バイクなどの車検を受ける必要がない「検査対象外軽自動車」も、自賠責保険には加入しなければなりません。そして加入・更新すると、その証として「自賠責保険加入ステッカー」が交付されるので、必ず所定の場所に貼り付ける必要があります。
では、そもそも自賠責保険とはどんなものなのでしょう?そして、ステッカーを通して何を確認することができるのでしょう?
この記事では、その疑問について詳しく解説していきます。また、紛失時の再発行方法なども説明します。
自賠責保険加入ステッカーについて
自賠責保険加入ステッカーは、車検を受ける必要がない車両に対して発行されるものです。公道を運転する際は、必ずこのステッカーを貼っていなければなりません。
ここからは、まず自賠責保険加入ステッカーの概要と詳細、取り扱い上の注意点を説明していきます。
自賠責保険加入ステッカーの概要
自賠責保険加入ステッカーは、車検制度の適用対象ではない検査対象外軽自動車のためのものです。小さなステッカーですが自賠責保険の満期年月が記載されており、貼る場所も決まっているなどとても重要なアイテムです。
検査対象外軽自動車とは、原付バイクなど車検を受ける必要がない自動車のことです。
検査対象外軽自動車が自賠責保険に加入すると、自賠責保険証明書とステッカーの2点が交付されます。
自賠責保険加入ステッカーの正式名称は「保険標章」です。
通常、乗用車が車検を受けると車検ステッカーが交付されます。そして自賠責保険の有効期間はそのステッカーに記されている車検有効期間に準ずるので、すぐに分かります。
しかし、検査対象外軽自動車の場合は車検ステッカーが存在しないので、かわりに自賠責保険加入ステッカーが交付されています。
自賠責保険加入ステッカーには、保険の有効期間が満了を迎える年月が記されており、同時に有効期限にあわせて7種類のカラーがあることから、少し見ただけで有効期間切れでないかが確認できます。
自賠責保険加入ステッカーは、ナンバープレートの左上の空白部分に貼るというルールがあります。これとあわせて、自賠責保険証明書を携帯した状態で公道を走行するようにしましょう。
ステッカーは古いものの上から重ね貼りをしても問題ありませんが、剥がれやすくなる恐れもあるので要注意です。
もし走行中に剥がれて紛失すれば違法の状態になるので、再発行されるまでは、その車両で公道を走れません。
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検査対象外軽自動車とは?
自賠責保険加入ステッカーについて概要を説明しましたが、ここで改めてステッカーを貼る対象車である「検査対象外軽自動車」について説明します。その定義や具体的な車種、自賠責保険や車検との関係について解説します。
検査対象外軽自動車とは、車検制度の適用を受けないタイプの車両のことです。簡単に言えば、車検を受けなくてもいい自動車で、排気量が一定以下のバイク、スノーモービルなどが該当します。
車検制度が適用される車は車検時に自動的に自賠責保険の手続きが行われるので、車のユーザーは自賠責保険のことを気にする必要がありません。一方、検査対象外軽自動車は、車検を受けないかわりに自賠責保険の手続きを自分で行うことになります。
検査対象外軽自動車は、側車付きのものを含むバイク、スノーモービルなどになります。
詳しい定義は道路運送車両法の第二条で定められてます。それによると、主として長さ3.4メートル以下、幅1.48メートル以下、高さ2メートル以下のもので、さらに総排気量が250cc未満のバイクや総排気量が660cc未満の軽自動車が検査対象外軽自動車に含まれることになっています。
ここまでの内容からも分かる通り、検査対象外軽自動車ではない自動車は定期的に車検を受ける必要があります。その際に、自賠責保険の加入・更新の手続きについても自動的に行われるので、特に意識しなくても問題はありません。
こうした車両は、車検をパスした後に交付される車検シールで自賠責保険に加入している事実を証明することができます。そのため、自賠責保険加入ステッカーが改めて発行されることはありません。
自賠責保険について
ここまでで、自賠責保険加入ステッカーと、検査対象外軽自動車の概要を説明しました。
次に、そもそも自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)とはどんな制度で、どのようなルールに基づいて運用されているのかを解説していきます。
自賠責保険の正式名称は「自動車損害賠償責任保険」といい、車による人身事故の被害者を救済するために運用されています。事故に遭遇しても補償が一切ないという事態にならないよう、自動車損害賠償保障法に基づいて運用されている制度です。
保証内容は、交通事故で他人にケガを負わせてしまった場合や死亡させてしまった場合です。
特色としては、被害者一人ごとに支払限度額が定められていることが挙げられます。例えば、一つの事故で被害者が複数人いても、それぞれ一人ずつの支払限度額は変わりません。
また、事故の加害者が保険の手続きをできない状態になっても、被害者から損害賠償額を請求することができます。保険金がすぐに払われなくとも、治療費といった当座の出費のために、賠償額の一部を「仮渡金」として受け取ることも可能です。そして、被害者側に重大な落ち度がない限り、賠償額が減額となることはありません。
ひき逃げ事故や自賠責保険に入っていない車によって起きた事故では賠償金が支払われないこともありますが、おおむね事故の被害者に対する手厚い措置が用意されていると言えるでしょう。
自賠責保険には、交通事故に遭った被害者の全てに最低限の補償を与える役割があります。そのため、全ての自動車、原動機付自転車を含む全てのバイクが強制的に加入させられる「強制保険」です。
大半の車は、車検業者のところで車検を受ける際に自動的に加入することになるので、車の持ち主もあまり意識することはないかもしれません。
しかし、ユーザー車検の場合や検査対象外自動車の場合は、自分で加入手続きを行う必要があります。
もしも手続きを行わず、自賠責保険の加入や更新を怠ったまま、運転し事故を起こすと、厳しく罰せられます。具体的には違反点数6点で免許停止処分、1年以下の懲役あるいは500,000円以下の罰金です。
さらに罪が重くなるのは、自賠責保険とあわせて車検が切れていた場合です。「無車検」「無保険」ということになり、1年6カ月以下の懲役または800,000円以下の罰金(違反点数は6点)となります。
自賠責保険には「日にち」単位ではなく「月」単位で加入することになり、最小単位は「1カ月」です。なお最大では37カ月、つまり3年と1カ月分まで加入することができます。
多くの場合は、車検を受けた際に自賠責保険の加入や更新をすることになるでしょう。この時、例えば次の車検までの有効期間が2年なら自賠責保険は25カ月(2年と1カ月)分加入することになります。
この中途半端な1カ月分は、自賠責保険と車検のそれぞれの有効期間が切れるタイミングにズレがあることから、ズレた期間を埋めるためのものです。
一方、検査対象外軽自動車の場合は車検がないので、自分で自賠責保険の加入手続きを行わなければなりません。この場合、加入や更新できる期間は最低でも12カ月からとなるので注意しましょう。反対に最大では60カ月まで保証期間を設定することができるので、この範囲内で期間を決めることになります。
検査対象外軽自動車の場合、自賠責保険の加入手続きは自分で行わなければなりません。手続きは損害保険会社でできますが、現在はもっと気軽に大手のコンビニエンスストアやインターネットでも手続きが可能です。
コンビニエンスストアの場合、加入のための手続きは店舗の種類によって異なるので、一番利用しやすいところの手続き方法を前もって確認しておくといいでしょう。
インターネットの場合はクレジットカードで保険料を支払うことになります。
いずれも申し込み手続きが済んでから数日後に、自宅へ自賠責保険証明書とステッカーが届きます。なお、これらが届く前に自賠責の有効期間が切れた場合は、証明書やシールによって保険加入の証拠を示せるようになるまでは、運転するのはやめましょう。
これらの手続きは、損害保険会社の代理店でも受け付けています。例えば自動車販売店や修理工場、あるいは郵便局でも手続き可能です。
自賠責保険への加入や契約の更新を自分で行う場合は、それぞれどのタイミングで行うのかも重要です。
バイクを購入した場合、バイク販売店は自賠責保険の代理店でもあるので、そこで加入することになるでしょう。また、バイク購入時にお店で手続きをしなかった場合でも、保険会社やその他の代理店などでも加入できます。
加入しなければバイクには乗れないので、乗ることになるタイミングに合わせて手続きを行ってください。
車検を受けなければならない車であれば、自賠責保険の更新も車検の際にあわせて行います。
検査対象外軽自動車に該当する車は更新時期に知らせが来ることもありますが、手続きは自分で行うので更新のタイミングを把握しておきましょう。
多くの場合は、有効期間切れの1カ月前くらいで手続きをすることになるので、タイミングを逃さないようにしましょう。
自賠責保険加入ステッカーの取り扱い
ここまで、自賠責保険という制度の概要を説明しました。この内容を踏まえて、改めて自賠責保険加入ステッカーの取り扱いについて説明します。
検査対象外軽自動車を使用する際、どんな点に注意しなければならないのかも見ていきましょう。
自分で手続きを行い自賠責保険に問題なく加入できれば、自賠責保険証明書と自賠責保険加入ステッカーの2点が交付されます。あわせて「しおり」も発行されるので、一度目を通しておくといいでしょう。
インターネット以外で手続きを行った場合は、申し込みと同時に即日加入となることがほとんどです。そのため、その場で上記2点を受け取れます。
後日郵送されるという場合は、届く前に保険の有効期間が切れていると公道での走行はできないので要注意です。
検査対象外軽自動車で公道を走る場合は、自賠責保険証明書の携帯と、ナンバープレートへのステッカーの貼付が必須です。
もしも両方、あるいはいずれかを怠ると300,000円以下の罰金となるでしょう。ただし、ステッカーが貼られていないことを指摘されても、携帯している証明書によって自賠責保険への加入が確認できればお咎めなしになるケースもあるようです。しかし、確実ではないのでルールは守るようにしましょう。
検査対象外軽自動車に対して発行されるステッカーは、所定の位置に貼らずにいると、自動車損害賠償保障法という法律にのっとり違反と見なされます。300,000円以下の罰金を科せられることになるので、注意しましょう。
ステッカーだけではなく、一緒に交付されている証明書も携帯していなければなりません。これもやはり、同法によってドライバーに義務付けられています。
車検を定期的に受けなければいけない車両の場合は、車検業者で車検の有効期間ステッカーを貼ってくれます。自賠責保険の証書も車検証とワンセットにしてくれるので携帯し忘れることはほとんどありませんが、検査対象外軽自動車を利用しているドライバーは、自分の責任で行わなければなりません。
ステッカーを貼るのは、警察が自賠責保険に加入している事実を一目で確認できるようにするためです。無用の疑いを招かないように、ステッカーは忘れずに貼りましょう。
手持ちのバイクなどを売却したり廃車するので自賠責保険も解約したいという場合、原則としてステッカーは保険会社が回収します。
しかし、解約することを忘れてナンバープレートに貼ったまま廃車にするケースも多く、その場合は「紛失」として手続きできます。
原則として回収していると言っても、解約する際のステッカーの扱いについてはルールの運用も比較的甘いと言えるでしょう。保険会社によって対応が異なることも考えられるので、まずは一度問い合わせてみてください。
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自賠責保険証明書やステッカーは再発行できる?
ここまでで、自賠責保険証明書と加入ステッカーの重要性について説明してきました。
では、万が一これらを紛失してしまったり汚損・破損してしまって使えなくなったりした場合は再発行できるのでしょうか?以下で説明していきます。
自賠責保険に加入しているのに証明書やステッカーを紛失してしまったという場合は再発行が可能なので、加入している自賠責保険を取り扱っている保険会社に問い合わせてみましょう。
多くの場合、その保険会社の営業店で手続きができます。バイクを購入した販売店、および自賠責保険への加入手続きを行った代理店では、取り次ぎはできても直接再発行の手続きはできないことが多いので、間違えないようにしましょう。
また、自賠責保険への加入や更新はコンビニエンスストアやインターネット上でも可能ですが、基本的に再発行は受け付けていません。(ただし保険会社によって対応は異なります)事前に営業店に問い合わせれば、郵送で手続きが済む場合もあります。
自賠責保険証明書とステッカーの再発行をする方法は以下の4つのパターンに分かれます。
- 保険会社の営業店へ直接行く
- 代理店に取り次いでもらう
- ホームページから手続きをする
- 郵送で済ませる
細かな対応は保険会社により異なりますが、多くの場合、営業店へ直接行くか郵送での手続きになるでしょう。代理店での取り次ぎや、ホームページを通した再発行手続きが可能かどうかは会社へ一度確認してください。
まずは営業店に連絡し、必要書類などを確認しましょう。多くの場合、身分証と印鑑が必要です。
また申請書などは営業店に出向いて受け取るか、各保険会社のホームページからダウンロードするなどして入手してください。
郵送で手続きをする場合は、専用封筒も保険会社のホームページからダウンロードして印刷できることがあります。
また、紛失ではなく汚損・破損した場合は現物も提出するので、きちんと保管しておきましょう。