マイカーを持っている方ならご存知の通り、定期的に車検を受けなければなりません。車検は新車なら3年後、それ以外は2年に1回のペースで受ける義務があります。
車検は国が定める保安基準に適合しているか、安全に運転できる状態かをチェックするためのものです。車検を通過しないと、公道で運転できません。
車検は、車両全般にわたって検査項目が用意されています。ここでは、具体的に車のどのような部分が検査されるのか、まとめました。
外装・内装の検査項目一覧
車検の検査項目として、まず外装と内装が挙げられます。外装と内装は検査員が目視でチェックします。
具体的に外装と内装ではどのような項目がチェックされるのか、以下にまとめました。
車検に出す前に問題のある箇所はないか、自分でチェックしてみましょう。
外装・内装の検査の中の1つが、同一性の確認です。
あまり聞き慣れない語句かもしれませんが、同一性の確認とは車検証にかかれている車両と目の前にある検査を受ける車が、同一かどうか確認する作業です。
同一性を確認するために、2つの箇所がチェックされます。それは「エンジンにかかれている番号」と「車台番号」です。
車台番号はナンバープレートとは異なります。車の管理を目的として、それぞれの車両に番号が割り当てられています。
この2つの項目がきちんと一致しているかどうかの確認が、最初のステップです。同一性の確認ができて初めて、車検を受けることができます。
タイヤの状態もこの段階でチェックされます。タイヤの溝の状態やひびなどに劣化している部分がないかを確認します。
まずタイヤの溝は、1.6mm以上あることがクリアのための条件です。1.6mm以下になるとスリップサインが現れます。
スリップサインが現れると、道路交通法で定められた交換の目安です。スリップサインが露出している車だと制動性能が失われ、濡れている路面などでスリップする危険性が増します。
またタイヤの劣化状況についても確認されます。溝が十分あってもひび割れや亀裂が見られるようであれば、車検に引っかかる場合があるので注意が必要です。
ひび割れや亀裂があると、いずれタイヤがパンクする恐れがあります。運転中にバーストすると大変危険なので、ひび割れがあれば速やかに交換しましょう。
ガラスもこの段階で検査が実施されます。フロントガラスだけでなくサイドガラス、サイドミラーなどすべてのガラスが検査対象です。
ガラスにひびがあったり、割れたりしている場合には1箇所だけでも車検に引っかかります。自分でも確認できる項目なので、車検に出す前にセルフチェックしておきましょう。
ガラスにひびがある状態でそのまま運転するのは大変危険です。フロントガラスにひびがあると運転中の風圧でどんどんひびが進んでいって、いずれ割れる可能性もあります。
また、中にはガラスに着色フィルムを貼っている方もいるかもしれませんが、フィルムを貼っているがために車検落ちする場合もあります。
フィルムの可視透過率が70%以下だと、不正改造車とみなされてしまいます。フィルムを貼る際には、可視透過率はチェックしておくといいでしょう。
メーターパネルについても検査対象です。エンジンをかけた時に、メーターパネルにディスプレイされている警告ランプがチカチカ点灯するでしょう。
正常であれば、数秒点滅したのちにすべて消えるはずです。しかし車に何らかの異常があると、対象の警告ランプが点灯したままになります。
警告ランプがつきっぱなしになるのであれば、その部分に何らかの異常があるということです。これでは車検を通すことはできません。
しかし、警告ランプが誤作動を起こしている可能性もあります。この場合でも警告灯に異常があるわけで、これもまた車検で引っかかってしまいます。
この段階で内装についてもチェックが行われます。外装同様、目視にて検査されます。
内装の検査もいくつかあります。各種電灯がきちんと作動するか、シートベルトに破損をはじめとした不具合はないかなどです。
意外と注意しなければならないのは、発煙筒です。発煙筒が有効期限を過ぎていると車検に引っかかってしまうので、期限内のものか確認しておきましょう。
平成24年7月以降に新規登録された車両の場合、ヘッドレストの有無も検査されます。平成24年以降の車にはヘッドレストの設置が義務付けられています。
外回りの検査項目一覧
外装・内装の検査から、今度は外回りの検査に進みます。外回りではどのような検査項目があるのか、ここで見ていきましょう。
灯火やワイパーなどがきちんと作動されるのか、車体番号がどうなっているか多岐にわたって検査されます。自分で確認できるところは、前もってチェックしておくことをおすすめします。
外回りの検査項目の中の1つに、車台番号があります。
車台番号とは、車を管理するためにあたって個体別に割り当てられた番号です。
車台番号をナンバープレートと勘違いしている方もいるかもしれません。車体番号はナンバープレートとは異なり、数字とローマ字の組み合わせによって構成されています。
車種によってどこに記載されているか若干異なりますが、大抵はエンジンルームもしくは運転席の座席下部にあるので、確認しておきましょう。
ちなみに、この車台番号は車検の時だけ必要なものではありません。自動車保険の手続きでも必要です。
灯火装置が正常に作動しているかどうかも、この段階で確認されます。もちろんすべての灯火装置が対象になり、どれか1つでも不具合があると車検に引っかかりますので注意してください。
ヘッドライトの場合、点灯するかだけでなくライトの色も重視されます。通常は白ですが、レンズに曇りがあったり黄ばんだりすると変色してしまい、検査をクリアできないかもしれません。
ハザードランプが点灯するかどうかも、車検に出す前にセルフチェックするといいでしょう。車検を通すためのほかにも、ハザードランプは緊急事態で使用するものなので作動しないと危険です。
また、意外と見落としがちなポイントとして、スモールランプがあります。車幅を表すためのもので、小さなランプですが正しく点灯するかどうか検査されます。
ワイパーが正しく動くかどうかについても検査項目に含まれます。ワイパーが動かないと、雨や雪が降った時に水気を拭き取ることができなくなり、クリアな視界を確保できません。
ワイパーは自分でも簡単に確認できる項目です。車検に出す前に簡単にチェックできるので、正しく動くかどうか確認しておいてください。
また、ワイパーの点検を自分で行う際に、ゴムの状態も確認しておきましょう。もしゴムが劣化していてひび割れや切れている箇所がある、ゆるみが起きている場合、車検に引っかかります。
ワイパーの劣化が見られるようであれば、車検に出す前に新しいものと交換しておきましょう。
ウィンドウォッシャーの状態についても、車検の中でチェックされます。フロントガラスやリアガラスを洗浄するためのパーツで、視界を確保し安全運転するために欠かせないものです。
車検の検査では、実際にウィンドウォッシャーを操作し、きちんとウォッシャー液が出てくるかどうかについてチェックされます。
ウィンドウォッシャーが作動しなければ、もちろん車検に引っかかってしまうので事前に自分で検査しておくといいでしょう。
また、ウォッシャー液が十分でないと出ない、勢いが弱いなどのトラブルが起きます。ウォッシャー液がうまく出ない理由として、ノズルに異物が入って詰まりを起こしている可能性があります。
ウォッシャー液の出が悪いと思うのであれば、一度ノズルの状態などを確認しましょう。
マフラーも検査項目の1つです。簡単に言うと音量や取付位置が適切か、触媒の有無について検査されます。
触媒が取り付けられていない車両は、その時点で一発アウトです。触媒は排気ガスに含まれる有害物質を除去する装置で、環境面で悪影響を及ぼします。
マフラーの音量が基準を超えている場合、劣化を起こしている可能性があります。長く同じものを使っていると、断熱材が詰まったり、どこかに穴が空いたりするので音が大きくなるためです。
マフラーに問題があれば、新しいものと交換しておきましょう。費用の相場は、部品が30,000~80,000円、工賃が5,000~10,000円前後かかります。
ドライブシャフトブーツも車検の検査項目の1つです。ドライブシャフトブーツは、車の専門知識がない方には聞き慣れない名称かもしれません。
まず、エンジンの力をタイヤに伝えて回転を生み出す装置として、ドライブシャフトがあります。ドライブシャフトとタイヤの間にはベアリングと呼ばれるパーツがあって、ベアリングの働きでタイヤの向きを変えられます。
ドライブシャフトブーツとは、このベアリングを保護するためのパーツです。
もしドライブシャフトブーツが破損すると、タイヤのコントロールができなくなります。
ハンドルを左右に動かしても思うように車の姿勢を変えられなければ、ドライブシャフトブーツに何らかの問題が発生しているかもしれません。速やかに交換するのがおすすめです。
ステアリングラックブーツとは、タイロッドという部品と密接に関係するパーツです。
タイロッドとは、タイヤとステアリングをつなげるパーツです。タイロッドに何らかの異常があると、ステアリングが思うように操作できなくなります。
ステアリングラックブーツとは、このタイロッドを保護するための部品です。
ステアリングラックブーツはゴム製で、蛇腹のような形状をしています。長年同じものを使っていると、蛇腹のどこかが破れる恐れが高まります。
蛇腹がたたまれていると、穴を発見できない場合も少なくありません。蛇腹を伸ばして、車検場で初めて指摘されるといったことも起こりうるので、注意が必要です。
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性能面の検査項目一覧
車検の検査では、車の性能に関連する項目ももちろん含まれます。
性能項目として、どのようなものがあるのか、以下にまとめました。
車の性能に問題があると、安全運転が難しくなります。できれば定期的に自分でも確認して、必要に応じてメンテナンスをするのがおすすめです。
ブレーキがきちんと利くかどうかは車検で検査されます。ブレーキが正常に作動しないと車を止めることができずに、重大な事故に発展する恐れも高いです。
ブレーキには、フットブレーキのほかにもパーキングブレーキもあります。もちろんすべてのブレーキが検査対象です。
ブレーキが正常に作動しないのは、構成するパーツの中のどこかで問題が発生していると考えられます。ブレーキパッドの摩耗やブレーキフルードの劣化が発生していないかどうか確認しましょう。
ブレーキの状態を確認するのは、自分では難しいという方もいるかもしれません。ブレーキの利きが悪くなった、ブレーキをかけた時に異音がする場合は、速やかにディーラーや整備工場に相談してください。
車の性能検査の中の1つに、サイドスリップ検査が挙げられます。ステアリングをまっすぐにした状態で、左右どちらかの方向にずれないか確認するための検査です。
サイドスリップ検査の基準は、1メートル走行した際にずれが5mm以内であるというものです。これを超えてずれた場合、左右どちらの方向でも車検は不合格になってしまいます。
ステアリングをまっすぐにしていれば、本来であればまっすぐ走行します。それが左右にずれるのであれば、何らかの問題が発生していると言えるでしょう。
まず疑われるのはタイヤで、タイヤが一部削れていると円滑な走行ができなくなります。また、どこかにぶつけてボディが衝撃で歪むとずれが生じる可能性があります。
スピードメーターのチェックもここで実施されます。具体的には実際の速度に対して、正しくメーターが表示されているかどうかの検査です。
しかし、スピードメーターの示す数値と実際の速度には、多少の誤差があります。完全に正確な速度を表示されなくても、車検を通すことは可能です。
もし誤差の範囲を超えて大きく差異があれば、車検に引っかかります。誤差を補正して、許容基準内に収めるための調整が求められます。
なぜ大きな誤差が生じるのか、考えられる有力な候補の1つはスピードメーターの異常です。それ以外だと、タイヤが関係している場合もあります。
車両のサイズに合っていないタイヤに交換すると、誤差が大きくなると言われています。不釣り合いなタイヤを使っているのであれば、車両にマッチするものに交換しましょう。
排気ガスに関する検査も、車検の項目の1つに含まれます。排気ガス中に含まれる一酸化炭素と炭化水素の濃度が検査対象です。
地球環境保護のために、一定の濃度基準以下でなければなりません。以下がその条件です。
炭化水素濃度・・・500ppm以下
もしこの基準を超える濃度が検出されると、車検不合格になってしまいます。
原因として考えられるのはスパークプラグが不完全燃焼を起こしている、カーボンが蓄積されている点です。
ただし、平成10年に施行された規制以降の普通車や小型車の場合、条件が以下になります。
炭化水素濃度・・・300ppm以下
新しい車の場合、より基準は厳しくなるので注意しましょう。
警報機であるホーンがきちんと作動するかどうかも、車検の検査項目の1つです。ホーンは危険が近づいている時に警告するためのパーツなので、作動しないと事故に遭遇するリスクが高まります。
ホーンがきちんとなるかどうかは、自分でも簡単に確認できます。もし心配であれば、車検に出す前にホーンが正常に作動するかどうかセルフチェックしておきましょう。
しかし、ホーンは鳴らすと非常に大きな音を出します。むやみやたらに鳴らすと、近所迷惑になりかねません。
自分で点検するのであれば、迷惑のかからない場所で鳴らしましょう。また夜間だと周囲の睡眠の妨げになりかねないので、日中に鳴らすなどの配慮も忘れないでください。
車検に通るために必要なこととは?
車検に引っかからないようにするためには、愛車のコンディションをこまめにチェックすることです。
車に関する専門知識のない方でも、チェックできる項目はあります。
例えば、ボンネットを開けて、エンジンルームの状態を確認します。専門知識がなくても、エンジンオイルや冷却水など油脂類の漏れが起きているかどうかは目視できるはずです。
また、タイヤの点検も素人でも十分対応できます。溝がなくなってスリップサインが出ていないか、ひび割れが起きている箇所はないか定期的にチェックしましょう。
運転席に乗ってエンジンをかけた時に、警告灯の点灯している項目がないか確認するのも誰にでもできることです。自覚症状はなくても警告灯が点いたら、ディーラーや整備工場に相談してください。