車の買取業者は、信頼できて良心的な業者ばかりではありません。残念ながら、中には一定数の「悪徳業者」と呼ばれる業者が存在すると言われています。
しかし、買取業者とやり取りをしているうちは、悪徳業者なのかどうか分かりにくいものです。そこで今回は、一般的な悪徳業者の特徴や手口について説明していきます。
悪徳業者は、少しでも利益を上げようとあの手この手を使って売り手に迫ってきます。悪徳業者に引っかからずに満足のいく買取ができるよう、十分注意しなければなりません。
悪徳業者に引っ掛からないための対策方法についても言及するので、参考にしてください。
車買取における悪徳業者の手口とは?
悪徳業者は売り手の「高く買い取ってほしい」という心理をうまく利用し、巧みな手口でより自分たちに有利な取引を進めようとします。
買取の流れにおいて「車の査定時」「売買契約時」「売買契約後」「車を引き渡した後」などのタイミングであらゆる手口を使ってきます。
その内容について以下で詳しく説明していきます。
悪徳業者が車の査定時に行う手口
悪徳業者は車の査定時に実際の見積もりや買取相場より、かなり低い査定額を提示する場合があります。
さらに、手数料と称する諸経費が査定額から引かれる、売買契約を行う前に車を引き取られるなどの手口もあるので気をつけましょう。
高すぎる査定額を提示されたら悪徳業者の可能性があるので注意しましょう。
実際に査定してもらう前に、ネットで見積もりをとるという方も多いでしょう。買取業者のサイトに車種や年式、走行距離などを入力すると大体の査定額が算出されます。
その見積もりをもとにして、実車査定をしてもらう業者を決めれば効率的です。ただし、あくまでも見積もりなので、実際に査定してもらい車の状態を見て査定額が決まります。そのため、金額が低くなることもあります。
しかし、見積もり額と査定額にあまりにも大きな金額差が生じる場合は悪徳業者の可能性があります。
実車査定で車の状態を見てから査定額が決まります。査定額は買取業者によって金額差が生じるのが一般的です。
ただし、中には相場よりかなり低い価格を提示されることがあります。相場を知らないと、買取業者の言うことをそのまま信じてしまう方もいるでしょう。
不人気な車種だと言われたら、査定額が低くても仕方ないと諦めてしまうかもしれません。しかし、売り手が素人なのをいいことに、不当に安い査定額を提示する悪徳業者もいます。
買取業者が提示した査定額から、業者の手数料が差し引かれた金額が買取額として支払われるケースが多いです。
この手数料の詳細や金額は、中古車買取業界で一律に決められているわけではありません。業者によって手数料の金額差があるので、どの程度かは一概には言えません。
そのため、悪徳業者は一旦高い査定額を提示して、売買契約を結んでから過剰な金額の手数料を引いて、買取額として支払う場合があります。
これは、始めから査定額を安くするために用いる手口の一つだとされてます。査定額よりもかなり安い金額で買い叩かれ、はっきりとした説明もないというケースもあります。
損をしないように、事前に手数料の金額や内訳についてもしっかり聞いておきましょう。
査定後に買取業者が車の修理箇所を詳しく調べる、費用を見積もるといった理由で、契約書に署名していないのに車を引き取ってしまうというケースもあります。
まだ売るかどうか分からないと伝えてあっても、買取業者が勝手に売却先を決め、連絡してくることもありえます。
断っても車を返してもらえず、売却先と話がついているので困ると押し切られ、売買契約書に署名させられるケースもあるので注意しましょう。
査定額が提示された後に、売り手が買い取ってもらうか迷うケースは多々あります。他の買取業者の査定が済んでいない場合は余計返事がしづらいかもしれません。
しかし、そんな中でも強気な態度で即決を迫る買取業者もいます。「今決めないとこの値段では売れない」などと言われ、何かと理由をつけてなかなか帰ってくれない悪徳業者もいます。
他の買取業者の査定を受けて査定額が高いと、その後の交渉が不利になるため、中古車市場での人気車であれば尚更、自社が査定したその日に何とか売却の返事をもらおうと強引な手段に出る業者もいるので、気を付けましょう。
クーリングオフとは、購入意思がはっきりしないのに訪問販売などで売買契約を結んでしまった場合、一定期間内なら契約を解除できるという制度です。
消費者を保護するための制度ですが、中古車の買取においてクーリングオフは対象外となっています。
買取業者から「クーリングオフができるので、後でキャンセルしたくなっても大丈夫」と言われることもあるかもしれません。クーリングオフができると思わせて売主に即決させ、他の業者の査定を受けさせないようにするためです。
しかし、クーリングオフできると言われたらそれは虚偽の説明なので、注意しましょう。
車の買取価格は売値の何割が基本なの?
悪徳業者が売買契約時や契約後に行う手口
査定が問題なく終わっても、まだ安心はできません。悪徳業者は売買契約時に査定額と違う金額をいきなり提示することがあります。
また、自動車に関する税金の還付説明がない、キャンセルとなると法外な違約金を請求するといった業者もいるので注意が必要です。
売買契約時に、査定額とは違う買取額で売却するように言われることがあります。中古車市場では日々価格が変動しているので、査定日から売買契約日までに日数が経過していると、買取額が変わる可能性が高いです。
ただし、査定時にそういった説明もなく、いきなり減額された買取額で契約書に署名するように迫られることもあります。
買取業者の中には、査定日から数日以内ならそのままの金額での売却を約束してくれるところもありますので、いきなり買取額を下げるのは悪徳業者だと言えるでしょう。
毎年4月1日時点で、車の所有者には自動車税(種別割)や軽自動車税が課税されます。納付書が郵送されるので、納付期限までに1年分を納めなければなりません。
年度の途中で車を買い取ってもらうことになったら、前払いした税金分を損することになります。しかし、本来であれば車が廃車になった時に返還されます。払った税金分を残存月で割った金額が、還付金となるのです。
そのため、車を買い取ってもらう際は、納めた税金分を査定額に上乗せして還付してくれる場合が多いです。ただし、還付は義務ではないので、取り扱いは各買取業者によって異なります。
もし税金の還付について説明を求めた際にごまかすような買取業者は、誠実とは言えません。
通常は、売買契約を結ぶ際はキャンセルに関して契約書に記載があり、買取業者からも説明があるでしょう。
売買契約からキャンセル可能な期間を設定しており、その期間内ならキャンセル料がかからないというところもあります。
キャンセルをどのように扱うかは各買取業者が自由に決めることが可能ですが、契約時にキャンセルの説明をしない買取業者もいます。
いざキャンセルしようとすると、断られたり法外なキャンセル料を請求されたりする場合もあります。
悪徳業者が車を引き渡した後に行う手口
車を引き渡した後でも、気を緩めないようにしましょう。悪徳業者は、車を引き渡し後に不当な減額請求をしてくることがあります。
車の不具合を勝手に業者が修理して修理額を買取額から引いて入金するなどのケースもあるので注意しましょう。
売買契約を結んだら、日にちを決めて車を買取業者に引き渡します。買取業者が自社もしくは提携している整備工場に車を運び、再販に向けての点検とメンテナンスを行います。
そこで、車に不具合が見つかる場合もあるでしょう。そうなると修理に費用がかかるため、当初の買取額から修理費用分を差し引いた金額を入金すると連絡が来ることがあります。
その場合、買取額の減額は売主が査定時に車の状態を正直に伝えていれば責任はないので、基本的には応じる必要はありません。
しかし、連絡もしないでいきなり減額した買取額を入金する、修理費を高く見積もり大幅減額されるケースもあります。
引き渡された車に不具合が見つかったので、売主に連絡しないで勝手に修理する買取業者もいます。そして、かかった修理代も売主の了承なしに買取額から差し引くことがあります。
これは、入金された金額が売買契約の買取額よりも少ないので、買取業者に問い合わせて発覚するというケースです。この時に修理をする前に売主に連絡すると「査定員が不具合を見落としたのではないか?」と攻められるので、敢えて連絡しなかったと説明される場合もあります。
そういった場合、本当に不具合があったのか、修理されているのかも定かではありません。さらに、買取額よりも修理費用が高くついたからといって、買取額を入金するどころか逆に修理費用を請求してくるといった悪徳業者もいるので、要注意です。
車の買取代金は、現金払いではなく振込となっている場合がほとんどです。入金日は決められており、事前に買取業者から説明があるでしょう。
しかし、いざ入金日に確認をすると入金されていなかったというトラブルが起こることがあります。買取業者側の入金忘れや入金日間違いというケースも少なからずありますが、そういった場合は買取業者に連絡すれば確認してもらえるでしょう。
しかし、連絡しても音信不通で、結局車だけ持ち逃げされるというケースもあります。このような悪徳業者もいるので、業者選びは慎重に行わなければなりません。
悪徳業者に引っ掛からないための対策方法
車買取で悪徳業者に遭遇しないためには、事前にそういった業者を選ばないことが大事です。信頼できる業者を選定すれば、納得のいく買取ができるでしょう。
ここからは、悪徳業者に引っかからないためにはどうすればよいか、その対策方法を解説していきます。
事前に車が中古車市場でいくら位になるのか、相場を把握しておくことが大事です。
相場を知っておけば、査定額を提示された時に不当に低いのか、高いのかを自分である程度判断することができます。
買取業者が提示した査定額が適正であるかは、素人が判断するのは難しいかもしれません。しかし、相場を知ったうえで査定額を比較すれば、満足のいく買取ができるでしょう。
買取価格の相場は、買取業者のサイトに車種や年式、走行距離などを入力すると調べることができます。
ネットでは、一度の申し込みで複数の買取業者に査定の申し込みができる一括査定サービスが無料で利用できます。
1回必要事項を入力するだけで、複数の買取業者に見積もりしてもらえるのでとても便利です。ただし、自分の連絡先を複数の買取業者が知ることになるので、その後査定してほしい旨の電話が色々な買取業者から一斉にかかってくる場合があります。
本当に利用できる買取業者ならいいですが、中には自分の居住地が買取業者の店舗から遠い、もしくは出張査定エリア外というケースもあります。そういった業者からの連絡は無駄になってしまうでしょう。
自分が本当に利用できる、買取業者の候補となりうる業者だけを効率よく選ぶには、一括査定サービスの利用は控えたほうがよいかもしれません。
車の買取業者を選ぶ際、査定額よりも信用できる業者かどうかがとても重要になってきます。ネットでは実際の利用者が口コミなどを載せているので、情報収集をしておくと評判のよい買取業者を選別することができます。
知名度のない買取業者の場合は、まず実在しているのか所在地や連絡先を調べましょう。買取実績やどういった流れで買取を行っているかなどもホームページに掲載されているので、事前にチェックしておくと安心です。
JPUCとは、一般社団法人日本自動車購入協会の略称です。自動車買取業界の健全化を進め、消費者に安心して買取サービスを提供できるように活動しています。
JPUCでは、車買取業者やWeb広告表現に関わるガイドラインを制定しています。そのため、JPCU加盟店を選べば、安心して買取サービスが利用できるでしょう。
また、もしトラブルが起きた場合でも「JPUC車売却消費者相談室」という相談窓口を設けているので、トラブル解決のサポートをしてもらえます。
車の買取をしてもらうなら、少しでも高く売りたいものです。そのため、不具合がある部分や劣化しているパーツ、修復歴などを知っていたとしても、敢えて伝えないほうがよいと思うかもしれません。
しかし、車の状態について知っていることを隠したり、聞かれたのに嘘をついたりすると、後で発覚した際にトラブルになります。
査定額が下がるような情報は言いたくないかもしれませんが、全て正直に話しておけば、後で減額請求となっても売り手に責任はなく、査定員の見落としとなるでしょう。
正確な査定をしてもらうには、車に関して知っていることは全て伝えてください。
査定後の買取業者とトラブルにならないためには、売却の決断は慎重に行う必要があります。
特に契約書を交わしてしまうと、契約には法的な拘束力が発生するので、キャンセルするのは難しい場合もあります。
高額査定が出て、「今決めないと査定額が下がる」と言われても、即決しないことが大事です。
まだ他の買取業者との査定が残っている場合は、全ての査定を終えてから査定額や買取業者の評判などを比較し、落ち着いて売却先を決めましょう。
悪徳業者は「より安い値段で早く契約させる」もしくは「高値で契約させて後で理由をつけて減額する」ことを考えています。そのため、敢えてキャンセルや契約後の減額について説明しなかったり、適当に濁したりする場合があります。
契約前には、キャンセルの可否や可能な期間、キャンセル料についてもきちんと確認しておきましょう。また、口だけの説明では証明にならないので、契約書に明記されているかもチェックしてください。
そして、車を引き渡した後の減額についても同様に事前に確認しておくことが大事です。もし説明が曖昧なら、そういった買取業者は利用しないようにしましょう。
車の買取価格は売値の何割が基本なの?