車を公道で走行させるには、車検を受けなければならないと法律で決まっています。車検では保安基準を元に車の各部位について検査していきます。

車検に合格するためには、事前の整備が大事です。自分でできる整備もありますが、難易度が高く車の安全性確保のためにも業者に依頼した方が良い整備もあります。

DIYできる整備の内容や整備のやり方などを知り、実践してみましょう。

車検前にDIYで車の整備はできる

車検前にDIYで車の整備はできる
車検は、車の使用者に法律で義務付けられている検査です。車検を受けていない車は、公道を走行することができません。もし走行すれば法律違反となり、罰則が科せられます。

車検は新車購入から3年目に初回、以降2年ごとに受けなければなりません。また、車の点検も法律で期間や対象車種など規定されています。中でも自家用の乗用車、軽自動車は12ヶ月、24ヶ月ごとの法定点検が義務付けられています。

24ヶ月点検は一般的に車検前に行われますが、業者に依頼する方がほとんどです。点検でメンテナンスが必要な箇所があれば、パーツ交換などの整備も一緒に行います。きちんとやっておかなければ、車検に通らない可能性もあるのでとても大事です。

知識や技術がないとDIYでは難しい整備もある

車の整備は、ディーラーやカー用品店などでは基本的に国家資格を有する、技術と知識、経験を備えている自動車整備士が請け負います。もちろん、資格がない一般の方がDIYで車の整備を行うことは可能です。

車検の検査基準となる保安基準を満たしていれば、問題ありません。しかし、実際問題として、全ての整備を素人がやるのは難しいものです。

車の構造を熟知し、特にエンジンルームや下回りの整備は技術力がないと厳しいでしょう。特別な道具や設備などが必要となってくる整備もあります。

業者に依頼すると確かに工賃として費用がかかりますが、車は安全性を重視し、走行性能を維持する整備を行わなければなりません。事故や故障などのトラブルを招くリスクがあるため、お金がかかってもプロにお願いすれば安心できます。

初心者でもやりやすい車検前のDIY整備

車の整備は確かにプロの自動車整備士に任せた方が良い部分も多いですが、車にさほど詳しくない、初心者でもできるDIY整備もあります。例えば、ワイパーゴムの交換やウォッシャー液の補充などは、比較的初心者でもやりやすいメンテナンスです。

始めは難しく感じても、やっていくうちに慣れて自分でも簡単にできるようになるでしょう。全ての整備を業者に依頼すると、工賃がかかるので高くつきます。

ディーラーなどでは、部品は純正品を使うので部品代もかかり、点検も予約をして車をもっていかなければならず、時間も要します。その点DIY整備は部品代のみなので節約になり、車の整備に関する知識も増えるといった点がメリットです。

タイヤの溝などのチェックと空気圧充填

タイヤの溝などのチェックと空気圧充填
車検では、タイヤやホイールに関する検査項目があります。車の使用頻度が高く走行距離が多い、急ブレーキ急発進を繰り返す運転などによりタイヤは予想以上に早く摩耗する可能性もあります。

普通に運転していても寿命は約4~5年、スタッドレスタイヤは約3年なので、定期的なチェックが必要です。タイヤの溝は1.6㎜以上というのが車検の保安基準です。

タイヤの溝にはスリップサインという突起がついています。スリップサインが見えてきたら、交換のタイミングです。

空気圧も測定し、不足していれば充填しておく必要があります。空気圧充填機はガソリンスタンドにもおいてあります。

スタッフに依頼すれば無料でやってもらえるところが多いので、頼んでみましょう。タイヤの表面や側面にひび割れや傷などがないかもチェックしてください。

タイヤ交換はやや難易度があがる

タイヤの摩耗が激しく、溝がすり減ってスリップサインが見えているようなら、交換しなければ車検に通りません。タイヤ交換は素人ではやや難易度が上がり、力仕事になります。

自信がない方は、ガソリンスタンドなどで1本500円程で交換してもらえるので、無理しないで頼みましょう。自分で交換する場合は、レンチやジャッキ、輪留めなどの道具を準備しなければなりません。

まず、平らな場所に車をとめてタイヤ交換する斜め前、もしくは後ろのタイヤに輪留めをしてサイドブレーキがかかっていることを確認します。レンチでナットを少し緩めてからジャッキアップし、タイヤを外して新しいタイヤに交換してからナットを仮止めします。

車体を下ろしたらしっかりとナットを締めておいてください。ナットが緩むと走行中に脱輪するリスクがあるので、注意が必要です。

ワイパーのゴム交換

ワイパーのゴム交換
ワイパーの動作性や作動音、ゴムの劣化具合なども車検の検査項目に含まれています。中でもワイパーのゴムは素材の性質上、紫外線などが当たれば劣化してひび割れをしたり亀裂が入ったりします。

ゴムが損傷するとワイパーを作動させるとガーガーという異音がして、水滴をしっかり拭き取れません。ワイパーゴムの寿命は約1年ですが、拭き残しがあるなど劣化症状が目立ってきたら早めに交換しましょう。

ワイパーゴムの交換方法はまず、ワイパーアームを立てます。この時、アームが急に倒れるとガラスに傷がつくので、タオルなどをひいておくと良いです。

ワイパーにはいくつかの固定方法がありますが、国産車に多いU字フック式で説明していきます。ワイパーを45度くらい傾け、ゴムがついているワイパー本体(ブレード)とアームの間にある、外れ防止のポッチを押しながらアームを下に引き抜くとブレードが外れます。

新しいワイパーの内側に入り込んでいる突起を出し、アームのU字の部分がはまるようにして取り付けてください。パチンと音がするまで押しこみます。

どのようについていたか写真を撮っておけば、後で困らないのでおすすめです。

灯火類のチェックとバルブ交換

ヘッドライトやブレーキランプなどの灯火類は、バルブ(電球)切れやライトカバーのひび割れ、破損なども車検の検査項目になっています。特に後部のテールランプやバックライトは球切れが気づきにくいので、定期的な点検が必要です。

ヘッドライトは灯火類の中でも夜間や天候の悪い日の走行時に点灯させなど使用回数も多く、点灯時間も長くなりがちなので球切れしやすいとされています。バルブ交換はライトの種類によって異なります。

ヘッドライトの場合、ボンネットを開けてコネクターを外し、バルブの位置を確認しましょう。バルブ裏のゴムカバーを外して固定しているストッパーも外してから新しいバルブを装着します。

ストッパーやゴムカバー、コネクターを元に戻すという手順で行います。バルブの交換方法は車の取扱説明書に記載されている場合が多いので一度確認してみてください。

ウォッシャー液の補充

ウォッシャー液の補充
ワイパーの作動性などと共に、ウォッシャー液の噴射状態に関しても車検では検査項目に含まれます。ウォッシャー液はフロントガラスの汚れを除去するために必要です。

残量を確認しておかないと、急に噴射されなくなります。また、ノズルの汚れが詰まると少量しか噴射しなくなります。

ウォッシャー液の補充方法は比較的簡単なのでDIY整備が可能です。ボンネットを開けると、ワイパーとウォッシャー液を噴射した様子を示す図がついた半透明のタンクが見えますが、このタンクの中にウォッシャー液が入っています。

半分以下の量なら補充が必要です。外側に目盛りが表示されているので、最大量を示すFULLもしくはMAXの目盛りまでウォッシャー液を注ぎ入れるだけなので、とても簡単です。

冷却水の交換

エンジンは作動すると熱を発しますが、高温になるとオーバーヒートを起こして最悪エンジンが始動しなくなります。エンジンの熱を冷やすのが冷却水です。

冷却水も気づかないうちに減っている可能性があるので、定期的な点検が必要です。冷却水のタンクはボンネットを開けると確認できます。

タンクのキャップには冷却水(Coolant)と表記があるはずです。また、車の取扱説明書にも記載があるので、場所を確認しておいてください。

タンクの外側に目盛りがついており、半分以下なら補充が必要です。水のみの冷却水は凍結する恐れがあるので、クーラントを購入し、60%の濃度になるように水が希釈して使いましょう。

あらかじめ水が希釈されているクーラントを使うと、薄める必要がないので楽です。

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業者に任せたい車検前の整備とは

車の整備の中でも、エンジンルームやエンジンの最下部、下回りなどの整備は素人ではハードルが高く、DIY整備が難しいと言えます。パーツの構造も複雑なので、車に詳しくない方が理解するのも大変です。

特にエンジンは車の走行性能の要となっています。整備の専門知識や技術が伴わないとメンテナンスのやり方を間違え、故障や交通事故を招くリスクが高いと言えるでしょう。

また、メンテナンスによっては専用の工具なども必要なので揃えるとなると結構な出費にもつながります。自己流でメンテナンスを行うと自分もケガをする可能性もあるので、自信がない整備はプロの業者に任せた方が安心です。

エンジンオイル交換

エンジンオイル交換
エンジンオイルはエンジンの作動をスムーズに行うための潤滑油です。エンジンを動かすと、摩擦などによりオイルが徐々に汚れ、薄い茶色からこげ茶、黒色へと変化します。

エンジンオイルを汚れたままにすると、エンジンの性能が低下し、燃費が悪くなります。エンジンオイルは半年程度ごと、走行距離5,000㎞前後が交換のタイミングです。

オイル交換は素人には難しく、オイル漏れなどがあると車の安全性にも影響を及ぼすので業者に依頼しましょう。ただし、エンジンオイルの点検は素人でも可能です。

ボンネットを開けオイルレベルゲージという細長い棒を抜き、汚れを拭き取ります。再度差し込み、抜き取ればオイルが付着した位置がオイル量となり、色も確認できるのでやってみてください。

オイルフィルターの交換

オイルフィルターというのは、エンジンオイルの汚れをろ過して取り除くフィルターのことです。エンジンオイルは、エンジンを作動させると摩擦などにより徐々に汚れていきます。

その汚れをオイルフィルターが除去するので、当然オイルフィルターの汚れも目立ってきます。通常はエンジンオイルの交換とオイルフィルターの交換のタイミングは同じです。

ただし、フィルターの交換はオイル交換の2回に1回の割合で十分です。オイルフィルターはエンジンオイルを抜き取らないと交換できないので、自分でやるのは難しいかもしれません。

エンジンオイル交換時に業者に交換を依頼しましょう。

バッテリー交換

バッテリー交換
バッテリーはエンジンの始動やライトやナビ、エアコンといった車の電装品を使用する際に電力を供給します。寿命は約2~3年です。

バッテリーは車が走行することで充電され、電力が使われることで放電されます。ただし、長年使用すると劣化するので発電機能が低下し、発電量が減ってバッテリー上がりを起こし、エンジンがかからなくなることもあるので要注意です。

バッテリーの交換は、エンジンオイルの交換などの比べるとDIYができないわけではありませんが、交換した後の古いバッテリーの処理に困るので、業者に依頼した方が無難です。バッテリーの寿命が近付くと、エンジンがかかりにくい、メーター類が暗いなどの症状が出るので注意しましょう。

またボンネットを開けて、バッテリー液の量をチェックすることも大事です。バッテリーの液面が側面の目盛りの上限と下限の間にあれば問題ないですが、半分以下の場合は交換が必要となります。

ブレーキフルード交換

ブレーキフルードは、ブレーキを作動させるために欠かせない液体です。油圧式ブレーキを使用している車では、ブレーキキャリパーというピストンの中にブレーキフルードが満たされています。

ブレーキペダルを踏むことでピストン内のフルードが押し出されて圧力がかかり、ブレーキが効く仕組みです。ブレーキフルードは吸湿性が高く、水分を含むと劣化してしまいます。

寿命は約2年なので、車検がちょうど交換のタイミングになります。ブレーキフルードの交換は、車体をジャッキアップしてタイヤを全て外さなければならず、かなり大掛かりなとなるのでDIY整備は難しいでしょう。

また、ブレーキは車の安全性に直結するので、もし交換の際に失敗して漏れてしまったら事故につながるリスクもあります。そのため、交換は業者に任せた方がいいでしょう。

ただし、ブレーキフルードの液量は点検できます。ボンネットを開けて、ブレーキフルードのリザーバータンクの側面にある上限、下限目盛りの間に液があれば問題ありません。

ブレーキパッドの交換

ブレーキパッドの交換
車のブレーキは、運転席でブレーキペダルを踏むと、その力がブレーキキャリパーという部品に伝わります。フルードの油圧によりブレーキパッドがディスクローターというタイヤのホイールと共に回転する部品を挟んで、摩擦力によりタイヤの回転を弱めるという仕組みになっています。

ブレーキパッドは摩擦力によりどんどんすり減ってしまうパーツです。ブレーキフルードの残量が少ないと、ブレーキパッドがすり減っている可能性もあるので要注意です。

ブレーキパッドは新品で10㎜ほどの厚みですが、半分以下にまで薄くなってしまったら交換しなければなりません。厚みを確認するには、ジャッキアップしてホイールのナットを外します。

他にも、ブレーキを踏んだ時にキーキーという異音がするのも交換のサインとなります。ブレーキパッドの交換は、専門の業者、中でも運輸局長が認定、指定した業者でなければできないので注意しましょう。

下回りの整備

エンジンルームのメンテナンスの他にも、マフラーやドライブシャフトブーツなど、車体の下からアプローチする下回りのメンテナンスも素人にはハードルが高い整備です。整備するには、ジャッキアップして車体を持ち上げ、タイヤを浮かさなければなりません。

車体の下にもぐりこんでの作業は、地面に人が入れるスペースが作ってあるなど、整備工場のような設備も必要となってきます。また、整備に必要な専用機器や工具なども揃えなければなりません。

DIY整備すれば節約できると思われがちですが、場合によっては余計出費がかさむことにもなります。自分でDIYできる整備をやってみて、無理な整備は業者に依頼するのが無難です。

ただし、交換はできなくてもエンジンオイル量やブレーキフルード量のチェック、劣化具合などは自分でも点検はできます。定期的な点検は早期に車の異常を発見しやすく、整備を行えば故障を回避できる可能性も高くなるでしょう。

点検の仕方は覚えて取り入れてみてください。

まとめ

①ワイパーゴムの交換やウォッシャー液の補充などのメンテナンスは、簡単なので業者に依頼しなくてもDIY整備で行える
②エンジンルーム内や下回りの整備は難易度が高いので、専門業者に依頼するのが一般的
③エンジンオイル量のチェックなど、簡単な点検はできるので覚えてやっておくと交換のタイミングが分かるので安心
④自分でできない整備をやると、車の故障や整備中のケガにもつながるのでやめた方が良い

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