現在、軽自動車に乗っている、または維持費が安い軽自動車の購入を考えている方の中には、8ナンバーへの変更に興味を持つ方もいるかもしれません。しかし、軽自動車を8ナンバーにすることにメリットはあるのでしょうか。

この記事では、8ナンバーの特徴と、8ナンバーにするメリットとデメリットなどを解説していきます。

8ナンバーの軽自動車と他ナンバーの車両の違い

8ナンバーの軽自動車と他ナンバーの車両の違い
軽自動車が8ナンバーであるか、普通軽自動車であるかは、ナンバープレートでわかります。ナンバープレートの「分類番号」が8なら8ナンバーで、5か7は普通軽自動車です。

分類番号は、「世田谷」など地名の右にある3桁の数字のことです。1桁目が車の種類や用途を示しており、軽自動車の場合、4・6は荷物を運ぶために使う軽貨物車、5・7は主に人が乗って移動する目的の普通軽自動車、8は特殊用途自動車で8ナンバーに分類されます。

分類番号の下2桁を見ると希望ナンバーかどうかがわかります。軽自動車で希望ナンバーの場合は、83~99の下2桁を選択可能です。

また、下2桁にアルファベットが書かれていることがあるのは、一部の希望ナンバーに集中している場合です。A、C、F、H、K、L、M、P、X、Yのアルファベットが使用可能で、軽自動車の場合は「50A」などが使用されていることがあります。

8ナンバーに該当する車両

8ナンバーに該当する車両
8ナンバーは特殊用途自動車に分類されます。

特殊用途自動車とは、特定の用途に特化した車両を指し、自家用軽自動車では軽キャンピングカーが該当します。

特殊用途自動車には「緊急車両」「特殊事業車」「運搬・介護・特殊作業・その他の使用目的車」「キャンプ又は宣伝活動車」の4種類があります。

8ナンバーとは、どんな車ですか?
8ナンバーは、ナンバープレートの分類番号が8から始まる車のことで、特殊用途自動車のことを指します。近年人気があるキャンピングカーも、8ナンバーに含まれます。
緊急車両

8ナンバーのうち「緊急車両」は、人命救助や災害支援などに使用される車両のことです。救急車、消防車、警察車両などが該当します。

また、水道やガスなといったライフラインの整備のため緊急出動する車両や、命を助けるために急いで移動が必要な血液輸送車、移植用臓器輸送車も緊急車両に該当します。

緊急車両は、緊急時に速やかな移動が求められるため、サイレンや赤灯などを備えているのが特徴です。一般車両は緊急車両の進行を妨げず、優先的に移動できるよう配慮することが義務付けられています。

緊急車両は、人の命を守る役割があり、社会には不可欠な存在で、特殊な装備を備えています。

特殊事業車

8ナンバーのうち「特殊事業車」は、公共サービスや商業活動に特化した車両です。

例えば、公共サービスに特化した車両は、清掃車、郵便車、給水車、採血車、移動図書館などがあります。

商業活動に特化した車両としては、自動車教習車、霊柩車、放送中継車が8ナンバーです。

これらの車両は法令に基づいて設計されており、一般車両と外観や設備が異なります。特殊事業車は、私たちの生活の中でよく見かける車両です。

運搬・介護・特殊作業・その他の使用目的車

8ナンバーのうち「運搬・介護・特殊作業・その他の使用目的車」は、日常生活に関わる産業に使われる車両です。

運搬では、現金輸送車、ゴミ収集車、レッカー車が該当します。

介護に関わる車両には、車椅子移動車、入浴車、身体障がい者向けに設計された車両が含まれます。車椅子のまま乗り降りできる昇降機を備えた車両や、入浴設備を備えたもの、手足が不自由な方が運転できる設備を備えた車両などです。

その他、移動販売車、医療・介護用寝台自動車も8ナンバーに分類されます。

キャンプ又は宣伝活動車

8ナンバーのうち「キャンプ又は宣伝活動車」には、キャンピングカー、キャンピングトレーラー、宣伝活動車が含まれています。

キャンピングカーは車内に居住空間が備えられていますが、キャンピングトレーラーは居住空間となるトレーラーを車両でけん引して使用する点が異なります。軽自動車でけん引できるコンパクトなトレーラーもあるため、車両とトレーラーの2種類を併用することも可能です。

宣伝活動車とは、選挙活動に使用する車両です。車両の上に拡声器や人が登れるスペースが設置されており、軽自動車を利用した宣伝活動車もあります。

8ナンバーのナンバープレートの色

ナンバープレートの色は、車両の用途や規格により異なります。

分類番号が4・5・6・7で始まる軽自動車は、黄色と黒の2種類です。貨物の輸送に使われる軽自動車は4と6で黒ナンバー、人の輸送に使われる軽自動車は5と7で黄色ナンバーに分類されます。

8ナンバーに特別な色のナンバープレートは使用されておらず、自家用なら黄色、事業用なら黒色のナンバーです。

また、事業用として普段使っている軽バンや軽トラをキャンピングカーとして使用する場合4ナンバーのため、黒色のナンバーになります。

普段事業用として使用する軽トラに、取り外し可能なシェルを取り付ける場合も、4ナンバーの黒色のナンバーです。

軽自動車を8ナンバーにするメリット

5と7ナンバーの軽自動車で車中泊するようなキャンピングカーの使い方もありますが、8ナンバーにすることで税金が安くなるなどのメリットが得られます。

軽自動車の維持費を安く抑えたい場合は、8ナンバーにするメリットがあるため、以下で詳しく解説します。

軽自動車を8ナンバーにするメリットは何ですか?
同種の乗用軽自動車や貨物用軽自動車と比べて、車両にかかる税金や自賠責保険といった費用が安く抑えられる点がメリットです。
車両にかかる税金の種類

軽自動車の車両には、以下の4種類の税金がかかります。

  • 軽自動車税(自動車税種別割)
  • 自動車重量税
  • 環境性能割
  • 消費税

この4種類の税金のうち、8ナンバーの軽自動車の維持にかかる税金は、軽自動車税と自動車重量税の2種類です。

8ナンバーの軽自動車を新車で購入する場合は、環境性能割、消費税の2種類が課せられます。

軽自動車税は、毎年4月1日時点の所有者に課せられる税金です。車の使用用途(乗用、商用)に応じて税額が決まります。

自動車重量税は、新車購入時と車検時にかかる税金です。車両重量と経過年数により税額が決まります。

環境性能割は、自動車取得税がなくなり、その代わりに導入された税金です。

軽自動車税が安くなる

軽自動車税が安くなる
自動車税は、排気量に応じて税額が決まります。そのため、排気量が1,000CC以下になる軽自動車は、1,000CC以上の車両にかかる税額より安いです。

排気量1,000CC以下の普通自動車は2019年9月までの購入で29,500円、2019年10月以降の購入で25,000円です。一方で、軽自動車の場合は一律となり、毎年10,800円の軽自動車税がかかります。

しかし、軽自動車が8ナンバーになると、毎年5,000円の自動車税が課せられます。軽自動車税と比較すると約6,000円ほど差があるため、8ナンバーの軽自動車のほうがお得です。

ただし、改造の度合い(ボアアップ、車の全長や全幅の変更が生じた場合)によっては普通自動車として課税されることもあるので、注意しましょう。

自動車重量税が安くなる

車両の重量と経過年数に応じて、自動車重量税の税額が決まるのが特徴です。

軽自動車の場合は車両重量0.7~1.1トン程度ですが、車両重量に関わらず12年までは一律で年6,600円の税額、13年以降は8,200円、18年以降は8,800円と、段階的に税額が上がります。

普通自動車の場合は0.5トンごとに区分され、0.5トン以下は年8,200円、1トン以下16,400円、1.5トン以下24,600円と、8,200円ずつ税額が上がります。また、13年以降は段階的に税額が上がる点は、軽自動車の場合と同様です。

一方で、8ナンバーの場合は、1トンごとに区分されます。13年経過と18年経過で税額が上がるのは同じですが、区分が1トンごととなります。

8ナンバーの軽キャンピングカーが車両重量1.2トンの場合、2トン以下の区分となり、自動車重量税は16,400円です。普通自動車の1.5トン以下区分では24,600円となるため、同等の車両重量で比較すると、8ナンバーの軽キャンピングカーのほうがお得です。

車検の頻度を抑えられる

車検の頻度を抑えられる
8ナンバーの軽自動車は、2年ごとの車検です。

軽貨物車両に該当する4と6ナンバーは、初回は2年車検ですが、その後は1年ごとの車検が必要です。2年ごとの車検で済む8ナンバーの軽キャンピングカーは、車検頻度が少ないため、車検ごとにかかる費用を削減できるメリットがあります。

さらに、車検に出す手間も減るため、8ナンバーは忙しい方に適しています。

高速道路使用料金は軽自動車として計算される

軽自動車は8ナンバーであっても、軽自動車とみなされ、高速料金が安くなるメリットがあります。

8ナンバーになれば車両重量や車体サイズが大きくなりますが、高速道路はそれらを料金の基準としておらず、元の車両に基づいて料金が適用されます。

キャンピングカーを所有するユーザーは遠出をすることが多いため、高速道路の料金はできるだけ抑えたいと考えることも多いでしょう。軽自動車が8ナンバーになっても、高速料金が軽自動車と同じであれば、気軽に遠出できるメリットがあります。

例えば、東京から大阪に移動する場合、銀座から吹田までの料金を比べると、普通自動車は11,450円なのに対し、軽自動車は9,330円です。2,120円も安く移動できる点は大きな魅力です。

自賠責保険料が安くなる

自賠責保険料が安くなる
軽自動車の自賠責保険料は2年契約で17,540円ですが、8ナンバーになると11,290円です。8ナンバーになることで、約6,000円も安くなります。

一方で、普通車の場合は8ナンバーでもお得にならないため注意してください。普通自動車の自賠責保険料は2年契約で17,650円ですが、8ナンバーになると19,980円です。

自賠責保険料を安くしたいなら、8ナンバーは普通自動車より軽自動車を選択したほうがお得です。車検時に自賠責保険料を支払うため、8ナンバーの軽自動車を選ぶことで、車検費用を抑えられるメリットがあります。

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軽自動車を8ナンバーにするデメリット

8ナンバーはメリットがある一方でデメリットもあります。

誰でも8ナンバーが適しているとは言えないため、事前にデメリットの部分の確認がおすすめです。

軽自動車を8ナンバーにするデメリットは何ですか?
任意保険の加入がしにくいことや、8ナンバー登録のための設備に費用が別途かかったりすることがデメリットです。
任意保険に加入しにくい可能性がある

任意保険に加入しにくい可能性がある
8ナンバーの場合、普通自動車や軽自動車と比べて、任意保険に入りにくい傾向があります。

これは、8ナンバーの車両が特殊なため、保険会社が個別に保険料を算出する必要があるからです。保険料を誤って算出すると、保険を請求した際に、保険会社は損失が出てしまう可能性があります。

保険料は車種などから算出しますが、8ナンバーは車体ごとに設備や車体サイズが異なり、統計データが少ないため、正確な保険料を算出するのが難しくなっています。

このような車両は、保険会社にとって高リスクです。そのため、一般的な保険会社は、8ナンバー車両の加入を避ける傾向にあります。

さらに、省庁からの厳しい指導も加入しにくい理由の一つです。結果的に、保険会社は8ナンバーに対し厳しい基準を設けており、加入可能な保険会社が少ないのが実情です。

特にネット型の自動車保険では対応できない可能性も高く、代理店型の自動車保険を選択しなければならない可能性も出てきます。

整備費用が高額になる可能性がある

8ナンバーの要件を満たすため、必要な設備の設置が求められます。キャンピングカーの場合、炊事できる設備や、就寝場所が必要になり、これらの設備や工事費用がかかります。

軽自動車をDIYでキャンピングカーに改造する人もいますが、8ナンバー要件には細かい規定が多いため、業者に依頼するのが一般的です。また、自分でできる部分はDIYで費用を抑える場合でも、最終的なチェックは業者に依頼することが多く、その費用がかかります。

軽自動車を8ナンバーにする場合、注意が必要なのは重量がアップしやすい点です。車両は販売された状態で万全に走行できるよう作られており、重量が上がるとサスペンションの交換が必要となり、高額な費用がかかる可能性にも注意が必要です。

8ナンバーを取得する方法

軽自動車を8ナンバーにするには、要件を満たすための整備が求められます。適切な整備を済ませてから、正しい手続きに従いましょう。

必要な設備の追加は、DIYでやる方法とキャンピングカー専門のショップに設置を依頼する方法があります。また、軽トラの場合は荷台に載せるだけでキャンピングカーとして使用できるキット商品の購入も選択可能です。

知識がない人が、いきなり自分でキャンピングカーの要件を満たす仕様に改造するのは難しいため、業者と相談しながら設備を追加するのが一般的です。

設備を追加する

設備を追加する
8ナンバーを取得するための要件は、以下のような内容があります。

  • 寝台や調理設備を備えていること
  • 特殊設備が運転席以外にあること
  • 特殊設備の面積は1平方cm以上(軽自動車の場合0.6平方cm以上)あること
  • 特殊設備の面積は運転席を除く合計床面積の1/2以上であること
  • 積載スペースと乗用スペースの間に壁や仕切りがあること

8ナンバーを取得するには、調理台の設置と水回りの設置が必要です。水回りには、上下水設備が備わっている必要があります。

寝台スペースとは、大人が横になって寝られる場所のことです。

また、キッチンなどの特殊設備は運転席以外にあること、その面積が0.6平方cm以上であること、運転席を除く合計床面積の1/2以上である必要があります。

キャンピングカーの場合、荷物を多く載せることになるため、乗用スペースとの間に、保護目的の壁や仕切りの設置が必要です。

手続きをする

8ナンバーにするため、構造変更手続きを行います。以下の書類を準備して手続きを行ってください。

  • 車検証
  • 自動車検査票
  • 点検整備記録簿
  • 自賠責保険証明書
  • 認印
  • 申請書(2号様式)
  • 手数料納付書
  • 自動車重量税納付書
  • 自動車税種別割納税証明書
  • 委任状(手続代行の場合)

構造変更手続きは、車検を受け付けているディーラーやカー用品店などでも代行してくれる場合があります。代行してもらう場合は、委任状を準備しておきましょう。ただし、キャンピングカーの設備は特殊であるため、代行を断る業者も多い点に注意してください。

設備の設置や構造変更手続きは、キャンピングカー専門店に依頼するのが安心です。整備にミスがあると手続きができないため、自分で構造変更手続きを行う場合は、専門業者による事前の確認をおすすめします。

まとめ

①8ナンバーは、ナンバープレートの分類番号が8から始まる車のこと
②近年人気があるキャンピングカーも、8ナンバーに含まれる
②軽キャンピングカーは税金などの費用の面でメリットがたくさんある
③構造変更手続きには8ナンバーの要件を満たすよう設備の設置が必要

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