトラブルを防ぐためにも契約前に明確にしておくとよいでしょう。
代行依頼した廃車手続きが適切に行われていない場合、所有者に対して税金の支払い義務が発生してしまいます。
そのため、廃車が適切に行われているか確認するためにも手続きが完了したら「廃車証明」を受け取る必要があります。
証明書の送付にかかる日数は業者によって異なるため、事前に送付までの日数を確認しましょう。予定の日数を過ぎても送られてこない場合は、手続きの代行を依頼した業者に問い合わせて確認してください。
廃車にして自動車を手放したのに税金の支払いが発生している状況にならないよう、必ず完了しているか確認を行いましょう。
業者に廃車手続きを依頼する場合、電話で問い合わせた際に査定してもらった金額と、実際に現地で確認してもらった際の査定金額で差が生じる場合があります。
例えば、電話で伝えた年式や車検の残存期間などが異なれば現地の査定で減額される可能性があります。
予定より買取金額が減ってしまわないよう、自動車の情報や状態などは電話の際に正しく伝えておきましょう。
自動車の解体を適切な施設で行っているか確認することも大切です。
自動車の解体は自動車リサイクル法により都道府県知事または保健所設置市の登録を受けた業者のみが対応可能です。
登録を受けていない業者により解体を行えば、不法投棄が発生したり抹消登録を適切に行えていなかったりと様々なトラブルが発生する原因になります。
業者に廃車手続きを依頼する場合は、自動車リサイクル法のルールに基づいた解体業者を利用しているか事前に確認しましょう。
走行可能で状態のよい自動車は一度、中古車買取業者に見てもらい、価値がつかなかった場合は廃車買取業者に依頼するなど、複数の業者に査定してもらうことをおすすめします。
自動車の処分を依頼できる業者
ここからは、自動車を処分する際に依頼できる業者の種類を紹介します。
業者によって特徴が異なるため、自分の目的に合った手続きをしてくれる業者を選びましょう。
走行可能で状態のよい自動車の処分には中古車買取業者の利用がおすすめです。
再販売できる見込みのある自動車は高値で買い取ってもらえる可能性があります。
また、日本車は海外で需要が高いため、海外への販路を持っている業者であればあまり状態がよくないと思っていても、予想より高い金額で買い取ってもらえるかもしれません。
自動車の処分を検討するときは、まず中古車買取業者に見積もりを依頼してみましょう。
自動車を処分した後、すぐに新車の購入を考えている場合はディーラーへの依頼がおすすめです。
今までの自動車の引き取りと、新しい自動車の購入をまとめて行えるため、手続きの手間が削減できるでしょう。また、自動車を下取りに出すことで、新車購入時の資金に充てることも可能です。
納車までの期間が短くなり、かつ代車の用意をしてもらえるため、新車購入を検討している場合はディーラーへの依頼も視野に入れましょう。
解体や廃車手続きの費用や手間を極力減らしたい方は、廃車買取業者への依頼がおすすめです。
再販売を目的としていないため、状態が悪くて走行できない自動車や、他の店舗で買取価格がつかないような自動車でも買い取ってもらえる可能性があります。
廃車買取業者は、解体した自動車のスクラップや金属などのパーツを販売することで利益を上げているため、状態の悪い自動車でも買取が可能です。
手続きや解体も無料で行ってくれる業者が多いため、お得に廃車手続きを済ませるなら廃車買取業者への依頼を検討しましょう。
廃車のメリット
廃車手続きを行って自動車の抹消登録が完了すると自動車税の還付が受けられます。また、永久抹消登録では自動車重量税の還付も受けられます。
自動車にしばらく乗る機会がないが、将来また必要になるから手放したくないこともあるでしょう。しかし、自動車をそのまま保管しておくと税金が毎年発生してしまいます。一時抹消登録をしておけば自動車税の支払い義務もなくなるため、維持費の節約が可能です。
今後自動車に乗る可能性がある場合は一時抹消登録を、一切乗る予定がない場合は永久抹消登録により廃車手続きを完了させれば税金の支払いを節約できるメリットがあります。
廃車のデメリット
廃車の手続きは複雑で手間がかかります。条件によって必要な書類が異なるため、手続きが初めての方は書類の準備だけでも時間をとられてしまうでしょう。
また、永久抹消登録で解体が必要な場合は、解体工場への自動車の持ち込みなどの手間も発生します。
仕事が忙しくて十分な時間が取れない方は、業者へ代行依頼するのがおすすめです。手続きの負担削減とともに売却できればお金が手元に入ります。
お得かつ効率的に廃車手続きを進めるなら業者への依頼も検討しましょう。