車を売却したい場合は、必ず車の「査定」を受ける必要があります。
査定とは、買取業者に前もって売却価格を見積もってもらうことです。これを行わないと、自分の愛車がいくらで売れるのかが分からないまま、売却手続きを進めることになってしまいます。
ここでは、査定を受ける前に知っておきたいことや必要な準備と心構え、査定を受ける具体的なやり方についてまとめました。
車の売却を検討している方は、参考にしてみてください。
車を査定に出す流れは?その順序を解説
車を売却するなら、できるだけ高値で買い取ってもらいたいと思う方がほとんどでしょう。だからこそ、車を手放す時は慎重な姿勢で臨むことが大事です。
車を売却する時に必ず行われるのが、買取業者による「査定」です。この査定の流れをつかんでおけば、それに合わせて事前準備ができます。
スムーズに、なおかつお得に車の売却ができるように、ここでは車を査定に出す基本的な流れとその準備について説明します。
前もって確認しておくことは2つある
車を売却する時には、事前準備とは別に知っておきたいことが2つあります。
この2つを知っておくことにより、査定を受ける際に「自分の車の価値」や「売るべき時期」を把握することができます。
次の段落から、詳しく説明します。
過去に事故を起こした車は、売却しようとしても買い取ってもらえなかったり、よくても買取価格が安くなったりする可能性があります。
事故車はいわば「傷物」だからです。では、どの程度のものだと「事故車」に該当するのでしょう。
どのような傷がついていたりすると査定額に影響が出るのか?それを事前に見分けるにはどうすればいいのか?疑問に思う方もいるかもしれません。
そもそも、車の査定額に影響を及ぼすのは「事故歴」ではなく「修復歴」の方です。事故の内容は無関係で、車のどの部分を修理したかが問題です。
特に大きな修理をしている経歴があると、場合によっては買取価格が通常よりも数十万円も下回ることがあります。そのため、愛車の修復歴はしっかり確認しておいてください。
特に中古車で購入している場合は、販売店側で前の持ち主の修理歴を見落としている可能性もありますので、注意が必要です。
なお、修復歴があるのに知らないふりをして売却してはいけません。後に法的責任を負うこともあります。
車を所有していると、次の3つの支払い義務が生じます。
排気量によって税額が決まり、その年の4月1日現在の所有者に納税義務が生じます。
車の重さに応じて税額が決まり、車検の時に前払いします。
交通事故の被害者を救済するために同保険への加入は法律で義務付けられています。
自動車税、自動車重量税、自賠責保険料は高額なので、合計すれば数万円単位の出費となります。よって、車を売る時に少しでも返金されないかと期待したくなるところです。
しかし、これらは還付制度が存在せず、基本的に返金されません。以下で詳しく説明します。
先に自動車税について「還付制度はない」と説明しましたが、実際には買取業者が一部を査定額に含めて返金してくれます。
自動車税は、4月1日~3月31日までの1年分を前払いしていますので、車を売却した日より後の分が返ってきます。(ただし、軽自動車にかかる「軽自動車税」は返金されません。)
この返金は法律に基づいたものではないので、処理方法も業者によって異なります。気になる場合はあらかじめ確認しておきましょう。
自動車重量税と自賠責保険料は、いずれも車を売却する場合は返ってきません。これが返金されてくるのは、廃車の手続きである「永久登録抹消手続き」を行った場合だけです。
しかし、買取業者によっては、査定の際に自動車重量税と自賠責保険料にあたる分を上乗せして査定してくれることがあります。
その点の取り扱いは買取業者により異なりますので、自動車税の返金分のことと合わせて、前もって確認しておくと良いでしょう。
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車を査定に出す前にする準備について
車の査定は、買取店にただ車を持っていけばいいわけではありません。
手続きをスムーズに進めるためには事前準備が必要で、これをしたかどうかで査定金額が変わってくることもあります。
具体的にどのような準備をすればいいのか、詳しく説明します。
車の査定だけを受ける場合、特別に必要な書類はありません。しかし、いざ売買する際には必要書類がいくつかあるので、査定を受ける時点で準備しておくと良いでしょう。
査定の段階で必要書類があれば「売る気」がアピールできます。担当者に熱意をうまく伝えられれば、高値を提示してくれるかも知れません。
必要書類は主に以下の5つです。
- 自動車検査証
- 自動車税納税証明書
- 自賠責保険証明書
- リサイクル券
- 印鑑証明書 など
書類によっては、車のダッシュボードに保管されている場合が多いです。
自動車税納税証明書は、自動車税を納税した時に領収書のようにもらう、押印された半券です。紛失した場合は再発行手続きが必要となります。
再発行手続きをする場合は、普通自動車と軽自動車によって手続き先が違うので注意してください。
印鑑証明書は、市区町村役場や証明書発行センターで発行してもらいます。印鑑登録をしていない場合は、まずは登録手続きを優先しましょう。
また、もし車検証の住所と印鑑証明の住所が異なる場合、住所変更の経緯を証明する住民票や戸籍の附票が必要です。結婚して姓が変わっている場合には、戸籍謄本によって同一人物であることを証明することになります。
車をきれいにしておけば、査定する担当者も気持ちよくチェックできます。「この車は大事に扱われているな」という印象を与えられれば、査定金額も高くなるでしょう。
そのために具体的に何をすればいいか説明します。
まずは洗車をして、外装の汚れをきれいに落としましょう。ガソリンスタンドなどの洗車サービスが便利で、ワックスをかけてピカピカになればベストです。
外装でだけではなく、車の内部もきれいにします。一番汚れやすいフロアマットは、取り外して水洗いをするときれいになったように見えますが、乾かすと汚れが浮き出ることがあります。
汚れが消えるまで水洗いと乾拭きを繰り返し、きちんと落としてください。車内のシートやダッシュボードも、意外と汚れているものです。
また、小さい子供が乗ることが多い場合、食べ物の容器や食べこぼし、おもちゃなどが残っていることもあります。入念にチェックして掃除機をかけ、専用の掃除シートで拭きましょう。
傷やへこみがあると、買取金額が低くなる可能性があります。小さな傷やへこみなら自分でペイントペンやパテで隠すこともできますが、あまりおすすめできません。
素人が修理してもムラなどが出てしまい、プロの視点では車の状態が逆に悪化していると判断されることもあります。
プロ並みの修理技術がある方以外は、傷やへこみの修理はしないか、プロに修理してもらってから査定に出す方がいいでしょう。
車内の臭いも、意外と重要なポイントです。自分では臭わないと思っていても、車にはそれぞれ独特の臭いがあり、他人から見ると実際には「かなり臭い」と感じられる可能性があります。
特に車内でタバコを吸う習慣がある方や、ペットと一緒に車に乗る機会が多い方は要注意です。こうした臭いがきついと査定においてマイナスになる可能性も高くなりますので、しっかり換気して消臭剤を使いましょう。
芳香剤は逆効果になることがあるので、使用するのは避けた方がいいかもしれません。
車の査定ではトランクも確認します。
例えば、ゴルフなどのスポーツ用品、家族で出かけた時のレジャー用品などの荷物が入れっぱなしの場合は、先に片付けておきましょう。
トランクに荷物が残っていると、査定に時間がかかってしまいます。また、心証もマイナスになってしまいます。
車を査定に出すというのは、いずれにせよ近日中にトランクも空っぽにして車を手放すということです。どうせ片付けることになるなら、査定の時点で先に片付けと掃除を済ませておいた方が査定のプラスにもなり、お得です。
売却する車の買取相場は、事前に調べておきましょう。
車の査定価格が高い店舗を見分けるためには、事前に愛車の査定相場を知っておくことが重要です。
相場を知っておかないと、低い査定額を付けられてしまった時に気付くことができません。また、いざという時に査定額アップの交渉もしやすくなるでしょう。
車の買取価格の相場は、Web上で簡単に調べることができます。サイトによっては、匿名(個人情報なし)で車買取相場を知りたい方向けのネット査定額の閲覧が可能です。
また、買取価格に影響する年式、グレード、ボディーカラー、走行距離、次の車検時期を入力することで、さらに正確な査定相場が分かるものもあります。
買取価格を調べられるサイトはたくさんありますので、手続きを進める前に自分に合ったやり方で車の買取相場を確認しおくと良いでしょう。
車は売りたい時に売るのが一番ですが、売るタイミングによって、買取価格が十数万円も異なる場合があります。
特に車の買取価格が上がる時期は年に2回あり、一番ベストなのは「1~2月」で、次にベストなのが「9~10月」です。
いずれも新生活のスタートに向けた車の需要が増える時期で、中古車販売店はそれに備えて在庫の確保に必死になり積極的に動きます。このため、普段の相場より高くなるのです。
また1~2月に買取価格が上がるのは、3月に自動車ディーラーの多くが決算を迎えるからで、特に大手ディーラーは販売戦略に力を入れます。
それには及ばないものの、同じ理由から半期決算の時期にあたる9月も通常よりは競争が激しくなります。
また、売却する車が現行型なのか型落ちのモデルなのか、つまり「フルモデルチェンジ前か後か」という点も見逃せません。
フルモデルチェンジが行われると買い換えの機運がユーザーの間で高まり、旧型モデルの売却が増えて価値が下がり、買い取り額が安くなるからです。
一般的に、車のフルモデルチェンジのタイミングは発売から5~6年程度と言われています。しかし、一般ユーザーがフルモデルチェンジのタイミングを知るのは、なかなか難しいかもしれません。
車をなるべく高く売却したい場合は、買取業者選びにも注意が必要です。同じ車でも買取業者によって査定基準が、何十万円も異なってくる場合があります。
まずは口コミの評判を確認しましょう。身近な家族や友人に買取業者について詳しい方がいれば、そこから情報を得るのも一つの手です。
また、現代ではネット上にいろいろな口コミや評判が書かれており、接客態度や査定のスピーディさなどの情報を見ることができます。
もちろんネガティブな意見もあるので、総合的におおむね評判のいい業者を選ぶと、間違いがないかもしれません。
車買取業者のほとんどはきちんとしたサービスを行っていますが、一部に悪徳業者もありますので注意が必要です。
例えば、「今日決めてくれれば○万円上乗せします」などと言って「押し買い」まがいの営業をするような業者が存在するのも事実です。そういう、「おかしい」と感じるような販売店は避けるようにして、買取金額が妥当かどうかも冷静に判断するようにしましょう。
せっかくの愛車を売りに出すのですから、きちんとした業者を見極め、納得のできる金額で気持ちよく売却するようにしてください。
査定方法は3つある
準備が整ったなら、査定の申し込みをしましょう。申し込みは電話やWebでできますが、具体的な査定方法には次の3種類があります。それぞれの特徴を説明します。
車の査定の方法で、最もオーソドックスなのが「持ち込み」です。買取業者の店舗に直接持ち込み、その場で査定をしてもらう方法となります。
査定には実際に立ち会うことになり、条件次第では即決してすぐにでも売買契約をすることができます。
買取店に事前予約もできますので、堅実にスケジュールを決めていきたい方は予約方式がおすすめです。しかし、予約をせずに買取店へ行って査定をお願いしても、その場で対応してくれる場合がほとんどです。
持ち込み査定は、買い取りを思い立ったタイミングですぐに査定をしてくれるので、手間をかけずに早く車を売りたい方に向いています。また、買取店のスタッフと直接相談しながら手続きを進めていけるというメリットもあります。
「引き取り」あるいは「出張買取」という方法もあります。これは家や職場など、指定する場所に査定士に来てもらうことができます。
この方法は、自分で買取店に行く必要がないというメリットがあります。もしも買取金額に納得がいけば、そのまま愛車を引き取ってもらうことも可能です。
大手の買取業者であれば、日本全国どこでも出張買取してくれるでしょう。中小の業者の場合は出張可能なエリアが限定されている可能性もあります。
また、持ち込みの場合と比較しても査定買取金額が違ってくるということもありません。
ただし、後のトラブルを防ぐためにも、依頼する場合は出張査定が無料かどうかを事前に確認しておきましょう。
車の査定には、一括査定という査定方法も存在します。これは、インターネットのHPなどのフォームを使って一度査定を依頼すると、そこから複数の販売店での査定を行ってもらえるというものです。
このやり方は、本当はいくつかの買取店に査定をしてもらって買取金額を比較したいが、買取店を探す手立てがない…という方に向いています。
1回の申し込みで複数の査定先探しを任せられるからで、これは大きなメリットと言えます。ただし、デメリットもあります。
査定してくれる買取店が全て良質な業者とは限りませんし、複数の買取店が関わるため「買い取り競争」のようになってしまい、我先にとたくさんの買取店からアプローチされるかもしれません。
とはいえ、一括査定はこうしたメリットとデメリットを踏まえた上でなら、とても便利な査定方法だと言えます。
多少の想定外のことが起きても対応できるよう、気持ちと時間に余裕をもって臨むようにしましょう。