軽自動車の所有者は毎年、軽自動車税を納税する義務があります。
軽自動車税をはじめ税制は、不定期で改正されるものです。今回はこの記事を執筆している2024年時点における軽自動車税の最新情報について紹介します。
ここでは、軽自動車税の増税の模様や増税の背景には何があるかについて見ていきます。また、税金を含め軽自動車のメンテナンスコストを安くするにはどうすれば良いかについて解説するので、参考にしてください。
軽自動車税は2015年から増税された
軽自動車税は2015年4月以降、増税されました。増税されるタイミングについては初年度検査日がいつかによって変わってきます。
自家用軽四輪乗用車の場合、2015年3月以前に初年度検査日が行われた車種は課税額が7,200円です。一方、初年度検査日が2015年4月以降の軽自動車は課税額が10,800円となります。
このように2015年度以降、軽自動車税は3,600円の増税になりました。
こうしてみると、結構大きな増税と思うかもしれません。しかし、普通自動車を対象にした自動車税と比較して、まだまだ課税額は安いのが現状です。自動車税は排気量で税額が変わってくるものの、最も安くても29,500円です。
自動車税と比較して軽自動車税は半額以下になるので、節税したければ軽自動車を持ったほうが良いでしょう。
自動車税同様、軽自動車税でも年式の古い車両は増税される点にも留意してください。新車登録されてから13年を経過した軽自動車は、重課税がなされます。
2016年度より、新車登録から13年以上経過した軽自動車には12,900円課税されます。従来の軽自動車税と比較して、20%前後の重課税が追加課税される形です。
これまでは新車登録から13年経過した軽自動車の課税額は、従来と同じ7,200円でした。そう考えると5,000円超の増税になった計算です。
低年式車は部品も劣化して交換の必要も出てくるでしょうし、燃費も悪いのでガソリン代もかさみます。燃費の良い軽自動車への買い替えも検討したほうが良いでしょう。
軽自動車にも普通車同様、エコカー減税が行われています。軽自動車税は増税したものの、エコカーに該当する車両を購入すれば減税効果も期待できるわけです。
2024年時点では2023年4月1日~2026年3月31日が適用期間となっています。この期間中に新車新規登録を行った車両対象に、翌年度の軽自動車税が減税になります。
乗用車の場合、電気自動車や燃料電池自動車が対象です。その他に天然ガス自動車で平成21年排出ガス規制NOx10%以上の低減もしくは、平成30年排出ガス規制適合が対象になります。
特例措置はおおむね75%削減です。軽自動車には普通車のようにこのようなエコカー減税はありませんでした。しかし2015年度以降、同様の制度が新たに設けられました。
軽自動車税の対象は四輪車だけでなく、二輪車もその対象です。そして二輪車への軽自動車税も2015年度分から増税されました。
原動機付自転車の場合、総排気量50cc以下と90ccまでの二輪車は一律で2,000円です。50cc以下の場合それまで1,000円だったので、倍に跳ね上がった計算です。
排気量90cc超の二輪車の場合、2,400円になりました。これまでは1,600円だったので、800円の増税です。
軽自動車扱いの二輪車の場合、3,600円です。これまで2,400円だったので、1.5倍に増税されました。
二輪車も軽自動車税は増税されているので、二輪車の所有者は注意してください。
軽自動車に関する税金で無視できないのは、消費税です。2019年10月より、8%が10%に消費税が増税になったのは記憶に新しいところでしょう。
消費税の増税によって、駆け込み需要も発生しました。軽自動車の場合も例外ではないものの、増税後に購入するのが損かと言うと決してそうとも言い切れません。
というのも消費税の増税に伴い、自動車取得税が廃止されたからです。従来、軽自動車を購入する際に2%の自動車取得税を支払わなければなりませんでした。しかし、今後は環境性能割(燃費課税)が新たに設定されました。車種別で適用される税率が変わってきます。
2026年3月31日までの場合、電気自動車や燃料電池自動車、一定の条件を満たす天然ガス自動車は非課税です。ガソリン車やハイブリッド車の場合、令和12年度燃費基準の達成度合いで0~2%課税されます。
軽自動車の所有者に課される税金の中の一つに、自動車重量税があります。軽自動車税は市区町村に納税する地方税ですが、自動車重量税は国税です。
普通車の場合、文字通り車両重量で税額が決まります。一方、軽自動車は重量関係なく一律なのが特徴です。軽自動車の重量税は1年あたり3,300円です。これを2年分6,600円もしくは3年分9,900円支払います。
ただし、エコカー減税対象車種の場合は課税額が軽減されます。免税の場合もあれば、25~75%減になる車種も見られるので、どれに該当するか、あらかじめ確認しておきましょう。
新車購入の際には代金に自動車重量税が含まれています。見積もりを作成してもらって、その中で確認してください。
軽自動車は地方税の一種で、自治体に対して納める税金です。自治体によって運営されているので、地方自治体によって税率が変わってくる場合もあるので注意しましょう。
地方の環境対策に関する予算の問題や財政状況によっては、標準税率に上乗せする場合も想定できます。また、逆に自治体によっては標準税率よりも減税しているところもあるかもしれません。
もし軽自動車を保有していて、引っ越すことになったら、軽自動車税がどうなっているか確認しておくことをおすすめします。自治体のホームページなどを確認すれば、掲載されているでしょう。
Webサイトを見てもわからなければ、役所の担当部署に問い合わせてみてください。
軽自動車税が増税された背景について
ここまで紹介したように、軽自動車税は2015年度より増税されました。なぜ軽自動車税が増税されたのか、その理由をたどってみるといろいろな事情が関係しているようです。
軽自動車税が増税された背景について、ここでは詳しく見ていきます。
増税されても普通車と比較してまだ安いので、ランニングコストをあまりかけたくなければ軽自動車を購入するのがおすすめです。
日本の車両区分を見てみると、普通自動車とは別に軽自動車を設けています。
軽自動車と呼ばれるジャンルが新設されたのは、1958年のことで60年以上前の話です。その当時、日本は経済発展をはじめた時で、モータリゼーションが進み、今後自動車は生活に不可欠になるものだと予測されていました。
富裕層だけでなく、庶民でも車を所有できるように軽自動車と呼ばれるジャンルを設定したわけです。結果、軽自動車も含めて多くの人が車を保有できるようになりました。
当初、軽自動車は普通車と比較してエンジン排気量など、かなりの制約がありました。しかし、今では軽自動車と普通車の性能にほとんど違いがなくなりつつあります。普通車並みなら、それ相応の税金を払うべきとなったわけです。
軽自動車の増税の背景として、国際的な圧力も関係していると言います。とくにアメリカが軽自動車税の増税を要求していることが背景としてあるとされます。
アメリカの自動車メーカーが日本マーケットに参入したくても、なかなかできずにいました。その背景に軽自動車税の安さがあると考えられていました。
アメリカなど海外から、軽自動車の流通を抑制してほしいという要望が来るようになり、軽自動車税が増税したと見られています。実際にTPPの交渉において、アメリカ側が日本側に軽自動車税の増税を要求してきたこともあったと言われています。
軽自動車税の増税の背景として、いろいろな要因があります。実際に増税されたものの、普通自動車に課せられる自動車税と比較して軽自動車税はまだまだ安いのもまた事実です。
税金以外にも、燃費などその他の条件も考えるとランニングコストは軽自動車のほうが安いです。手軽にマイカーを購入したければ、軽自動車のほうがおすすめと言えるでしょう。
ランニングコストを含めて、軽自動車のほうが安い状況は当面続くと見られています。もし軽自動車税が今後もどんどん増税されて、維持費が高くなると車を所有する人は少なくなるからです。
自動車メーカーからすれば、車離れが進むことは大打撃です。業績悪化で法人税の収入が下がってしまっては、元も子もありません。
軽自動車の売買をする際の必要書類とは?
13年以上の軽自動車の増税について
軽自動車税について注意すべきこととして、一定の古い車はさらに増税される点に留意しましょう。
軽自動車税は新車登録されてから13年経過すると12,900円になります。従来の軽自動車税は10,800円なので、2,100円の増税です。
ここからは、なぜ増税されるのか、現在どのような議論がなされているかについて紹介します。
新車登録から13年経過した軽自動車が増税される理由には、環境負荷の増加があります。
新車登録から13年経過した軽自動車は、部品の経年劣化が進んでいると考えられます。経年劣化の進んだ軽自動車を運転し続ければ、排出ガスの質も劣化しているかもしれません。
そのような車を運転し続ければ、地球環境の悪化につながります。そのため、低年式の軽自動車は増税することで、新しい車への買い替えを促しているのです。
低年式の軽自動車は最新車種と比較して、燃費も悪くなっていると考えられます。すると同じ距離を運転する場合でも、より多くの燃料が必要です。この点でも地球環境の悪化の要因になりやすいので、増税しているわけです。
軽自動車税の13年経過時の増税は賛成派もいれば、反対派もいます。
賛成派は別項で紹介したように地球環境保護のために必要であるという主張です。一方、反対派は経済的負担が大きくなり、納税者の公平さが担保できないと主張しています。この増税で、13年経過した車両の税負担が平均で15%上がってしまい、低収入層への負担が大きくなるわけです。
さらに現在では13年落ちの軽自動車でも、十分な性能を持った車種も多いと言われています。環境に配慮した車も多いので、即地球環境の悪化につながらないという主張です。
また国際的に見ても、年式によって重課税する制度を採用している国は少ないのも反対の理由です。他国同様、排出ガスや燃費などの性能で税制を設計すべきと言います。
13年超の軽自動車税の増税に関しては、賛成している人も少なくありません。やはり低年式車は有害物質を多く排出するので、地球環境保護の観点から重要という論拠です。
さらに低年式車はいろいろなパーツが劣化しているので、いつ不具合を起こすかわかりません。安全性の低い車を排除することで、交通安全も担保できます。最新車種は安全装置も搭載されています。新技術の搭載された新しい車が広く普及すれば、安全性が向上するでしょう。
また賛成派によると、国際的な動きにも合致すると言います。国際的には環境保護を目指しているので、古い車に厳しい措置をとることで大気汚染の悪化を抑制できます。特に都市部では、今でも古い車による大気汚染が深刻な問題なので、低年式車に増税すべきというわけです。
軽自動車のランニングコストを安くする方法について
軽自動車税に限らず車を所有し続けるとなると、それなりに維持費がかかります。そのため、できるだけ安くしたいというのが本音でしょう。
ここからは、軽自動車のランニングコストを安く抑える方法について紹介していきます。ぜひ参考にしてください。
軽自動車を購入する際には、ランニングコストに優れた車種を探すことが大事です。
軽自動車を対象にした税制の中には「グリーン化特例」や「エコカー減税」などの減税制度があります。そのため、減税制度が適用される車種を購入すれば、無駄な税金を支払わずに済みます。
例えば、2024年1月1日~2025年4月30日に新車登録した軽自動車で、2030年度の燃費基準を120%達成すれば、初回と2回目車検分で課税される自動車重量税が免税されます。
インターネットで検索すると、どのような税制面で恩恵が受けられるか掲載されています。もし分からない場合は、ディーラーで軽自動車探しする際に減税の対象になっている車種かどうか確認すると良いでしょう。
軽自動車税は新車登録から13年以上経過した場合、20%程度加算されることはここでも紹介しました。もし新車登録からそろそろ13年に差し掛かっている軽自動車を保有しているのであれば、新しい車への買い替えを検討しましょう。
新しい車に買い替えることで課税額だけでなく、全体的にランニングコストを抑制できるかもしれません。古い車の場合、部品の劣化などで頻繁に整備や修理が必要になり、その費用負担を考える必要があります。
また、古い車種は新しい軽自動車と比較して、燃費も良くないでしょう。新しい車に買い替えることで、ガソリン代の節約効果も期待できます。
特に現在保有している軽自動車にこだわりがなければ、買い替えるのも一考です。
軽自動車の保有者は、もしもの時のために任意保険に加入している人も多いでしょう。補償内容の見直しをすることで、保険料を安くしてランニングコストを抑制できます。
例えば、運転者の条件を狭めることで保険料を安くできます。保険には「年齢条件」や「運転者の範囲」を指定できる商品も多いので、運転する人を限定してみてください。
また、車両保険が保険料の占める割合が大きいと言われているので、見直してみると良いでしょう。車両保険には「一般型」と「エコノミー型」があって、後者のほうが補償範囲は限定される半面、保険料は安くなります。
他にも免責金額を大きくすることで、保険料を安くできます。免責金額がゼロになっているなら、ある程度自己負担額を設ける設定にして保険料を節約しましょう。