車を改造する方法に「床張り」があります。床張りを行うと見た目が良くなり、さらに調度品を設置してキャンピングカー仕様にすることもできます。

しかし、床張りそのものは車検で問題にならないのでしょうか?

結論から言うと、床張りそのものはいいのですが、車の用途・ナンバーによっては、床張りに伴う改造に制限があります。また、そうした改造の内容によっては、結果的に内装の素材や車の重量が車検時に問題になるので注意を要します。

車の床張りは禁止されていない

車の床張りは禁止されていない
車をキャンピングカー仕様にしようとDIYで床張りをするケースがありますが、法律上特に問題ありません。

ただし、家具を設置したり、スペースを拡張したりするなど、床張り以外の事柄で保安基準に抵触することがあります。

つまり、床張りを含めて車をどのような形に仕上げたいのか、車の車種は何なのか、それによって必要な法的手続きは何なのかを全体的に把握しておくことが大切です。

以下で詳しく説明していきます。

床張りキットも存在する

車への床張り用のキットは普通に流通しており、ネットなどでも購入可能です。基礎から施工するような本格的なDIYまでは考えていないという方向けに、荷室へ乗せるだけというキットもあります。

「乗せるだけ」だと、車検の際も簡単に取り外せて、床張りではなく荷物だという捉え方ができるので車検対策にもなります。詳しくは後述しますが、床張りのやり方によってはその他の保安基準に引っかかることもあるので要注意です。

床張りのメリット

床張りのメリット
車の荷室を床張りにすることには、大きく分けて3つのメリットがあります。

まず1つめは、床の凹凸がなくなるので荷物が積みやすくなることです。さらに床にある程度の高さがあると地面からの振動も軽減されるので、重量物なら安定して運搬でき、軽いものも崩れにくくなるでしょう。

2つめは、掃除がしやすくなることです。平らな床張りを施すことで、車内の凹凸を意識せずにゴミなどを取り去ることができます。床張りをしない状態の荷室は、意外と凹凸があるため砂ぼこりなどが溜まりやすいです。同時に窪みに溜まったゴミを掃き出すのも大変ですが、それも解消されます。

3つめは、車中泊用ベッドを取り付けたい場合、床面が平らなので簡単に設置できる点です。車をキャンピングカー仕様にすることを目的に床張りを施す方は多いですが、ベッドをはじめとした、キャンピングに必要な家具全般の取り付けに役立つでしょう。

車の床張りが問題になるケース

車の床張りが問題になるケース
車に床張りを施すこと自体は問題がなく、それだけなら車検でも通ります。ただし、床張りのための素材は難燃性でなければならないというルールがあるほか、ベッドなどの重量物を設置する場合、スペース拡張のために後部座席を外す場合などは保安基準を意識する必要があります。

素材(可燃性か否か)

車を床張りする際に押さえておかなければならないポイントに、「素材」の問題があります。

保安基準上、車の内装に使う素材は、車両火災の防止などの観点から難燃性のものを使わなければならないと決まっています。

ただし、難燃性素材の使用が義務となっているのは運転席と客室、つまり乗車スペースなので、荷室部分の床については気にする必要がありません。木製の板を使うとしても、厚さ3ミリ以上のものなら難燃性と見なされます。

少しややこしいのが、荷室の床張りは難燃性でも、その上にフローリングマットなどを敷く場合です。車検時にマットを外せるならいいのですが、床に貼り付けていたり動かすことがほぼ不可能な家具などが上に載っていて実質的に固定されていたりするものは、車検時の検査対象になります。

こうした場合は構造変更を行っても通りません。日本自動車車体工業(JABIA)が発行している難燃性の証明書が必要です。

車の重さ

車検では車の総重量も検査の対象となるため、床張りを施すことで重量が増す場合は注意が必要です。

検査で基準になるのは車検証に記載されている重量で、その数値よりも50キロ以上オーバーしていると車検に通りません。

車検の際は、下ろせる荷物は全て下ろすのが原則です。例えばキャンピングカー仕様に改造しているなら、固定している床張りは動かせなくても、その上に載っているベッドなどは下ろしましょう。

ただし、車両の種類によって異なる部分があり、キャンピングカーで8ナンバーのものなどは、積まれた設備を下ろす必要はありません。もともとそういった設備の搭載が前提の車だからです。

また、実際の車検でいちいち車の重さを測定するのかというと、絶対とは言い切れない部分があります。わざわざ測定するのは見ただけで明らかに重量が増していることが分かる場合で、そうでない場合はチャイルドシートなど比較的軽量の荷物は積んだままでも問題ないことが多いです。

後部座席を外した

せっかく車の荷室に床張りを施すのだから、荷室のスペースをもっと拡張したいと考える方もいるかもしれません。その際、選択肢に入ってくるのは後部座席を外す方法です。

ただし、後部座席を外すと車種によっては車検で通らなくなります。車両ごとの乗車定員があらかじめ決まっており、車内でその人数分のシートとシートベルトがなければいけないからです。

具体的に言えば、無条件で後部座席を外すことが認められるのは4ナンバーのバンだけです。例えば5ナンバーの乗用車は、運転席の後ろに50%以上の乗車スペースが確保されていないといけません。

どうしても後部座席を外したいなら、その車を4ナンバーの貨物車に変更してから構造変更手続きを行いましょう。この2段階の手続きは、いずれも陸運(支)局などで行えます。

ただし手続きによって車内の乗車定員が変わると、今度はそれ以上の人数を乗せると法律違反になるので気を付けましょう。

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床張りした車を車検に通すには?

床張りした車を車検に通すには?
ここまで、車に床張りを施す場合に想定される問題をいくつか紹介しました。ではそれを踏まえながら、床張りをした車やそれを含めた改造車をスムーズに車検に通すためには、どんな工夫や手続きをするといいのかを考えていきましょう。

構造等変更申請を行う

車を床張りしてキャンピングカーとして改造した場合、前項で述べた理由から車検に通らなくなる可能性があります。その場合は、普通自動車なら陸運(支)局で、軽自動車なら軽自動車検査協会で構造等変更申請を行いましょう。

構造等変更申請とは、改造車を検査し直し、安全性を改めてチェックする手続きです。改造により新しく生まれ変わった車を新規車検の段階からやり直すものなので、それまでの車検の内容も一度リセットされます。

手続きには書類審査と実車検査の2段階があり、あわせて10日前後かかります。これをクリアすると安全性が認められ、車検証の型式欄に「改」の文字が付記されて公道を走れるようになります。

ただし、構造変更申請も必ずパスするとは限りません。キャンピングカーをさらに改造したものは申請にも通りにくいと言われています。通らなければDIYも無駄になってしまうので、初めから保安基準のことを意識して臨みましょう。

ナンバーを変更する

床張りを施したい車が普通乗用車(5ナンバー)だった場合、そのまま床張りをするなら問題ありませんが、後部座席を取り外してスペースを広くすると車検に通らなくなります。この場合はナンバー変更を検討しましょう。

普通乗用車を貨物自動車(4ナンバー)に変更すれば、後部座席を取り外しても車検にパスできます。難易度は高いものの、2段階の手続きを経て8ナンバーのキャンピングカーに変えることも可能です。

取り外し可能なパーツのみを使う

荷室へ乗せるだけの床張りキットがあると前述しましたが、DIYを行う際、このように取り外し可能なパーツだけを使うのも一つの手です。そうすれば「荷物」という扱いになり、車検の際にも車から降ろしておけるので、構造変更申請も不要になることがあります。

ただし、普通自動車の後部座席を普段は外して床張りし、車検の時だけ元に戻して床張りキットも外すというような「車検逃れ」のようなやり方は厳禁です。

専門家に相談しながら行う

車をDIYするとなると、技術的な問題にとどまらず法律上の問題が関わってきます。しかし条文をきちんと読んでも素人には分かりにくいことが多く、またインターネット上の情報は「法改正前のものだった」など、鵜呑みにできないこともあります。

そのため、少しでも不安を感じたら、専門家のアドバイスをもらいながら施工するようにしましょう。懇意にしているディーラーや販売店、カー用品店があればお願いするのもいいですが、最も確実なのは陸運(支)局です。

ユーザー車検を行う

車検に通る・通らない以前の話になりますが、DIYで床張りなどの改造を行った車は、ディーラーや整備工場では車検を受け付けてくれないことがあります。特にディーラーは、改造車や非正規品を使った車を受け入れてくれない傾向があります。

あちこちで断られる手間を省きたいなら、最初からユーザー車検にするのも一つの手です。4ナンバーに切り替えたため毎年車検を受ける必要がある場合でも、ユーザー車検ならある程度費用を抑えられます。

内装を改造する場合の注意点

ここまで、車の荷室を床張りする際のポイントや注意点を説明してきました。床張りそのものは車検でもほとんど問題にはならないものの、床張りを行うことによって、結果的に他の保安基準に抵触してしまう恐れがあります。

近年、車をキャンピングカー仕様にするために床張り(内装)を施して改造するケースが多くなっています。以下ではこうしたケースに絞った形で、どのような点に注意すべきか、その概要を説明してきましょう。

キャンピングカーについての注意点

キャンピングカーについての注意点
昨今のアウトドア人気もあって、キャンピングカーの需要が高まっています。しかしキャンピングカーは高額なので、乗用車や貨物車をDIYして車中泊などができるよう改造するケースも多いです。

この場合の注意点を以下で説明します。

8ナンバーのキャンピングカー

8ナンバーのキャンピングカーをDIYした場合も、保安基準を満たさない場合は車検に通りません。

キャンピングカーはもともと大規模な改造によって特種用途自動車と認められたもので、水道や炊事設備の面積などの構造要件が細かく決められています。

ただし、2022年4月1日から一部の構造要件が緩和されています。そのため、今後はキャンピングカーのベースになる車種も増え、扱いやすくなっていくことが考えられます。

8ナンバー以外のキャンピングカー

8ナンバーのキャンピングカーには優遇措置もあることから、自車をDIYでキャンピングカー仕様に改造し、8ナンバーに登録しようとするケースも多くあります。しかし前項の通り、細かい構造要件を満たさないと登録はできません。

そのため、こうした車の多くが、8ナンバーを取得できずに「改造された4ナンバーあるいは5ナンバー」の車として使われている実情があります。

4ナンバーは貨物自動車で、5ナンバーは乗用車です。では8ナンバーと8ナンバー以外のキャンピングカー(仕様の車)の違いは何でしょう?

その1つが車検の際の扱いです。8ナンバー以外の車はたとえベッド、キッチン、トイレなどを設置していても全て車検時に下ろさなければなりません。8ナンバー以外のこうした車の設備は、法律上は「荷物を載せている」だけであり、8ナンバーのように据え置きとは見なされないのです。この点を知らずにいると、車検の時に大変になるでしょう。

保険会社への申告も忘れずに

もし4ナンバー・5ナンバーの車を8ナンバーのキャンピングカーへと変更できたら、保険会社への申告も忘れずに行いましょう。

特に構造変更を経て8ナンバーになったキャンピングカーの場合は、扱いが特別になります。

まず、保険会社によっては改造車両の保険加入は断られることがあります。改造によって事故のリスクが高まっていると見なされるのに加えて、同種の車両のデータも存在しないのでそのリスクの判定ができないからです。

さらに、保険会社によりますが、キャンピングカーのような特種用途自動車が保険契約の対象とされていない場合もあります。

そして、契約できたとしても、車内の設備がきちんと補償範囲に含まれているかの確認を忘れないようにしましょう。キャンピングカーには電化製品やキッチン用品などが備わっています。保険の契約内容によっては、それらの設備を含めた事故による損害を保険金でカバーできない恐れがあるので、契約内容は隅々まで目を通してください。

貨物自動車・乗用車の注意点

貨物自動車・乗用車の注意点
車をDIYで改造する場合、それが4ナンバーの貨物自動車か、5ナンバーの普通自動車かの違いには注意しなければなりません。

床張りを施して車中泊ができる仕様にする場合、乗車スペースと荷室スペースに気を付けましょう。

乗用車(3ナンバー・5ナンバー)

3ナンバーは普通乗用車、5ナンバーは小型自動車のことで、全長4.7メートル、全幅1.7メートル、全高2メートルのサイズを基準に分類されます。

次項の「4ナンバー」の車の場合と比較するためにナンバーによる区分で説明しましたが、両者は一般的な乗用車のことです。いずれもハイエースやヴォクシーなどそれなりに車内空間が広いものも多くあり、床張りをはじめとする内装の改造を試みるケースも少なくありません。

問題になるのは、車内スペースを広げるために後部座席を外す場合です。先述した通り4ナンバー以外の車は無条件で後部座席を外すことが認められておらず、これをやると車検証と車の内容が矛盾することになり、車検には通らなくなります。

どうしても後部座席を外したいなら、まずは4ナンバーへ変更しなければなりません。そして、その上で構造等変更申請を行いましょう。

貨物自動車(4ナンバー)

4ナンバーの貨物自動車なら、後部座席を外して床張りすることができます。もともと4ナンバーは物品の輸送を目的としており、荷室(積載設備)の床面積は1平方メートル以上必要なので、スペースを広く使うことができます。

ただし、後部座席の撤去と床張りができたとしても、改造車として構造変更申請を行わなければいけない点は3ナンバーや5ナンバーと同じです。そのため、運転席のシートと荷室の間に仕切りが必要な点など、4ナンバーに特徴的な保安基準はきちんと押さえておきましょう。

貨物自動車は、車検のタイミングもクセがあります。車両総重量が8トン未満であれば、構造変更検査の後の継続検査は2年後となり、8トン以上の場合は1年後、後はいずれも1年ごとの車検になります。

もし3ナンバーや5ナンバーの車から4ナンバーに変更した場合は、こうした特徴に注意しましょう。

4ナンバーの車は、維持費は安価で済みますが管理に手間がかかるので、DIYを施して4ナンバーに変える場合は熟慮してください。

まとめ

①車の床張りは禁止されておらず、専用キットも存在する
②床張りの素材やその他の改造内容によっては車検で引っかかる
③床張りにあたっては、構造変更やナンバー変更なども検討する
④また、取り外し可能なパーツを使ったり専門家に相談しながら行うと良い
⑤改造車はそもそも車検を受け付けてくれないこともあるので、その場合はユーザー車検を検討しましょう
⑥車のナンバーによって、床張りなどの改造の許容範囲が異なるので注意が必要

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