引っ越しなどで住所が変わったら、車検証に記載されている住所も変更しなければなりません。そのためには色々な書類の準備が必要ですが、中には事前に警察署などでの手続きが必要なもの、役所で発行してもらうものなどがあります。

住所変更の手続きは、実際に住居が変わってから15日以内に済ませなければならないルールになっています。これを怠ると税金や保険、車検の手続きにおいて不利益が生じることもあるので注意しましょう。

車検証の住所変更に必要な書類とは?

車検証の住所変更手続きで必要な書類は、車検証の他にも複数あります。事前準備が必要なものとしては、警察署から発行してもらう「車庫証明書」、役所で交付してもらう「住民票」が挙げられます。

また、手続きの時に陸運(支)局で入手できるのが「手数料納付書」「自動車税(環境性能割・種別割)申告書」などです。

その他、代行を依頼する場合は「委任状」も必要となります。

これらの必要書類について以下で詳しく説明していきます。

手続きの場所と流れ

手続きの場所と流れ
車検証の住所変更は、普通自動車なら陸運(支)局で、軽自動車なら軽自動車検査協会で行います。

まず、手続きを行う施設の窓口に出向き、申請書を受け取って必要事項を記入してください。

次に、手数料分の印紙を印紙販売窓口で購入し、手数料納付書に貼付します。この申請書と納付書と必要書類を窓口に提出すれば、あとは新しい車検証が交付されるのを待つだけです。

なお、管轄の地域が変わった場合はナンバープレートも変えなければならず、車検証の交付後にナンバー変更の手続きへと移ります。今まで使っていたナンバープレートを窓口に返し、新しいプレートを受け取ってください。

住所変更だけであれば、普通自動車あるいは小型自動車は、「自動車保有関係手続のワンストップサービス(OSS)」というオンラインサービスでも手続き可能です。

ただし軽自動車については、住所変更をオンラインで行うシステムはありませんので、窓口での手続きが必須となります。

必要書類の概要

必要書類の概要
車検証の住所を変更する場合は、複数の書類を用意する必要があります。その種類は決して多くはないものの、普通自動車と軽自動車の場合とでは書類を揃える際の手間が大きく異なります。

まずは、両者の概要から見ていきましょう。

①普通自動車の場合

まず、普通自動車の車検証の住所を変更する場合を見ていきます。

車検証の原本はもちろんのこと、事前に他の場所で交付してもらう書類として車庫証明(警察署で発行)と住民票(市町村役場で発行)があります。

また、申請書・手数料納付書・自動車税(環境性能割・種別割)申告書の3種類も必要です。これらは手続きする当日に陸運(支)局で入手できます。申請書については、国土交通省のWebサイトからダウンロードして入手することも可能です。

住所変更する当人以外の人が手続きを代行する場合は、委任状も必要になってきます。行政書士などの代行業者に依頼する際も同様です。その場合は住所変更や各所での書類交付の手数料に加えて代行手数料も準備する必要があります。

また、上記の書類の中には有効期限が設定されているものがあるので注意してください。車庫証明は発行から1ヶ月以内、住民票は発行から3ヶ月以内でないといけないので注意しましょう。

②軽自動車の場合

軽自動車の車検証の住所変更をする場合は、普通自動車とは異なり車庫証明が不要です。また、住民票のかわりに印鑑証明書のコピーを使うことができます。

あとは車検証と、手続き当日に検査協会で申請書・軽自動車税申告書の2種類を入手して記入・提出してください。

このように、軽自動車の手続きは簡素化されています。

他に必要なものといえば、本人以外の人に手続きを代行してもらう場合に委任状がいるくらいです。

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必要書類の詳細

必要書類の詳細
車検証の住所変更を行うにあたり、普通自動車と軽自動車とでは用意すべき書類の種類が異なることが分かったでしょう。

以下ではさらに掘り下げて、先述した必要書類のそれぞれの内容や入手方法について説明していきます。

車検証

まず、車検証の住所変更なので、当然車検証は必須です。車検証の正式名称は「自動車検査証」といい、車台番号や登録年月日、車両番号など車そのものの情報の他、その持ち主の情報も記載されています。

つまり、車検証は車とその持ち主の「身分証明書」でもあるということです。同時にその車が法律上規定されている保安基準に合格していることを示す役割も持っており、車検証が発行されてはじめてその車は公道を走ることが可能になります。

そのため、車検証を紛失したら、そのまま公道を運転すると法律違反となります。その上で住所変更しなければならない場合は、公共交通機関などを利用して再発行の手続きが必要になります。

車検証の再発行手続きと住所変更は、どちらも陸運(支)局(あるいは軽自動車検査協会)でできるので、一緒に行うようにしてください。

もし車検証の紛失の理由が「車ごと盗まれた」という場合は、先に警察署に届け出を出す必要があるので注意しましょう。

また、車検証の文字が識別できないほど汚れていたり、破損している場合も再発行の手続きが必要です。

車庫証明書

引っ越し(転居)に伴って、車庫証明の手続きも必要です。この手続きを済ませることで車庫証明書(自動車保管場所証明書)の発行が可能となります。

車検証の住所変更手続きに際しては、車庫証明書も持参する必要があります。

車庫証明の登録・発行は住所を管轄している警察署で行うので、運転免許証の住所変更とあわせて手続きを進めると効率的です。

車庫証明書は交付までに最長で1週間かかることがあるので、注意しましょう。

申請書

住所変更のための申請書は、陸運(支)局あるいは軽自動車検査協会の窓口でもらえます。あるいはインターネットでダウンロードもできるので、事前に入手しておいて必要事項に記入しておけば手続き当日の手間も省けるでしょう。

記入上の注意点としては、書類の太枠内は鉛筆で記入すること、住所は住所コードで書くことなどです。住所コードの番号は陸運(支)局あるいは軽自動車検査協会で調べることも可能です。

申請書は機械で読み取ることになるため、記入は丁寧に行ってください。

手数料納付書

陸運(支)局・軽自動車検査協会では、住所変更以外にも抹消登録や名義変更など、車に関する様々な手続きが行われています。

手数料の金額は、手続きの種類ごとに異なっています。そこで、必要な手続きの手数料金額に該当する印紙を購入し、「手数料納付書」に貼り付けて提出してください。

これは前項で紹介した申請書と同じく、手続き当日に陸運(支)局や軽自動車検査協会で入手できます。印紙購入のための現金は忘れないようにしましょう。

自動車税・軽自動車税申告書

陸運(支)局や軽自動車検査協会での住所変更を行う場合は、隣接する税事務所でも、変更の内容を申告する必要があります。そのための書類が、自動車税あるいは軽自動車税申告書です。

これも上記で紹介した申請書や手数料納付書と同じく、手続き当日に陸運(支)局や軽自動車検査協会で入手できます。また、公式サイトからのダウンロードも可能ですし、軽自動車税申告書については市町村の税務関係窓口でももらえます。

必要事項に記入したら、その他の必要書類とあわせて窓口に提出しましょう。車関係の税金の通知書・納付書は、毎年4月1日時点の登録住所に送付されるので、この手続きをしないと税金の納付ができません。

なお、納付書の発送時期までに住所変更が間に合わない場合、自治体によっては一時的に納税通知書の送付先を変更してくれます。あくまでも一時的なものですが、転居の手続きなどで慌ただしく住所変更まで手が回らない場合は、こうした手続きが可能か問い合わせてみましょう。

住民票もしくは印鑑証明書

住所変更の手続きを陸運(支)局で行う場合は、住民票の原本が必要です。複数回引っ越している場合は、転居の流れが分かる除票や戸籍の附票も別途必要になるので、事前にきちんと確認しましょう。

軽自動車検査協会の場合は、住民票あるいは印鑑登録証明書のコピーのどちらかだけ必要になります。新住所が証明される内容になっていれば、そこに至るまでの転居の流れなどは確認されることはないので大丈夫です。

印鑑はいらない

今までこうした住所変更の手続きでは、「印鑑(認印)」が必要とされてきました。しかし、印鑑が必要なのは慣習的なもので実質的にあまり意味がないことから、現在は必要書類さえ揃っていれば印鑑は不要とされています。

これは、政府が国土交通省関係政令を改正する中で決定したものです。ただし例外もあり、軽自動車検査協会での手続きで住民票のかわりに印鑑証明を用意した場合は、対応する実印が必要となるので注意しましょう。

住所変更手続きでの特殊なパターンについて

住所変更手続きでの特殊なパターンについて
ひと口に住所変更といっても、実際には様々なパターンがあります。それによって必要書類や手続きにかかるコストが違ってきたり、さらに別の手続きが必要になったりすることもあります。

その主なパターンを6つ紹介していきます。

①ナンバー変更も必要な場合

住所が変わることで陸運(支)局や軽自動車検査協会の管轄も変わってしまう場合、ナンバープレートも変更しなければなりません。その際は車検証の書面上の番号だけではなく、ナンバープレートの交換も陸運(支)局などで行う必要があります。

そうなると手続きでは書類だけではなく実車も必要となるため、通常の住所変更より時間がかかります。プレート交換の作業もあるので、車の扱いや手続きに慣れていない方は、代行業者に依頼しても良いかもしれません。

②車検と同時に手続きしたい場合

車検の有効期間満了日が近いタイミングで転居するのであれば、車検を依頼する業者に、住所変更の手続きの代行を依頼するのもいいでしょう。依頼可能かどうかは業者によって異なりますが、大丈夫であればまとめて手続きできるので非常に効率的です。

ただし、住所変更は転居から15日以内に行わなければいけないと法律で決まっています。車検の時期に合わせるとどうしても期限内に住所変更ができないという場合は、検討し直したほうがいいでしょう。

③「所有者」「使用者」が異なる場合

車検証によっては、書面上の「所有者」と「使用者」が異なる場合があります。例えば、車の税金などを払っている正式な名義人である「所有者」が親で、実際に車を使っている「使用者」がその子供である場合などです。

この場合は、所有者・使用者のどちらかかが住所変更するとしても、両者の書類が必要になります。一方の情報に変更があると、変更がないもう一方の申請手続きも行わなければなりません。

こうした手間を省くために作られた「Bタイプ車検証」というものもあります。車の使用者がローンやリースで車を入手している場合、その車の正式な所有者はローン会社やリース会社ですが、Bタイプ車検証の場合は所有者の情報変更があっても車の使用者が手続きをする必要はありません。

ただ逆のパターン、つまり使用者の住所が変わる場合は、所有者の「登録識別情報」と呼ばれるものが必要になります。Bタイプ車検証の使用者が氏名や住所を変更する場合は、所有者に連絡しなければなりません。

④代行してもらう場合

ここまで何度か述べましたが、車検証の住所変更手続きは変更する当人が行わなくても代行業者などに依頼することが可能です。例えば自動車ディーラー、自動車販売店、整備工場、カー用品店、行政書士などがこうした手続きを請け負ってくれるでしょう。

ただし、実際に依頼可能かは業者によって異なり、住所変更だけの代行は受け付けない業者もいます。また代行手数料の金額も業者ごとにまちまちなので、その点が気になるなら慎重に選ぶ必要があります。

車検証一枚の住所変更といっても、実際には大変な手間がかかります。警察署で免許証の書き換えと合わせて車庫証明の手続きを行い、数日後に車庫証明書をまた取りに行き、さらに平日に市町村役場へ出向いて住民票や印鑑証明を取得して…と、大変です。

また、手続きを行う施設も平日しか受け付けていません。これらの点を考慮すると、代行業者に任せてしまったほうが効率的だと言えるでしょう。

⑤住所とあわせて氏名も変わった場合

結婚などの理由で、住所とあわせて氏名が変わることもあります。この場合は住所変更と同時に「変更登録」と呼ばれる氏名変更の手続きも行わなければなりません。上記の必要書類に加えて、戸籍謄本の提出も必要となります。

この場合も、車の所有者と使用者が異なるのであれば、どちらか一方の氏名が変わるごとに、双方による手続きが必要です。

氏名が変わる当人以外の人が手続きを進めるのであれば、委任状も用意する必要があります。

⑥引っ越し先で車検証の紛失が判明した場合

車検証を紛失したらすぐに再発行しなければなりません。もしも、紛失の事実に気付いたのが引っ越し後だった場合は、再発行手続きは引っ越し前の地域を管轄する陸運(支)局・軽自動車検査協会で行うことになります。

車検証がない状態で車を運転すると法律違反となりますし、転居前の住所が遠方の場合は手続きにコストがかかります。こうした場合は、多少の手数料をかけても再発行手続きを代行してもらうのが賢明でしょう。

住所変更しないとどうなる?

住所変更しないとどうなる?
ここまで車検証の住所変更で必要な書類について説明してきました。読んでみて「車検証1枚のためにこんなに手間がかかるのは割に合わない」と感じるかもしれません。では、住所変更をせずに放置するとどうなるのでしょう?

まず、車検証の住所変更は転居後15日以内に行うことが法律で定められているので、万が一交通違反や事故に遭って警察から車検証をチェックされると罰金を払わなければなりません。

また自動車税の納税通知書も、車検証の住所をもとに発送されます。住所変更をしていないと納税通知書が前の住所に届いてしまい、口座振替の設定をしていない場合はいつまでも納税できず滞納してしまう恐れがあります。

さらに車のリコールがあった場合も、同じ理由から通知が現住所に届かないので必要な修理が受けられません。

事故などで保険金支払いの手続きが必要になった場合も、車検証の内容が現況と一致していないということで手続きがスムーズに進まなくなることも考えられます。

名義変更(移転登録)とは異なる

名義変更(移転登録)とは異なる
車検証に関する手続きで、住所変更と似た手続きで「移転登録」があります。しかしこれはいわゆる名義変更のことで、住所変更とは全く違うものです。

名義変更(移転登録)は、相続や売買などの理由で車の所有者が変わった際に行われる手続きです。単なる氏名変更とも異なり、どのような理由で、誰から誰に対して名義を変更するのかによって、必要書類も大きく変わってきます。

一般的なケースとしては、親族間で相続や譲渡が行われた場合、あるいは友人知人間で車を譲り受ける場合などが該当します。

また、見ず知らずの人同士もネットオークションなどで車を譲る(売却する)場合も、関係者のうちの誰かが手続きを行わなければなりません。

販売店で中古車を購入する際も、販売店から購入者へと名義変更の手続きが行われています。中古車については、次々に名義変更されながら新しい持ち主のもとへ移動しているということです。

まとめ

①車検証の住所変更では、車検証や車庫証明書などを事前に準備する
②また、手続き場所で申請書や手数料納付書も入手する
③普通・軽自動車ごとに手続きの場所と内容が異なるので要注意
④以前は認印が必須だったが現在は不要
⑤ナンバー変更や車検を同時に行いたい場合などは少し手続きが異なる
⑥委任状があれば住所変更の代行も可能
⑦引っ越し先で車検証の紛失が判明したら、前の住所で再発行手続きを行わなければならない

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