自動車保険に車両保険をつけようと思っている方の中で、保険金額をどのくらいにするかで迷っている方もいるかもしれません。

対人賠償や対物賠償などは、こちらの任意で金額を決められます。しかし、車両保険は車の価値をベースに保険会社のほうで上限金額が決められるため、こちらの自由に設定できません。

そこで、この記事では車両保険をつける際、保険金の上限をいくらにすればいいのかについて見ていきます。

また、車両保険はつけたいけれども保険料はできるだけ安くしたいという方のために保険料を節約するコツも紹介していきます。

自動車保険の車両保険の金額は自由に決められない

車両保険はこちらが自由に保険金額を設定できない仕組みになっているので注意しましょう。

車両保険の保険金額はいくつかの要素を踏まえて、総合的に設定されます。

まずは、お手持ちの車の種類です。車の型式や初度登録年月によって設定できる保険金額の範囲があらかじめ限定されます。

また、契約段階におけるお手持ちの車両の時価が目安です。大体契約車両と同じ車種や型式、年式の車が市場でいくらでやり取りしているかで判断されます。

中古車や低年式の車両の場合、どうしても時価は安くなります。つまり、あまり手厚い補償は受けられないと思っていいでしょう。

新車を購入して同時に車両保険をつける場合、購入価格とカーナビなどのオプションの合計金額前後になると考えてください。

車両保険とは?

車両保険とは?
車両保険とは、自動車保険の補償メニューの1つです。契約者の任意によってつけることができるため、あえて外すという選択肢もあります。

車両保険は、車が何らかの損傷を受けた時に修理したり、買い替えたりする代金を保険金として給付される保険です。他の自動車との衝突事故や盗難事故のほかにも、自然災害についても補償の対象となります。

具体的には台風などで水没してしまった、飛び石で車が傷ついたなどです。ただし、地震や噴火によって車にダメージを受けた場合には補償の対象外となるので注意しましょう。また、地震や噴火に伴う津波で水没してしまった場合も同様です。

車両保険をつけると、その分保険料は高くなります。ただし、より手厚く補償が受けられるので、バランスを考えてつけるかどうか検討しましょう。

車両保険は必要なもの?

車両保険は必要なもの?
車両保険は、全員が必ず入るべき保険ではありません。必要かどうかはケースバイケースで、車両保険をつけたほうがいいケースもあれば特別必要ないケースもあります。

車両保険は、経済的な問題を抱えていたり、車が壊れるリスクの高かったりする場合はつけたほうがいいとされています。

交通事故などで車が壊れてしまった場合、買い替えたり修理したりしないといけません。今事故が起きて修理費用が必要になった場合に自己資金で捻出できなければ、車両保険をつけたほうがいいでしょう。

また、自動車ローンを組んでいて返済が終わっていない方もつけたほうがいいとされています。事故を起こして修理や買い替えが必要になると、ローンの返済と二重の出費になってしまうからです。

さらに、車を壊すリスクの高い方も車両保険をつけることをおすすめします。自然災害が多い、運転技術に自信がなく事故を起こすかもしれない方が該当します。

愛車の買取相場を知ることで高く売ることができます 愛車のかんたん査定はこちら

車両保険金額とは?

車両保険金額とは?
車両保険金額とは、支払限度額のことです。一般的に車両保険で補償される保険金の上限のことを言います。

車両保険をつけていれば、事故や自然災害などで車が壊れた場合、その修理費用は捻出されます。しかし、車両保険をつけていても無制限で補償されるわけではなく、車両保険金額もこちらで任意で決めることはできません。

車両保険金額は、マイカーの価値をベースに上限が判断されます。ただし、一般的に「180~200万円」といった感じで、ある程度の幅が持たれます。この範囲内であれば、皆さんが自由に上限を決められるということです。

保険金の上限が高くなると保険料も高くなりますので、その部分にも留意しましょう。

車両保険金額の決め方について

車両保険金額の決め方について
車両保険金額は、こちらが自由に決められるものではありません。保険会社のほうである程度保険金額の上限が設定されます。

では、保険会社で車両保険金額はどのように決めているのでしょう?車の状態によって変わってきますので、ここで詳しく紹介していきます。

車両保険金額の上限はどのようにして決められるのですか?
車両保険金額の上限は、各保険会社にある「自動車保険車両標準価格表」の情報をベースにして、契約時に設定できる金額を決めています。
自動車保険車両標準価格表で決められる

車両保険金額を決めるにあたって、保険会社は「自動車保険車両標準価格表」というものを保有しています。こちらに記載されている金額をベースにして、判断されるのが一般的です。

この価格表には、車両ごとに契約できる金額の上限が細かく記載されています。契約車両の車種や型式、登録年月、用途などいろいろな要素で細かく設定されています。

基本的には、契約する段階におけるお手持ちの車両の市場販売価格相当額がベースとなります。つまり、時価をベースとして価格設定をされるということです。

また、同じ型式の車両でもオプションの有無によって設定できる保険金額の上限が変わってきます。車両保険をつけた場合、どのくらい補償されるかは確認しておきましょう。

新車なら購入費用

新車を購入して即自動車保険をつける場合、車両保険金額の上限は実際の購入費用とほぼイコールになります。購入から1年未満の場合も、事実上新車扱いとなります。

購入費用は自動車本体の金額だけにとどまりません。本体に加えて付属品やオプション、消費税まで含めた金額になります。

新車を購入した時にカーナビやETC車載器、フロアマット、エアロパーツなどがついてくることもあるでしょう。これらの費用も全て車両保険に反映されます。さらに消費税も含まれます。

ただし、車の購入時に発生する環境性能割や自動車重量税といった税金は、車両保険には反映されません。

中古車の場合は時価が上限

中古車を購入した場合、車両保険金額の上限は購入費用とイコールにならない場合があります。

中古車の場合、購入した段階の車両の時価をベースに車両保険金額の上限が設定されます。

時価とは、購入した中古車と同じ車種や同じグレード、同じ年式の車両が市場で売買されている金額のことです。恐らく中古車の購入価格とあまり大きな差異は生じないでしょう。

ただし、稀に実際の購入価格と車両保険金額の上限が大きく異なる場合もあります。売買契約書や見積もりに車両保険金額は記載されているはずなので、契約する前に確認してください。

あまりに両者に大きな差がある場合は、その旨を保険会社に指摘して話し合いましょう。そして車両保険金額の上限をどうするか決める流れになります。

契約時の保険金額がずっと補償されるわけではない

新車の場合、購入費用が車両保険金額の上限になります。しかし、この金額でずっと補償されるわけではありません。

車の価値は時間が経過すればするほど下がっていくのが一般的です。つまり、同じ車両に乗り続けていると補償される車両保険金額も下がっていくと考えましょう。

一般的に購入してから2年以上経過すると、車両保険金額は見直されている可能性が高いです。

自動車保険に加入していると、毎年保険会社から保険の更新案内のハガキが送付されるでしょう。このハガキの中に更新後に設定できる車両保険金額の見積額が記載されています。その金額を確認して、引き続き車両保険をつけるかどうか判断してください。

車両保険には幅がある

車両保険金額の上限は自分で決めることはできません。ただし、保険会社のほうである程度幅を持たせて車両保険金額の上限が設定されます。その範囲内なら、自分で自由に上限を決めることが可能です。

また、車両保険金額の範囲は保険会社によって若干異なる場合もあるので、より高い保険金額に設定したいのなら、複数の保険会社で見積もりを取るのがおすすめです。

例えば、とある保険会社の場合、範囲内の50,000円単位で自由に設定できることがあります。150~180万円が車両保険の設定額の幅だったとしましょう。150万円であれば、年間の保険料は25,660円となり、180万円を希望すると年間保険料は26,150円となります。

車両保険金額をどうするかで、年間保険料が500円程度変わってくるかもしれません。このあたりを理解して、保険金額をどうするか検討しましょう。

車両保険にオプションは含まれる?

新車の場合、オプションをつけていると車両保険金額に反映されると紹介しました。しかし、あくまでもメーカー純正のオプションの場合に限られるので、注意してください。

車を購入した時にメーカー純正のオプションをつけていれば、購入価格にも反映されます。つまり、車両保険金額の中に含まれるということです。

しかし、もし購入後にホイールを交換した、社外品のオーディオ機器やカーナビを取り付けたのであれば、これらの価格は車両保険金額には反映されません。ここを混同しないように注意しましょう。

社外品のカーナビやオーディオ機器の中には、高価なものもあります。これらに補償をつけたい場合は、「身の回り品特約」と呼ばれるものがあります。(保険会社によって名称が異なる場合があります)

身の回り品特約とは、文字通り、身の回りのものが損害を受けた時に補償を受けられる特約のことです。車に普段積んでいるゴルフクラブなども対象なので、心配であればこちらの特約をつけましょう。

車両保険の保険料を安くするには?

車両保険の保険料を安くするには?
車両保険はつけたいけれども保険料はできるだけ安くしたいと思っている方も多いでしょう。車両保険は、工夫次第で保険料を安くすることも可能です。

保険料を安くする方法はいくつかあります。主要なものをこちらで紹介しますので、車両保険をつける際の参考にしてください。

車両保険を付けたいのですが保険料を安く抑える方法はありますか?
車両保険には「一般型」と「エコノミー型」という2種類のコースがあります。エコノミー型は補償範囲が限定される一方で保険料を節約できます。また、免責金額を高くすることで保険料を安く抑えることも可能です。
エコノミー型を選択する

車両保険には「一般型」と「エコノミー型」という2種類のコースがあります。もし保険料を安くしたいのなら、エコノミー型を選択しましょう。

エコノミー型は、一般型と比較して補償範囲が限定されているため、その分、保険料が安めです。

保険会社によって補償範囲に若干の違いがあります。しかし、一般的には単独事故や当て逃げ、転覆・墜落、自転車との事故の場合には補償の対象外になります。この部分の補償は必要ないというなら、エコノミー型を選択しましょう。

もし当て逃げや単独事故も念のため補償をつけたいのなら、一般型を選択してください。

免責金額を高めに設定する

車両保険の保険料を安くしたいなら、免責金額を高く設定する方法もあります。

免責金額とは、車両保険による補償を希望する際に自分が負担する金額のことです。

例えば、免責金額10万円と設定して、50万円の修理が必要になった時に車両保険を使ったとしましょう。この場合、下りる保険金は40万円で、10万円は自腹ということになります。

この免責金額を大きくすれば、保険料は安くなります。ただし、いざ事故になった場合、免責分は自己負担となるのでちゃんと支払いできるのか検討しましょう。

ちなみに、免責金額をゼロにすることも可能です。事故の場合上限までなら修理代金が全額保険金で賄えますが、保険料は高くなるので注意してください。

保険を使わない手もある

事故を起こして修理が必要になった時に、車両保険をあえて利用しないことで保険料を節約する方法もあります。

なぜ車両保険を使わないのが保険料節約につながるかというと、等級が関係してきます。

車両保険を使った場合、基本3等級ダウンです。火災や水没、飛び石、自動車盗難の場合でも1等級ダウンしてしまいます。

等級がダウンすると、翌年度以降の保険料が上がってしまいます。その上、3等級ダウンすると1年間無事故だと1等級アップなので、元の等級に戻るまで3年かかります。

例えば、事故で修理代金が10万円だったとしましょう。しかし等級ダウンで等級が元に戻るまでにトータル15万円余計に保険料を支払うことになれば、結局保険を使わないほうがお得になります。

保険を使った場合と使わない場合の保険料の違いも意識して、どうするか検討しましょう。

軽自動車に車両保険を付ける必要性について

軽自動車に車両保険を付ける必要性について
近年ではマイカーとして軽自動車を買い求める方も多くなっています。普通車と比較して車の維持費がかかりませんし、小回りもきくので運転しやすいところが人気の理由です。

ここからは、この軽自動車に車両保険をつけるべきかどうかについて見ていきましょう。

軽自動車を購入したのですが車両保険を付ける必要はありますか?
軽自動車の性能は近年アップしていて、それなりに高額な車種もあります。そのため、新車を購入するのであれば車両保険をつけておいたほうが安心です。ただし、年式の経過した古い車であれば車両保険をつける必要はないでしょう。
新車であれば車両保険をつけたほうがいい

軽自動車の場合でも、車両保険はつけるべきだと考えましょう。

普通車と比較してリーズナブルな価格の多い軽自動車ですが、それでも性能が年々アップしている影響もあって比較的高めの車種も出てきています。最近では200万円を超えるような価格の軽自動車も販売されているほどです。

中には、軽自動車を自動車ローンで購入する方も少なくありません。もしローンの返済途中で事故を起こして軽自動車が全損になった場合、ローンの返済プラス次の車の購入費用まで負担することになります。二重負担できないのであれば、車両保険に加入することをおすすめします。

また、軽自動車も近年ではリセールバリューの高い車種も少なくありません。人気車種なら盗まれる恐れもありますので、車両保険に加入しておくと安心です。

車両保険をつけた場合の保険料について

軽自動車に車両保険をつけると、保険料がぐんと高くなってしまうのではないかと思うでしょう。しかし、軽自動車の場合は普通車と比較してそこまで保険料は上がりません。

軽自動車で車両保険をつけた場合とつけない場合の年間保険料の比較をしたところ、車両保険なしの場合は9,000円程度に対し、ありの場合は18,000円程度でした。

一見すると保険料が倍近くになって、かなり高くなった印象があるかもしれませんが、普通車の場合は25,000円くらいかかる車種もざらにあります。そう考えると軽自動車の場合、車両保険をつけたとしてもそこまで大きな保険料負担にはならないでしょう。

古い車であれば必要ない場合も

軽自動車にも車両保険をつけたほうがいいですが、必ずしも全ての車につける必要はありません。もし年式の古い軽自動車であれば、車両保険は別につけなくてもいいでしょう。

軽自動車の場合も、その時点の時価を上限に車両保険金額が設定されます。低年式の軽自動車は時価も安いので、それほど手厚い補償は受けられません。そのため、事故を起こして車両保険を使っても、修理代金を全て賄えない場合も出てきます。

車両保険金額があまり高くなければ、車両保険を外して保険料を節約するのも一考です。

日常的に車を使う方は必要

日常的に軽自動車を運転している方もいるでしょう。地域によっては公共交通機関があまり発達していなくて、生活の足として軽自動車が欠かせないところもあります。

そういった地域に住んでいる方は、事故を起こして軽自動車を運転できなくなっても、買い替えるだけの手持ち資金がなければ当面車が使えなくなる事態も想定できます。

もし軽自動車が生活必需品となっているのであれば、車両保険に加入したほうがいいでしょう。保険に加入していれば保険金が下りますので、すぐに替えの軽自動車も調達しやすくなります。

まとめ

①車両保険金額は、車の時価が上限なので自由に設定できない
②定期的に車両保険金額は見直される
③エコノミー型にするなど保険料を節約する方法がある
④軽自動車でも新車を購入した時などは車両保険をつけたほうがいい場合もある

※本記事は公開時点の情報になります。
記事内容について現在の情報と異なる可能性がございます。
車の査定は何社に依頼するべき?
愛車の買取相場を知ることで高く売ることができます 愛車のかんたん査定はこちら