車検切れの車で事故を起こすと、法律違反となるので行政、刑事処分が課されます

車検切れの車で事故を起こすと、法律違反となるので行政、刑事処分が課されます
車検切れの車で公道を走るだけでも、道路運送車両法違反となり、行政、刑事処分が課されます。しかも事故を起こし、交通違反が絡んでくると道路交通法違反による処分も加わります。

人身事故の場合、被害者の怪我、加害者の過失責任の程度により更に処分が重くなります。そして、車検時に自賠責保険の更新がされることがあるので、車検切れと共に自賠責まで切れていると、無車検無保険運行でまた処分が重くなるのです。

任意保険も、約款に無車検の場合は適応外と規定があれば、使うことができないので経済的な負担を背負うことにもなりかねません。車検切れのまま公道を走行しないように、早めに受けるようにしましょう。

自賠責保険も切れていると、無車検無保険となり処分が更に重くなります

車検切れでの事故は処分が重い

車検切れの車を公道で走らせるだけでも、道路運送車両法という法律に違反します。行政処分に関しては、違反点数は6点なので30日間の免許停止処分となります。

処分後に、違反講習を受けて点数が戻っても、前歴がついてしまいます。刑事処分に関しては、6ヶ月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金という刑罰が科されることになるのです。

更に、車検切れの車で事故を起こした場合は、車検切れに関する道路運送車両法に加えて、交通事故に関しての道路交通法にも関係してくることになります。また、物損事故でも一時停止違反や信号無視など、道路交通法違反が絡んでくる場合は、処分対象となる場合もあります。

一方、事故の相手に怪我をさせた人身事故の場合は、相手の怪我の程や自分の過失の度合いに応じ、自動車運転死傷行為処罰法違反による処分も関係してくるのです。更に、事故に至った原因が信号無視などの道路交通法違反の場合も、処分が課されます。

無保険となる場合も

また、車検切れの車で事故となると、自賠責保険が切れている可能性が高いと言えます。自賠責保険は、車の所有者が加入を義務付けられている強制保険です。

一般的に車検時に次の車検までの保険期間分の保険料を支払い、更新する手続きが取られるからです。そうなると無保険車ということで、自動車損害賠償保障法違反となります。

違反点数は6点の行政処分と、1年以下の懲役または50万円以下の罰金という刑事処分が課されることになるのです。

人身事故の場合は、被害者の怪我の程度や過失度合いによって処分が違ってきます

人身事故の場合は、被害者の怪我の程度や過失度合いによって処分が違ってきます
物損事故の場合

車検切れの車で起こした事故が、車や看板など物の破壊のみの物損事故の場合、無車検による処分に留まる場合が多いとされています。つまり、違反点数6点の行政処分と、6ヶ月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金という刑事処分です。

また、自賠責保険が切れていれば、無保険による処分も加わります。無車検及び無保険運行となり、違反点数12点、90日間の免許停止の行政処分が課されるのです。

更に、1年6ヶ月以下の懲役もしくは80万円以下の罰金という刑事処分がなされます。ただし、物損事故でも別に交通違反が発覚すると道路交通法違反による処分が加わることがあります。

例えば一時停止違反や信号無視が原因の事故である、飲酒運転などです。そうなると更に行政、刑事処分が重くなる可能性があります。

人身事故の場合

車検切れの車で怪我のある人身事故が起きた場合、物損事故の際の処分に加え、怪我の程度に応じて行政処分として事故点数が加算されます。例えば被害者が治療期間が15日未満もしくは建物の損壊がある場合、自分の非が大きいなら3点、相手にも非があるなら2点となります。

治療期間の長さによって、また自身の責任、過失程度によって事故点数も変わってきます。一番重い死亡の場合は、自分の非が大きいと20点、相手に非があっても13点です。

更に刑事処分としては、被害者の負傷程度、事故の原因などによって懲役刑もしくは罰金刑が課されることになります。道路交通法もしくは、自動車運転死傷行為処罰法に基づく処分です。

例えば、治療期間が15日以上30日未満であれば20~30万円の罰金刑、被害者死亡となると7年以下の懲役もしくは禁固刑というのが一般的です。ただし、事故の内容に応じて個々のケースで課される刑事処分は大きく違うので一概には言えません。

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自賠責保険は有効期限内なら適用できますが、任意保険は内容によっては適応外となることもあります

自賠責保険は使えるのか?

交通事故を起こし、加害者となると被害者の怪我の治療費や車の修理代など、場合によっては莫大な経済的負担を背負うことになります。加害者に支払い能力がないと、被害者自身が金銭的に困窮する恐れもあります。

こういった交通事故被害者の救済を目的として、自賠責保険への加入が法律で義務付けられています。自賠責保険は、対人賠償のみで対物には対応していません。

対人賠償の補償額も傷害の場合は1人につき120万円、死亡の場合は3000万円と決まっています。この自賠責保険は、車検が切れていても事故日が契約満了日を経過していなければ適応されます。

通常は車検と同じ期限です。しかし、万一の事故の場合車検は切れていても自賠責が有効なら補償の面での負担が違ってきます。

自賠責保険が失効しないように1ヶ月多く、25ヶ月で契約している場合もあります。しかし、それでも自賠責保険の有効期限が切れてしまっている場合は、もう使うことはできません。

任意保険は使えるのか?

自賠責保険が使えなければ、任意保険を使えばいいのではないか?と思われがちです。確かに任意保険は保険料を支払っていれば、自動更新される場合が多いので自賠責保険が切れていても有効である可能性が高いでしょう。

実際に車検切れの車で事故を起こしても任意保険は使えますが、適応範囲が限定的となります。主に相手方への補償のみで自身の怪我の治療や車の破損に関しては補償されない可能性があります。

また、約款に無車検車の事故の場合は保険が適用されないと明記されている場合もあります。この場合は任意保険に加入していても全く補償がなされない可能性もあるのです。

車両保険や人身損害補償は事故に際し、契約者に重大な過失があると適用されないこともあります。重大な過失に関しては、保険会社などの判断に委ねられるので、ケースバイケースとなるでしょう。

例えば、無車検無保険の期間や知っていて無保険、無車検の車を走らせていたのか(故意)、以前にも無車検無保険の前歴があるのかなどが判断材料とされます。

事故後、車の移動は積載車に乗せるか仮ナンバーを取得するという手段があります

事故後、車の移動は積載車に乗せるか仮ナンバーを取得するという手段があります
また車を運転したい場合

車検切れの車で事故を起こした場合、車は走行可能でも公道を走らせることはできません。まずは車を移動させるためには、ディーラーや自動車整備工場、任意保険の保険会社などに連絡して、レッカーを手配する必要があります。

しかし、レッカーで引っ張る際に車の前輪もしくは後輪が公道に面していると、違反になってしまいます。車を乗せて運搬できる大型の積載車を手配する必要があります。

そうなると、費用が2、3万円程度かかるでしょう。もう一つの方法が仮ナンバーの取得で、仮ナンバーをつければ車検切れの車でも一時的に公道を走行させることができます。

市区町村の役所の市民課などでほとんどの場合即日交付してもらえます。自賠責保険証と運転免許証、車検証と印鑑を持参しましょう。

手数料は自治体によって異なりますが、大体600円位だとされています。ただし、有効期限が3~5日とかなり短期間なので要注意です。

自治体によっては1日限りという場合もあります。期限がきたら返却しなければなりません。

そして、事故車を修理して再び乗りたいなら、車検を受ける必要があります。大型積載車を使うもしくは仮ナンバーを発行してもらうという移動手段は、あくまで目的地までに車を運ぶための緊急的な措置です。

何回か使うと費用がかさみ、手間もかかります。そのため、移動する前に予め修理、車検の手はずを整えておくことが大事です。

車に乗らない場合

無車検で事故を起こした車にはもう乗らない、不要となる場合は、そのまま手放してしまうのも一つの手です。また、事故による損傷が激しく、修理してからなおかつ車検まで通して乗ろうとすると保険が適応されたとしても、出費がかさんでしまいます。

事故による損傷がさほどひどくない場合は、そのまま中古の事故車として売却することもできます。損傷の程度によって買取額が業者が異なるので、複数の買取業者に査定してもらいましょう。

また、損傷が激しい場合でも廃車にするなら、廃車専門の買取業者に依頼すれば買い取ってもらえます。解体してパーツを取り外す、スクラップにして鉄くずにしても利用価値はあるので買取額はつきます。

事故後に車をどうするか十分検討して、しかるべき措置を取りましょう。

(まとめ)車検切れの車で事故を起こすとどうなるのか?

1.車検切れの車で事故を起こすと、法律違反となるので行政、刑事処分が課されます

車検切れの車で公道を走行するだけでも処分が課されますが、事故を起こすと場合によっては、更に重い処分が加わることとなります。しかも自賠責が切れている、任意保険が適応外となると経済的な負担がのしかかることになります。

2.自賠責保険も切れていると、無車検無保険となり処分が更に重くなります

車検切れの車で公道を走るだけでも違反となり、行政処分と刑事処分が課されます。無車検車で事故を起こすと、特に人身事故の場合被害者の怪我の程度や自身の過失度合いによっては、かなり重い処分が課されることもあるのです。

3.人身事故の場合は、被害者の怪我の程度や過失度合いによって処分が違ってきます

物損事故の場合、交通違反がなければ無車検か、無車検無保険運行の処分が課されます。人身事故の場合、被害者の怪我の程度がひどく、自身の過失も大きい場合は重い事故点数となります。

刑事罰も、事故の内容に応じて懲役刑もしくは罰金刑が課されます。

4.自賠責保険は有効期限内なら適用できますが、任意保険は内容によっては適応外となることもあります

自賠責保険の契約期間が車検期間よりも1ヶ月長い場合は、車検切れでも自賠責保険が適用できます。任意保険では、適用範囲が限定されることも多いですが、更新されていれば使えます。

ただし、約款で無車検の場合は適応外と定めてあれば使えません。

5.事故後、車の移動は積載車に乗せるか仮ナンバーを取得するという手段があります

車検切れの車での事故後、車を移動させるには大型の積載車を手配して乗せるか、仮ナンバーを取得して一時的に公道を走らせるという方法をとるしかありません。修理して乗るなら車検を受ける必要がありますが、不要なら売却もしくは廃車にすることも可能です。


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