廃車を業者に依頼した場合は、本当に手続きが済んでいるか最終確認が大切です。きちんと手続きされていないことで思わぬトラブルに巻き込まれてしまう恐れがあるため、注意が必要です。
この記事では、廃車手続き完了の確認方法や廃車が正しく行われないことによって起こるトラブルについて紹介していきます。 また、手続き完了が確認できないときの対処法や廃車手続きでよく聞く用語などについても解説します。
廃車が正しく行われていないとトラブルの原因になる
廃車は自分で手続きすることも可能ですが、忙しい人や慣れていない人は業者に依頼するのがおすすめです。
ただし、業者に依頼する場合は正しく手続きが行われたことを確認しましょう。多くの業者はしっかりと手続きしてくれますが、中には悪質な業者もいます。
不法投棄されていたり、翌年も引き続き自動車税がかかったりといったトラブルに巻き込まれることがあるかもしれません。
廃車手続きが完了したかどうかを自分で確認する方法はいくつかあります。その確認をすることも手続きの流れの一つとして考えましょう。
廃車手続き完了の確認方法
業者に手続きを依頼した車が廃車されたかどうかは、オーナーが自分で確認できます。
業者から手続き完了を連絡してくれることもありますが、自分で確認するとより確実です。また、業者からの連絡がないこともあります。
ここからは、廃車手続き完了の確認方法を3つ紹介します。
廃車手続きが完了したかどうかは自動車リサイクルシステムのWebサイトから確認できます。
自動車ユーザー向けのページから「使用済み自動車処理状況検索」へアクセスしてください。必要事項を入力すると、車の現在の状況を確認できます。
なお、入力項目にある車台番号とは車一つ一つに割り当てられた固有番号のことです。車検証や自動車保険証などに記載されています。
また、移動報告番号とはリサイクル券の番号からハイフンを除いたものです。 業者に手続きを依頼した場合は、引取証明書にも記載されているため確認してみてください。
普通自動車の廃車手続きが完了していれば、最寄りの陸運支局で登録事項等証明書を発行してもらえます。保険の解約などのために廃車になっていることを確認できる証明書が必要な場合にも活用できます。
なお、一時抹消登録の場合は登録事項等証明書の代わりに登録識別情報等通知書を請求することが可能です。
登録事項等証明書の請求には自動車登録番号と車台番号、本人確認ができる身分証明書が必要です。
自動車登録番号はナンバープレート、車台番号は車検証などに記載されています。あらかじめメモしてから窓口に行くとスムーズに手続きできるでしょう。また、手続きには数百円程度の手数料がかかります。
業者に軽自動車の廃車手続きを依頼した場合は、解体証明書を発行してもらいましょう。
普通自動車とは異なり、軽自動車は陸運支局の管轄外です。陸運支局では軽自動車の登録事項等証明書などを発行できません。そのため、業者から解体証明書を発行してもらうのがおすすめの確認方法の一つと言えます。
ただし、すでに車の解体が済んでいると業者から解体証明書の発行を断られる可能性もあります。手続きを依頼するタイミングで、解体証明書も欲しいことを忘れずに伝えておきましょう。
廃車手続きが正しく行われていない場合はどうなる?
廃車手続きが正しく行われていないと様々なトラブルに巻き込まれる恐れがあります。具体的に起こる可能性がある問題は主に3つです。
ここからは、廃車手続きの不備により起こる可能性があるトラブルについて紹介します。
普通自動車を年度内に廃車した場合、残りの月数に応じて自動車税の還付金が受け取れます。
廃車手続きが正式に完了していれば約1ヶ月〜2ヶ月程度で還付通知書が届くでしょう。なお、軽自動車は自動車税の還付がありません。
また、廃車のタイミングによっては前払いした自賠責保険の一部が戻ってくることもあります。自賠責保険の還付金を受け取るには廃車証明書などを保険会社に提出する必要があります。
自動車税ならびに自賠責保険のどちらの場合も、廃車手続きが完了していなければ還付金が受け取れません。
自動車税は4月1日時点で車を所有している人が、1年分を前払いする仕組みです。3月末までに廃車手続きが完了している場合、翌4月以降の自動車税はかかりません。
しかし、もし廃車手続きが正しく行われていなければ、5月以降に自動車税の支払い用紙が届いてしまいます。
自動車税の支払いを避けるためには3月末までに確実に廃車されていることが必要です。特に3月後半は手続きする人が多く窓口が混雑します。そのため、業者にはできる限り余裕を持って依頼しましょう。
また、3月末までに廃車手続きが完了しているか、確認することが大切です。
悪質な業者により、廃車手続きが行われないまま車が他の人へ転売されたり、犯罪に使われたりすることが考えられます。
廃車手続きがされていない場合、車の名義は元のオーナーである自分の名前から変更されていない可能性が高いでしょう。そのため、何かあれば所有者である自分が責任を問われる恐れがあります。
近年は法改正により廃車に関する名義上のトラブルは起こりにくくなっていますが、ゼロではありません。自分で手続き完了を確認することでトラブルを防止しましょう。
廃車時によく聞く還付金とは?
廃車すると「還付金が受け取れる」と聞いたことがある方は多いでしょう。
自動車の種類や廃車のタイミングによって、支払ったお金の一部が返ってくることがあります。還付金にはいくつか種類があります。
ここからは、廃車に関する還付金について詳しく見ていきましょう。
廃車によって受け取れる可能性がある還付金の一つが自動車税です。
自動車税は毎年4月〜翌年3月までの分を一括して納付しているため、2月以前に廃車すると残り月数の分が還付されます。3月に廃車した場合は還付がありません。
なお、軽自動車には還付の仕組み自体がありません。普通自動車と同様に一年分の自動車税を前払いしますが、どのタイミングで廃車しても還付金は受け取れないことに注意しましょう。
自賠責保険の残り期間が1ヶ月以上ある場合は、解約することで残りの期間に応じた保険料が還付されます。
ただし、加入している保険会社に連絡し自分で手続きする必要があります。
全ての自動車には自賠責保険の加入が義務付けられているため、廃車を証明できる書類がなければ解約できません。
普通自動車であれば登録事項等証明書や登録識別情報等通知書、軽自動車であれば自動車検査証返納証明書といった廃車証明書を用意しましょう。
任意保険に加入している場合、解約すると契約の残り期間に応じて保険料が戻ってくることがあります。戻ってくる保険料は一般的に還付金と呼ばれることが多いものの、正しくは返戻金と呼びます。
任意保険はいつでも好きなタイミングで解約できますが、廃車する前に解約すると万が一事故などが起きた際に保障を受けられません。
そこで、先付け解約という方法を利用すれば、あらかじめ解約する日を指定できます。廃車予定日が決まったら保険会社に連絡して廃車のタイミングと合わせて解約ができるか確認するのがおすすめです。
もしも廃車の確認が取れない場合はどうしたらいい?
廃車手続きを業者に依頼したら、手続き完了を確認することが大切です。
依頼からある程度時間が経っているにも関わらず、廃車の確認ができない場合はトラブルが起きているのかもしれません。トラブルが起きた場合は、早めに対処する必要があります。
ここからは、廃車の確認が取れない場合の対処法について紹介します。
廃車手続きの完了が確認できないときは、まず廃車を担当した業者に連絡しましょう。
担当している車が多く、予定よりも手続きに時間がかかっている可能性があります。純粋に手続きが終わっていないだけであれば問題ありません。少し待ってみてから改めて廃車手続きが完了したか確認してみてください。
なお、業者に依頼する際に手続きが終わる時期の目処を聞いておくと安心できます。また、3月末は廃車する人が多く、混雑する傾向にあります。可能であれば3月は避けて依頼するとでスムーズに手続きが行われる可能性が高くなるでしょう。
廃車手続きが完了していない場合、まずは業者に連絡して状況を確認することが必要です。しかし、言い訳ばかりでなかなか手続きを進めてもらえない、というように対応に不信感を持った場合は管轄の警察署へ相談するのも方法の一つです。
中には車を引き渡した途端に連絡がつかなくなる悪質な業者もいます。おかしいと感じたら警察署に行って状況を説明し、どうすべきか教えてもらうとよいでしょう。
車をすでに業者へ渡してしまっていると廃車できないと思う人もいるかもしれませんが、実は盗難届を出せば手続きが可能です。詳しくは警察からのアドバイスに従ってください。
業者となかなか連絡が取れない場合などは自分で廃車手続きをすることも検討しましょう。
廃車手続きに時間がかかると翌年の自動車税を請求されたり、受け取れるはずの還付金がもらえなかったりといった不都合が発生することがあります。時間がかかればかかるほど経済的なデメリットが大きくなる可能性があることに注意してください。
自動車税の還付が受けられる場合、廃車手続き完了から1〜2ヶ月程度で還付通知書が郵送されてきます。業者に依頼してから2ヶ月以上経っても通知書が来ないときは、状況次第では自ら廃車手続きしたほうがよいでしょう。
安全に廃車を行う際におすすめの依頼先
廃車を業者に依頼する際は、確実に廃車されたことを自分で確認しないとトラブルに巻き込まれる恐れがあることを説明しました。
トラブルを防止するためには、まず信頼できる業者に依頼することが大切です。
廃車ができる業者はいくつかありますが、中でもおすすめなのは、ディーラー、中古車買取業者、廃車専用業者の3つです。新しい車への乗り換えの有無など、自分の状況に合わせて適切な業者を選ぶとよいでしょう。
ここからは、安全に廃車を行える依頼先について、それぞれのメリットやデメリットなどを詳しく紹介していきます。
車の販売店であるディーラーに廃車手続きを依頼できる場合があります。
新車への買い替えで古い車を廃車にする場合や、メーカー認定の中古車を買う場合は、購入と同時に手続きができるため手間がかからないことがメリットです。
新しい車が納車されるギリギリまで現在の車を使い続けられることもメリットと言えるでしょう。
ただし、ディーラーに廃車手続きを代行してもらうには手数料の支払いが必要です。また、ディーラーは車を販売することをメインとする業者のため、車を購入しない場合は依頼できない可能性もあります。
中古車買取業者に廃車手続きを依頼するのも方法の一つです。
特に今乗っている車を廃車して中古車へ乗り換えすることを検討している人は、気になる中古車を販売する会社で廃車手続きの代行を引き受けてくれるか確認するのもおすすめです。そうすれば、手続きが一度で済むため余計な手間がかかりません。
ただし、中古車買取業者はまだ走れる車を主に買取している業者です。年式がとても古い車や動かない車などは買取を断られたり、廃車してもらうのに手数料がかかったりする可能性があることに注意しましょう。
免許を返納するなど、今後車に乗る予定がなくて廃車にする場合は、廃車専用業者に手続きを依頼するのがおすすめです。
廃車専用業者は廃車手続きに慣れているため、安心して依頼できます。また、年式の古い車や事故にあって動かない車など、どのような状態でも引き取ってもらえるのがメリットです。
廃車専用業者に依頼すれば廃車手続きの手数料がかからないというメリットもあります。また、車種や状態によっては買取ってくれることもあるでしょう。
廃車手続きの費用を抑えたい人にも廃車専用業者はおすすめです。
廃車でよく聞く用語を解説
これまでに何度も廃車手続きを行ったことがあり、慣れているという人は少ないでしょう。
廃車手続きでは様々な聞き慣れない用語を耳にすることがあります。用語を押さえておけば手続きや業者とのやり取りがスムーズになるでしょう。
ここからは、廃車手続きの際によく聞く用語について詳しく紹介します。
車台番号とは、国土交通省が車両一台ずつに割り当てた識別番号のことです。
エンジンルームなどの外からは分からない場所に記載されています。また、車検証や自動車保険証券などでも確認できます。廃車の確認などで必要になるため、購入時にメモしておくのがおすすめです。
一方、よく似た用語に車両番号があります。車両番号とはナンバープレートに掲載されている番号のことです。
車両番号は変更したり好みの番号を選んだりできるのに対して、車台番号は自動的に割り振られる上、廃車になるまで変わりません。
一時抹消登録とは廃車手続きの種類の一つです。
一時抹消登録を選ぶと車を解体せずに手元に残したまま、登録を消せます。登録がなくなることによりナンバープレートが取り外されて公道を走れなくなりますが、自動車税などの納付義務がなくなることがメリットです。
また、一時抹消登録した車をもう一度登録することで使用を再開することも可能です。そのため、海外赴任や入院などの事情で車に一定期間乗る予定がない場合によく利用されています。
一時抹消登録した車が不要になった場合は、売却したり永久抹消登録したりすることもできます。
永久抹消登録とは、車を解体して使えなくした上で登録を消すことです。単に廃車と言う場合、永久抹消登録を指すことが多いでしょう。
車が古くなって不要になったときだけでなく、免許返納して車の運転を止める場合や、事故などで車が全損したり動かなくなったりした場合にも永久抹消登録が必要です。
永久抹消登録した場合は、車そのものがなくなるため自動車税などの納付義務がなくなる他、自賠責保険も解約できるようになります。
ただし、原則として手続きの取り消しができません。今後車を使う可能性がないかどうか、慎重に判断した上で手続きしましょう。