自家用車には日々のガソリン代・パーツ交換・メンテナンス・車検など多くの維持費がかかります。なかでも自動車税や自動車重量税といった税金関連は基本的に金額が固定のため、悩まされる方も多いでしょう。

もし近いうちに車の買い換えを検討しているなら、エコカー減税やグリーン化特例といった減税制度に適合した車を選ぶのもひとつの手段です。

当記事では、2024年時点における車の減税制度について解説します。車の維持費を少しでも抑えたい方は、ぜひ参考にしてください。

グリーン化特例とは?

グリーン化特例とは?
グリーン化特例とは、環境性能の高い自動車を購入する際に、一定の条件を満たすことで自動車税が減額される制度です。本特例は環境に配慮した車両の普及を促すために設けられており、主に排出ガスや燃費性能が優れた車両に対して、適用されます。

具体的な条件は、以下の通りです。

  • 電気自動車
  • 燃料電池車
  • 平成21年排出ガス規制NOx10%以上低減または平成30年排出ガス規制適合のガソリン車
  • プラグインハイブリッド車

本特例の背景には、政府が掲げる「脱炭素社会の実現」に向けた取り組みがあります。とくに近年は、ガソリン価格の高騰からハイブリッド車に注目が集まっており、政府と消費車の両方で燃費性能の高い車が求められています。そのため、ここ数年で販売された車種のなかには、ガソリンエンジンを廃止してハイブリッドシステムに統一したモデルも珍しくありません。

ガソリンエンジンによる有害物質を排出している車はまだ多く、カーボンニュートラルに向けた問題を制度面から解決しようというのが、グリーン化特例なのです。

エコカー減税との違い

エコカー減税との違い
グリーン化特例とよく混同されるのが「エコカー減税」です。両者はともに環境性能に優れた車両を対象として減税されますが、減税対象に違いがあります。

エコカー減税は、車両の環境性能に応じて減税率が決定される制度です。新車新規登録された車に対して、特殊な税率が適用されます。また、中古車の場合でも一定条件を満たせば減税可能です。

グリーン化特例は自動車税(軽自動車税も含む)が対象ですが、エコカー減税は自動車重量税が対象。

自動車重量税とは、車の車体重量を0.5トンで区切り(乗用車の場合)、重量に応じて課税を行う制度です。普通自動車の場合は車体重量が重いほど高い税金を課されますが、軽自動車の場合は重量にかかわらず税額が統一されています。基本的に自動車税が安いのは軽自動車です。

環境性能割との違い

環境性能割との違い
車にかかる維持費でもうひとつ重要な税制が「環境性能割」です。環境性能割は、車両の燃費性能や排出ガス性能に応じて税率が決まり、低環境負荷車両ほど税率が低くなる仕組みがあります。

一方で、グリーン化特例は自動車税の減税措置であり、環境性能割と違って購入時ではなく所有中の税負担を軽減する制度です。環境性能割は取得時にかかる税制で、グリーン化特例は自動車税の減税措置にあたります。

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令和5年度税制改正における軽自動車税のグリーン化特例の3年延長とは

2024年現在に施行されているグリーン化特例は、もともと2023年で終わる予定でした。

しかし令和5年度税制改正の可決により、3年延長の2026年4月まで適用されることが決定しています。そのため現在でも、要件をクリアした車であれば減税が可能です。

対象車

グリーン化特例が適用される車は、導入当初と現在で範囲が若干異なります。2023年まではクリーンディーゼル車も免税の対象でしたが、2024年からは25%軽減〜100%軽減(免税)と若干厳しくなっています。2025年5月からは、さらに条件が厳しくなる予定です。

なお、EV車・燃料電池車・天然ガス自動車・プラグインハイブリッド車が免税な点は変わっていません。こちらに関しては、2026年の延長期限までは同様です。

近いうちにクリーンディーゼル車の購入を検討している方は、減税措置の条件をクリアしているか確認しておきましょう。

自動車税の概要

自動車税の概要
自動車税は、車両を所有している限り毎年支払う義務がある税金です。普通自動車に限らず軽自動車も例外ではありません。詳細な税率は車両の環境性能や年式、車両タイプによって異なります。

なお自動車税は排気量が多くなるほど小さくなっていき、2,500cc以上からは1,000円まで差が縮まります。自動車税を気にする方は、新車もしくは2019年以降に製造された中古車を選ぶとよいでしょう。

製造から11年〜13年経つと自動車税率が上がる

グリーン化特例では「環境負荷に応じた税負担」が重視されており、環境負荷の大きい車両に対して増税が行われます。

グリーン化特例によって自動車税の税率が上がってしまう条件は、「新車新規登録から11年または13年経過した車」です。具体的には、ガソリン車やLPG(液化石油ガス)車で13年、ディーゼル車なら11年を過ぎると自動車税が概ね15%加算されます。

なお、ハイブリッド車に関しては対象外です。例えば、2010年式のプリウスは13年経過していますが、ハイブリッド車のため自動車税は上がりません。

増税率は車種による

普通自動車の場合は加算される税率は15%ですが、軽自動車の場合は20%です。また、バスやトラックで増税の条件を満たす場合は、10%に下がります。グリーン化特例における減税の条件を満たす車は最大75%も税金が減らせるため、適用されるかどうかで維持費に大きな差が生じるでしょう。

また、年式の古い車は燃費性能も劣る傾向にあります。総合的な維持費の観点で車を選ぶなら、比較的年式が新しいものを選びましょう。

その他の減税制度の現状

その他の減税制度の現状
各種税制は、ここ数年で基準の変更や適用年数の延長が実施されています。グリーン化特例も例外ではないため、古い情報と混同しないようご注意ください。

ここからは、2024年時点におけるエコカー減税と環境性能割の現状について解説します。

エコカー減税

エコカー減税は、グリーン化特例と同様に令和5年度税制改正において2026年4月30日まで延長が決定しています。

ただし、同時に減税対象とみなされる車の条件が厳しくなっている点にご注意ください。具体的には、2030年度燃費基準の達成割合が60%から70%に変更されています。

また、2023年までクリーンディーゼル車は免税対象でしたが、2024年からは2030年度燃費基準に基づいて25%軽減〜免税の形に変更されました。

なお、現制度は2026年までと決められていますが、一度延長が決定した背景を考慮すると、再び延長される可能性もあります。

環境性能割

環境性能割は、エコカー減税と同様に令和5年度税制改正で期間が延長されています。2024年現在では、制度の大枠をそのままに適用条件の見直しが実施されている状態です。

2023年までクリーンディーゼル車は非課税でしたが、2024年からは非課税〜最大1%と定められています。

また、2030年度燃費基準の達成率も若干引き上げられました。2025年からは、全体の条件がさらに厳しくなります。

税負担の少ない中古車の選び方

税負担の少ない中古車の選び方
自動車を所有する際、とくに気になるのが税負担です。新車の場合はエコカー減税やグリーン化特例といった税制優遇があるものの、中古車の場合は条件を絞らないと税負担は据え置きのままです。また、車種やグレードといった車自体の条件によっても、かかる税金が大きく変わります。

ここからは、税負担の少ない中古車の選び方を紹介します。

車体重量を見る

中古車を選ぶ際にまず注目すべきポイントのひとつは「車体重量」です。税負担を考慮するなら、重量のある本格派SUVやミニバンは避けたほうがよいでしょう。例えば、トヨタのランドクルーザー250の車両重量は、2,240kg〜2,410kgです。およそ41,000円の自動車重量税がかかります。

一方、軽自動車の場合は車種に限らず、通常で6,600円しかかかりません。13年以上経過した場合も8,200円または8,800円で、エコカー減税対象車なら免税か5,000円で済みます。

このように、選ぶ車種によって自動車重量税は大幅に異なります。上記の現状の車を10年間乗り続けた場合、ランドクルーザー250の自動車重量税は200,000円以上、軽自動車なら通常でも33,000円です。およそ170,000も差が生じるため、税負担を考慮するなら車の重量に注目しましょう。

排気ガス量を見る

車の税負担には、車両の排気ガス量も大きな影響を与えます。とくに、製造から13年以上経過した車両については、グリーン化特例に基づき税率が引き上げられるでしょう。中古車を選ぶ際は、排ガス量も考慮する必要があります。

そのため、中古車を選ぶ際には、排ガス性能や排出ガス基準適合ステッカーの有無を確認することも大切です。

さらに、ベースの税負担を下げるなら軽自動車がおすすめ。グリーン化特例は購入年の翌年しか減税が適用されないため、効果が効くのは1年分のみです。軽自動車は排ガス量が少ない分、自動車税が安く済みます。

パワートレインを見る

税負担を考慮するなら、車のパワートレイン、つまりエンジンの形式に注目しましょう。ハイブリッドエンジンやプラグインハイブリッド、燃料電池車といった排ガス量の少ないパワートレインは、減税の対象です。エンジンの形式を変えるだけで税負担額が大幅に変わるため、維持費をできるだけ下げるなら減税制度を適用できる車種を選びましょう。

また、減税対象の車種は、総じて低燃費です。少しのガソリンで長く走れますし、燃料電池車やEV車ならそもそも排ガスがありません。ただし、脱ガソリンの車はガソリンスタンドの代わりに専用の充電場所や水素燃料の補給スポットが必要です。現状は全国的に広く普及しているわけではないため、購入を検討する際は自宅に充電場所を設置できるか、エネルギーの補給場所はアクセスしやすい場所にあるかを確認しましょう。

年式を見る

中古車を選ぶ際に見落とせない要素が年式です。車にかかる税金は、車の製造年から13年以上経過すると負担額が上がります。とくに、自動車重量税に関しては通常税額と13年経過した車で30%以上変わるため、車両購入価格が安くても税金が重くのしかかるでしょう。

ただし、軽自動車の場合はそもそもの税額が少ないため、年式の古い車でも税負担が増えてもそこまで痛手ではありません。また、年式の古い車でも基準を満たすハイブリッド車なら減税対象です。年式に注目する際は、実際の税負担もシミュレーションしましょう。

税負担の少ない車へ乗り換える際のポイント

税負担の少ない車へ乗り換える際のポイント
ここからは、現在の車から税負担の少ない車へ乗り換える際のポイントを紹介します。

車の買い換えでは、売却価格が高いほど、次に乗る車のハードルが下がるものです。少しでも買い替えの費用を抑えるためにも、高価買取を目指してください。

新車でも中古車でも車を売却して新しい車に乗り換える際は、以下の点に注目しましょう。

車検前に売る

車検では整備料や自賠責保険料の支払いだけでなく、自動車重量税も納めなければなりません。高い税金を払う前に、売却して乗り換えてしまいましょう。車検を通したばかりの車は高価買取につながりますが、査定でアップする金額より、車検費用のほうが高くつくといわれます。

とくに、重量のある本格派SUVやミニバンといった車種は自動車も高い傾向にあるため、車検前に売却しましょう。できるなら、車検の1カ月前に売却するのをおすすめします。ただし、次回の車検まで期間が空く場合は、わざわざ車検直前まで待つ必要はありません。車の価値は時間が経つほど下がってしまうため、車検はあくまで近い場合のみ早めに売るようにしましょう。

清掃をしておく

車を売却する際のセオリーとして、ボディと車内の清掃を行っておきましょう。事前に清掃してキレイな状態にしておくと、査定士の印象もよくなり高価買取につながります。このとき、細かい傷やへこみを無理に修理する必要はありません。査定への影響より修理費用のほうが高くつくため、かえって損をしてしまいます。査定士も中古車として車を見る以上、少しの傷やへこみで査定額を大きく下げることはありません。状態によっては、査定にまったく影響しないこともあるでしょう。

また、車内の清掃においては見た目だけでなく、匂いの対策もしておきましょう。例えば、タバコやペットの匂いは取れにくいため、早めに取り組んでおく必要があります。売却を検討し始めたときから、車内で食事をしたり、タバコを吸ったりしないことも大切です。定期的な換気と消臭剤の使用を繰り返し、できるだけ新車に近い状態にしておきましょう。

税負担の少ない車に乗り換えると維持費を抑えられますが、売却価格が下がってしまうと買い替えに充てる分が減ってしまいます。できるだけ高く買い取ってもらえるよう尽力しましょう。

下取りは使わない

車を買い替える手段のひとつとして下取りがあります。買い替えと売却を同時に行えるため、ディーラーでの新車購入で利用する方も多いでしょう。しかし、車の高価買取を目指すなら下取りより中古車販売店での買取がよいとされます。

理由のひとつは、下取りより買取のほうが高価になりやすいからです。車種や店舗にもよりますが、ディーラーでの下取りでは査定額が落ちる傾向があります。とくに、ディーラーの取り扱いメーカーと異なる車種の場合、オークションにだす手間がかかる分だけ査定額が下がるそうです。そのため、車を売却して買い替える際は、中古車販売店で査定してもらったほうがよいでしょう。

しかし、必ずしも下取りが不利なわけではありません。新車購入を検討している方は、ディーラーの下取り額と中古車販売店の査定額を比較するのをおすすめします。また、中古車販売店でも店舗の在庫状況や買取強化キャンペーンの有無などさまざまな要素で査定額が変動します。大きく変わるケースは稀ですが、店舗によっては数万円の差がでることもあるでしょう。

オプションの存在はアピールする

査定士によっては、対象の車に詳しくない可能性があります。上質なオプションを装備していても気気づかれないかもしれないため、プラス評価につながりそうな要素はアピールしましょう。

とくに、スポーツカーや外車といった特殊な車は、査定士によって得意不得意があります。車種によっては、そのジャンルを専門とした買取店に行ったほうが高価買取につながることもあるでしょう。

なお、カスタムカーは基本的にマイナス査定ですが、スポーツカーの場合は専門店で査定してもらうことで、プラス評価に転じるケースもあります。基本的に中古車販売店はコンパクトカーやクロスオーバーSUV、ミニバンや軽自動車といった日常使いする車の取り扱いが中心です。特殊な車を売却する際は、専門店での買取も検討しましょう。

まとめ

①グリーン化特例・エコカー減税・環境性能割は令和5年度税制改正により期間が延長されている
②2024年時点では、減税の条件が厳しくなっている
③製造から11年または13年以上経過した車は税負担が大きくなる
④税負担の小さい車を選ぶなら車体重量や排気ガス量、パワートレインに注目する
⑤買い替えするなら高価買取を目指そう

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