車を所有していれば、定期的に車検を受ける必要があります。その車検にかかる費用をきちんと確認している方は少ないかもしれません。

実は、一定の年式以上になると車検費用は高くなってしまいます。

この記事では、どのタイミングで車検費用が高くなるのか、なぜ高くなるのかについて見ていきます。

古い車でも車検を通して乗り続けたいと思っている方もいるでしょう。その場合、少しでも費用を安く抑えるコツについても紹介します。

車検費用が高くなるタイミングはいつ?

車検費用が高くなるタイミングは決まっています。それは、「初年度登録されてから何年経過しているか」がポイントです。

ここでは、車検費用が高くなるタイミングについてみていきます。また、どの部分が高くなるのか、主要な車検費用の内訳についても紹介します。

車検費用の内訳について

車検費用の内訳について
車検費用はいくつかの項目によって構成されています。主な費用としては、「法定費用」と「車検基本費用」に分類できます。

それぞれどのような性質の費用なのか、以下で詳しく説明していきます。

法定費用

車検費用の内訳の一つに法定費用があります。

法定費用とは、「自動車重量税」「自賠責保険料」「検査手数料」によって構成されます。

車検の費用はどこに検査に出すかによって金額が変わってきますが、法定費用については、どこで車検を受けても金額は一緒です。

自動車重量税とは、車両の重量に応じて課税される税金のことです。普通車の場合、20,000円~40,000円といったところが相場と言われています。

自賠責保険料は、自家用車で普通自動車の場合、金額は一律となります。24カ月契約で20,010円、25カ月契約になると20,610円です。

検査手数料は、車種によって金額が異なりますが、継続検査の場合、1,200円~1,800円かかります。支払方法は印紙を購入して自動車検査表に貼り付ければ完了です。

車検基本費用

車検費用を構成する主要な項目としてもう一つ、車検基本費用があります。

車検基本費用とは、「24カ月法定点検料」「測定検査料」「車検代行手数料」の総称です。

24カ月法定点検とは、定期点検のことです。道路運送車両法で義務付けられているもので、20,000円~50,000円といったところが相場となっています。

測定検査料とは、検査そのものの費用のことで、10,000円前後が相場と言われています。

車検代行手数料とは、車検を通すために必要な事務手続きを業者が代行するにあたって発生する費用です。

車検基本手数料の中に、車検代行手数料を含めている業者が多いですが、法定費用に計上する業者も見られます。見積書でどこに含まれているか、確認しておきましょう。

車検費用が高くなるのは13年と18年

車検費用が高くなるのは13年と18年
一定期間を経過すると車検費用が上がるのは、法定費用によるものです。細かく言うと、自動車重量税に重課税がかかるために費用が上がってしまうのです。

自動車重量税は、2段階で課税額が上がる仕組みになっています。初年度登録をして13年目に上がり、18年経過するとさらに課税額がアップする仕組みです。

一例として、1.5~2.0トンの普通車の自動車重量税で見ていきましょう。エコカー以外の場合、13年未満の車両の税額は32,800円です。これが13年を超えてくると45,600円と13,000円近く上がってしまいます。さらに18年を超えると50,400円とさらに増税になってしまいます。

自動車重量税の課税額が上がるので、おのずと車検費用も増額するという訳です。

自動車重量税が高くなる理由

13年と18年で自動車重量税が増額されるのは、簡単に言えば環境対策のためです。

「エコ」という言葉が日本でも広く定着したように、地球環境問題は世界中でも最重要課題の一つです。今では、エコカーとしてハイブリッドカーや電気自動車などが広く販売されています。

一方、低年式車はこのような環境対策が施されていない車が多いです。環境対策のために古い車両からエコカーへの買い替えを促進するよう、税額を上げる仕組みを取っています。

古い車両の場合、燃費があまり良くない車も少なくありません。ガソリンを大量に使用する車に乗り続けると、温暖化などの問題も深刻化します。

その点、新しい車は古い車と比較しても燃費性能のいい車が多いです。エコカーでなくても新しい車に乗り換えてもらい、ガソリン消費を抑制するのも増額する目的の一つです。

自動車税も上がる

車のランニングコストは13年目を境に上がっていきます。その理由として、車検費用以外にも自動車税が関係しています。

自動車税は車検費用には含まれません。毎年4月1日時点で車を保有している方を対象に課税される税金で、車種や排気量によって税額が決められています。

自動車税も自動車重量税同様、新車登録から13年経過した車を対象の増税されます。増税額の幅は排気量によって異なりますが、4,000円~9,000円くらい上がります。13年未満の車両よりも15%増税されるイメージです。

車検費用とは別に自動車税の課税額も上がってしまうということも覚えておきましょう。

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走行距離も車検費用に影響する

走行距離も車検費用に影響する
車検費用は13年目と18年目に法定費用が上がることで、高くなります。その他にも基本的に走行距離が増えれば、車検費用は高くなると想定しておきましょう。

走行距離が増えると、それだけ車の各パーツの摩耗や劣化も進んでいると考えられます。そうなると車検に出した時に検査だけでなく、整備も必要になってくる可能性が高くなります。

もし点検だけでなく整備を行ってくれるところに車検を出せば、整備費用がかさみます。大掛かりな部品交換や修理が必要になるかもしれません。その分車検費用はどうしても高くなります。

10万kmが一つの目安

走行距離で見た場合、車検費用が高くなる一つのラインになるのが「10万km」と言われています。その理由は、10万kmを超えてくると、いろいろな部品が劣化して交換する必要性が生じるからです。

10万kmが交換の目安となっている部品は、以下になります。

  • ラジエーターホース
  • オルタネーター
  • タイミングベルト
  • ウォーターポンプ
  • クラッチ など

これらの部品を交換するとなると、費用がかかります。車種によって変動しますが、例えばラジエーターホースの交換相場は10,000円です。さらにオルタネーターやタイミングベルト、クラッチなどは60,000円が費用相場と言われています。

これらの部品を全て交換するとなると、整備費用だけでも10万円を超えてくる可能性があるわけです。

走行距離10万kmに近づいていて車検を迎えるのであれば、買い替えも検討したほうがいいでしょう。

古い車でも車検費用を安く抑えるには?

古い車でも車検費用を安く抑えるには?
古い車両の場合、いろいろな要因で車検費用が高くつきます。

しかし、今乗っている車に愛着があり、「車検費用はあまりかけたくないけれど、手放したくもない」という方もいるでしょう。

その場合、車検費用を少しでも安くするコツがあります。ここからは、主な方法をいくつか紹介していきます。

整備の範囲を必要最小限にする

車検を受ける際、見積書を作成してもらいましょう。見積書の内訳を確認して車検を通すために必要のない整備は外してもらうことで、費用を安くできます。

業者によっては、本来車検を通すために必要ではない整備を費用の中に含めているケースも少なくありません。

例えば、カーコーティングを費用の中に計上している業者もあります。しかし、カーコーティングは車検の項目ではないですし、走行性能に直接関係する項目でもありません。

このように不要なものを外して、必要最小限のサービスに抑制して費用の節約をしましょう。

ただし、車のコンディションに関係するような項目を削るのは好ましくありません。見積書の内訳を見て、なにが削れるか慎重に検討してください。

日頃から自分でメンテナンスをする

日頃から必要なメンテナンスを心がけることで、車検費用を安く抑えられます。

低年式車の車検費用が高くなるのは、部品の交換など整備費用がかさむのが一因です。車検の時に部品をまとめて交換するのではなく、その前にこまめに交換を進めておきましょう。そうすれば車検時の整備を必要最小限にでき、車検費用も節約できます。

定期的に自分でメンテナンスを進めることで、車に関する知識も身につきます。「今後どの部品を交換すればいいか」「どういった症状が出たら故障の前兆か」などを把握していれば、いつまでも愛車を安全に運転できるでしょう。

こまめにメンテナンスすることで、愛車の寿命を延ばすことも可能です。メンテナンスをすれば、車検費用の節約以外のメリットも期待できます。

複数の業者から見積もりをとる

車検をお願いする際、複数の業者に見積もりの依頼をしましょう。業者によって、同じ車両でも車検費用が数万円単位で変わってくることも珍しくありません。

少しでも費用を安く抑えたいと思っているのであれば、近所の車検対応している業者全てに見積もりを出してもらいましょう。

今の愛車に乗り続けるか、新しい車に乗り換えるか迷っている方も、車検費用の見積もりを取るのはおすすめです。両方の費用を比較することで、どちらがお得か判断できます。

ほとんどの業者で無料にて見積もりは出してくれますので、複数のところから見積もりを取り、より安く車検を通してくれるところを見つけましょう。

ユーザー車検で検査を通す

ユーザー車検で検査を通すのもおすすめの方法です。

ユーザー車検は自分で検査する方式です。検査のみで整備費用がかからないので業者に依頼するよりも費用を安く抑えられます。

ユーザー車検で車検を通すことで、車検のシステムや法定費用について詳しく理解できます。車をいじるのが趣味という方にはおすすめの方法です。

しかし、整備は行わないので、普段から自分でメンテナンスを行う必要があります。また自分で車検の予約手続きをすることや運輸支局に車両を持ち込む必要があります。

最初のうちは慣れず、検査を通すのに手こずるかもしれません。しかし何度か検査を受ければやり方に慣れ、スムーズに手続きを進められるでしょう。

車検費用が高くなる前に買取に出すのもおすすめ

車検費用が高くなる前に買取に出すのもおすすめ
低年式車になると、車検費用が高くつきます。もし今乗っている車にそこまでこだわっていないのであれば、車検費用が高くなる前に買取に出してしまうのも一つの手です。

ここからは、車検を前にして車を買取サービスに出す方法について説明していきます。

買取に出すなら車検前がおすすめ

もし車検に出そうか買い替えようか迷っているのであれば、車検前に買取に出すのがおすすめです。

車検の残り期間は査定額に影響しますが、その上乗せされる査定額よりも実際に車検を通すときにかかる費用のほうが大きいです。つまり、車検に通してから買取に出すと、損をするということになります。

また、車検の残り期間がほとんどないとプラス査定にはなりませんが、残り期間がないだけの理由でマイナス査定にされることもないです。そのため、車検前に車を売却しても損することはありません。

車検費用がかさむので買い替えを検討しているのであれば、車検前に売却してしまいましょう。

車検の有効期限ギリギリに売却するのは危険

車検前に車を売却したほうが良いと説明しましたが、車検の有効期限ギリギリの段階で売却するのではなく、少し余裕を持って買取に出すようにしましょう。

ギリギリの段階で車を売却しようと思っても、車検の有効期限までに間に合わない可能性があります。業者が繁忙期で、希望する日時に査定を受けられない恐れもあるからです。

また車検前ギリギリで買取に出すと、慌ててしまう恐れもあります。自分の愛車の相場など十分に情報収集できず、安く買い叩かれるかもしれません。

できれば車検の有効期限の1カ月前、少なくても2~3週間前には準備を進めておくことをおすすめします。

車検切れになった車は買い取ってもらえる?

車検切れになった車は買い取ってもらえる?
車検前に車を売ろうと思っていても、いろいろな事情で有効期限をオーバーしてしまうこともあるかもしれません。しかし、車検切れになった車でも、買取は可能です。

車検切れになってしまったため、急遽整備工場に持ち込んで車検を通す必要はありません。ただし、車検切れの車を買取に出すとなると、いろいろとデメリットが生じます。

車検切れになった車を引き取ってもらうためには積載車などが必要になります。すると、移動にかかる費用が発生します。費用はこちら持ちになるので、結局損してしまうことになります。

車検切れになる前に早く買取に出すことで、余計な費用を払わずに済むでしょう。

車検切れの車は走行できない

車検切れになった車は公道を運転できません。そのため、車検切れになった車を自分で運転して、買取業者に持ち込むことができなくなります。

車検切れの車を運転した場合は、違法行為となります。まず行政処分が違反点数6点、そして30日間の免許停止です。さらに刑事罰として、6カ月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金が科されます。

車検切れの車を買取に出す場合、持ち込み以外の方法で売らないといけなくなるので注意しましょう。

車検切れの車の買取方法

車検切れの車を買取に出すためには、「買取業者に出張査定をお願いする」もしくは「仮ナンバーを取得して業者に車を持ち込む」のいずれかの方法となります。

出張査定サービスは、査定士に現地まで来てもらって査定をしてもらう方法です。もし提示された買取金額に納得できれば、そのまま引き取ってもらえます。しかし、車を運転できないので、積載車などで移動する形になるでしょう。

仮ナンバーとは、車検切れになった車を一時的に運転できる制度のことです。市区町村役場で申請すれば、仮ナンバーを取得できます。もしどうしても車をお店に持ち込みたいと思うのであれば、仮ナンバーの取得がおすすめです。

結局査定額は低くなる

車検切れの車を買い取ってもらうことは可能ですが、実質的に買い取り価格は安くなってしまうので注意しましょう。

前述しましたが、車検切れの場合はそのまま公道を運転できません。買取業者にお願いして、積載車などで移動しなければなりません。

積載車での移動に関する費用はこちら持ちになるので、その分が買取価格からマイナスになってしまいます。

仮ナンバーを取得する場合でも、自賠責保険料や申請費用がかかります。その費用分、実質的にはマイナス査定になってしまうので注意が必要です。

仮ナンバーで運転する場合、取得と返却で2回市区町村役場に行かなければなりません。また仮ナンバーが使える期間は限定されているので、この部分にも注意してください。

いずれにせよ、損する可能性が高いので車検切れになる前に買い取りに出しましょう。

まとめ

①車を長く保有し続けると車検費用が高くなる
②13年と18年の経過段階で自動車重量税が上がってしまう
③部品の劣化で整備費用が高くついてしまう可能性も
④車検費用が高くなる前に買い取りに出すのもおすすめ
⑤車検前のほうが車検後に売るよりも結局お得

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