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車の車検は有効期間があり、継続車検を受けずにいるといずれ期限切れを迎えます。
車検が切れた状態で公道を走れば処罰されるため、改めて車検を受けるとしても、レッカー移動や仮ナンバーの取得などを検討する必要があり、それなりのコストがかかるでしょう。
この記事では、車が車検切れになった際に生じるリスクとデメリットなどを説明します。また、改めて車検を受ける場合の注意点などもあわせて解説しますので、万が一のときに役立ててください。
車検が切れた場合どうなる?
車を所有している方なら、車検の重要性はご存知でしょう。しかし、やむを得ない事情から有効期間内に継続車検を受けることができず、車検切れの状態になってしまうケースもあります。
この車検切れの状態は、法的には「無車検」といい、そのままで公道を走ると処罰されるリスクが生じます。
その他にも、車検が切れた状態だと保険はどうなるのか、また改めて車検を受けるにはどうすればいいのかという問題について、以下で詳しく説明していきます。
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車検切れそのものは違反ではない
車検の有効期間については、懇意にしている業者などがいれば車検時期が近くなると連絡してくれることも多いので、完全に失念することはないかもしれません。
もし仕事などで忙しくて車検のことを忘れてしまった場合でも、所有している車がうっかり車検切れになったからと言って、それだけで処罰されることはありません。
しかし、車検切れの車をただ所有しているだけでも税金はかかりますし、保管スペースも必要になります。
車検代は変わらない
車検切れになってしまった車を改めて車検に出す際、車検代は高くなってしまうのでしょうか?
追加料金やペナルティがかかりそうな気がしますが、車検代そのものが割高になることは一切ありません。
ただし、車検切れの車の移動方法を考える必要があります。積載車での移動や仮ナンバーの取得など方法はいくつかありますが、そのためのコストはかかります。
車検切れの車を運転してはいけない
車検切れの状態で公道を運転してはならないと法律で決められています。もし車検切れであるにもかかわらず運転した場合は、どうなるのでしょうか?詳しく見ていきましょう。
車検切れの状態で公道を運転することを無車検運行といい、行政処分と刑事罰の両方を受けることになります。
具体的には6点の違反点数と30日間の免許停止、6カ月以下の懲役か30万円以下の罰金です。さらに同じような前歴があると、免許取り消しになることがあります。
車検切れかどうかは車検シールなどですぐ確認できるので、安易な気持ちで公道を走らないようにしましょう。
ただし、公道ではない私有地やサーキットなどをはじめとするあらかじめ許可を受けている閉鎖空間や敷地内で車を動かす分には、違反にはなりません。
多くの場合、継続検査による車検有効期間の更新とあわせて自賠責保険も更新するので、車検が切れれば自賠責保険も切れている場合がほとんどです。
もしも車検と自賠責保険の双方が切れている状態で公道を走り摘発されれば、さらに重罪となります。
行政処分としては6点の違反点数、90日間の免許停止、刑事罰としては1年6カ月以下の懲役か80万円以下の罰金となるでしょう。さらに、常習性が認められて悪質だと見なされれば、逮捕されて交通刑務所に入ることもあります。
なお、車検が切れておらず自賠責保険だけが切れていた場合の罰則は「自動車損害賠償保障法違反」といい、6点の違反点数、1年以下の懲役あるいは50万円以下の罰金です。
ただ自分が摘発されるだけならいいのですが、一番怖いのは自賠責保険が切れている状態で事故を起こしてしまったときです。この場合、もちろん保障はされないので注意しましょう。
車検切れの車で公道を走行して摘発される3つのケース
車検切れの車で公道を走ると処罰されるとはいえ、「見つからなければいいだろう」と思うかもしれません。
しかし、公道での無車検車を発見するために、さまざまな仕組みがあります。その代表的な3つのケースを説明します。
車検に合格すると、交付されるのが車検シール(検査標章)です。これはフロントガラスの決められた位置に貼ることが決められており、貼っていない時点で50万円以下の罰金刑を受けることになります。
車検シールには2つの役割があります。
①車が車検に合格して保安基準に適合していることを示す役割
②車検の有効期限を表示する役割
そのため、車検切れで公道を走った場合、このシールをチェックされるだけで違反だということが分かってしまいます。
Nシステムと呼ばれる、自動車ナンバーの自動読取装置でも車検切れだと分かってしまうことがあります。
これは街頭に設置されており、走行中の車のナンバーを瞬時に読み取って、あらかじめ登録されている車検切れの車のナンバーと照合されるシステムです。
照合されて車検切れと判明した車は、スピード違反の時と同様に検査職員によって停止を求められます。監査現場で警告書などを渡され、後に指導ハガキが送られてくるなどの措置が取られるでしょう。
平成28年度の調査によると、このNシステムによってチェックされた車両のうち0.27パーセント(1,083台)は車検切れの車だったという結果が出ています。
車が車検切れである事実は「通報」によって判明することもあります。
国土交通省のホームページ内には、無車検車などについて誰でも通報可能な窓口が設置されています。そのため、一般の方でも違反車を発見したら電子メールで知らせることができるのです。
公道を走っている車が車検切れかどうかは、先述の車検シールによって誰が見てもすぐチェックできるようになっています。
一般市民による情報提供も、無車検車の撲滅にひと役かっていると言えるでしょう。
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車検切れの車の保険は?
車を運転する上で重要なのが保険ですが、車検切れの車の場合、自賠責保険や任意保険の扱いはどうなるのでしょう?
それぞれの保険内容は全く違っており、万が一車検切れになった場合どのような対応になるのか解説します。
自賠責保険とは、全ての車が強制的に加入させられるもので、ほとんどの場合、車検の際に自動的に更新手続きが取られます。
そのため、車検切れの車は自賠責保険も一緒に切れている可能性が高いです。
もしも自賠責保険が切れている状態で事故に遭遇すれば、自分が被害者であっても加害者であっても補償はされません。その上、事故を起こせば車検切れの事実も判明してしまうので、補償どころか処罰を受けることになります。
補償については、任意保険があるから大丈夫と考える方もいるかもしれませんが、任意保険の補償は自賠責保険でカバーし切れない分の上乗せとして支払われるものなので、自賠責保険が切れていればその分は自己負担となります。
車検切れの車の場合、任意保険の扱いも変則的になります。
まず補償については、自賠責保険でカバーできない分だけは相手へ補償できます。しかし、保険の契約内容によっては「無車検車での事故は補償しない」と約款に記されていることがあり、この場合は補償されません。
また、約款の内容にかかわらず任意保険の適用外となるケースもあります。人身損害補償や車両保険を使う場合で、この2つは契約者に「重大な過失」があると適用外となるのが一般的です。
「重大な過失」の内容は、保険会社の判断によるので一概には言えません。しかし、無車検車で公道を走るという違反行為が、重大な過失と見なされる可能性もあるでしょう。
車検切れの車でも、保険の有効期間があれば補償されますが、その後の継続はできません。
ただし、事情があって任意保険の更新が難しいなら、保険会社から無料で「中断証明書」を発行してもらう方法があります。保険等級を維持したままで、後日加入し直すことができます。
車検切れの車を車検に出す際の移動方法とは?
車検切れの車は、いつでも改めて車検に出すことができます。
しかし、その際に問題になるのが、どのように車検場へ車を移動させるかです。公道を走れない以上、運転以外の手段を考える必要があります。
以下では、4つの移動方法と注意点について詳しく説明します。
車検切れの車を車検場所まで運ぶには、まずキャリアカー(自動車運搬専用車)を自分で運転する方法があります。
キャリアカーには、トレーラーとローダー車の2種類があり、この場合使用するのは、車を1台だけ運べるローダー車になります。
ローダー車の運転には「中型8t限定普通免許証」あるいは「中型免許証」が必要です。
利用する際は、多くの場合レンタカーで借りるか、車検を依頼する業者にローダー車を持ってきてもらうことになります。そのため、ローダー車の利用はコスト面も考慮して判断しましょう。
なお、車検切れの車を牽引ロープで運んだり、トラックの荷台へ積んだりすると、その車を公道で走らせたとして違法と見なされる恐れがあるので、注意してください。
車検を依頼する業者に、積載車による引き取りを依頼することもできます。
こうしたサービスを行っているかどうかは業者によりますが、可能であれば自宅へ引き取りに来てくれ、車検が終われば納車もしてくれるのでとても便利です。
ここで注意したいのが、レッカー移動ではなく、必ず「積載車」を使うことです。車検切れの車の場合、たとえ運転していなくてもタイヤを転がして公道を移動させるだけで「公道を走行した」として違法と見なされる恐れがあります。
そのため、車を牽引するレッカー車は使えません。車検切れの車を引き取りに来てもらう場合は積載車を所有している業者を探しましょう。
車の引き取りについて、業者がどの程度までやってくれるかはまちまちです。エリアを指定していることもありますし、有料・無料の違いもありますので、細かい点は事前に確認してください。
車検切れの車を一時的に運転可能にする方法として、各市町村で申請することで取得できる「仮ナンバー」を用いる方法があります。
正式には「臨時運航許可標」といい、これがあれば車検を受ける場所まで車を運転できます。
ただし、取得するための条件は細かく決まっており、運転の目的(この場合は車検)・経路・使用期間をきちんと決めてそれを厳守しなければなりません。
また、手続きの際は運転免許証、車検証、自賠責保険証などが必要になります。
車検と一緒に自賠責保険が切れている場合は、仮ナンバーで運転する期間の分だけ加入しなければなりません。これは自動車販売店や保険会社などで申し込めるので、あわせて手続きしましょう。
車検を行う業者の中には、車検切れの車にも積極的に対応しているところがあります。それは、仮ナンバーの申請もしてくれて、車の引き取り、検査、納車までを行う「出張車検」というサービスです。
こうした出張車検は、業者へ車検証などの必要書類をFAXあるいは原本で送付することで手続きを任せることができます。
仮ナンバーは代理人でも申請可能なので、自分で車検場に車を持っていく時間がない場合は大変便利なサービスです。
ただし、サービスの内容や料金は業者によって大きく異なる場合があるので注意しましょう。便利だからと全部任せてしまうと、整備費用の内訳なども不明なままになってしまうかもしれません。
廃車手続きの中には「一時抹消登録」というもがあります。
一時抹消登録とは、一時的にその車の登録を抹消するもので、後に手続きをすれば、その車を再び自分名義で登録することができます。例えば、長期の出張などで車を使わないという場合に有効です。
ただし、再登録する際は、新車登録と同じ手続きが必要になります。新規車検を受けて新しいナンバープレートを交付してもらうことになるので、未登録の車をいかにして車検場所まで移動させるかという問題も改めて考えなければなりません。
車検切れの車を車検に出さない場合は?
車検切れの車を車検に出さない場合、その車はどうしたらいいのでしょうか?
以下では、その対処方法と注意点について説明します。
以前から売却を考えていた車であれば、いっそ売却することを検討するという手もあります。
車検を受ければ10万円程度の出費になり、車検のために積載車や仮ナンバーを使って移動させるにも費用がかかるので、売却すればその費用が浮くことになります。
中古車販売店で車検切れの車が売られているのを見ても分かる通り、車検切れの車を売却するのは珍しいことではありません。
売却査定でも、車検切れというだけでマイナスになることはほとんどないでしょう。
むしろ車は時間が経つことで価値がマイナスになるので、売却するなら早いほうがいいです。4月1日になれば車検切れでも自動車税がかかるなら尚更です。
いっそ車検の有効期間が残っている中古車に買い直したほうがトータル的に得なこともあります。
買取業者の中には、出張で査定や引き取りを行っているところもあります。
もともと手放す予定の車であれば、早めの売却して大きなメリットを享受できるでしょう。
車検切れを迎えた車が、もともと故障や老朽化などの理由で廃車にする予定だった場合は、速やかに廃車手続きを取りましょう。
廃車手続きには「一時抹消登録」と「永久抹消登録」がありますが、ここでは永久抹消登録について説明します。
永久抹消登録は、一般的な廃車手続きのイメージに最も近いもので、その車を完全に手放してスクラップなどにします。
手続きに関しては、陸運局で行う書類上の手続きと車を業者へ引き渡すという2つの工程になります。
もし廃車専門の業者に依頼する場合は、書類手続きを代行してくれるところもあるでしょう。こうした業者に依頼すれば、廃車でも多少の値が付くことがあります。使う予定のない車でも多少はプラスの利益が期待できます。
また、税金の還付金が生じることもありますので廃車手続きをするなら速やかに手続きしましょう。
廃車手続き(永久抹消登録・一時抹消登録)を行った場合、その車についてはその後、自動車税の支払い義務は生じません。一時抹消登録をした場合は、その後再登録をすると新たに税金が課せられることになります。
しかし、永久抹消と一時抹消のいずれの場合も、抹消登録手続き前に自動車税の未納分があれば、たとえ車を廃車にしたとしても納税義務は残り続けます。
また、自動車税は4月1日時点の書類上の所有者に対して課せられるので、3月31日に車を廃車にしたつもりでも、書類上の手続きが済んでいないと税金が発生することもあります。
まとめ

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