車検において、その車を実際に点検整備したという証拠として「24ヶ月点検整備記録簿」という書類を提出する必要があります。ディーラーや整備工場などに車検を依頼すればあまり見る機会はありませんが、ユーザー車検の場合は自分自身で記入をしなければいけません。

そこで、今記事では24ヶ月点検整備記録簿にフォーカスを当て、どのような書類なのか、どういった内容を記載すれば良いのかという点を中心に解説します。また、ユーザー車検の攻略法も紹介しますので、参考にしてください。

車検ってそもそもどのような項目を見るの?

車検ってそもそもどのような項目を見るの?
乗用車の場合は、2年に1回(新車の場合は初回3年)車検の時期が訪れます。実際のところ、車検とはどのような項目を確認されたり整備されたりしているのか、わからない方も多いかもしれません。

こちらでは、定期的にやってくる車検ではどういったことが見られ、整備されるのかというところを詳しく確認していきましょう。

法律で定められた項目を必ず確認される

車検制度は「道路運送車両法」という法律によって定められています。

その条文の中に、「登録自動車の使用者は、自動車検査証の有効期間の満了後もその自動車を使用しようとするときは、その自動車を提示して、最寄りの陸運支局の行う検査を受けて、その自動車検査証の有効期間の記入を受けるとともに検査標章の交付を受けなくてはならない」と記させています。

車検の正式名称は「継続検査」となっており、自動車検査証の有効期間満了後も自動車を使用しようとするときに受けなければいけない検査です。

法律で定められている項目について詳しく見ることで、同じく法律で定めた「保安基準を満たしているかどうか」が判断されます。

24ヶ月点検整備記録簿の内容を確認する

24ヶ月点検整備記録簿の内容を確認する
国が法律で定めている保安基準を満たしているかどうかを確認するための一つの方法が、「24ヶ月点検整備記録簿」に記載されている内容を確認することです。

この点検整備記録簿には、かじとり装置(ハンドル)や制動装置(ブレーキ)、走行装置(タイヤ)をはじめとした、合計56項目の点検項目があります。

車検を受ける前に24ヶ月点検整備記録簿に点検結果を記載し提出をしますが、実際に検査員に検査をしてもらう際に、こちらの記載内容をもとに保安基準に適合しているかどうかを確認されます。

まず第一条件として、オイル漏れや水漏れがペーパー上あると、車検が通りません。しっかりと点検をしているのかどうかについて、検査員が確認をしていきます。

実際に操作をして確認する項目

24ヶ月点検整備記録簿に記載されている項目を確認することに加えて、実際に車を動かしたりして正常に機能をするか確認したり、24ヶ月点検整備記録簿に記載されている通りかどうか確認したりする項目も存在します。

実際に車を動かして確認する項目は以下になります。

  • ヘッドライトの照射範囲(光軸)
  • スピードメーターの誤差チェック
  • サイドスリップ検査
  • ブレーキの効き
  • マフラーに関する項目(排気音量やガスの濃度)など

これらの項目を実際に車を操作して、保安基準に適合しているかどうかを順番に確認されていきます。

そして、24ヶ月点検整備記録簿に記載されている項目を確認するのですが、このとき重点的に見られる項目は主に「下回りの検査」です。

オイル漏れ、水漏れ、排気漏れがないかという部分や、足回り部品にガタがないかどうかについても確認されます。これらの項目を確認し、どれか一つでも不合格箇所があった場合は車検に通りません。

車検はどこに依頼をして行うか

そもそも、車検はどこに依頼をして行ってもらうのが良いのでしょう。

どこかのお店に頼んで車検をしてもらうと考える方がほとんどかもしれません。お店と言ってもディーラーや整備工場など様々なお店がありますし、実はお店以外にも車検を頼める方法や自分自身で車検を通してしまうという方法もあります。

ここでは、それぞれの車検方法についてかかる費用感なども含めて詳しく確認をしていきます。

ディーラーや整備工場、ガソリンスタンド

ディーラーや整備工場、ガソリンスタンド
もっともオーソドックスなのが、ディーラー、整備工場、カー用品店、ガソリンスタンドといった車に関わる商品やサービスを提供しているお店です。

車検にかかる費用ですが、2,000ccクラスの車を車検に通す場合の費用は、法定費用と整備費用などを含めて120,000円くらいです。ただ、費用は依頼をするお店によっても変わってきます。

お店に頼む際、一般的に費用が高くなると言われている順番は以下の通りです。

ディーラー > 整備工場 > カー用品店 > ガソリンスタンド

ここで言う費用とは「点検整備費用」が主で、1時間当たりの工賃(人件費)で変わってきます。

特に、ディーラーにおいては工賃が高くなる分、しっかりとした整備が受けられ安心だと言われています。しかし、必ずしもこの順番通りではなくお店によって金額の順番が変わってきますので、比較検討をすることをおすすめします。

車検代行業者

ディーラーや整備工場、カー用品店やガソリンスタンドだと「車検費用が高い」と感じてしまう方もいるかもしれません。そういったときは車検費用をより安価に抑えるために、車検代行業者に車検を頼むという方法もあります。

車検の費用の約半分は点検整備にかかる費用です。ディーラーや整備工場、カー用品店やガソリンスタンドに頼むと2,000ccクラスだと120,000円くらいかかるとお伝えしましたが、車検代行業者に車検を頼むとこの費用をもう少し安くすることができます。

車検代行業者に車検を頼む場合の費用ですが、ディーラーなどに車検を頼むより20,000~30,000円程度安く車検を通せるイメージです。

なぜ車検代行業者に依頼すると費用を安くできるのでしょうか?
それは、車検にかかる点検整備を必要最低限しか行わないためです。

必要最低限の整備なので、車検で見られる(チェックされる)部分に重点を置いて車を見ています。逆を言うとディーラーなどは車を安心して使うための予防整備なども行いますが、車検代行業者は費用が安い分整備項目が少ないということです。

自分自身で車検を行う「ユーザー車検」

自分自身で車検を行う「ユーザー車検」
ディーラーや整備工場、車検代行業者に車検を頼むよりも安く、必要最低限の費用だけで車検を通すことができる方法があります。その方法が「ユーザー車検」です。

ユーザー車検という言葉を聞いたことがないという方もいるかと思いますので、ユーザー車検の概要について簡単に説明をします。

ユーザー車検は、自分自身で陸運支局に車を持ち込んで車検を通すということで、間に業者を挟まずに車検を受けます。そのため、その分費用を抑えられるようになるのです。

具体的にユーザー車検でかかる費用については、自動車重量税や自賠責保険、印紙代のいわゆる法定費用のみとなります。

ディーラーや整備工場、車検代行業者に頼むよりも遥かに車検費用を抑えることができますが、ユーザー車検は自分自身で車の点検整備をして、24ヶ月点検整備記録簿を記入しなければいけません。

車の整備ができなかったり、詳しくなかったりという方にはおすすめできない方法でもあります。

車検で必要な「24ヶ月点検整備記録簿」の入手法と書き方

車検を受けるに当たり、陸運支局に「24ヶ月点検整備記録簿」を提出する必要があります。

ディーラーや整備工場などに車検を依頼すればこの書類は全て点検をして記入をしてもらうことができますが、ユーザー車検の場合は自分自身で点検を行った上で24ヶ月点検整備記録簿を記入しなければなりません。

24ヶ月点検整備記録簿はどのようにして手に入れれば良いのか、また記入方法についてもわからないという方も多いかと思います。

ここでは24ヶ月点検整備記録簿をどのように入手し、どのように書けばいいのかを解説していきましょう。

24ヶ月点検整備記録簿はどうやって入手する?

24ヶ月点検整備記録簿はどうやって入手する?
24ヶ月点検整備記録簿は、基本的に車のメンテナンスノートに入っていますので一度確認してみましょう。

メンテナンスノートは車の保証書とセットになっている冊子で、大抵の場合は「車検証入れの中」あるいは「車の説明書」などと一緒にグローブボックスの中に収納されていることが多いです。グローブボックスの中を気にしたことがないという方は、この機会に見てみてください。

24ヶ月点検整備記録簿がなかった場合は、インターネットで検索をするとPDFファイルなどでダウンロードすることもできますし、陸運支局の窓口で購入することもできます。一部の中古車はメンテナンスノートがないこともあるので、メンテナンスノートが見つからない場合はこういった方法で入手をしましょう。

24ヶ月点検整備記録簿はだれがどのように書く?

24ヶ月点検整備記録簿はディーラーや整備工場、車検代行業者などに車検を依頼した場合は、点検整備を担当した整備士が記入をしていきます。しかし、ユーザー車検を行う場合は、自分自身で記入をしなければなりません。

業者などに車検を依頼した場合は、24ヶ月点検整備記録簿を点検しながら随時記入したりすることもありますし、ベテランの整備士の場合は全て点検を終えたあとに一気に記入したりもします。

複数人で点検整備を行う場合はダブルチェックを社内規定としていることもあり、2名以上の整備士のサインが書いてあることもあります。

愛車の買取相場を知ることで高く売ることができます 愛車のかんたん査定はこちら

24ヶ月点検整備記録簿の書き方を徹底解説

24ヶ月点検整備記録簿の書き方を徹底解説
24ヶ月点検整備記録簿を初めて見ると、どのようなことを書いていけば良いのかわからない方がほとんどかもしれません。

記入方法などについては24ヶ月点検整備記録簿に書き方(記入の仕方)が書いてあるものもありますが、「メンテナンスノートの記録簿」と「市販の記録簿」の2パターンに分けて、詳しく確認をしていきましょう。

メンテナンスノートの記録簿の書き方

車に付属しているメンテナンスノートに入っている24ヶ月点検整備記録簿の書き方ですが、基本的に「レ点」でチェックを入れていく部分と、それ以外の記号を入れていく部分があります。ちなみにレ点の意味は「点検をしました」という意味です。

それ以外の代表的な記号の例を挙げてみると、交換が「X」、調整「A」、分解や清掃が「C」などがあります。これらの記号については、点検整備記録簿の余白部分に解説の表が記載されているので、確認してみてください。

市販されている記録簿の書き方

市販されている24ヶ月点検整備記録簿については、入手する場所によってイラストや記入場所のレイアウトが異なっている場合もあります。

基本的には、メンテナンスノートに入っている記録簿と記入方法は一緒で、記号などの解釈もほとんど変わりません。

ユーザー車検をする場合の攻略法を解説

ユーザー車検をする場合の攻略法を解説
「車検費用をできるだけ抑えたい」「自分自身でユーザー車検をしてみたい」という方も多いかもしれません。

しかし、初めてユーザー車検を行う場合は陸運支局の予約から車の点検整備、実際に車を持ち込んで車検を受けるまで、全て一人でできるかどうか不安だと感じるでしょう。

ここでは、ユーザー車検に挑戦する場合の攻略法を、「24ヶ月点検整備記録簿の書き方」と「車検に一発合格するために行うべきこと」の2つの視点から解説していきます。

あらかじめ記録簿に記載されている項目を埋める

車検で陸運支局に車を持ち込む前に、24ヶ月点検整備記録簿の準備をしなければならないので、車を点検しておく必要があります。

まずは、24ヶ月点検整備記録簿を用意して、点検すべき56項目を確認してください。そして、点検整備記録簿に沿って車の点検を進めていきます。タイヤやブレーキなどは、残量が何mmあるのかどうかを記載する必要がありますので、注意が必要です。

車を事前に点検整備をしておいて、24ヶ月点検整備記録簿を車検当日に陸運支局で購入して、その場で記入するというのも、厳密には問題ありません。

しかし、その場で記入するとバタバタして急いでしまい、間違って記載してしまう可能性も高いため、事前に記入をしておく方が良いでしょう。24ヶ月点検整備記録簿だけでなく、車検に必要な書類などを前の日までにあらかじめ用意しておいてください。

ユーザー車検に挑戦したいけど自分自身で車の点検整備をする自信がない場合は、お金はかかりますが法定24ヶ月点検を近くの自動車整備工場などにお願いするという裏技もあります。その結果を持って車検を受ければ、自分一人で行うより安心できます。

車検に一発合格するために行うべきこととは

車検に一発合格するために行うべきこととは
いくら点検整備をしっかりとやっても車検レーンで車を実際に操作すると、その中のチェック項目で不合格とされてしまうことがあります。中でも、「ヘッドライトの光軸」と「サイドスリップ検査」において不合格となってしまう割合が多いのが実情です。

予約をしているラウンド内であれば何度でも検査を受けることは可能ですが、何回も検査を受けるのは手間となります。できるだけ一回の検査で車検を突破したいという方がほとんどでしょう。

そういった場合には、車検を受ける前に陸運支局の近くにある「テスター屋さん」を利用して、前もって車検に合格するように調整してもらうのがおすすめです。

テスター屋さんは通称「予備車検場」とも呼ばれ、陸運支局の車検設備とほぼ同じものが用意されています。費用が数千円かかりますが、事前に車検に必要な確認と調整をしてもらえますので、車検が通るか不安な方は利用を検討してもいいかもしれません。

ユーザー車検と指定工場での車検では記録簿の提出の扱いが違う

ユーザー車検と指定工場での車検では記録簿の提出の扱いが違う
ユーザー車検と業者に頼んで行う車検において、24ヶ月点検整備記録簿の扱いが若干変わってきます。ここでは、その理由などを解説します。

ユーザー車検の場合を説明すると、「検査時に定期点検整備を行っていない場合には、検査後速やかに定期点検整備を行い、その結果を記録する必要がある」というものがあり、24ヶ月点検整備記録簿は必ずしも車検に際して必要がない場合がある、と解釈できます。

一方、指定工場の車検においては「2年点検に際し、ブレーキ等の分解整備を実施した上で自らの検査施設を使用して検査を実施しています」とあります。指定工場においては、24ヶ月点検を行った上で(整備記録簿に基づいた点検を行い記録簿に記入をする)車検を受けなければならない、ということです。

ユーザー車検と指定工場には、国の指定があるかないかによって、ここまで変わってくるということになります。

まとめ

①車検では、事前に行う「法定24ヶ月点検」で行った内容を記載した「24ヶ月点検整備記録簿」をもとに確認する
②24ヶ月点検整備記録簿に記載されている項目を確認するために、実際に車を動かして検査をする
③車検の費用は、基本的には「ディーラーや整備工場>車検代行業者>ユーザー車検」の順番で高い
④24ヶ月点検整備記録簿は基本的に車の保証書やメンテナンスノートに入っているが、ない場合は市販のものを代用する
⑤24ヶ月点検整備記録簿の書き方は、インターネットで例などがあるのでそれを参考にすると良い
⑥ユーザー車検に一発合格するためには、テスター屋を活用するのがおすすめ

※本記事は公開時点の情報になります。
記事内容について現在の情報と異なる可能性がございます。
車の査定は何社に依頼するべき?
愛車の買取相場を知ることで高く売ることができます 愛車のかんたん査定はこちら