車検を受けた後で、車に必ず貼らなければいけないのが「車検シール」です。
このシールは貼る位置などが法律で厳密に決められていますが、貼るのが意外と難しく失敗するケースも多くあります。では、失敗した場合はどうすればいいのでしょう?
車検シールを貼る上で覚えておくべきルールや上手な貼り直し方法、そしてどうしても貼り直せない場合の再発行方法などを説明しますので、車検を受ける前に一度確認してみてください。
車検シールを貼り直す方法とは?
車には必ず「車検シール」を貼らなければなりません。車検シールは、その車が法律にのっとってきちんと車検を受けたという証であり、その有効期間を示したもので、貼り付ける位置なども細かく定められています。
しかし、車検シールが何らかの理由で剥がれてしまったり、貼る際に失敗してシール自体が汚損・破損・あるいは紛失してしまったりするケースもあります。
そのような場合、再発行や貼り直しをすることは可能なのか、解説していきましょう。
車検シールとは?
車検シールは、車検ステッカーと呼ばれることもありますが、その正式名称は「検査標章」と言います。
車検はディーラーやカー用品店、整備工場などで受けられ、合格すると新しい車検証とあわせて車検シールを受け取ることができます。
車検シールには車検の有効期間が記されており、「この期間内は公道を走ってもよい」という証明にもなります。また、ドライバーが車検の時期を忘れないよう防止することにもつながります。
勘違いされることがありますが、車検の有効期間は「その期間は車に安全に乗れる」ことを絶対に保証するものではありません。車の安全性を保つには、車検とは別に定期的なメンテナンスも必要だということは覚えておきましょう。
車に貼り付けるシールには、車検シール以外にも「法定点検シール」や「車庫証明シール」があります。しかし、これらは貼り付けに関するルールや内容が全て違っているので、混同しないようにしましょう。
これは昔の電話機のように数字が円形に配置されている丸型のシールです。車の12ヶ月あるいは24ヶ月点検が済んでいることを表しており、車検シールと違って剥がしても問題はありません。
こちらは車のイラストと「保管場所標章」と書かれているシールで、車庫証明の手続きを取ることで発行されます。車の駐車場所が確保されている証明であり車への貼付は法律上の義務ですが、貼らなくても剥がしても罰則はありません。
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車検シールに関するルール
車検シールには、貼り付ける場所やシールが発行されるまでの間に代わりに貼っておくものなど、ルールが細かく定められています。
これに違反すると罰せられることもあるので、以下で挙げる5つのことを覚えておきましょう。
まず、車検シールを貼り付ける場所についてですが、ルームミラーがある車の場合は「フロントガラスの上部」と決まっています。
一般に公道を走行している車の多くはフロントガラスの上部にシールが貼られており、見たことがある方も多いかもしれません。
ルームミラーの上にシールを貼る隙間がない場合は、ミラーの下に貼りましょう。
また、フロントガラスが着色されている車の場合は、外から見てシールがはっきり見えるよう、着色部分の下部に貼ってください。
車検シールを貼っていない状態で車を公道で走らせると、道路運送車両法にもとづいて50万円以下の罰金が科されます。同法の第66条には「自動車検査証を備え付け、検査標章を表示する」と定められています。
詳しくは後述しますが、車検シールを紛失した場合は再発行が可能です。インターネットでの手続きはできないので、陸運(支)局などに出向く必要がありますが、手続きはとても簡単なので速やかに再発行しましょう。
車検で合格しても車検シールがその場で発行されるとは限らず、後日郵送となることがあります。
しかし、原則としてシールを貼らないと公道を走ることはできないので、その代わりに発行される「保安基準適合標章」を貼付しなければなりません。
これはシールではなく、一枚の紙片なのでフロントガラスの所定の位置にセロハンテープで貼付します。ほとんどの場合、車検を行ったディーラーや整備工場などで貼ってくれるでしょう。
保安基準適合標章があると車検に合格した証明になりますが、あくまでも車検シールができるまでの「仮」の証明書で、有効期間は15日と決まっています。
車検シールは普通自動車用と軽自動車用で分かれています。形と貼り付け方、4センチ四方の正方形という点は同じですが、色と発行する場所が異なります。
普通自動車用の車検シールは、色はブルーで文字が黒、発行場所は陸運局です。
軽自動車用の車検シールは、黄色(オレンジ色と表記されることも)で文字が黒、発行場所は軽自動車検査協会となります。
特に発行場所については間違えないように注意しましょう。
車検シールを貼る場所は、先述した通り多くの場合は「フロントガラスの上部」で、後はルームミラーの周辺に貼ったり、着色されていないガラス面を避けて貼ったりする違いがあるだけでした。しかし、中にはナンバープレートに貼るよう定められている車種もあります。
ナンバープレートに車検シールを貼るのは、フロントガラスや運転室がない車両です。
まず考えられるのはトレーラーなどの黄色ナンバーの車種です。この場合はナンバープレートの左上、車の用途を判別するための平仮名の真上に貼りましょう。
次に二輪車などの白ナンバーに貼る場合は、トレーラー同じくプレートの左上になります。4桁の数字のうち、左端の数字の真上に貼ってください。
車検シールの貼り方(貼り直し方)
ここまでで、車検シールの重要性とその貼り方に関する全般的なルールを説明しました。
では、具体的に車検シールを貼る場合や再発行したものを貼り直す場合はどのような点に注意するといいのでしょう?
車に限らず特別なシールを貼る場合は以下の3ステップを踏むようにしましょう。
まずは、貼る場所を間違えないように確認しましょう。
先に説明した内容のまとめになりますが、フロントガラスや運転室がある車の場合、車検シールはフロントガラスの上部に貼ります。具体的な場所は、ガラスの前面にあるルームミラー上部の隙間になります。
もしも上部にシールを貼るだけの余裕がなければ、ルームミラーの下でも構いません。また、貼るスペースが着色されている場合は、外側からシールの内容が確認できる位置にずらして貼ってください。
そして、フロントガラスや運転室がないトレーラーあるいは二輪車の場合は、ナンバープレートに貼ります。それぞれプレートの左端上部にスペースがあるので、そこに貼りましょう。
車検シールに限ったことではありませんが、シールのようにのりで貼り付けるものは、貼付場所に汚れや細かなゴミがあるとうまく粘着しません。仮に貼り付けられたとしても、後で剥がれてしまう恐れがあります。
フロントガラスに貼る場合は埃をかるく拭き取る程度でいいでしょう。
ナンバープレートの場合は泥や鉄粉などが付着していることも多いので、水拭きと乾拭きをきちんと行ってから貼るようにしてください。
いよいよ車検シールを貼りますが、まず注意したいのは、車検シールはそのままでは貼れないということです。
車検シールは2つのシールを組み合わせて完成するものなので、この点が分からず曖昧なままだと失敗することがあります。
手順を説明すると、まず車検シールの右半分を台紙から剥がして、透明なシールに貼ります。次に左側も同じようにして、車検シールが透明なシールの上に完全に貼られた状態にしてください。
ここまでの手順を踏んで初めて、後はフロントガラス等の所定の位置に貼るだけとなります。完成した車検シールを台紙から剥がし、フロントガラスやナンバープレートなど定められた場所に貼りましょう。
実際には、車検を受けた直後に業者で車検シールを貼ってくれたり、後日郵送の場合でも、車検シールを透明なシールに貼った状態で送ってくれたりすることが多いです。
車検シールを最初から最後まで自分でやる機会は意外と少ないかも知れません。
貼り直しが必要な3つのパターン
車検シールは車検後に業者が貼ってくれていたり、後日郵送の場合でも車検シールを完成した状態で送ってもらえることが多いです。そのため、貼り付けに失敗して貼り直しになるケースは少ないかも知れません。
貼り直しが必要になるパターンもある程度決まっています。大まかに言えば「破損」「汚損」「紛失」の3つです。
例えば、最初に車検シールを透明シールに貼る段階で失敗し、シールを折ってくっつけてしまった場合などです。
車検シールを誤って地面に落としてしまい、のり面が砂だらけになるなどして貼れなくなるケースが挙げられます。
不注意によって車に貼る前にどこかへ失くしてしまうことが考えられます。
いずれの場合も、車検シールは再発行しなければなりません。詳しい方法は後述しますが、破損・汚損で再発行する場合は、シールを返却する必要があると覚えておきましょう。
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車検シールの再発行方法
車検シールは一度貼り間違えてしまうと、貼り直しはまず不可能です。貼り間違えてしまったからと言って剥がしてしまうと「破損」の状態になるでしょう。
そのため、貼り間違い・貼り直しの場合は再発行しなければならないと考えてください。
それでは、車検シールの再発行はどのような手順で行うのでしょう?まず再発行をしてもらう場所が普通自動車と軽自動車とで異なるなどの注意点や必要書類、手続きの流れなどを以下で説明していきます。
普通自動車の車検シールを再発行する場合は、陸運(支)局で手続きを行います。
陸運(支)局には地域の管轄が存在しますが、車検シール再発行の手続きに管轄は関係ありません。どこの地域でも手続き可能で、バイクの車検シール発行もここで行います。
営業日時は、平日の午前8時45分から3時間と午後1時から3時間になります。毎年12月29日~翌年1月3日はお休みです。
営業日時は手続きの内容や地域によっては異なることもあるので、事前に確認しておきましょう
軽自動車の車検シールの再発行する場合は、軽自動車検査協会で手続きを行います。
軽自動車検査協会は、軽自動車の新規登録や車検の手続きなどを国に代わって行う特別民間法人で、名義変更や車検証の再発行などもここで行われます。
軽自動車の車検シール再発行も、普通自動車の場合と同じように、管轄に関係なくどこの地域でも手続き可能です。
営業日時も先述した陸運(支)局と同じですが、やはり内容によっては異なるので利用する際は事前に確認しましょう。
普通自動車・軽自動車のいずれも、車検シールの再発行手続きには以下の書類が必要です。
- 車検証
- 検査標章(車検シール)
- 検査標章再交付申請書(OCR第3号様式)
- 申請手数料(印紙代)
- 使用者の印鑑
このうち、検査標章(車検シール)は破損・汚損した現物を持参するという意味です。紛失した場合は持参する必要はなく、「理由書(紛失届)」という書類に記入し提出すれば問題ありません。
また、検査標章再交付申請書は「折り曲げ厳禁」なので注意が必要です。この申請書はインターネットでPDFをダウンロードすることができますが、持参する際にどうしても折り目がついてしまいそうなら、当日に陸運(支)局か軽自動車検査協会でもらうようにしましょう。
普通自動車の場合に限りますが、車の使用者以外の人が手続きを行う場合は、代理人が委任状を持参する必要があります。
申請するのにかかる手数料は約300円ですが、この場合は代行手数料も加味したほうがいいでしょう。
必要証書類が揃ったら、陸運(支)局あるいは軽自動車検査協会の窓口へ行き、手続きを行いましょう。
まず申請書などを購入しますが、事前に申請書をダウンロード印刷している場合は不要です。次に記入例を参考にしながら申請書に必要事項を書き込んでいきます。それを窓口へ提出して問題がなければ、車検ステッカーと車検証が再発行されます。
これを受け取って、後は車のフロントガラスやナンバープレートなどの所定の位置に貼り付けてください。
ナンバープレートの交換などの手続きとは異なり、車検シール再発行の申請手続きでは車を持参する必要はありません。また、先述した通り、管轄に関係なくどの地域の施設でも手続きができます。
車検ステッカーを再発行すると、あわせて車検証も新しいものが交付されるので覚えておきましょう。再交付された車検証には「検査標章再交付」と書かれているので、内容を確認した上で車内で保管してください。
申請書へ記入する時は、持参した車検証の内容を確認しながら行いましょう。また、車検シールの紛失にともなう再発行の場合は「理由書」への記入が必要ですが、簡単ですので以下で書き方を説明します。
まず理由書の記入項目は以下の3つです。
①自動車登録番号または車両番号
②車体番号
③理由書提出の事由
このうち①と②は車検証に記載されているので、見てそのまま書けば問題ありません。
③の理由書提出の事由は紛失の理由ということで、「管理不足で紛失した」と書くだけで充分です。また盗難による紛失の場合は、盗まれた年月日、届け出た警察署、詳しい盗難状況なども書き込みます。
車検シールの再発行手続きを行う陸運(支)局あるいは軽自動車検査協会は営業日が平日のみなので、普段仕事をしている方は手続きの時間が取れないこともあるかもしれません。その場合、手続きを代行してもらうことも可能です。
また、車検シールが貼られていない車は公道を走れないので、公共交通機関での移動を検討しなければなりません。こうした面倒を避けたいなら、車検を受けた整備工場やディーラー、行政書士などに依頼しましょう。
再発行手続きは誰でもできるので、先述した必要書類と委任状さえあれば代行してもらうのも簡単です。ただし、業者に依頼すれば代行手数料がかかり、特に行政書士は金額が高額になりがちなので注意しましょう。