車検にはどの位の費用がかかるのか、また請求書はいつ発行されるのか気になるところです。車検というと、まとまった費用が必要となり、出費が痛いというイメージがあります。
車検費用は車種や車検業者などによって差があるので、一概に言えません。しかし、大体の費用を知っておけば予算も組みやすいと言えるでしょう。
請求書発行や支払いのタイミング、車検請求書の内訳について解説します。
車検の整備請求書はいつ発行される?
一般的に車検の整備請求書は、全ての車検作業が終了した後に発行されます。車を引き渡す前に支払いを請求するシステムの車検業者がほとんどです。
しかし、車検費用の中でも法定費用と呼ばれる、整備内容に金額が左右されない費用については車検の受付時に支払う必要があります。税金や自賠責保険といった法定費用は、車検完了に数日要する場合であっても、車検で車を持ち込む日に資金を準備しておかなければなりません。
急な支払いに慌てないよう、支払時期なども車検業者に確認しておくと安心です。
車検の明細書の見方
車検の請求書を見ると、車検にかかる費用が細かい項目で分けられて記載されています。車の部品名などの専門用語が多いので、何の費用かわかりづらいという方もいるかもしれません。
車検の費用は、法律であらかじめ決められている税金や自賠責保険(強制保険)の保険料、手数料などの法定費用がまずひとくくりになっています。
車検の前に24ヶ月法定点検を行う場合が多いので、その点検費用や車検の代行費用などもかかるでしょう。
部品が交換された場合は部品ごとの単価、交換した部品名とその値段、工賃なども記載されています。
車検請求書は支払いを行うとそのまま廃棄する方もいますが、保管しておけば次回車検を受ける時の車検業者選びの参考にもなります。また部品交換を行った場合は、どの部品を交換したかわかるので今後の車のメンテナンスにも役立つでしょう。
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法定費用
車検費用の一つ、法定費用というのは法律で支払額があらかじめ決まっている税金や保険料にかかる費用です。車両重量によって税額が変わる自動車重量税と車種(普通自動車、軽自動車、二輪車)によって金額が違う自賠責保険料、印紙代があります。
法定費用は金額が決まっているので、車検業者によって金額が変わることはありません。
自動車重量税というのは、車両の重量によって金額が決まっている税金です。新車購入時に3年分、車検時に2年分をまとめて支払うことになっています。
車両重量が0.5t重くなるにつれ、金額も高くなっていきます。車検証の備考欄に記載されているので確認しておいてください。
軽自動車は一律で1年分が3,300円なので車検時は6,600円です。
普通車は0.5t以下では1年分が4,100円なので車検時は8,200円、1tまでは1年分が8,200円なので車検時は16,400円です。つまり、0.5t重量が重くなると4,100円加算されていくことになります。
自動車重量税はエコカー減税という減税制度が適用されるので、適用対象となれば減税率によって税額が安くなります。逆に、年式が古いと税金が増額となります。
例えば、初年度登録から13年経過した普通車の場合、車両重量0.5t以下では車検時は11,400円です。初年度登録から18年経過した普通車の場合、車両重量0.5t以下では車検時は12,600円の税額です。
年式などによって税額が異なるので自分の車がどこに当てはまるかを車検証を見ながら確認しておきましょう。
自賠責保険というのは、法律で加入が義務付けられている強制保険です。公道を走行する車は全て自賠責保険に加入しなければなりません。違反すれば罰則が科せられます。
自賠責保険は新車購入時に加入した場合、3年分の保険料を前払いすることになります。車検時に保険期間を更新し、さらに次の車検までの2年分を前払いする仕組みです。
自賠責保険料は車種や地域によって保険料が異なります。
2021年4月1日時点では、
軽自動車は24ヶ月で19,730円です。
普通乗用車は24ヶ月で20,010円となっています。
一般的に車検時には24ヶ月の保険料を支払いますが、中古車購入時に車検を同時に通す場合は25ヶ月、新車購入の場合は37ヶ月と次の車検までの期間+1ヶ月で自賠責保険料に加入するケースもあります。
また、沖縄県や離島の場合は上記の金額とは異なるので注意してください。保険料が改訂になる年もあるので、常に最新版を確認することをおすすめします。
国や行政法人などに支払う検査手数料も、法定費用の一つです。検査手数料は印紙を購入し、必要書類に貼付して納めます。
業者に依頼する際は印紙代を支払えば、業者の方で印紙を購入してくれます。車種によって金額は異なりますが、一般的に1,000円~2,000円程度です。
車検基本費用
車検基本費用は、「車検代行料」や「検査手続き代行料」などと呼ばれることもあります。
車検を代行してくれる業者に支払う手数料のことです。車検業者や整備内容になどによって、金額は大きく変わります。
車検の検査代や、車検前に行う24ヶ月の法定点検、整備費などが車検基本費用に含まれていることが多いでしょう。
自分陸運局の検査場に車を持ち込んで車検を受ける、いわゆる「ユーザー車検」をやるという方もいるかもしれません。その場合は、業者に依頼しないので代行手数料が不要となり車検費用が節約できます。
車のユーザーの代わりに陸運局に車を持っていき、検査場で車検を通してくる分の手数料が代行手数料になります。車検を依頼する業者によって金額が異なります。
車検業者は大きく分けて以下の4つがあります。
- ディーラー
- 車検専門業者
- カー用品店
- ガソリンスタンド
ディーラーは約10,000円~15,000円程、車検専門店やカー用品店、ガソリンスタンドでは10,000円前後が相場となっています。
業者によって金額は異なります。上記の金額よりも安い業者もあればディーラーよりも高い業者も中にはあるので、一概には言えないところです。
24ヶ月法定点検というのは、実施が法律で義務付けられている車の点検です。法定点検は基本的に1年に1回受けなければならないとされています。
前回の車検から24ヶ月、つまり2年経過した時点で受けるので車検の時期と重なることが多いでしょう。そのため、車検の予約をした際に車検を受ける前に24ヶ月点検を実施するケースがほとんどです。
24ヶ月法定点検ではエンジン本体やブレーキパッド、バッテリーなどの点検、整備を行うことになっています。
ディーラーは、細かな部分まで点検と整備を行い、必要に応じて消耗品等の交換を行うので、費用は約40,000円~100,000円くらいです。
車検専門業者や一般的な整備工場では、25,000円~80,000円程度とされています。
カー用品店やガソリンスタンドでは、20,000円~60,000円程度です。
部品交換費用
部品交換費用というのは、車を点検した際に消耗や劣化が見られる部品を交換しなければならない時にかかる部品代が工賃になります。
ディーラーでは純正の部品を使うのでどうしても費用が高くなります。一方で、リビルト品を使うように相談すれば部品代を安く抑えることもできます。
部品自体は中古ですが、品質は新品部品とほぼ同等なので性能面では問題ないと言えるでしょう。部品交換も工夫次第で費用を節約することができます。
ブレーキパッドはブレーキで摩擦を起こし、減速や停止させるための重要な部品の一つです。摩擦が起きるのでどんどんすり減りブレーキの効きが悪くなってしまうので、そのままにしておくと危険です。
ブレーキパッドに交換時期は車の使用頻度や乗り方などでもすり減り具合が違うので、一概には言えません。
新品だと厚さは1㎝程になります。使用するたびにすり減り、1㎜になったら寿命とされているので、その前には交換したいところです。
ブレーキをかけると異音がするようになったら危険なので交換しましょう。
交換費用は前側もしくは後側のいずれかの場合、工賃込みで約15,000円くらいはかかるとされています。
バッテリーはよく耳にする部品ですが、車に必要な電力を備えています。
バッテリーは主に、エンジンの始動やヘッドライトなどのライト類の点灯、カーナビやオーディオ、ワイパーやパワーウインドウなど車に備わっている電装品を動かす動力となります。
バッテリーは使っても充電されますが、寿命があるので交換が必要です。バッテリー上がりを起こすとエンジンが始動できなくなります。
車の使用状況によって寿命が違いますが、通常は3年位で寿命だとされています。そのため、24ヶ月法定点検で交換するという方も多いでしょう。
交換費用は車種にもよりますが、工賃込みで約10,000円~70,000円とされています。
特に最近の車はアイドリングストップ用の高性能バッテリーを使用しているため、交換費用が高くなる傾向にあります。
エンジンオイルは、エンジンをスムーズに動かすための潤滑油として使われています。
交換時期は車種や使用状況によって違いますが、一般的に走行距離1万㎞もしくは1年ごとの交換が推奨されており、短距離や短時間の使用が多い場合は5000kmもしくは半年での交換が推奨となります。ターボ車などはエンジンへの負荷が大きいので、走行距離は5000㎞もしくは半年ごとの交換が良いでしょう。
交換費用はオイルのグレードによって変わってきますが、安いオイルの場合は工賃込みで4,000円程です。
エンジンオイルフィルターはエンジンオイルをろ過し、不純物を取り除くための部品です。「オイルエレメント」とも言います。エンジンオイル交換と同じタイミングもしくは2回に1回での交換が望ましとされています。交換費用は工賃込みで2,000円程です。
ブレーキオイルは、ブレーキの力をタイヤに伝えるためのものです。
水分を取り込みやすい性質があり、水分を含んで劣化するとオイルの沸点が低くなります。そうなると、ブレーキオイルがすぐに沸騰して気泡が生じ、ブレーキの力がうまく伝わりにくく、ブレーキの効きが悪くなります。安全性を損なわれないためにも定期的な交換が必要です。
走行距離や使用頻度が少なければ3年ごとの交換でも良いですが、より高い安全性を確保するなら車検ごとの交換が望ましいでしょう。新しいオイルは黄色っぽい色をしていますが、酸化すると劣化が進んで茶色くなるので、色の変色も交換のサインになります。
交換費用は工賃込みで4,000円程です。
エアクリーナーというのは、エンジンが空気を取り込む際に空気中の埃などを取り除くための、ジャバラのような形状をしたフィルター部品です。エアクリーナーボックスというカバーに中に入っています。
エアクリーナーは表は綺麗でも、裏返せばかなり汚れがついていることがあるので要注意です。汚れたままだとエンジンに取り込む空気が浄化されないので、エンジンの性能や燃費が悪くなります。
交換のタイミングについては、走行距離が3~4万㎞になったあたりです。
交換費用は工賃込みで4,000円程かかります。
タイヤは走行時に地面と摩擦を繰り返し、すり減っていきます。
タイヤの溝の深さは車検でも規定がある、溝が1.6㎜以下になると車検で不合格となります。すり減ったタイヤは元には戻らないので、交換するしかありません。また、車の使用頻度が低くてもゴムが劣化して、ひび割れることがあります。
タイヤの溝が残っていてもゴムの劣化を考えたら、最長でも5年ごとにタイヤは新品に交換するのが望ましいでしょう。
交換費用は車種によってバラバラですので、お店に確認してください。
冷却水は動かして熱くなったエンジンを冷却するための液体です。水に腐敗や凍結を防ぐための薬品を混ぜてあります。
劣化すると冷却機能が低下して、エンジンがオーバーヒートを起こしたり、部品が錆びてしまったりするトラブルが起こります。
交換のタイミングは2年が目安のため、車検時に交換すると良いでしょう。
最近はスーパーロングライフクーラントという、5年間無交換でも問題ない冷却水も出てきています。交換費用は工賃込みで5,000円程となります。
スパークプラグは聞きなれない言葉かもしれませんが、エンジン内で着火を起こす役目を担う部品です。劣化すると燃費の悪化につながるので、早めに交換しておくのが無難です。
交換のタイミングは走行距離2万㎞位だとされていますが、高性能なイリジウムプラグの場合は10万km程度は持つとされています。ただし、少しずつ劣化するので交換のタイミングがわかりづらいのが難点です。
業者によっては、ユーザーが安く仕上げたいと望めば、車検時に費用を抑えるために敢えて交換しない場合もあるかもしれません。しかし、劣化したままだと車の性能に支障をきたすので、交換しなければならないことを覚えておいてください。
交換費用は工賃込みで約8,000円になります。
ワイパーゴムは、ワイパーに被せられているゴムのことです。真夏は直射日光にあたり、真冬は凍結することもあるなど過酷な環境にさらされるので劣化しやすい部品とされています。
雨が降ってワイパーを動かした際に水のふき取りが悪くなったりゴゴゴッと滑りが悪くなったりした場合は交換時期です。交換のタイミングとしては1年に1回ですが、車の保管状況によっては1年以内に劣化してしまう場合もあります。
交換費用は工賃込みで2,000円~5,000円程です。
また、ワイパー自体が変形した場合は本体(ブレード)の交換も必要となります。ワイパーゴムは車検項目にも含まれるので、車検前には交換しておきましょう。
車検付きメンテナンスパックは必要なのか?費用対効果を徹底解説!
見積もりと内訳の内容を知っておくこと
車検にかかる費用に関しては、あらかじめ車検業者に見積もりをとって総額を把握しておくと、車検請求書を見て慌てなくても済みます。また、点検や車検時に必要となる整備に関しても、車検業者の言う通り、全て任せてしまうのは危険です。
中には今は交換の必要がない部品まで交換して車検に関係ない箇所の点検まで行う業者もいます。そうなると、必要以上に車検費用がかさんで予算オーバーとなる可能性もあります。
もちろん、車の性能に関わる部分の部品交換は必要なのでそこを省くのは危険です。自分で点検項目をきちんとチェックし部品の寿命なども把握し、本当に今交換が必要かどうかを見極める目を養うことが大事です。
また、車検請求書の内訳を知っておけば、無駄な費用を請求されずに済むでしょう。