車の買取をしてもらいたいと思っても、車が自分以外の名義だと対応に困るかもしれません。そもそも、他人名義の車は代理人が車買取依頼できるのか、気になるところでしょう。

他人名義の車買取を代理人に依頼する際の必要書類と、名義変更をしてから車買取をしてもらう方法を紹介します。

車買取の手続きを代理人に依頼してもいいの?

他人名義の車買取を代理人に依頼できる?
家族や友人から車買取を依頼されることがあるかもしれません。そんなときに悩むのが、車買取は代理人に依頼できるかです。

車買取は高額な金額が動くことがあるため、「他人が売ってもいいのか」それとも「売却できないのか」の知識を得ておく必要があるでしょう。

代理人に依頼することはできます

結論からいうと、他人名義の車買取を代理人に依頼できます。

代理人に依頼できず、所有者本人しか車買取をしてもらうことができないと、いろいろと不具合が生じてしまうと思います。ただし、他人名義では盗難車の場合があるため、代理人が依頼する場合は手続きが複雑になります。

何らかの事情があって本人が車買取をすることができず、代理人が代わりに依頼する場合には、多少手間がかかると考えておきましょう。

所有者の同意が必要

車は資産のひとつのため、車買取を代理人に依頼するときは、所有者の同意が必要です。

個人の資産とは、預貯金や不動産なども含まれています。つまり、個人の車はその人にとって財産だといえます。

車を財産のひとつだと判断すれば、第三者が勝手に売却してはいけない理由が理解できるでしょう。車買取を代理人に依頼する場合は、依頼することを証明する書類が必要です。

他人名義の車買取を代理人に依頼するケースとは?

他人名義の車買取を代理人に依頼するケースとは?
所有者が代理人に車買取を依頼するケースはいろいろあります。

例えば、親名義の車を買取ってもらうケースです。同居している子どもが免許取得できる年齢になると、親名義の車を子どもに譲るケースは少なくありません。また、就職祝いで親名義の車を譲り受けるといったことも考えられます。

他に考えられるのは、夫婦間での車の共有です。家庭によっては、夫と妻の車をそれぞれ所有していても、車の名義がどちらか片方のみの名義のことがあります。夫婦どちらかの名義の場合、片方が忙しくて車買取を依頼できないケースがあるかもしれません。

または、2人が離婚してしまい、片方の名義の車を財産分与としてもらい、代理人が車買取を依頼しなければならないケースもあります。

親の名義の車では、親が認知症や病気になり、家族が代理で車買取を依頼する場合もあるでしょう。親が判断力を失っていても、名義変更しなければ代理人による車買取となります。

その他のケースとしては、車のローンが残っているケースがあります。ローンを組む際に、名義人がローン会社になっていることがあるため注意してください。

所有者が用意する必要書類

所有者が用意する必要書類
代理人に車買取を依頼する場合、所有者は複数の書類を用意しなければなりません。

書類の数が多く、準備が大変だと感じる場合もあるでしょう。また、書類によっては準備に時間がかかるものもあるため、事前に確認しておいてください。

車買取を代理人に依頼する前に、必要書類を揃えておくことをおすすめします。

委任状

委任状がなければ、代理人に車買取を依頼できません。所有者が代理人に車買取を依頼した証明になる書類のため、必ず委任状を準備してください。

書類は、車買取業者が準備してくれるケースが多いです。

車買取業者から書類をもらってから所有者が記載する手間を省きたい場合は、国土交通省が提供する委任状のテンプレートをネットからダウンロードして活用する方法もあります。

委任状のテンプレートは、所有者と代理人の住所・氏名を記載します。車買取の委任状のため、自動車登録番号または車台番号も記載してください。

最後に委任する年月日と、所有者が捺印します。所有者の捺印は実印となる点に注意してください。

代理人と所有者が離れて暮らしている場合は、委任状を郵送して書いてもらうといいでしょう。または、所有者がネットから委任状のテンプレートをダウンロードして、必要事項を記載したうえで郵送してもらう方法もあります。

印鑑登録証明書

所有者が用意する必要書類 印鑑登録証明書
所有者による委任状に実印を使用するため、実印を証明する印鑑登録証明書を一緒に添付します。

印鑑登録証明書は、お住まいの市町村役場で発行してもらえます。近くの市役所や区役所などに出向く際には、本人確認書類が必要なため「印鑑登録証」や「マイナンバーカード」を持参しましょう。

なお、印鑑登録証明書の発行は、代理人でも発行してもらうことができます。代理人の発行でも必要なのは「印鑑登録証」と「本人確認書類」のみで、委任状は要りません。

申請書に必要事項を記入のうえ、申請します。記載内容に間違いがあると発行できないため、記入もれの確認と、住所・氏名・生年月日の確認をしてください。

また、印鑑登録がまだの場合は、同じくお近くの市町村役場で登録手続きをしてから、印鑑登録証明書を発行してもらいます。

代理人と所有者が離れて暮らしている場合は、所有者に発行手続きしてもらい、郵送してもらう方法もあります。

譲渡証明書

車の所有者変更のため、譲渡証明書が必要です。

買取業者が用意してくれるのが一般的ですが、手間を省きたいなら自分でテンプレートをダウンロードすることもできます。

譲渡証明書は、定められた様式でなければなりません。国土交通省が譲渡証明書のテンプレートを提供しているため、ダウンロードして使いましょう。

記載する項目は、車名・形式・車台番号・原動機の形式です。さらに譲渡する方の氏名・住所を記載してください。

なお、印鑑は実印です。印鑑証明書に登録してある実印と同じでなければなりません。

代理人と所有者が離れて暮らしている場合は、同じく所有者に必要事項を記入のうえ郵送してもらうといいでしょう。記載間違いがあると書類として使えないため、発送前に確認してもらってください。

車検証

所有者が用意する必要書類 車検証
名義変更のため車検証が必要になります。

普段の生活で車検証を意識していないと、車のどこに車検証があるかわからない場合があるかもしれません。

車検証は、車を車検に出した際に業者が出し入れしています。一般的には、車のダッシュボード内に、車検証が保管されているでしょう。

ダッシュボードとは、運転席にあるハンドル周辺と、助手席の前面部のことです。助手席側の前面に物を入れるグローブボックスがあるため、車検証が入っていないか確認してみてください。

また、車によってはシート後ろのポケット、シート下のポケットなどに、車検証が入っている場合があります。通常は車内で保管する物のため、車の中に車検証があるはずです。

リサイクル券

車買取の場合は、リサイクル券も一緒に譲渡されます。

リサイクル券は、車検証が入っているケースに一緒に保管している場合が多いです。

リサイクル券をなくしたら再発行はできません。しかし、なくしても買取業者が自動車リサイクルシステムで検索できます。

もし、リサイクル券の再発行を求められたら、自分で検索して「自動車リサイクル料金の預託状況」を印刷すれば、リサイクル券と同等に取り扱うことができます。

一般的には、なくしたことを伝えれば、買取業者が対応してくれるでしょう。

自賠責保険証明書

車検を取るときに、自賠責保険も一緒に支払っています。自賠責保険証明書は、車検証が入っているケースに一緒に保管されていることが多いでしょう。

車買取では、自賠責保険の名義を変更するため、証明書の提出が必要です。

ただし、車検切れとなっている車の買取なら、自賠責保険が切れているため、証明書の貼付は必要ありません。

自賠責保険は任意保険ではなく、車を所有する方すべてが加入する保険です。保険に入らないと車検を通すこともできません。

自動車税納税証明書

所有者が用意する必要書類 自動車税納税証明書
車買取をしてもらう場合は、自動車税を支払っていることが前提です。まだ自動車税を支払っていないなら、納税してから買取をしてもらいます。

自動車税は、4月1日時点で車を所有している方に課せられる税金です。毎年5月頃に自動車税納付通知書が送付されているため、確認してください。

税金の支払いは、納付書を使って銀行やコンビニなどでできます。税金を支払うと、納付書の一部が切り取られ、判を押されて返されます。それが「自動車税納税証明書」です。

小さな紙のため、なくしてしまったと思う方もいるかもしれませんが、もしネットで支払いをしていた場合は、自動車税納税証明書がありません。

ネットで支払いをしていなくても、なくしたという場合は、都道府県税事務所で再発行の依頼ができます。再発行は代理人でもできるため、所有者が忙しいときでも対応が可能です。

買取業者によっては、自動車税納税証明書の再発行手続きを代行してくれる場合があります。再発行が面倒なときは、買取業者に相談してみましょう。

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代理人が用意する必要書類

代理人が用意する必要書類
車買取を依頼された代理人は、2種類の書類を用意してください。必要書類は少ないため、手間はかからないでしょう。

身分証明書

トラブルを避けるため、代理人の身分証明書の提出が求められます。

万が一、トラブルが起きた場合は買取業者が確実に連絡できるよう、身分証明書の提出が必要です。

提出する身分証明書は、顔写真が入っている「運転免許証」「パスポート」「マイナンバーカード」があると理想です。これら3つの身分証明書がなければ、2種類の身分証明書の提出が求められることがあります。

運転免許証やパスポートは人によって対応できない場合がありますが、マイナンバーカードなら誰でも発行しやすいでしょう。顔写真がない身分証明書だと車買取できないケースもあるため、面倒でもマイナンバーカードの発行手続きがおすすめです。

顔写真がない身分証明書は「健康保険証」「国民年金手帳」「住民票」などです。学生証や社員証で顔写真がある身分証は公的機関発行ではないため、顔写真なしの公的機関発行身分証を添付する必要があります。

委任状

代理人も委任状の提出が必要です。

所有者の委任状は代理人へ委託したことの証明でしたが、代理人の委任状は買取業者に名義変更を委任したことの証明のためのものです。

委任状の形式に決まりはないため、どの委任状でも構いません。ネットで委任状を探すときは、国土交通省が提供する委任状を使うと便利です。

また、買取業者が委任状を用意してくれることが多いでしょう。車買取の契約時に、業者から委任状をもらって、その場で記入しても構いません。

委任状に記入する項目は、所有者が用意する委任状と同じです。所有者と代理人の氏名と住所、日付を記載してください。

査定額アップにつながる!あるといい書類

査定額アップにつながる!あるといい書類
次に紹介する2種類の書類は、あるといい書類です。車買取で必須ではないため準備する必要はありませんが、あると査定額アップになることがあります。

紹介する書類があるなら、一緒に添付するといいでしょう。

整備点検記録簿

車のこれまでの整備状況を把握するため、整備点検記録簿があります。整備点検記録簿では、法定点検の記録や車検を通す際の整備内容が記載されています。

点検記録は、車所有者自身がメンテナンスした状況を記録することも可能です。また、車検以外に定期点検整備を実施した記録も残してあるといいでしょう。

整備点検記録簿がなく、口頭でメンテナンスや修理歴を伝えても、根拠がありません。もしかしたら、売り手が嘘の情報を伝えていると考えられる可能性もあります。

一方で、整備点検記録を書類として提出できれば、メンテナンスや修理の証明になります。きちんとメンテナンスしてきた車は大切に扱われているため、査定額アップが期待できます。

メーカー保証書

メーカー保証書があれば、一緒に添付すると査定額アップが期待できます。中古で車買取を依頼する場合でも、メーカー保証が残っているケースがあるため確認してください。

車のメーカー保証は、最大で5年です。5年間のメーカー保証があるのは、エンジン・ステアリング・エアバッグなどです。車の走行や安全性にかかわる部位では、保証期間が長めに設定されています。

ただし、5年間の保証対象があっても、走行距離により5年未満であっても保証切れとなる場合があるため注意してください。

一方で、消耗部品をのぞいた、ほとんどの部品はメーカー保証が3年間です。車を新車で買って3年未満で車買取をしてもらうなら、メーカー保証が残っていることが多いでしょう。

また、メーカー保証期間内であっても、改造車は適用外です。社外パーツを取り付けている場合は、純正部品に取り換える必要があります。

印鑑証明書を用意できない場合は?

印鑑証明書を用意できない場合は?
所有者が海外に住んでいて住民票を抹消しているなら、印鑑証明もなくなっています。海外に住んでいて印鑑証明書を用意できない場合は「署名証明」が代わりとなります。

署名証明は本人の署名と押印を証明してくれるため、印鑑証明書と同等の扱いになります。

署名証明を発行するには、所有者が住んでいる日本大使館で手続きすることができます。発行の手続きには、日本国籍がある証明書が必要なので有効期限が残っているパスポートを使いましょう。

申請は本人が行う必要があるもので、代理人による申請は認められていません。なお、日本国籍を失っている人は、別途日本大使館に相談してください。

署名証明の発行手続きが済んだら、所有者に郵送してもらえばいいでしょう。

車の名義変更をしてから買取に出すべき?

車の名義変更をしてから買取に出すべき?
他人名義の車を所有していて車買取を希望するなら、先に名義変更した方がいいのか迷うかもしれません。

名義変更してから車買取をすべきかは、ケースバイケースでしょう。どのようにすべきか迷ったら、車の所有者が血縁関係者か、親族以外の名義かで比較してください。

名義変更しなくても問題なし

親族名義の車を所有しているなら、名義変更しなくてもいいとされています。

親子間で車を譲るケースは少なくないため、車買取業者は不信感を持ちづらいためです。

親族名義なら所有者の書類を準備する場合でも、気を遣わなくて済みます。同居する家族であれば、書類の受け渡しの手間がなく、名義変更なしでも影響が少ないといえます。

親族が離れた場所に住んでいても、書類の用意を依頼しやすいでしょう。家族で車を譲るケースは、親が高齢になり車を使わなくなったケース、親が認知症になったケースも当てはまります。

ただし、親名義の車であっても、すでに亡くなっていると手続き方法が変わります。所有者が車買取を委任できないため、相続手続きが必要です。

名義変更してから売却する方法も

親族以外の人の名義になっている場合は、名義変更してから売却する方法も考慮しましょう。

例えば、車の名義がローン会社になっているケースが当てはまります。ローン会社の名義になっている場合は、ローンを完済して名義変更をしないと、車買取はできません。

買取金額を充当しても完済できないなら、自己資金を充てる方法と、車買取業者に仲介してもらい新たなローンを組む方法もあります。

また、家族以外の名義の車だと、車買取業者に不要な疑いをかけられるかもしれません。もしかしたら、犯罪で使われた車かもしれないと勘違いされる恐れがあります。

友人や知人のように他人の車を譲り受ける場合は、通常その時点で名義変更をします。名義変更せずにそのまま車を乗り続けることは、一般的に考えられません。

車を譲り受けてすぐに車買取を依頼する場合でも、トラブルを避けるため名義変更してから買取に出すのがおすすめです。

まとめ

①他人名義の車も買取依頼することができる
②ただし、所有者の同意がある場合のみ
③所有者と代理人それぞれ必要書類をチェック
④査定額アップに繋がる書類も確認しておこう
⑤海外在住で印鑑証明書を用意できなくても「署名証明」があればOK
⑥名義変更してから売却するかはケースバイケース

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