マイカーとして、軽自動車を普段運転しているという方も多いかもしれません。最近では、自家用車として軽自動車を保有している世帯も多くなっています。

軽自動車は、普通車と比較して小回りが利くので道幅の狭い道路も運転しやすいです。また、維持費も安いので、コストを抑えながら車が欲しいという方に人気です。

そんな軽自動車には、一定の規格が設けられていることはご存知でしょうか?

今回は規格という観点から軽自動車について見ていきます。

軽自動車の規格の基本

軽自動車とは何かというと、一定の規格を満たしている車両のことです。ではどのような規格が設けられているのか、ここで詳しく見ていきます。

軽自動車の規格は、これまで何度か見直しがなされています。どのように規格が変わって、今日に至っているかもここで紹介しましょう。

2021年現在の軽自動車の規格

2021年現在の軽自動車の規格
軽自動車の規格は「サイズ」と「エンジン排気量」が定められています。

2021年現在の規格の規定は、サイズが全長3.4m・全幅1.48m・全高2.0m以下で、エンジン排気量が660cc以下の車両でなければなりません。

この2つの両方を満たしているものが軽自動車として認められます。

「軽自動車とは何か?」という情報を掲載されているサイトの中には「馬力」の項目について紹介しているサイトも見られます。そこには、馬力が64psまでと書かれているかもしれませんが、これは厳密には違います。

確かに馬力64ps以下というルールもありますが、これは業界の自主規制で、規格ではありません。

初めて制定されたのは昭和24年

今では広く認知されている軽自動車ですが、初めてその名称が生まれたのは1949年の戦後すぐのことです。この時初めて軽自動車の規格が設けられました。

初めて設けられた軽自動車の規格は、サイズが全長2.8m・全幅1.0m・全高2.0m以下でした。2021年現在の軽自動車の規格と比較すると、かなり小さめです。

エンジン排気量についても最初から規格が設けられています。当初のエンジン排気量は150cc以下でした。

ただ、軽自動車の規格は、当初は毎年見直しがなされました。まだ二輪と三輪、四輪の区別もあいまいだったため、その線引きが新たに設けられたことで細かな調整が加えられたのです。

軽自動車の規格が決まった後で、一般に広く普及していきます。それに伴い、大きさ・エンジン排気量ともに徐々に大きくなっていったということです。

昭和29年に基本的枠組みが完成

1949年に軽自動車の規格が定められました。しかし、この当時はまだ二輪と三輪、四輪の区別もありませんでした。

その後、車両に関する規格やルールがいろいろと定められていったのに伴い、毎年規格に若干の変更がなされました。そして、1954年にいったん軽自動車の規格が固まりました。

1954年の規格を見てみると、サイズが全長3.0m・全幅1.3m・全高2.0mです。そして、エンジンの排気量が360ccを上限とされていました。

初めて決められた1949年の規格と比較すると、サイズ・排気量ともに大きくなりましたが、現在のものと比較すると、まだまだ小さめです。

しかし、この規格下で軽自動車の歴史に残るような名車も数多く輩出されています。

昭和51年にサイズ・エンジン排気量ともに拡大

1959年に定められた軽自動車の規格で、各メーカーによる生産が進められました。しかし、1976年になって規格が見直されています。

この時代に差し掛かると、軽自動車のサイズで360ccの排気量で動かすのに無理が生じました。そこで、エンジン排気量が550ccまでアップしています。

サイズの見直しも同時に行われ、全長3.2m・全幅1.4m・全高2.0mです。

軽自動車というと、黄色のナンバープレートをイメージした方も多いでしょう。黄色のナンバープレートが実施されたのも、この1976年の規格見直しの時でした。

平成2年に排気量が660ccに

1975年に軽自動車の規格が見直されましたが、その次に見直しとなったのは1989年のことです。この時代になると、車両の安全性を消費者も重視するようになりました。

安全性を向上するために剛性を高めたり、安全装置を導入したりするようになりました。ここでネックになったのが「車重」です。

剛性を強くしたり装置を新たに導入したりすると、どうしても車が重たくなります。すると、エンジンパワーが今まで以上に求められるようになりました。

その結果、エンジン排気量は660ccまで高められています。全長も3.3mと、従来よりも1.1m長くなりました。

この規格見直しの結果、実用性だけでなくデザイン性にもこだわった軽自動車が出現しました。そして、軽自動車の黄金時代に突入していきます。

平成10年に全長車幅が改定

1989年の後で軽自動車の規格が見直されたのは、1996年のことです。この時は、車両の全長と全幅が拡大されました。

1996年以降、全長が3.4m・全幅1.48mになります。この規格改定の背景にあったのは、衝突安全性を高めるという目的です。

それまで正面衝突の速度基準は時速40kmでしたが、普通自動車と同じ時速50kmに改められました。その結果、クラッシャブルゾーンを広げなければならなくなりました。そこで、全長と全幅を広げることになったわけです。

軽自動車の安全性もこれで向上されました。そして2021年現在、この改定が最新のものとなっています。

軽自動車と規格の関係

軽自動車と規格の関係
軽自動車は過去に何度か規格の改定が行われました。しかし、他の車両と比較して、軽自動車はかなり細かく規格が決められています。

なぜこのように詳細に規格が決められているのでしょうか?それには理由があります。

また、軽自動車というと黄色のナンバープレートです。なぜ普通車と区別しているのでしょうか?その理由についても以下でまとめました。

細かく条件が設けられている理由

軽自動車の規格を見てみると、普通車と比較してかなり細かいです。

なぜ細かく規格が設けられているのかというと、軽自動車には「優遇措置」が取られているからです。

まず「自動車税」ですが、軽自動車の方が圧倒的に安く抑えられています。同じメーカーの車でも軽自動車と1,500㏄の普通車と比較すると3倍以上違ってくることも珍しくありません。

そして「自動車重量税」もかなり違います。普通自動車は24,600円かかりますが、軽自動車は6,600円です。

車検は軽自動車の方が安い費用で賄えるという話を聞いたことはある方もいるかもしれませんが、これは税金関係の優遇措置が大きな理由です。

地方に行くと、都市部のように公共交通機関がさほど発達していません。自動車が重要なインフラの一つになっているため、軽自動車の税優遇措置が取られているわけです。

黄色いナンバープレートの理由

軽自動車に乗っている方は知っていると思いますが、軽自動車には黄色いナンバープレートが使われています。一方、普通自動車で自家用車の場合、白いナンバープレートが設置されているでしょう。

なぜ軽自動車と普通自動車で色が異なるのかというと、それには「高速道路」が関係しています。

高速道路の通行料金は、軽自動車と普通車で異なります。料金所でお金を徴収するスタッフが、ナンバープレートですぐに見分けられるようにするためです。

また、最高速度も軽自動車と普通車で異なります。軽自動車は時速80kmが上限です。スピード違反している車両をすぐに見つけられるように、ナンバープレートの色を変えている側面もあります。

しかし、このナンバープレートの色の違いですが、今後見直される可能性が高いです。それは、ETCが普及したことで、料金所を利用する人が少なくなったからです。また、最高速度も時速100kmまで引き上げられています。

実際、軽自動車も普通車同様白いナンバープレートを付ける施策も出てきています。

室内サイズの広さを追究するメーカー

軽自動車は普通車と比較して、サイズの規制が厳しめです。サイズが小さめに設定されていることで、どうしても車内空間は狭くなります。

そこで、各メーカーは限られた規格の中で少しでも車内スペースを広く取ろうとする努力を進めています。

「コンパクトサイズだけれども車内スペースはゆったり」が、売りになっている軽自動車も多いです。

その中でよく取られるのは、着座位置を高くする対策です。アップライトに座らせることで、室内空間を広めに取れます。

また、燃料タンクを前席の下にレイアウトしているメーカーも見られます。こうすることで床を低くし、室内の高さを確保できるということです。

このように規格に制約を設けることで、メーカーがさまざまな工夫を凝らしています。

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軽自動車の今後の規格改定について

軽自動車の今後の規格改定について
軽自動車の規格改定が行われたのは2021年現在、1996年が最後です。すでに20年以上経過しました。

これまで何度か規格の見直しが行われているので、今後も行われるのではないかと思っている方もいるでしょう。

ここでは、近い将来改定が行われるかについて見ていきます。

当面見直しは行われない公算大

軽自動車の規格の見直しは、結論から言うと当面行われる可能性は低いでしょう。その理由は、見直しをする必要性が低いからです。

近年の規格改定は1989年と1996年に行われました。両方に共通しているのは、軽自動車の安全性を高める目的で改定されているという点です。

1996年の見直しによって、現在の規格では安全上大きな問題が生じているという話は聞かれません。つまり、現在の規格を採用しても不都合がないということです。よって、当面は規格改定をする必要がそもそもありません。

全国軽自動車協会連合会という一般社団法人も、見直しには否定的な見解を示しています。

一部規格見直しの声も

前述した通り、軽自動車規格の見直しは2021年現在、当面行われる可能性は低いと言えます。自動車メーカーや関係各所からも、そのような要望は出ていないようです。

しかし、細かく調べてみると、一部軽自動車の規格改定を求める声もあります。特に首都圏などの大都市圏の軽自動車販売店で、そのような声がしばしば聞かれるようです。

その背景に、軽自動車をマイカーとして購入を希望する方が多いことが挙げられます。軽自動車需要が高まっているのに伴い、求めることも多様化しています。

例えば、今は日本国内では認められていない、エンジン800ccのモデルを投入したとしましょう。すると新たな需要が生まれるのではないかと考える方も少なくありません。

メーカーの事情

軽自動車の規格を考えるにあたって、ボディサイズをもう少し大きくした方がいいとされています。また、エンジンも1リッター程度にまで拡大した方がいいという声も聞かれます。

そのことは、自動車メーカーのようなプロなら十分承知しているでしょう。

しかし、軽自動車の規格を見直そうという話は、メーカーの間ではあまり聞かれません。その背景には、現在の軽自動車の規格のメリットが大きいからです。

排気量やボディサイズを制限することで、いろいろな優遇措置が受けられます。もし軽自動車の規格を拡大すれば、普通自動車との違いがなくなっていきます。

ならば「普通車と同じような税負担にすべきだ」という話になるわけです。税負担が大きくなれば、軽自動車を購入しようとするお客さんは減るでしょう。

このようなジレンマがあり、メーカーはなかなか声をあげられません。

軽自動車の特典をなくせない事情

軽自動車の規格を大きくして普通車並みにしたと仮定しましょう。その結果、税負担が普通車並みになるとオーナーにとってはコスト圧縮の旨味が少なくなります。

もし軽自動車のユーザーが離れてしまうと、自動車メーカーにとって大きなダメージになりかねません。それほど軽自動車の自動車販売に占める割合は、無視できなくなっています。

日本の新車販売台数の約35%弱を占めているのが、軽自動車です。この売り上げが減少すると、全体の収益に深刻な影響を及ぼしかねません。

実際、2015年に軽自動車税が3,000円以上引き上げられたのですが、この時販売に急ブレーキがかかりました。軽自動車の規格に手を突っ込むのは、メーカーとしては簡単にできない状態になっています。

軽自動車を選ぶ際のポイント

軽自動車を選ぶ際のポイント
軽自動車は厳しい規格が設けられている半面、税金などで優遇措置が取られています。メンテナンスコストを安くしたければ、マイカーとして軽自動車を購入するのも一考です。

では、軽自動車を購入するにあたって、どのようなポイントで比較すればいいのでしょう?

主なポイントについてまとめましたので、参考にしてみてください。

ポイント①人気車種の中から選ぶ

特に「この車種!」というこだわりがなければ、人気車種の中から軽自動車を選ぶのがおすすめです。

インターネットでチェックすれば、今売れている車種のランキングなど簡単に調べられます。

人気車種は、中古車市場でも同じく人気が高いです。このため、車を売却する際に高値の付く可能性が高くなっています。

また、人気車種になるのは理由があります。「燃費がいい」「乗り心地がいい」「小回りが利く」など使い勝手のいいものばかりです。

人気車種を購入すれば、満足度はかなりの確率で高いでしょう。軽自動車選びに迷ったら、人気車種で絞り込むのも一考です。

ポイント②価格で選ぶ

軽自動車は普通車と比較して、リーズナブルな価格で販売されているのがメリットです。

しかし、軽自動車だけを見てみると、価格帯はピンキリです。そこで、どの程度までなら出せるか予算を設定するといいでしょう。

予算枠を決めてしまえば、その中で購入できる軽自動車と候補も絞り込みやすくなります。

中には「この車種を購入したいけれども価格が予算を超えるので迷っている」という方もいるかもしれません。その場合、中古車もチェックしてみるのがおすすめです。

新車では手が出せない車種でも、中古車なら購入できる可能性があります。中古車の場合、すでに生産中止している車種も出回っていますので要チェックです。

ポイント③用途で選ぶ

軽自動車を購入したらどのような用途で使用するかは、人によってさまざまです。

ビジネスで荷物を運搬する目的もあれば、通勤・通学目的で購入する方もいるでしょう。中にはレジャー目的で購入するという方もいるかもしれません。

用途によっておすすめの軽自動車も変わってきます。車の用途をはっきりさせると、どの車種を購入すべきか見えてきます。

また、ファミリーカーを探している場合、室内空間の広さも重要なポイントになりえます。家族全員が乗れるか、窮屈にならないかも確認してください。

荷物を多く運ぶ車を探しているのであれば、荷室スペースも重要です。

このように、使い方に応じて比較する方法もあります。

ポイント④燃費で選ぶ

軽自動車の魅力の一つに、燃費の良さがあります。頻繁に車を運転する場合、燃費の良し悪しで比較するといいでしょう。

燃費が良ければそれだけ給油の機会を減らせます。すなわち、ガソリン代を節約できるわけです。

軽自動車の燃費は、ほとんどがカタログに掲載されています。しかし、カタログに載っている値は実際の燃費よりもいい数値が出がちです。

そこで注目してほしいのは「実燃費」です。実燃費について紹介しているサイトがありますので確認してみましょう。

軽自動車だと実燃費でもリッター20kmを超えるものも多いです。20kmオーバーであれば、ガソリン代の節約効果も大きいでしょう。

まとめ

①軽自動車はサイズやエンジン排気量など細かな規格がある
②2021年現在、最後に改定が行われたのは1996年
③当面現行の規格の見直しが行われる可能性は低い
④規格が細かく決まっているのは、軽自動車は税制など優遇措置が取られているため

※本記事は公開時点の情報になります。
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