日常生活では、とくに何も考えず消費税を支払っているという方は多いかもしれません。しかし、車買取のように大きな金額が動くときは、消費税の扱いが気になるでしょう。

これから車買取をしてもらう予定の方は、税金に対する基礎知識を得ておいたほうがいいです。

税金は「所得税」「自動車税」「消費税」の3つの税金が関係してくることがあります。車買取ではどのような扱いになるのか、それぞれの税金について紹介します。

消費税については、車買取額に消費税が含まれているのか、リサイクル料の消費税の扱いはどうなるのかも解説しますので、参考にしてください。

車買取時に関係する3つの税金について

車買取時に関係する3つの税金について
消費税の解説の前に、車買取時に関係する3つの税金を紹介します。

  • 所得税
  • 自動車税
  • 消費税

この3つは、それぞれ条件により税金がかかるか変わってきます。

所得税は、1年間の所得にかけられる税金のことです。

所得にかけられる税金が所得税のため、車買取で所得税がかかるかは「譲渡所得」であるかがポイントです。譲渡所得に該当するのは、レジャー用の車や商用車が当てはまります。

一方で通勤用の車を車買取してもらった場合は、非課税対象です。レジャー用の車でも500,000円の特別控除があるため、500,000円以内の譲渡所得なら所得税はかかりません。

また、5年以上の所有では、500,000円の特別控除を使ったうえで、課税所得は2分の1になります。

自動車税は、4月1日時点で車を所有している場合にかかる税金です。税額は普通自動車なら排気量別で、軽自動車は一律の税額になっています。

車を手放すときは、名義変更をしなければ自分のところに納税通知がくるため注意してください。また、1年の途中で売却する場合は、買取価格に税金分を上乗せされるのが一般的です。

消費税は、個人か法人かで異なります。

そもそも消費税とは?

そもそも消費税とは?
車買取の消費税の取り扱いを理解するため、消費税の基礎知識を紹介します。そもそも消費税とは何なのか、きちんと理解しておくことが必要です。

消費税は間接税のひとつ

商品やサービスを購入したときに支払うのが消費税です。

納付義務は消費者にはなく、商品を販売した事業者にあることから「間接税」に分類されます。一方で、自動車税や所得税のように、納税者が直接納付する税金は「直接税」です。

つまり、消費者が消費税を負担するのですが、納付するのは事業者になります。

間接税には、ほかにも酒税・たばこ税・入湯税などがあります。

消費税を負担する人と納税する人をわける理由は、所得に関わらず一律に税金を負担してもらう目的のためです。

事業者が預かった消費税を申告する仕組み

消費者から預かった消費税は、事業者が代わりに納付します。

事業者が負担する消費税は、事業者間で物やサービスを購入した場合も同様です。事業者間で消費税のやりとりがあると、二重や三重課税の恐れがあることから、売上から仕入れ分の消費税を計上する仕組みがあります。

また、納付義務は課税売上高で決まり、1,000万円以下なら納付の必要はありません。

ほかにも、開業してから1年未満の事業者は、消費税の免除があります。2年目の1月1日~6月30日までに、課税売上高が1,000万円を超えたら課税事業者の対象です。

車の使用目的別の消費税について

使用目的別の消費税について
車買取で消費税がかかるかは、車の使用目的によって異なります。

使用目的は、以下の3種類です。

  • 通勤
  • レジャー
  • 業務

それぞれの消費税の取り扱いについて紹介します。車買取の前に、どんな車の使い方をしていたか確認してください。

通勤

国税庁によると、個人用途の車は課税対象ではないとあります。通勤のための車も個人用と判断されるため、非課税です。

しかし、通勤も会社に行くための行為で、業務に関係していると考えるかもしれません。通勤は業務のための移動ですが、通勤自体は業務に関係していないため、非課税だとされています。

つまり、車買取で通勤のための車を売っても、消費税はかかりません。また、通勤用の車は所得税も対象外で、非課税となります。

レジャー

通勤に車を使っておらず、休日のみの利用ならレジャー用です。

ただし、通勤に使ってなくても、日常生活で「買い物用」として車があるなら、レジャー用にはみなされません。

レジャー用の車か迷ったら、通勤・買い物に使っていないか考えてみましょう。休日のたまにだけ遊びや旅行で車を使うだけなら、レジャー用の車です。

レジャー用の車を買取をしてもらった場合は、消費税がかかりません。ただし、譲渡所得「500,000円以上」の場合は所得税の対象となるため注意してください。

業務

事業用に車を所有しているなら、車買取で消費税がかかります。

業務用の車は法律で厳密な決まりはありませんが、事業で荷物や人の運搬に使う場合が当てはまるでしょう。

所有する車が業務用なら、車買取の査定を依頼するときは、業務用であることを伝えてください。

また、業務用の車買取も、50万円以上で譲渡所得の課税対象です。500,000円を超えた分で所得税がかかるため確認してください。

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車買取してもらったら消費税が含まれる?

車買取してもらったら消費税が含まれる?
車の使用目的の扱いを理解したら、どのようなケースで消費税が含まれるのか理解しておきましょう。

消費税は間接税だと説明しました。誰が負担するのか迷う方もいるかもしれません。

個人の場合は非課税

車買取が、個人と事業者間の場合、個人には消費税がかかりません。

かからない理由は、消費税の納付義務があるのは、課税売上高が1,000万円を超える事業者だからです。

個人が車買取で利益を得たとしても、消費税はかからないため、安心して取引ができます。車を自家用車として使用していたなら、どのようなケースでも消費税がかからないと覚えておいてください。

注意したいのは、売り手が個人でも車が事業の名義の場合です。事業目的の売却だと判断される場合は、消費税がかかります。

車買取業者は消費税がかかる

一方で、車買取業者は、課税売上高1,000万円以上や開業してから2年目以降なら消費税がかかります。

車買取業者は、車を買い取った利益が売上として計上されるため、消費税の課税対象です。つまり、車を売った個人に消費税の負担の義務はなく、車を買い取った法人に消費税負担があるということです。

国税庁のホームページには、消費税の納税義務があるのは「事業者が事業をして行う取引」とあります。買取業者のほとんどは事業目的で車を買い取っているため、消費税納税の義務の対象です。

なぜ車買取で消費税が重要なのか?

なぜ車買取で消費税が重要なのか?
ここまで読み進めると、個人が車買取してもらい利益を得ても、消費税がかからないと理解できたはずです。

しかし、個人が車を売る場合でも、消費税の知識はあった方がいいでしょう。なぜ、個人の車買取で消費税の知識が重要なのか紹介します。

税込価格となっていれば消費税負担あり

車買取の明細書をよく見てみると、「税込み価格」となっている場合があります。

個人が車買取をする場合は消費税を支払う義務はないため、本来なら買取価格に消費税は含まれていないはずです。しかし、税込み価格となっていれば、普通は消費税分も含まれていると勘違いするでしょう。

実は、買取価格に消費税が含まれていなくても、買取業者は消費税を経費として計上できる仕組みがあります。

税込み価格となっていても、売主が消費税を受け取っているわけではありません。買取業者は消費税分を経費にできるため、たとえば税込み100万円で買い取った車を100万円で売ったとしても、利益が上げられる仕組みがあります。

実際には、100万円で買い取った車を100万円のまま売る業者は少ないでしょう。105万円など、買取価格より高めに設定するケースも考えられます。

税込み100万円を100万円で売っても利益が得られるのですから、色を付けて売れば買取業者には大きな利益が得られることになります。

この消費税のからくりを知っているか知らないかで、価格交渉に違いが出る場合があります。

買取業者に税込みか聞こう

明細書に車買取価格が税込みとなっているかは、業者によりさまざまです。なかには「消費税を支払ってもらっている」扱いなのに、税込み表示がない場合もあります。

買取価格に疑問を感じたら、業者に税込みの扱いなのか聞いてみてください。消費税分がどうなっているのか聞けば、多くの場合正直に答えてくれるはずです。

最終的には、消費税を計上するかは業者の方針によります。良心的な経営方針のところもあるため、取り扱いは一概に言えません。

個人が消費税の仕組みを理解していないことを理由に、業者が大きな利益を得ているような気がしたら、それとなく聞いてみるのがおすすめです。

業者に聞きやすいのは、価格交渉の段階でしょう。査定価格を提示されたら、消費税は含まれているのか聞けばスムーズです。

消費税が含まれているのかハッキリ答えない業者の場合は、取引を中止するのもひとつの方法です。

車買取で消費税を交渉に使う方法

車買取で消費税を交渉に使う方法
消費税の仕組みを理解すると、車買取で交渉に使えるかもしれません。上手くいけば、買取価格に消費税分を上乗せできる可能性もあります。

今まで大切にしてきた愛車を売るなら、誰でも納得できる買取価格にしたいはずです。消費税の仕組みを利用して、買取業者との交渉に利用する方法を紹介します。

まずは税込価格の仕組みを理解しよう

消費税を交渉に使うなら、まずは税込み価格の仕組みを理解する必要があります。買取業者は消費税をどのように扱い利益を得ているのか、理解してみてください。

多くの買取業者では、買取価格に消費税を含んだ金額で交渉を進めています。そのため、売り手も買取価格に消費税を含んでいると考えて交渉することをおすすめします。

例えば、100万円の商品で消費税10%だとすると、消費税は10万円です。すると買取価格は110万円にすべきですが、買取業者は100万円に消費税10%を含んでいるとして交渉してくるでしょう。

業者が100万円で買い取ったら、次のユーザーには消費税を含んだ110万円で売却できます。結果的に、買取業者は10万円の利益を得ることができました。

買取業者が納付する消費税は利益に対してのため、10万円の10%です。つまり、1万円の消費税納付でいいことになります。

業者は10万円の利益を得たのに対して、消費税1万円ですから、90,000円が利益となります。

これが、税込み100万円で買い取った車を、100万円で売っても利益が得られる仕組みです。

消費税分を買取額に上乗せできないか?

買取額の消費税の仕組みを理解すると、消費税分を上乗せできると考えるでしょう。

業者に買取価格の消費税を聞いてみて「非課税」だと言ったら、消費税を含まない価格のため交渉には使えません。

しかし、業者が税込みだと答えたら、買取額に消費税分を上乗せできる可能性があります。

100万円の買取価格であれば10万円の消費税を見込んでいるため、数万円程度なら買取価格を上げてくれる場合があるかもしれません。

直接、担当者に消費税の扱いを聞きづらい場合は、査定金額に「消費税」や「税込み」の文字がないかチェックしてみてください。どちらかの記載があれば、買取価格に消費税を含んでいることがわかります。

買取業者も利益を出さなければならないため、交渉で消費税全額を上乗せできることは少ないでしょう。それでも、諦めず交渉することで、消費税の一部を上乗せしてくれる可能性はあります。

必ず交渉が上手くいくとは限りませんが、やらないよりは可能性がアップしやすいのは、言うまでもありません。

車買取時のリサイクル料に消費税はかかる?

車買取時のリサイクル料に消費税はかかる?
消費税の対応では、リサイクル料に対しても不安があるかもしれません。車買取のリサイクル料に対して、消費税がかかるのか紹介します。

買取時はかからない

リサイクル料は、新車購入時に支払うものです。車の廃棄処分にかかる費用を購入時にあらかじめ支払っておく意味があります。

どの車でも事前にリサイクル料を支払っているため、車買取でリサイクル料の負担はありません。また、リサイクル料の譲渡自体は金銭債権の譲渡と同等の扱いで非課税対象のため、車買取で消費税はかからないことになっています。

また、2014年の税制改正では、譲渡金額の5%相当を課税売上割合の分母に参入することになっているため注意してください。

廃車時はかかる

車を廃車にする場合は、リサイクル料に消費税がかかります。

消費税がかかる理由は、リサイクルサービスを受けるためです。扱いが課税仕入れとなり、リサイクルを実施した際の税率で消費税がかかります。

リサイクル料の消費税で注意したいのは、車購入時の税率ではない点です。リサイクルを実施した際の税率で判断してください。

車買取時の自動車税は還付されるの?

車買取時の自動車税について
税金面では、車買取の自動車税についても注意が必要です。すでに支払っている自動車税はどうなるのか、どのような還付があるのかを説明します。

4月1日時点の所有者が自動車税を支払う

自動車税の納税は、4月1日~3月31日分までです。4月1日に車を所有している方は、自動車税の納税しなければなりません。

また、自動車税の支払いは一括で支払います。1年分をまとめて支払うため、年の途中で車買取を利用すると、車を所有していない期間分も税金を支払っていることになります。

自動車税は、軽自動車なら一律で10,800円です。普通自動車は、排気量が多くなるごとに自動車税の額が高くなります。

これから車買取を利用する場合は、売却時期により自動車税の負担が大きく感じられるかもしれません。

例えば、5月に車買取を考えている場合では、約1か月しか車を乗らないのに1年間の自動車税を支払っていることになります。そういった場合、買取業者によっては月割りで還付してくれる場合もありますので、確認してみましょう。

買取業者から還付があるか確認する

自動車税は、買取業者に還付の義務はありません。法律で決められてはいませんが、車買取では業者が月割りで還付してくれる場合もあるようです。

月割りの還付は、自動車税額を12で割り、名義を抹消した翌月から3月末までの分です。100円未満は切り捨てとなるため、1,000円単位での還付になります。

自動車税で還付があるか気になるなら、買取の明細書を確認してください。

ただし、自動車税の還付が記載されていない場合もあります。還付の取り扱いがわからない場合は、直接担当者に聞くのが一番です。

また、車買取の交渉時に、自動車税の還付があるか確認すると安心です。事前に自動車税の還付があるとわかっていれば、安心して車買取をしてもらえるでしょう。

自動車税を納付してからすぐに車買取をしてもらう予定の方は、自動車税の取り扱いに注意しながら、買取業者を選ぶようにしてください。

まとめ

①車買取時は、所得税・自動車税・消費税に注意する
②消費税とは、消費者から預かり事業者が税金を申告する
③個人使用の通勤・レジャー用なら消費税はかからない
④買取価格に消費税が含まれているか確認する
⑤買取価格に消費税が含まれている場合は、交渉に使える
⑥リサイクル券に消費税はかからない
⑦買取業者から自動車税の還付を受けられる場合がある

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