車はいろいろなパーツによって構成されていて、どこかが劣化すると走行に支障をきたす可能性が出てきます。特にバッテリーが寿命を迎えれば、車の走行が困難になってしまいます。
普段からバッテリーのチェックをしているという方は、少ないかもしれません。ここでは、バッテリーの点検方法とテスターというアイテムを使った確認の流れについて詳しく見ていきます。
点検をこまめに行うことで、バッテリーの寿命を早期発見でき、速やかな対応が可能です。
カーバッテリーの種類と点検方法
自動車で使われているバッテリーには、「開栓型のバッテリー」と「メンテナンスフリーのバッテリー」の2種類があります。
どの種類を使っているかで点検する必要があるかどうかも変わってきますので注意してください。また、マイカーにはどちらのバッテリーが使われているかチェックしましょう。
カーバッテリーの中の一つに、開栓型があります。もし開栓型のバッテリーが愛車に設置されているのであれば、定期的なメンテナンスが必要です。
開栓型のバッテリーの上部を覗くと、6つの栓のようなものがついているはずです。ここをひねって開けることができれば、開栓型のバッテリーであると言えます。
もしバッテリー液が規定の量を満たしていない場合、補充する必要があります。バッテリー液は、この栓を開けて補充する形です。開栓型の栓のことをセルと言います。バッテリー液を補充する際には、すべてのセルに対して補充する必要があります。
現在、開栓型のバッテリーは減少傾向です。昔から同じ年式の古い車に乗っている方の場合、開栓型の可能性があるので確認しましょう。
最近の車で搭載されていることの多いのが、メンテナンスフリータイプのバッテリーです。名前の通り、メンテナンスのする必要のないバッテリーになります。
メンテナンスフリーのバッテリーの特徴として、上部に開栓型のようなセルがない点が挙げられます。6つの栓のような出っ張っているものがなければ、メンテナンスフリータイプのバッテリーであると言えます。
メンテナンスフリータイプの場合、バッテリー液を途中で補充する必要はありません。ただし、寿命を迎えれば、バッテリーが使えなくなります。そこで、おおよその寿命の相場について把握しておきましょう。寿命が来たら速やかに交換すれば、バッテリートラブルで車が立ち往生する心配もなくなります。
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車のバッテリー点検の方法を解説
バッテリーの状態を定期的に確認するのは、安全に運転するために必要なことです。では、具体的にバッテリーをどのように点検すればいいのでしょう。
バッテリーの点検方法にはいくつかのアプローチがあります。どのようにバッテリーの点検をすればいいか以下にまとめましたので、参考にしてみてください。
電圧計があれば、こちらを使ってバッテリーの状態を点検する方法が可能です。電圧計を使用する場合、まずはイグニッションスイッチを切りましょう。
続いてプラスのバッテリーターミナルに装着されているカバーを外します。ターミナルの状態を目視して、汚れているようであれば掃除してきれいにしておいてください。
下準備の整ったところで、電圧計とバッテリーをつなげていきます。電圧計につながっているプラスの方のリード線を、バッテリーのプラスプラグにつなぎます。
同じような要領で、マイナス側のリード線をマイナスのプラグにつないでください。そうすると電圧計に数値が表示されるので、こちらで状態を確認する流れです。
エンジンをクランキングにした状態で、バッテリーを確認する手法もあります。この場合、まずは、イグニッションキーをオンにしてスターターを作動させましょう。
エンジンを回す時間はだいたい2秒が目安です。エンジンがクランキングしたところで、パワープローブで数値を確認します。
この時数値が9.6ボルト以下になっているようであれば、対策を講じなければなりません。充電してもバッテリーが蓄電していない可能性が疑われるからです。
イグニッションキーを回して、エンジンを動かす必要があります。この方法でバッテリーを点検する際には、複数人で対応するのがおすすめです。
愛車のバッテリーの状態を点検するにあたって、テスターを利用する方法もあります。テスターはカー用品店や通販サイトで購入が可能です。
テスターの中でもポピュラーなサーキットテスターの場合、測定レンジを選ぶ必要があります。車の場合、20Vを選択するのが望ましいです。
サーキットテスターの場合は、電流を測定する方法として直流と交流の2種類があります。車の電気は直流ですから、交流電圧では正しい測定ができないので注意が必要です。
電圧の測定はそれほど難しくありません。テスターに針が2つ用意されているので、これをプラスとマイナスのプラグに当てるだけです。
車のバッテリー点検をテスターで行う方法
車のバッテリー点検をするにあたって、テスターと呼ばれるアイテムを活用する方法があります。このテスターを使ってどのようにバッテリーの点検をすればいいか、ここでは詳しく見ていきましょう。
テスターを利用すると、いろいろな数値が出てくるはずです。どの数値であれば問題ないか、異常を判断する基準はどこかについてもまとめました。
バッテリーが弱った状態になると、エンジンがかかりにくいなどのトラブルが起こる可能性があります。エンジンが始動しないとなかなか出発できず、当日のスケジュールに支障をきたすかもしれません。
そこで、定期的にテスターを使ってバッテリーのコンディションを確認する必要があります。もし正常値以外の数値が出てきた場合、バッテリーが何らかの問題を抱えていると解釈できます。
早めに対処すれば、バッテリーの決定的なトラブルを回避できるかもしれません。また、劣化や寿命にもいち早く感づけるようになります。
寿命で車が動かなくなるような事態も起こりにくいでしょう。トラブルを未然に防ぐためにも、バッテリーの点検を定期的に行うことをおすすめします。
具体的にサーキットテスターでバッテリーの状態を確認する手順ですが、まず前提条件としてイグニッションはオフにしておきます。その上で、サーキットテスターの電源を入れます。
スイッチは直流電圧に合わせましょう。V端子にはテストリードの赤プラグ、COM端子には黒プラグを差し込みます。
次に、バッテリーのプラスとマイナスの端子をサーキットテスターのテストリードを接触させます。この時プラスには赤色、マイナスには黒色のテストリードを接触させないといけません。
そうすると、サーキットテスターに数値が表示されるはずです。それが現在のバッテリーの電圧になります。
サーキットテスターによる電圧測定ですが、最初はエンジンを切った状態でチェックします。しかし、その後エンジンを始動させて、電圧の変化を確認するのもおすすめです。
エンジンをかけると、オルタネーターが発電して電圧が上昇します。しかし場合によっては、思っているほど電圧が上昇しないこともあります。
これは、オルタネーターが十分な発電をしていないためです。オルタネーターそのもののトラブルもあれば、ベルト関係にトラブルが発生していることもあり得ます。
逆に電圧が異常に高く上昇する場合も、何らかの問題を抱えているかもしれません。電圧のコントロールをしているレギュレーターに問題があって制御できていないからです。
エンジンが停止している時にテスターで数値を確認したら、エンジンを始動させましょう。2,000~2,500回転くらいにして、再度テスターで測定します。
サーキットテスターで先ほど紹介したように測定すると、数値が出てきます。この時、どの数値が出れば問題ないのでしょう。
ここでは、エンジンが停止している状態と動かしている状態で、何が正常値なのかについてまとめました。正常の範囲を逸脱する数値が出れば、バッテリーに何らかの問題を抱えている可能性があります。
エンジンが停止している時のテスターの正常値は、12V前後と言われています。開栓型バッテリーの場合、1セル当たり2.1Vの鉛電池が搭載されているからです。
この種類のバッテリーの場合、6つのセルが搭載されています。よって2.1×6=12.6Vが満充電の際に発生するであろう電圧になるわけです。
もしこれよりも低い数値しか出ない場合、バッテリーが弱っている可能性があります。ただし、アイドリングストップや充電コントロール機能が搭載されている車種の場合、12.4V以下になるように制御されているものもあるので注意が必要です。
中には、エンジンを停止させていても13V以上の数値の出る車もあります。これは走行直後の可能性が高いので、エンジンを停止したままでヘッドライトを10~30秒程度点灯させてから再度測定するといいです。
エンジンを始動させると、電圧が上昇します。どの程度上昇するかで、オルタネーターにトラブルが発生していないか確認できます。
13.5~14.7Vの数値が出ている場合は、問題ありません。オルタネーターも正常に機能している状態です。
しかし、もし13V未満の場合、オルタネーター本体もしくは回転ベルトに何らかの不具合が発生しています。また、16V以上に跳ね上がる場合には、過電圧の状態となっています。
過電圧が起きているのは、レギュレーターが故障しているからかもしれません。この状態を放置していると、バッテリー本体や電装品の故障を誘発する可能性があります。
過電圧がしばらく続くようであれば、ディーラーや整備工場に持っていって必要な修繕をしましょう。
車のバッテリー点検で使用するテスターの選び方
バッテリーの点検を定期的に行うのであれば、テスターを準備した方が良いです。テスターにはいろいろな種類がありますが、どれを購入するか、何を重視するかによって変わってきます。
また、テスターにはいくつか用途があります。用途によってどのテスターを購入するのがおすすめか変わってきますので、ここで紹介します。
アナログ式とデジタル式
テスターの種類分けとして、表示方式があります。2種類あり、アナログ式とデジタル式に分類できます。
どちらを購入した方がいいか、これは一長一短です。数値の正確さを重視するのと電圧の変化を確認するのとでは、おすすめのテスターも変わってきます。
何を目的にバッテリーのチェックをするか、それに合わせたテスターを購入すると良いでしょう。
アナログ式とは針がついていて、測定すると針の振れるタイプです。針が動くので、電流や電圧の変化を重視している方にはおすすめのテスターとなっています。
例えば、エンジンが停止している状態と始動した状態の変化を重視している方などです。ただし、目盛りを自分で目視しなければならないので、人によっては面倒に感じるかもしれません。
デジタル式と比較すると、リーズナブルな価格で販売されているものも多いです。できるだけ安くテスターを購入したい方にも向いています。
ただし、アナログ式の中には専門性の高いものもあります。計測範囲などスイッチの多い機種もあって、間違った測定をしてしまう可能性もあるので、使いたての際にはマニュアルを確認した方がいいでしょう。
デジタル式の特徴は、測定結果が数字で表示される点です。正確に電圧などの数値を調べたいと思っている方にはおすすめです。
アナログ式の中には、専門知識が取り扱いに必要な機種もあります。しかしデジタル式の場合、スイッチ類も少なく、初心者でも簡単に扱えるものも多いです。
デジタル式のテスターは種類も充実しつつあります。ペンタイプのようなポケットに入れて簡単に携帯できるものや、カードタイプでスリム化した機種も見られます。
オートパワーオフや交流電流の測定など多機能機種もありますので、自分に合った商品が見つかるでしょう。
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用途に合わせた選び方
テスターを選ぶにあたって、どのような用途で使用するかで考える方法もあります。バッテリーの点検に特化して使用する場合とそれ以外でも使用する場合とで、おすすめのテスターは変わってきます。
そこで、ここでは用途別のテスターの選び方について見ていきましょう。自分の用途だと何がおすすめなのか、参考にしてみてください。
バッテリーに特化して測定するテスターを探しているのであれば、マニュアルレンジでいいでしょう。特定の機器だけで使用する場合、測定レンジがある程度想定できるからです。
バッテリーの場合、12.6Vが正常値とされています。そのため、マニュアルで12V程度に設定して測定すればいいわけです。
マニュアルレンジのテスターの場合、ほかのタイプと比較するとリーズナブルな価格で販売されているものが多いです。あまりコストをかけたくないと思っているのであれば、マニュアルレンジのものの中から購入することをおすすめします。
マニュアルレンジの場合、大きな電流の数値から合わせていきましょう。小さな電流から始めると電流差が大きくなる可能性があり、故障する恐れがあります。
テスターは何もバッテリーに特化したものではありません。バッテリー以外の電圧や電流を測定することも可能です。
もしバッテリー以外の点検やメンテナンスをしようと思っているのであれば、オートレンジのテスターがおすすめです。自分で数値を合わせる必要がないので、手間もかけずに手軽に測定できます。
また、対象物の電圧がどの程度のものか、判別がつかないものもあるかもしれません。そのような場合でも、オートレンジのテスターがおすすめです。
ただしマニュアルレンジと比較すると、オートレンジは値段の高いものが多いです。価格をきちんと確認した上で、どれを購入するか慎重に比較しましょう。
車やバイクをいじるのが趣味だという方には、検電テスターを購入するのがおすすめです。車やバイクをいじっている際に、電気がきちんと流れているか確認したいこともあるでしょう。
特に電装品と配線コードを接続する際に、通電しているか確認することは大事です。検電テスターは、シンプルな構造となっています。
使い方も簡単なので、初心者の方でもすぐに使い方をマスターできます。また、シンプルな機能しか搭載されていないので、リーズナブルな価格で購入できるものも多いです。
ただし、直流電流に特化したテスターなので、交流電流のものには使用しないでください。