2年に一度は受けなければならない車検ですが、当日までに準備しなければならない書類に何があるのかきちんと把握している人は少ないかもしれません。ディーラーまかせになっていると、書類の不備に気付かずに困ってしまう可能性もあります。
この記事では、車検時に必要な書類である納税証明書について、電子化の流れや再発行する時の注意点について解説します。
これから車検を受ける人は、以下で紹介する内容を参考に準備を進めてください。
車検時に必要な納税証明書の提出は不要になった!
以前は車検時に納税証明書を提示しなければなりませんでしたが、現在は提出が不要になっています。納税証明書が電子化された流れで提示を省略できるようになったためです。
納税証明書は、毎年4月から5月にかけて納めなければならない自動車税の種別割に関する納付結果を担保する書類です。電子化自体は平成27年4月以降から開始されており、国土交通省や都道府県の税事務所はオンラインにて納税状況を確認できます。
とはいえ、証明書を提示しなければならないケースもあることから、取り扱いについては十分に理解しておかなければなりません。
車検時に納税証明書が求められていた理由
なぜ車検時に納税証明書を提示しなければならなかったのでしょうか?
もともと、車検を受ける際には、道路運送車両法(同法第97条の2第1項)の規定により、自動車税種別割に滞納がないことを証明しなければなりませんでした。そのため、未納だった場合、法律の定めに則り検査は受けられません。
検査を受けられなければ、点検されていない車は運転できないため、いつでも確認できるよう納付結果を準備しておく必要がありました。
「納付後は証明書を車検証ケースに入れておくように」と言われていたのはそのためです。
車の買取価格は売値の何割が基本なの?
納税証明書が電子化された
行政手続きの電子化が進んでいる背景から、納税状況の確認もオンラインで済まされるようになりました。その結果、納税証明書も電子化され、原則提示不要です。これは国土交通省と都道府県のシステムを連携させることで実現しました。
また、電子化されたことで変わったこともあります。以前は証明書を紛失した場合、県税事務所または自動車税管理事務所で再発行の手続きを踏まなければなりませんでした。しかし、書類で確認する必要がなくなったため、再発行してもらう必要もなくなっています。
手続きが簡素化されたため、自動車ユーザーにとって便利な環境が提供されています。
車検時に納税証明書の提示が不要なケース
手続きのオンライン化によって様々な恩恵にあずかれるようになりましたが、提示が必要のない具体的なケースについて深堀りしていきます。なぜならば、全ての都道府県で電子化に対応しているわけではなく、一部地域では紙の証明書を用意しておかなければならない場所もあるためです。
ここからは、提示しなくても良いケースについて紹介します。
電子化に対応している都道府県であるかどうかは重要なポイントです。2015年から始まったオンライン納付ですが、47都道府県が全て一律でシステムを導入できたわけではありません。一部の地域では導入が進まず、オンライン納付の利便性を享受できていませんでした。
とはいえ、令和6年10月に総務省から公表された資料である「地方税手続きのデジタル化」によれば、令和6年以降における自動車税のオンライン納付は全都道府県で実施できるようです。そのため、これから納付しなければならない人は、ぜひ活用してみてください。
また、納税情報がデジタル化された恩恵によって、条件さえ満たせば提示する必要はなくなりましたが、いくつかの注意しなければならないポイントもあります。
例えば、車検のタイミングが6月1日の場合、5月中旬以降に税金を支払う場合です。オンライン納付を済ませたからといって、納付状況がタイムリーにシステムに反映されるとは限りません。おおよそ、システムへの反映までは3週間前後かかるとされています。そのため、システム上で状況が確認できなければ提出しなければなりません。
確実に進めたい場合は、車検タイミングの1か月以上前に納付しましょう。
とはいえ、納税タイミングに注意しなければなりません。オンライン納付をした場合、確認用のシステムに支払い状況が反映されるまで3週間前後を要します。そのため、納付直後に車検を受けるような場合では、システム上で確認できないため証明書の提示を求められるでしょう。
納税証明書をもらうタイミング
納税のデジタル化が進み、証明書を保管する必要はなくなってきましたが、証明書がなければ、自分がいつ納付したか分からなくなってしまいます。そのため、選べる支払い方法によって、どのタイミングで証明書をもらえるか把握することが重要です。
ここからは、支払い方法ごとに納税証明書をもらえるタイミングについて紹介します。
従来のような金融機関やコンビニで納付するような場合、納税証明書は支払いが完了した直後に入手できます。窓口支払いの場合、証明書部分に領収済み印を押してもらえるためです。
納税証明書は、納税通知書(払込用紙)の右側にある切り取られる部分です。支払い後の押印箇所が表示されており、問題なく手続きが完了できれば行員もしくは店員が押印します。そのため、押印がない場合、証明書は無効です。
支払い後は必ず押印されているかどうか確認しましょう。
窓口で支払わず、キャッシュレス決済を利用した場合、自治体によっては納税証明書が自宅に郵送されるケースがあります。しかし、発行されない場合もあるため注意しましょう。
手元に届かない場合であっても、必要であれば自治体に申請することで交付してもらえます。ただし、申請から交付まで日数がかかる場合があり、急ぎで必要な場合はキャッシュレス決済を利用せずに、窓口で支払うようにしましょう。
また、キャッシュレス決済とは具体的に以下のような方法が該当します。
- インターネットでのクレジットカード決済
- Pay-easy(ペイジー)納付
- スマホ決済(PayPay・LINE Payなど)
車の買取価格は売値の何割が基本なの?
納税証明書を再発行する方法
デジタル決済を利用しない場合において、証明書を紛失してしまうと、支払いした実績を示すものがなくなります。車検のあるタイミングでなければ、どこかに提示する必要もないため、特に大きな問題にはなりません。
しかし、車検を受けなければならない場合、提示できなければ車検を受けられないため、紛失は大きなリスクです。そこで、リカバリー方法として証明書の再発行があります。
具体的な方法は、普通車と軽自動車で異なるため、それぞれの内容を解説していきます。
普通車の納税証明書の再発行をするには、「都道府県税事務所や自動車税管理事務所などの窓口で手続きする方法」と「郵送で申請する方法」の2つがあります。
それぞれの方法について、以下で見ていきましょう。
普通車の場合、自動車税の管轄は都道府県です。そのため、申請先は都道府県税事務所や自動車税管理事務所が該当します。手続きしたい場合、住んでいる場所の近くにある事務所を利用しましょう。
再発行を依頼する場合、次のような資料を用意します。
- 自動車の登録番号・車台番号
- 納税義務者の氏名・住所
- 申請者の電話番号
- 委任状(手続きを代理人に依頼する場合)
- 本人確認書類(手続きを代理人に依頼する場合)
支払い直後に再発行を依頼する場合、納税状況が確認できるようになるまで数日かかるため、領収書を持参しましょう。手数料はかかりません。
郵送は、申請できる自治体に住んでいる場合に利用できる方法です。
送り先は窓口申請の場合と同じように都道府県税事務所や自動車税管理事務所です。
必要な書類も前述の通り、持参する資料と変わりません。ただし、以下の資料は郵送時のみ必要となるため事前に用意しましょう。
- 交付請求書
- 切手を貼った返信封筒
- 請求者の本人確認書類のコピー(自治体により必要)
交付請求書は自治体のホームページからダウンロードできます。支払い直後に依頼する場合は、状況の確認に数日を要する場合があるため、領収書を同封すると速やかに手続きしてもらえるでしょう。
とはいえ、郵送申請の場合は窓口で依頼する場合と比較して再発行まで時間を要します。証明書が必要なタイミングに合わせて早めに対応しましょう。
ここからは、軽自動車の場合における、納税証明書の再発行方法を紹介します。
基本的な流れは普通車と変わりませんが、手続きを主管する場所が異なります。間違った場所で手続きしないためにも、普通車の場合と違う点に着目して準備すると良いでしょう。
軽自動車の場合、自動車税は市町村が管轄しています。そのため、再発行の手続きを主に担当する場所は市町村役場です。普通車の場合は都道府県が担当するため、担当する自治体の種類が違う点に注意しましょう。
再発行の手続きに必要な書類は次の通りです。
- 自動車の車両番号
- 納税義務者の氏名・住所
また、納付直後から自治体が確認できるまで数日間を要します。そのため、スムーズに手続きを進めたい場合は領収書を持参しましょう。
郵送で再発行を依頼する場合も、軽自動車に関しては市町村役場が送付先です。
準備する書類についても、窓口に提出するもの以外に以下のような書類を用意しましょう。
- 申請書
- 切手を貼った返信封筒
申請書は市町村役場のWebサイトからダウンロードできます。
申請にかかる日数は窓口よりかかるため、納付直後であれば領収書を同封した方が良いでしょう。急ぎの場合は早めに手続きを進めてください。
納税証明書を再発行する際の注意点
前述の通り、納税証明書の再発行に関しては、手続きも煩雑ではなく、ハードルは高くありません。とはいえ、これから紹介するポイントについて知っておかなければ、想定外の結果につながり、余分な手間がかかるでしょう。
ここからは、再発行時の注意点について紹介します。
納税証明書には種類がある点に注意しましょう。車検用と一般用が設けられており、車検以外で納税証明書が必要な場合は一般用で申請します。
また、車検用の納税証明書の再発行は無料ですが、一般用の申請をする場合は手数料がかかります。普通車の証明書であれば400円、軽自動車の場合は200円〜300円必要です。
さらに、一般用の場合は自治体によって請求時の名称が異なります。例えば、「納税証明交付請求書」といった名称を定めている自治体もあります。
種類、手数料、名称の違いに注意しましょう。
年度途中で引っ越しした場合、申請先が異なる点にも注意しましょう。なぜなら、納税証明書は4月1日時点に住民票がある都道府県や市町村で発行されるためです。
引っ越した場合における再発行申請は、引っ越し前の自治体で手続きする必要があります。
引っ越し後に納税証明書を再発行する場合は申請先に気を付けてください。申請先が遠隔地になった場合は、郵送での手続きがおすすめです。
オンラインで納付状況を確認できるようになったとしても、システムへの反映に時間がかかるようです。納付直後に車検が控えている場合、システムに反映されておらず、確認できなければ車検を受けられません。このような場合に備えて、納税証明書は保管しておきましょう。
納税確認システムとは?
ここからは、便利なオンライン決済を可能にした納税確認システムについて、その使い方や使用時の注意点を紹介します。
このシステムは、納税証明書がない場合でもインターネットを活用して自宅から簡単に確認ができます。そのため、車検時に納税証明書が手元にない場合であっても、その場ですぐに納付状況を確認できる点が最大のメリットです。
特に、証明書を紛失した場合に困るタイミングは車検時ではないでしょうか。スケジュールを調整して車を持ち込んだにもかかわらず、証明書が確認できないために受けられないような事態を避けられます。
納税確認システムを利用したい場合、インターネットに接続できれば場所は問いません。そのため、タブレットやスマートフォンがあれば、自宅でなくても確認できます。
利用時は自動車の登録番号や車台番号の下4桁が必要です。これらの情報は車検証に記載されているため、手元に車検証がなければ利用するハードルは上がります。
また、利用できる時間帯は自治体によりますが、24時間いつでも利用でき、確認が必要な車両情報を入力するだけで納税証明の確認ができます。
パソコンであれば、複数車両を一度に照会できるため、事業用に使う場合にも重宝するでしょう。
非常に便利なツールではあるものの、いくつか注意すべきポイントがあります。
納税確認システムを利用したとしても、納税情報がシステムに反映されるまでには時間がかかるケースがあります。そのため、納税後すぐに車検を受ける場合は、事前に納税証明書を取得しておきましょう。
また、インターネット接続やサーバーの問題でシステムが利用できない場合が考えられます。車検当日に、このようなトラブルは避けなければなりません。そのため、確認システム以外の方法で納税証明書を取得しておくなど、複数種類の手段を併用しましょう。