何かと費用がかさむ車の維持費が少しでも減れば嬉しいものです。その維持費のうち、自動車税や軽自動車税などの税金が減税される制度として「グリーン化特例」があります。
グリーン化特例は環境保護を目的としたもので、国の示す基準を満たした車は減税となり、反対に環境に悪影響を及ぼす車は増税されます。
この記事では、グリーン化特例の減税措置を受けるための手続きや、どのくらい税金が安くなるのか説明します。
また、グリーン化特例以外の減税制度についても紹介するので参考にしてください。
軽自動車とグリーン化特例について
自動車の税金が安くなる制度の一つとして「グリーン化特例」があります。この特例の適用条件に当てはまる場合は、自動車税・軽自動車税の税額が減税されます。
ただし、制定後に条件が変わり、対象となる車の範囲が狭くなったので注意が必要です。
以下では、そうした注意点のほか、グリーン化特例の目的やその他の減税措置の内容などを説明します。また、自動車税と軽自動車税の概要も解説していきます。
目次
グリーン化特例とは?
グリーン化特例は、自動車に関する税金の軽減措置の一つです。燃費性能が良く環境に優しいとされる車(軽自動車を含む)が適用対象となっています。
適用されれば、購入翌年の自動車税と軽自動車税の税額が軽減されます。
グリーン化特例は、地球環境や自然などを守る「環境保護」を目的とした制度です。
プラグインハイブリッド自動車、電気自動車といった、いわゆる「環境に優しい」とされている車に適用されます。
自動車というのは、一般的に燃料の燃焼によって排気ガスが発生します。そのため、窒素酸化物や浮遊粒状子状物質、二酸化炭素など様々な有害物質をまき散らしながら走行していると言えるでしょう。
自動車は人々の生活に欠かせないものです。しかし、一方で大勢が運転することで地球温暖化や大気汚染をもたらし、地球環境の破壊へとつながっています。
そこで、自動車メーカーもこうした点を踏まえて環境に優しい車の開発に乗り出すようになりました。こうして、近年は環境に配慮したエコカーが多数生産されています。
しかし、有害物質を排出している車はまだ多く、この問題を制度面から解決しようというのが、グリーン化特例なのです。
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グリーン化特例による減税
先述した通り、グリーン化特例は自動車の有害物質の排出抑制を制度面からサポートしようというものです。そのため、国が指定する基準を満たした車であれば、その車にかかる自動車税と軽自動車税が安くなります。
それでは、グリーン化特例の適用によって実際にどれくらい税金が安くなるのでしょう?
燃費基準によって幅はあるものの、25~75%は減税となり、普通自動車なら数万円単位、軽自動車なら一律で8,100円が減税となります。
対象となる車は以下になります。
- 電気自動車
- プラグインハイブリッド車
- 燃料電池自動車
- 天然ガス自動車
- クリーンディーゼル車
- 2030年燃費基準を達成しているガソリン車 など
後述するエコカー減税の対象車と同じラインナップとなります。
また、グリーン化特例は新車・中古車に関係なく適用対象です。中古車を購入する際は、希望の車がどのような減税措置が適用されるタイプの車なのか、スタッフに確認してみましょう。
グリーン化特例によって軽自動車税が安くなりますが、この減税措置は残念ながら最初の一度きりです。
つまり、新車として登録されてから、次の4月1日の課税時に減税されるにとどまり、次の年からは8,100円の減税がなくなり、元の税額に戻ります。
中古で購入した場合は、グリーン化特例の恩恵を受けることはほとんどなく、あくまでも初期投資が抑えられるという程度になります。
その後の減税措置の見直し
グリーン化特例のような減税制度は定期的に見直されています。
2021年4月1日~2023年3月31日までに新車として登録された軽三輪と軽四輪については、その適用対象が電気自動車などに限ると定められたので注意しましょう。
前述した通り、今後2023年3月31日まで購入された軽三輪・軽四輪で、グリーン化特例の対象となるのは電気自動車などに限られます。
このことから、電気自動車は環境に優しい車として認められていると言えるでしょう。
この電気自動車は、電気を動力源としてモーターで走行する自動車のことで、ガソリンを使用しません。走行の際、有害物質として知られている窒素酸化物や二酸化炭素が排出されないという特徴があります。
そのため、減税制度の基準について最も厳しいレベルでも常にクリアすることが可能です。車関係の減税制度を最大限に利用するのであれば、電気自動車は断然有利と言えるでしょう。
こうした減税制度は定期的に適用基準が見直されており、だんだん厳しくなっています。しかし、電気自動車なら今のところ減税率が低下する恐れはありません。その上、補助金制度などをうまく活用すれば、購入費用も抑えることができます。
これまで、エコカー減税やグリーン化特例など、環境保護の観点から様々な減税措置が設けられてきました。
しかし、その内容は短期間で繰り返し変更されており、今後も制限が増える可能性もあります。
現在、世界的にも環境に優しい車がメジャーになっていることから、日本政府も基本的に電気自動車の生産を推進しています。
化石燃料を動力源とするタイプの車は、さらに増税となる可能性も十分ありうるでしょう。
軽自動車税の概要
ここまで、グリーン化特例の内容を説明してきました。この制度が適用されると、自動車税・軽自動車税ともに減税されますが、ここでは特に軽自動車税との関係にスポットを当てて解説していきます。
ここで一度、そもそも軽自動車税とはどんなものなのか、またどのような点が自動車税と異なるのか、その概要を説明しておきます。
グリーン化特例は新車に限って適用されるので、初めて車を買うので内容がよく分からないという方は参考にしてください。
はじめに、軽自動車税とはそもそも何なのかを説明します。
軽自動車は日本の自動車の分類のうち最も小さい規格で、排気量660cc以下の三輪あるいは四輪の自動車のことをいいますが、軽自動車税はこれに対して課される市町村税です。
毎年4月1日時点の車の所有者に課税され、納付書と納税通知書が届きます。口座振替などの手続きを済ませていれば納付書は届きませんが、通知書自体は郵送されてくるでしょう。
軽自動車税は車の所有そのものについてかかる税金なので、たとえ全く乗っていない車でも、抹消登録手続き(廃車)していない限りは必ず毎年請求されます。
軽自動車税を支払うと納税証明書が発行され、車検の際に必ず必要になります。また、支払いを怠ると督促状などが届き、最悪差し押さえに至ることもありますので、いずれどこかの時点で必ず納付することになるでしょう。
普通自動車の持ち主に課せられる自動車税も軽自動車税と同様に毎年4月1日時点の車の所有者に課税されます。
自動車税と軽自動車税と大きく異なるのは金額でしょう。自動車税の税額はほとんどの場合、軽自動車税の数倍に及びます。そのため、一度にまとめて支出する金額としては普通自動車の維持費の中でも車検に次いで高いと言えます。
管轄も異なっており、軽自動車税が市町村税なのに対し、自動車税は都道府県税です。ただし、支払いについては金融機関窓口やコンビニなど、多くの場所で取り扱っています。都道府県税だから特に扱いにくいということはありません。
軽自動車税も同様ですが、車を売却などして名義変更した場合、4月1日までに手続きが完了していないと車の前の持ち主に課税されることもあります。その場合、特に金額が大きい自動車税はトラブルに発展しやすいので気を付けましょう。
軽自動車の売買をする際の必要書類とは?
グリーン化特例を受けるための手続き
グリーン化特例を受けて税金を減税してもらうにあたり、車の持ち主が何らかの手続きを行う必要はありません。
所有している車が適用対象であるかどうかは自治体で把握しているので、申請などの手続きも一切不要です。
車の持ち主が行うべきことは、新車を購入する際にグリーン化特例が適用される車種を選ぶことぐらいです。そうすれば、後は自動的に手続きがなされ、減額された税額で納税通知書が届きます。
グリーン化特例には「増税」措置もある
ここまで、グリーン化特例の減税措置について説明してきましたが、この特例には「増税」の措置もあります。
長期間使用した車は経年劣化により環境に悪影響を与えると考えられることから、税負担が増します。このことについて以下で詳しく説明します。
グリーン化特例は、環境に優しい車が減税されるものです。そのため、増税の対象となるのは環境に優しくない車ということになります。
製造されてから長い年数が経っていて、環境によくないと思われる車がその対象になります。具体的には、新車登録されてから13年が経過した車が増税されます。これは普通自動車も軽自動車も同様なので、古い車は新しく買い替えたほうがお得だと言えるでしょう。
ただし、見方によっては愛車を大切にして、長く乗れば乗るほど増税されるということでもあるので、理不尽に感じる方も多くいます。
また、増税されるのは購入時ではなく、あくまでも新車登録時から数えて13年目の話なので、中古車の場合は購入した直後から増税となるケースもありうるので気を付けましょう。
グリーン化特例による増税は、軽自動車税の場合、基本となる税額の15%から20%と考えておくといいでしょう。割合で見るとかなりの重課に感じられますが、もともと軽自動車税はさほど高額でないので、このような数字となっています。
つまり、軽自動車の場合は元の税額が10,800円であれば増税によって12,900円となります。(下二桁切り捨て)
普通自動車の場合は軽自動車よりも税額が高いため、重課率は15%です。
グリーン化特例を活用して減税措置を受ける場合、適用されるのは最初の一度だけです。しかし増税措置については、一度増税になるとそのままずっと継続します。
つまり、古い車を使っている人ほど、13年経過後は自動車税・軽自動車税ともに増額された金額のままで毎年支払わなければならなくなります。
これは、グリーン化特例の趣旨が古い車から新しい環境に優しい車への買い替えの促進でもある以上は当然とも言えるでしょう。
実際、古い乗用車というのは、どうしても部品などが劣化しますので、エンジンにも負担がかかることから排気ガスの排出量も大きくなります。
また、部品の交換頻度も高くなることから、税金もあわせた全体の維持費を考えると、買い替えたほうがお得になることもあるでしょう。
新車登録から年月が経った車を所有している方は、車が今何年目になるのかをチェックしてみることをおすすめします。増税される前に買い替えることで、税金対策になるかもしれません。
その他の減税制度の変遷
自動車の減税措置は、グリーン化特例以外にもいくつか存在します。今は存在しないものやエコカー減税と組み合わせることでさらに減税が見込めるものなどを、あわせて紹介していきます。
自動車の減税制度の一つとして、エコカー減税が挙げられます。
エコカー減税は、排出ガス性能や燃費性能などに優れている車を対象に、自動車重量税の減税をするという制度です。いわばグリーン化特例の「重量税バージョン」と言えます。
エコカー減税制度による減税措置は、車検の際の自動車重量税の支払いが少なくなるという形で適用されていました。新車の車検は初回で3年分を支払うので、減税されれば3年分の税金が安くなることになります。
この制度の対象車は、車両のリアガラスに「燃費基準+20%達成車」というステッカーが貼られているかどうかで確認できます。
ただし、もともとかなり燃費の良い、高性能の自動車でないと該当しないというのが難点でした。このように、エコカー減税はグリーン化特例と同様に対象車の所有者にはありがたい制度でしたが、2019年10月の消費税増税に伴い廃止されています。そして、新たに導入されたのが「環境性能割」という制度です。
環境性能割は、消費税増税と自動車取得税の廃止に伴い新たに導入されました。
自動車取得税は、軽自動車だと取得価額の2%を納税しなければならないというものでした。しかし、燃費の良い車であれば1%の減税か免税となるのが環境性能割です。
グリーン化特例は自動車税や軽自動車税を、エコカー減税は自動車重量税を減税する制度でしたが、環境性能割の減税対象は自動車取得税です。
もしも減税せずに2%を支払うと、場合によっては廃止前の自動車取得税よりも高い税金を支払う結果になる可能性もありますが、減税を受ければ前の自動車取得税よりも安くなります。
さらに、エコカー減税と比べた場合、非課税とされる範囲も広いためお得な制度と言えるでしょう。
ちなみに、新車・中古車を問わず適用されます。制度の基本的な仕組みはエコカー減税と同じです。
税額は、燃費基準に対する達成度によって決まることになります。
減税制度は障害者を対象とした軽自動車税の減免制度もあるので、該当する可能性がある場合は、住んでいる自治体に問い合わせてみましょう。
車の運転は可能であるものの何らかの障害を持っている方や、その方をサポートする家族なら申し込みが可能であることが多いです。
適用対象となる障害の種類・範囲は限られているので、まずは内容を確認してみてください。
車の減税制度は、適用期間が限定的だったり、年によって基準が違っていたりします。そのため、新車購入の際にお得なものを選ぼうと思っても、どの車にどのような減税制度が適用されるのか判断しにくいことも多いです。
そうした場合の確認方法としては、リアガラスに貼られた緑色のシールを確認するか、メーカーの公式ホームページをチェックするといいでしょう。
最近はメーカー側でも、車ごとに適用される減税措置を詳しく記載するようになってきています。