何らかの理由により車に乗れなくなった、もしくは乗らなくなった場合には、廃車を検討しなければなりません。
しかし、どのタイミングで廃車にすれば良いのか、何を基準に決めたら良いのかなど、分からないことも多いのではないでしょうか。
この記事では、廃車の決断が必要となる具体的なケースや税金・車検のタイミング、どこに廃車を依頼すべきか、廃車に関するメリット・デメリットなど、誰もが気になる疑問について幅広く解説していきます。
廃車はタイミングの見極めが肝心!
車を所有していると、何らかの理由で廃車を検討する場面に直面する可能性があります。
その理由は、故障や事故で車が使えなくなったり、長期間の海外赴任が決まり車に乗らなくなったりと、状況により様々です。
しかし、廃車にする場合、そのタイミングは慎重に見極めたいものです。
例えば、自動車税は毎年4月1日時点で所有している車にかかるため、その前後で課税されるかされないかが決まります。3月31日までに廃車を済ませられるようにスケジュール調整することが大切です。
また、メンテナンス費用や走行性能の低下なども考慮し、廃車が本当に最良の選択であるかどうかも、じっくりと考えなければなりません。
廃車には永久抹消登録と一時抹消登録の2種類がある
廃車手続きには、「永久抹消登録」と「一時抹消登録」の2種類があります。
永久抹消登録とは、車を解体し廃車として処分した場合の手続きで、この手続きを済ませた車に再び乗ることはできません。
永久抹消登録を行うと、自動車税・自動車重量税・自賠責保険の支払い義務がなくなり、先払いした分の税金が還付されます。
一時抹消登録とは、一時的に車の登録を停止するための手続きです。海外赴任や不慮の事故による入院など、長期間にわたって車を使用しない場合に適用されます。
一時抹消登録の場合は、再登録することにより再び車を使用できます。登録期間中は税金の支払い義務がなく還付も受けられるため、しばらく車に乗らないケースでは一時抹消登録がお得です。
廃車が正解?具体的なシーンを解説
使わない車を所有し続けるよりも、税金や維持費を考慮して廃車にするのが妥当な場合も多くあるでしょう。
しかし、どんな場合でも廃車が最良の選択肢かというと、そうではありません。場合によっては、すぐに廃車にしない方がお得な場合もあります。
ここからは、廃車が必要なケースと待ったほうがよいケースについて、具体的なシーンをもとに解説していきます。
車が全損状態の場合や盗難により見つからない場合など、再び乗る可能性がないのであれば永久抹消登録する必要があります。
全損状態で修理が不可能な場合、その車を所有している意味はありません。速やかに永久抹消登録するのがおすすめです。
また、盗難に遭った車が戻ってくるかどうかは分からないため、税金や維持費を無駄に払い続けるくらいなら永久抹消登録してしまった方が良いでしょう。
車が盗難された場合は、まず盗難届を出すことも忘れてはいけません。もしも車が見つかり再び乗りたいという場合には、一時抹消登録という選択肢もあります。
高齢化社会が進み、高齢ドライバーによる事故が増えてきている背景から、近年では自動車免許を返納する高齢者が増加しています。
高齢を理由に免許を返納し、乗り手がいなくなった車の売却先や譲り先が見つからないのであれば、永久抹消登録の手続きが必要です。
免許を返納したからといって、税金の支払い義務がなくなるわけではないという点に十分注意してください。自動車税・自動車重量税は、車を所有している場合に課税される税金であるため、免許の有無は無関係です。
乗り手が現在も将来的にもいないのならば、速やかに永久抹消登録をして無駄な出費を抑えましょう。
海外移住が決まった場合、廃車の選択肢がベストとなる可能性が高いかもしれません。
1年間程度であれば一時抹消登録をし、その後また乗るということは考えられます。しかし、長期の海外移住となると、車を保管しておく費用やスペースの問題があるため、一般的には永久抹消登録がベストな選択肢となるでしょう。
また、車が必要ない都市部への引っ越しが決まり、今後も車を運転する予定がないという場合も廃車を検討すべきです。
都市部であれば、レンタカーやカーシェアなども利用しやすいため、乗るか分からない車を無理に維持する必要はありません。
海外赴任が決まり、2年や3年といった任期が設定されている場合は、わざわざ廃車にするのが勿体無いと感じるかもしれません。
このような場合は、一時抹消登録してから適切な場所に車を保管する方法がおすすめです。そうすれば、無駄な出費を抑えつつ愛車を所有し続けられます。
一時抹消登録するには、登録手数料や検査手数料、ナンバープレート代などで合計4,500円程度がかかります。しかし、2〜3年分の税金と比べるとお得な選択肢と言えるでしょう。
将来的に再び車に乗る可能性が高い場合は、一時抹消登録を検討してください。
もし現在使っていない車があるとして、数年後に子どもが使う予定があるのなら、廃車よりも一時抹消登録のほうが賢い選択と言えるでしょう。
例えば、子どもが現在17歳であれば、1年〜2年後に車を運転できる年齢になるため、その時点で再登録すれば新車購入の費用や手間を省けます。
子どもが就職して車が必要になる場合も、再登録だけで簡単に車が使えるようになるため、メリットは大きいでしょう。
現在、長期入院や療養中で車に乗れないものの、将来的に回復の見込みがある場合には、一時抹消登録を行って車を保管したほうがお得かもしれません。
また、長期間にわたって車に乗らない場合は、以下の点に注意してください。
屋外で車を保管する場合は、車カバーを使うことで、塗装の劣化や汚れ・サビなどから車を守れます。
自然放電によるバッテリー劣化を防ぐために、定期的にエンジンをかけましょう。
長期間車を放置するとエンジンオイルが機能しなくなるため、定期的にエンジンをかけ、半年〜1年でオイル交換することが重要です。
期限付きの転勤や、回復の見込みがある病気・怪我による入院の場合は、一時抹消登録しておくと良いでしょう。
廃車のタイミングは自動車税も加味しよう
廃車の時期をいつにするか考える時は、車や乗り手の問題だけでなく、税金を支払うタイミングも関係してきます。
税金の負担を抑えるためには、どのようなタイミングで廃車にすれば良いのでしょうか。
ここからは、廃車にかかる費用を少しでも安くするために、自動車税を加味した廃車のタイミングについて解説します。
自動車税は、毎年4月1日時点で登録がある車の所有者に対して課せられる税金です。5月から支払い用紙が送付されることが一般的で、原則的には5月末日までに納付しなくてはなりません。
その年の4月1日に車を所有している場合に課税されるため、例えば3月中に廃車手続きを終える予定だったのが書類の不備により抹消登録が4月にずれ込んでしまえば、4月1日時点ではまだ車の登録はあると判断されるため、自動車税の支払い義務が発生します。
また、自動車税の支払いを延滞すると、延滞金が発生するだけでなく、最悪の場合は財産の差し押さえが行われることもあるため、支払い用紙が送付されたら速やかに支払いを済ませましょう。
一般的には、5月31日を過ぎて2か月ほどで督促状が送付されるようです。
3月中に廃車手続きを済ませれば、翌年度の自動車税の支払い義務は発生しません。
それに加えて、3月は新生活をスタートさせるための中古車需要が盛り上がる時期です。売却する場合も廃車にする場合も3月中がおすすめであると言えるでしょう。
もしも、廃車が間に合わず4月1日になってしまうと、その年の自動車税を支払うことになってしまいます。たった数日の違いで自動車税発生の有無が変わってくるため、廃車は3月中に済ませることが非常に重要です。
廃車が4月以降になった場合、その年度の自動車税を納付する必要がありますが、自動車税は月割り計算されるので、4月に廃車手続きをした場合は5月分以降の自動車税が還付されます。
例えば、4月1日に廃車手続きが完了した場合、4月分の税金を支払う必要がありますが、5月〜翌年3月までの11か月分は戻ってきます。
ただし、還付までは1か月〜3か月ほど時間がかかるため注意しましょう。
また、軽自動車の場合は自動車税が月割り計算されないため、4月1日以降に廃車した場合は1年分の税金を支払うことになります。還付金はありませんので注意しましょう。
推奨されている廃車のタイミングは2つ
廃車のタイミングとして、具体的には以下の2つが推奨されています。
- 車検が切れるタイミング
- 新車登録から13年経過したタイミング
車検はタイミングを見誤ると、余計な出費を招くことになりかねないため、事前にスケジュールをよく考えておくことが大切です。
ここからは、推奨されている廃車のタイミングについて詳しく解説していきます。
車検の期限が切れる前に永久抹消登録することで、自賠責保険や自動車重量税の還付を受けられ、各種費用で損をする可能性が低くなります。
ただし、自賠責保険の還付金(解約返戻金)は、車検の有効期間が1か月以上残っている場合でなければ受けられないため注意が必要です。
また、廃車を選択する際はもう使わない車や使えない車である可能性が高く、次の車検を通すと修理費用や整備費用がかさんで損をしてしまう恐れがあります。
新車登録から13年が経過すると、自動車税や自動車重量税は重課されます。そのため、以前よりも高くなってしまいます。
自動車税は15%増、自動車重量税は約39%増と、その負担は決して軽くないため、乗る頻度が高くない方は新車登録から13年経過したタイミングで廃車を検討することをおすすめします。
また、18年経過するとさらに税額が上がるため、特別な思い入れがあって所有している車でなければ、より早いタイミングで廃車や買取に出したほうが得策でしょう。
なお、エコカー減税対象車であれば、新車登録から13年以上経過した場合でも増税されることはないため安心です。
廃車はタイミングと依頼先が大切【ディーラーの場合】
廃車をどこに依頼するか検討する際に、車を買ったディーラーに頼むという人は多いのではないでしょうか。
これから新車を購入する予定のディーラーに依頼する場合もあるかもしれません。
そこでここからは、廃車をディーラーに依頼する際のメリット・デメリットについて解説します。
ディーラーに廃車手続きを代行してもらうメリットとして、新車を購入する場合に利便性が高いことが挙げられます。
廃車を依頼したディーラーから新車を購入するのであれば、廃車予定の車を下取りという形で新車の値引きに利用できる可能性があります。その場合、廃車と納車を同時にできるため、代車の手配などの手間をかけずに済むでしょう。
また、廃車手続きと新車登録を同時に任せられるため、自分で手続きをする必要がないというのも大きなメリットです。書類提出のタイミングが一度で済むのは嬉しいポイントと言えるでしょう。
新車を購入するわけではなく、廃車だけをディーラーに依頼する場合は、費用面でのデメリットを大きく感じる場合があります。
新車を購入する場合は、廃車する車の買取価格を査定した上で下取りしてくれますが、廃車だけを依頼する場合は買取価格がつくことはまずないでしょう。
また、廃車だけの依頼であれば、廃車に必要な費用を払わなければなりません。解体費用やレッカー代、各種書類の作成・申請代行にも費用がかかります。
ディーラーならば手続きに安心感はありますが、廃車だけを依頼する場合、費用が多めにかかることを覚悟しなければならないでしょう。
廃車はタイミングと依頼先が大切【中古車販売店の場合】
廃車の依頼はディーラーだけではなく、中古車販売業者に依頼することも可能です。自走できる車であれば、業者に車を持ち込むだけで廃車を依頼できます。
では、中古車販売店に廃車を依頼する場合には、どのようなポイントに気をつけるべきでしょうか?
ここからは、中古車販売業者に廃車を依頼する際の、メリット・デメリットについて解説します。
廃車と同時に中古車を購入する場合、中古車買取業者に依頼すると廃車手続きと中古車購入を同時に済ませられます。煩雑な手続きが不要で時間がかからない点が魅力です。
また、中古車購入であれば、新車への乗り換えと比較して、全体的な支出を抑えられる効果も期待できます。新車にこだわりがないのであれば、廃車と同時にリーズナブルな価格の中古車の購入を検討するのがおすすめです。
さらに、廃車にする車の状態が良い場合は、より市場価格に近い額で買い取ってもらえる可能性が高くなります。
中古車販売業者に廃車を依頼する際、状態の良くない車や、あまりに年式が古い車の場合は値段がつかないこともあります。
廃車にするような車は古い車や壊れた車である可能性が高く、下取り金額として利用できない場合も多いでしょう。
また、中古車購入を前提としない場合で買取もできない状態の車であれば、廃車にかかる費用も負担しなくてはなりません。
廃車にかかるレッカー代や解体費用は、業者により差があるため、中古車販売業者に廃車を依頼する際は、複数の業者で費用の見積もりを取ることをおすすめします。
廃車をするには、ディーラーや中古車販売業者に依頼する方法だけでなく、廃車専門の業者があることをご存じでしょうか?
廃車専門の買取業者のサービスを利用することで、廃車予定の車を買い取ってもらうことが可能です。
それは、再生可能な部品単位で価格を査定できるため、中古車として買取価格がつかないような車でも買取できるのです。