軽自動車は車内が狭いため、どのチャイルドシートを選べば良いのか迷うことがあります。この記事では、そんな悩みを持つ方に向けて、軽自動車に適したチャイルドシートの具体的な選び方を解説します。
子供の安全を守るチャイルドシートの選び方や年齢別の選び方、使用可能な期間、複数設置する際のコツについて確認しておきましょう。
軽自動車のチャイルドシート選びで重要なポイント
軽自動車向けのチャイルドシートを選ぶ際は、以下の5つのポイントを意識しましょう。
- 軽自動車に合う重さとサイズを選ぶ
- チャイルドシートの安全基準を確認する
- 車に合わせた取り付け方法を選ぶ
- 対象年齢に合わせたチャイルドシートを選ぶ
- 使い勝手の良さで比較する
それぞれの特徴を確認し、子供の安全を確保しながら、使い勝手の良いチャイルドシートを選びましょう。
ここからは、軽自動車のチャイルドシート選びの5つのポイントについて詳しく解説していきます。
軽自動車の車内は一般車と比べて横幅が狭いため、チャイルドシートはコンパクトサイズのものが適しています。
コンパクトカーの横幅は約140cmなのに対し、軽自動車の横幅は約135cmです。コンパクトカーと比べて約5cmの差ですが、チャイルドシートは1つの座席の多くを占領するため、軽自動車にはできるだけ横幅が小さいチャイルドシートをおすすめします。
コンパクトなチャイルドシートなら横幅が45cm程度またはそれ以下のサイズのため、車内のスペースを圧迫しにくくなります。
また、ママの車が軽自動車でも普段のお出かけはファミリーカーを使う家庭もあるため、チャイルドシートは移動が楽な軽いものがおすすめです。コンパクトなチャイルドシートは3kg以下のものが多く、車両間の移動が楽に行える特徴があります。
チャイルドシート選びでは、子供を守るため、安全性能が高いものを選ぶ必要があります。国が定める安全をクリアした証拠として安全基準マークがあり、「Eマーク」と「自マーク」の2種類があります。
「Eマーク」は国連欧州基準です。チャイルドシートに「ECE」と書かれています。
2012年6月30日以前に製造されたチャイルドシートには「自マーク」が付いていましたが、2012年6月末で出荷が終了しました。
自マークに変わり2012年7月1日から採用されていた「ECE R44」は、2023年8月31日をもって生産が終了しました。
2010年から次世代安全基準の「R129」が導入されており、2023年9月1日以降に生産されたチャイルドシートは「R129」基準のみになります。
「自マーク」と「ECE R44」の生産は終了していますが、車での使用は可能です。しかし、より安全に子供を車に乗せるためには、新基準の「R129」を選ぶことをおすすめします。この基準では、前後や側面からの衝撃テストをクリアしたチャイルドシートが対象となります。
チャイルドシートの固定には、「ISOFIX(アイソフィックス)タイプ」と「シートベルト固定タイプ」の2種類があります。
車に適したタイプを選ばないと、正しく取り付けられないため、注意が必要になります。
ISOFIXタイプは、専用の金具で座席に固定するタイプです。車に専用コネクターがあれば簡単に取り付けられ、しっかり固定できる点が特徴です。
2012年7月以降に発売された車には専用コネクターが装備されていますが、それ以前の車は装備されていないことが多いため注意してください。年式が古い車では、ISOFIXタイプのチャイルドシートを取り付けられません。
シートベルト固定タイプは、車のシートベルトでチャイルドシートを固定します。ISOFIXタイプは構造上後部座席専用ですが、シートベルト固定タイプは前部座席の助手席に取り付けられるタイプもあります。
チャイルドシートは、製品によって対象年齢が決められています。新生児専用のものや、新生児から4歳頃まで使えるもの、1歳から小学生頃まで使える製品など、種類は様々です。
どの程度の期間、使用したいのかを考えながら、希望に合うチャイルドシートを選びましょう。
対象年齢が限られるチャイルドシートの場合は、子供の成長に合わせて買い替えが必要です。多くのチャイルドシートは、新生児から小学校まで長期間にわたって使用することはできません。買い替え頻度を減らすことは可能ですが、子供の体形や年齢に応じて適切なタイミングで買い替えることが重要です。
チャイルドシートは、毎日使うものだからこそ、便利な機能性で比較することをおすすめします。例えば、リクライニング機能付きや、洗濯可能なカバー付き商品などです。
チャイルドシートの移動が多い家庭には、ベビーキャリーやバウンサーとしても使える多機能タイプが便利です。シートの持ち運びが可能で、旅行先や実家などで赤ちゃんを寝かせるグッズとしても使えます。
さらに、長距離ドライブが多い家庭には、洗濯可能なカバー付き商品が便利です。車内で食事をする際の食べこぼしや、赤ちゃんの汗による汚れが気になる場合、丸洗いできるシートは清潔に保ちやすく便利です。
新生児用チャイルドシートはどうする?ベッド型の必要性
産院から退院する際に車で移動する予定の場合は、新生児用のチャイルドシートを買うか迷うかもしれません。
ここからは、新生児用のチャイルドシートについて、知っておきたい情報を紹介します。
首がすわっていない赤ちゃんは、ベッド型のチャイルドシートを選ぶ必要があります。赤ちゃんの首がすわるまでの約3か月間使用可能です。
しかし、首がすわっていない新生児を長時間連れ出すのはおすすめできません。長時間チャイルドシートに乗せると、赤ちゃんの体に負担がかかりやすいため、避けるべきです。
ベッド型の新生児用チャイルドシートは約3か月間の使用のため、「この期間に赤ちゃんを連れて外出しない」と決めた場合は、購入の必要はありません。また、産院から退院する際にベッド型のチャイルドシートが必要になる場合でも、使用期間をできるだけ短くするのが賢明です。
ベッド型のチャイルドシートを購入すると、短期間で使えなくなるので費用がもったいないと感じるかもしれません。そのような場合は、ベッド型にもなるイス型のチャイルドシートがおすすめです。
ベッド型になるイス型のチャイルドシートは、リクライニング機能付きの商品を指します。3段階などのリクライニング機能により、赤ちゃんを寝せることもでき、起こしてイス型としても使用できます。
リクライニング機能は、指だけで簡単操作が可能です。安全性能が備わった商品は不意に切り替わることがなく、安全に使える点がメリットです。
軽自動車の売買をする際の必要書類とは?
軽自動車にチャイルドシートを取り付ける際の注意点
軽自動車の場合、車内スペースがコンパクトなため、チャイルドシートを取り付ける際に注意が必要です。後部席が狭いからといって、前部座席に取り付けるのは避けましょう。
ここからは、軽自動車にチャイルドシートを取り付ける際の注意点について、詳しく解説します。
リクライニング機能があるチャイルドシートの場合、後部座席に設置する際は、スペースを確認する必要があります。
軽自動車の後部座席は狭いことが多いため、リクライニング時に周りの座席に干渉するかを確認してください。周りの席に干渉する場合や、スペースに余裕がないと感じるときは、助手席シートを前に引き出す使い方が必要です。
しかし、軽自動車で助手席シートを一番前に出してしまうと、人が座るスペースが少なくなるので、助手席に人が乗る場合には適していません。
軽自動車でも高さがあり後部座席にゆとりがあるスーパーハイトワゴン系の車種なら、リクライニング機能付きチャイルドシートを設置しても問題ないでしょう。助手席シートを前に出す必要がなく、リクライニング可能な場合もあります。
子供の安全性を考慮すると、チャイルドシートは後部座席に取り付けるのが基本です。
事故に遭った際に助手席にチャイルドシートが設置されていると、エアバッグが飛び出すことで子供に怪我をさせたり、押しつぶしたりする恐れがあるため、後ろ向きに設置することはできません。
一方で、比較的安全な位置は、助手席や運転席の真後ろです。事故の多くは前部からというデータもあるため、チャイルドシートは助手席または運転席の真後ろに設置することがおすすめです。
助手席や運転席の真後ろは、前部から衝撃があった際に、前部座席のシートが壁となり、子供を守りやすくなります。ガラスなどが飛び散った場合にも、前のシートが壁となり子供を守りやすくなります。
軽自動車にチャイルドシートは必須
そもそも、軽自動車にチャイルドシートは必要なのか疑問に思う方もいるかもしれません。
実は、チャイルドシートの設置は法律で義務付けられています。なぜそこまで厳密なルールがあるのか詳しく解説します。
軽自動車に限らず車に子供を乗せる場合、チャイルドシートを義務付けている理由は、シートベルトだけでは子供の安全が守れないことが証明されているからです。シートベルトは子供の体形には合わず、事故の際に子供が飛び出してしまう可能性があります。
警視庁のチャイルドシート関連統計では、令和元年から令和5年における6歳未満幼児のチャイルドシート使用有無の致死率が発表されています。
このデータによると、使用者は0.09%に対し、不使用者は0.36%と、約4.2倍です。
死傷者数の全体の割合で見ると0.36%とわずかに感じるかもしれませんが、チャイルドシートを使用していれば死亡を防げた可能性があります。万が一の事故から赤ちゃんを守るため、軽自動車に乗る際にはチャイルドシートの使用は必須だと言えるでしょう。
6歳未満の子供を車に乗せる際には、チャイルドシートの使用が義務付けられています。道路交通法で定められており、違反した場合は交通違反点数が加算されます。
チャイルドシートの使用を法律で義務付けている理由は、6歳未満の子供は、自身で安全を確保することができないためです。また、使用するチャイルドシートは、基準を満たした製品を選ぶ必要があります。
以下のケースでは、チャイルドシートの着用は免除となります。
- 構造上チャイルドシートを取り付けられないとき
- 定員内で全員が乗車できないとき
- 幼児の負傷や著しい肥満などで使用できないとき
- 授乳が必要なとき
- バスやタクシーに乗車するとき
構造上チャイルドシートを取り付けられないとは、シートベルトがない輸入車や、シートベルトが特殊な仕様の車の場合です。ただし、シートベルトを使用しないで固定できるISOFIXタイプのチャイルドシートもあるため、取り付けられる場合は、チャイルドシートの着用義務が発生します。
また、定員内で全員乗車できない場合、チャイルドシートを装着しなくても問題ありません。
例えば、5人定員で大人2人、子供3人の場合、チャイルドシートを3つ取り付けられない場合は、子供全員分の装着義務はなくなります。ただし、子供の一部は座席にそのまま座ることになるため、安全性は確保できません。子供全員分のチャイルドシートを設置できない場合は設置可能な車への買い替えを検討してみてください。
子育て世代に人気の軽自動車の選び方
赤ちゃんが生まれる予定がある方が軽自動車を選ぶなら、子育て世帯に人気がある車種がおすすめです。
ここからは、どのような点を重視して軽自動車を選んだら良いのか、詳しく解説します。
子育て世帯が軽自動車選びで重視したいポイントは「乗り降りのしやすさ」と「荷物の積み込みやすさ」です。
乗り降りのしやすさは、車から降りる際の段差が少なく、床面からの高さが低いことです。大人にとっては少しの差かもしれませんが、妊婦や小さな子供にとっては、大きな違い感じられます。
さらに、子育て中は荷物が増えることが多いため、荷物の積み込みやすさも重要なポイントです。荷物を置くスペースが広く、後部座席から荷物を取り出せる設計であれば、乗車したまま赤ちゃんのものを取り出せるというメリットがあります。
子育て世帯におすすめの軽自動車は、「スライドドア」と「車内が広い」タイプの車種です。
スライドドアは、横にスライドして開閉するタイプのドアです。子供が自分で乗り降りするようになると、駐車中に、隣の車にドアをぶつけてしまう心配がありますが、スライドドアならそれを防ぐことができます。
スライドドアにボタン1つで開閉できる「パワースライド」機能が搭載されていると、さらに便利です。開閉に力が要らないため、赤ちゃんや荷物を抱えた状態でも、乗り降りがしやすくなります。
また、車内の広さは、回転式のチャイルドシートを設置する際にポイントとなります。「スーパーハイトワゴン」と呼ばれる車高が高いタイプは、車内を広く使えるため、子育て世帯に人気です。
軽自動車の売買をする際の必要書類とは?
軽自動車にチャイルドシートを2台設置するには?
チャイルドシートを2台設置する場合は、後部座席がおすすめです。「取り付け位置は後部座席が基本」の項目でもお伝えしたように、助手席の設置は安全上適切ではないためです。
車内が狭い軽自動車でも、後部座席にチャイルドシートを2台設置できます。スペースが足りないと感じるときは、コンパクトタイプのチャイルドシートを2台選ぶのがおすすめです。
しかし、後部座席に2台のチャイルドシートがあると、運転席の後ろに座る赤ちゃんのお世話ができないと感じるかもしれません。確かにそうですが、運転中に赤ちゃんのお世話をすることは危険なため、ここは割り切り、車を停めてからお世話するようにしましょう。
軽自動車に子ども3人を乗せたいときは?
子供が3人いる家庭では、子供をどこに乗せるか迷うかもしれません。後部座席に乗せるべきか、また助手席に乗せるか迷う可能性があるため、解決策を紹介します。
子供を3人乗せる場合は、チャイルドシートが3台必要です。コンパクトタイプを選べば、後部座席に3台のチャイルドシートを設置できる場合があります。
軽自動車の横幅は約135cmであるため、幅が45cm以下のチャイルドシートを選ぶ必要があります。また、子供1人のチャイルドシートを助手席に設置する方法でも対応できるでしょう。
軽自動車の場合、定員が4人であるため、大人5人は乗車できません。しかし、道路運送車両の保安基準 第53条には、「12歳以上の者1人は、12歳未満の小児又は幼児1.5人に相当するものとする」と定められています。
つまり、12歳未満の子供が含まれる場合、大人2人子供3人の合計5人でも問題ありません。夫婦2人と子供3人の場合、助手席に大人が1人座り、後部座席にチャイルドシート3台の設置がおすすめです。
大人2人+12歳未満の子供3人は、軽自動車に全員が乗車できます。しかし、軽自動車の後部座席が狭い場合、3台のチャイルドシートを設置できないことがあります。このような場合、チャイルドシートの設置は免除の対象です。
ただし、すべての子供がチャイルドシートを着用する義務が免除にはならないため、可能な範囲で設置することが求められます。一部の子供のチャイルドシート着用が免除される場合でも、シートベルト着用しない乗車は安全上推奨できません。大人が子供を抱っこして乗車する方法ではなく、後部座席のシートベルトを必ず利用してください。