「小回りが利く」「維持費があまりかからない」ということで、自家用車として軽自動車を購入する方も少なくありません。
軽自動車でネックになるのが「後部座席の狭さ」です。しかし、近年の軽自動車を見てみると、後部座席でも快適に過ごせるようにスペースを広げたり、いろいろな機能を設けたりなどの企業努力が進んでいます。
軽自動車に3人以上で乗車することが多ければ、後部座席の快適性もチェックしてみましょう。
軽自動車の後部座席は期待しないほうがいい?
「軽自動車の後部座席の快適性はあまり重視すべきではない」としばしば言われます。軽自動車の後部座席は、一般的に狭い車種が多いとされるからです。
なぜ軽自動車の後部座席は一般的に狭い傾向があるのか、ここで詳しく見ていきます。軽自動車はコンパクトサイズのものが多く、スペース上の問題が中心と考えられています。
軽自動車の後部座席が窮屈な理由
軽自動車の後部座席は狭くて窮屈と言われます。これは、軽自動車のサイズによるものです。
軽自動車は普通自動車と比較すると、一回りサイズが小さいです。その分小回りが利くなどのメリットがありますが、車のサイズが小さいと車内スペースもどうしても狭くなります。
軽自動車には一定の規格が設けられています。
- 全長…3.4メートル以下
- 全幅…1.48メートル以下
- 全高…2.0メートル以下
この範囲で作らなければなりません。
軽自動車というジャンルが生まれた当初の規格と比較すると、一回り大きくなっていますが、それでも普通自動車と比較するとサイズは小さいです。
前方の座席の場合、運転席があるのでハンドルなどのスペースを確保しなければなりません。その分、どうしても後部座席のために確保できるスペースは限定的になってしまいます。
軽自動車には規格があり、普通自動車と比較すると「車高は低く」「車幅は狭く」製造するように決まりがあります。外観のサイズに制約があるので、どうしても車内スペースも狭くなります。
後部座席に子供を乗せるのであれば体もまだ小さいので、そこまで窮屈には感じないかもしれません。
しかし、4人乗りの軽自動車でも、後部座席に大人が2人乗るとなると狭く感じられるでしょう。
後部座席が狭いとドライブ中に不快感を抱きやすくなります。
例えば、コーナリングする時など車の挙動が乱れた時に頭が揺れることで、さらに圧迫感を得やすくなります。また、急ブレーキをかけた時には前方のシートに体をぶつけてしまうこともあるかもしれません。
このように車内スペースが狭いことで、いろいろと不都合が生じる可能性があります。
軽自動車は、車高が2.0メートル以下という決まりがあります。普通自動車と比較して車高が低めに設計されているので、これも後部座席の狭さを生み出す原因の一つです。
もともとの高さがあまりないので、車内スペースの高さもおのずと限定されます。小さな子供であればそれほど感じないかもしれませんが、大人だと頭部が圧迫されている印象を受けるでしょう。
窮屈さ以外にも軽自動車の後部座席は不快感を抱きやすいです。車高が低いと地面と座席の底部までのストロークがあまりありません。すると、運転中の振動が普通車よりもダイレクトに伝わりやすくなります。
普通車と比較して振動が大きく、揺れる頻度も多くなるので窮屈さと相まって不快に感じるわけです。
軽自動車には全長3.4メートルと上限があるので、おのずとホイールベースの長さも制約があります。
ホイールベースとは、前輪と後輪の間の距離のことです。ホイールベースが短いと車内スペースも狭くなり、後部座席の狭さにつながっていきます。
その上、ホイールベースの短い車種は後部座席の真下に後輪が来やすいです。タイヤの真下に近い位置に座席があると、振動がよりダイレクトに伝わってきます。運転中常に細かく座席が動くので、不快に感じやすくなるのです。
軽自動車の後部座席は「狭くて快適ではない」と、よく言われます。その要因の一つとして、普通自動車と比較すると車内の音がうるさい傾向が見られるからです。
これも、普通車と比較して大きさに制約があることが原因です。限られたスペースでできるだけ車内スペースを確保しようとすると、車体の作りも華奢になってしまいます。そのため、普通車と比較すると気密性や防音性が劣りがちです。
また、エンジンパワーの問題もあります。加速する時パワーがない軽自動車の場合、強くアクセルを踏み込む必要があります。するとエンジンが一気に高回転に突入するので、大きな音がしてしまうのです。
普段から普通車に乗っている人は特に軽自動車の後部座席に乗ると、窮屈さ以外にも騒音が気になるかもしれません。
軽自動車の売買をする際の必要書類とは?
企業努力で広い空間が確保できている軽自動車もある!
軽自動車は規格内で製造する必要があるため車内スペースにも制約があり、どうしても後部座席のスペースも狭くなってしまいます。
しかし、各自動車メーカーの企業努力によって少しでも後部座席のスペースを確保できるような対策を講じています。それに伴い、後部座席でも快適に過ごせるような車種も登場してきています。
例えば、エンジンのディスプレイを従来と変更することで、後部座席のスペースを確保している車種です。エンジンを座席の後ろに持ってくることで、後部座席のスペースを広くしている軽自動車も出てきています。
その他には、トールワゴン、スーパーハイトワゴンなども後部座席が広いと言われているモデルです。従来よりも車高があるので車内スペースも広く、後部座席に乗っていても圧迫感を感じにくい作りになっています。
後部座席にこだわった軽自動車の選び方
「3人以上で乗ることが多いが、それでも軽自動車を購入したい」と考えているのであれば、慎重に軽自動車を選んだほうがいいでしょう。後部座席に乗った場合でも極力快適に過ごせるかをチェックすることが大切です。
ここからは、後部座席にこだわって軽自動車を選ぶ際に押さえておくべきポイントについてまとめました。
後部座席で快適に過ごせるかどうかは、いくつか条件があります。その中でも大きいのが「車内スペースの広さ」です。
車内スペースが広く確保されていると、後部座席に2人乗車していても窮屈に感じずに済みます。
特に後部座席に大人2人で乗車する頻度が多い場合には、車内スペースの広さを重視することをおすすめします。
最近の軽自動車を見てみると、後部座席にある程度のスペースが確保できているものも少なくありません。大人4人が乗車しても、ストレスをあまり感じないようなモデルも出てきているほどです。
エンジンのコンパクト化や新型プラットフォームの開発などで、後部座席にゆとりを出しています。どの程度のスペースがあるか、チェックしてみるといいでしょう。
最近の軽自動車のモデルを見ると、限られたスペースをより効率的に活用できるような工夫が施されたものが多いです。
例えば、後部座席でもリクライニングやスライド機能が搭載されているものも少なくありません。
スライド機能がついていると、コンパクトサイズの軽自動車でも柔軟な使い方ができます。人が乗る時とラゲッジスペースを広く取りたい時で自由自在に調節できるわけです。
後部座席の乗り心地にこだわるのであれば、スライド量のより大きな車種を購入するといいでしょう。スライド量が大きければ、体格が立派な人でも快適に乗ることができます。
現在販売されている軽自動車を見ると、200mm程度しかスライド量のないものもあれば、300mm超のものもあります。
軽自動車の中古車を購入しようと思っている方もいるでしょう。軽自動車は、普通自動車と比較して低価格で販売されている車種が多いです。中古車となれば、さらにリーズナブルな価格で購入できる可能性もあります。
ただし、中古車の軽自動車を購入する際には、後部座席にシートベルトがついているか確認してください。2008年から車両の全席でシートベルトの着用が義務付けられています。
2008年以降に新車販売されている軽自動車なら、後部座席にシートベルトがついているはずです。しかし、これよりも前に発売された軽自動車の中には、後部座席にシートベルトがついていない可能性もあります。
法律順守の他にも安全面を考えれば、後部座席に乗車している方もシートベルトを装着したほうがいいので、中古車を購入する際は注意しましょう。
試乗することが大事
軽自動車の後部座席にこだわる場合、「いいな」と思った車が見つかったら試乗してみることです。
試乗せずに軽自動車を購入すると、いざ実際に運転した時に「こんなはずではなかった…」と思うかもしれません。
見た目だけでは分からない情報もあるので、購入前に試乗することをおすすめします。
もし後部座席の快適性を重視しているのであれば、試乗の際にどのようなことに注意すればいいのでしょう?
実は、後部座席の快適性を知るために重要なポイントがいくつかあります。そのため、試乗の際にチェックしておきたいポイントについて、以下にまとめました。
試乗する際には以下の項目をチェックするように意識してみてください。
後部座席の快適性を左右する要素の一つが「走行音」です。試乗する際には走行音が気にならないレベルかどうか、チェックしてください。
走行音には「エンジン音」「地面を走行している時の音」「外部から聞こえる騒音」などいろいろとあります。もし、これらの音が大きくて同乗している方との会話に支障が生じるようであれば、不快に感じるはずです。
複数人で試乗する場合には、会話ができるレベルの音かどうか確認しましょう。
1人で試乗する際には、カーラジオをつけてみると分かりやすいです。カーラジオの音声を聞き取れるかどうか確認してください。ラジオの音が聞き取りづらければ、走行音が大きめということになります。
試乗している際に、後部座席の「振動」がどの程度かチェックしましょう。
特に長時間ドライブをする場合、振動が大きいと体に大きな負担がかかります。
段差や凹凸のある粗い路面を走行している時に、振動が許容できるレベルかどうかをチェックしてください。試乗の時間はわずかかもしれないので、重視しておきたい項目です。
もし振動にこだわるのであれば「車高の低い車種」は避けたほうがいいかもしれません。
車高が低いということは、それだけ地面までのストロークがないということです。地面までの距離が近いと、それだけ振動もダイレクトに伝わってしまいます。
ある程度車高のあるモデルの中から探してみるといいでしょう。
後部座席で快適に過ごすためには「足元のスペース」もチェックしてみてください。軽自動車の後部座席に乗っていて窮屈に感じる要因の一つが、足元スペースの狭さにあるからです。
試乗する際には後部座席に乗ってみて、足元を自由に動かせるかチェックしてみましょう。
特に身長の高い方や体格のいい方が後部座席に乗る機会のある方は、重視することをおすすめします。このような方々が足元の狭い後部座席に乗ると、足首や膝に大きな負担がかかってしまいます。
長時間ドライブすることが結構あれば、足元のスペースは試乗の際に確認してみてください。
軽自動車の売買をする際の必要書類とは?
機能性で比較する
軽自動車の後部座席にこだわりたければ、後部座席にどのような機能が搭載されているかもチェックしておくといいでしょう。
近年の軽自動車を見てみると、後部座席の快適性を高めるような機能が搭載されているモデルも見られます。快適に過ごせるものもあれば、安全性の向上にこだわった車種もあります。
後部座席に何を求めるか決めたうえで、軽自動車を比較してみてください。
自動車の機能の中でも欠かせないものに「エアコン」があります。特に近年の日本では、真夏に猛暑日を記録することも少なくありません。
そのため、最近の軽自動車は後部座席にサーキュレーターが搭載されている車種もあります。
サーキュレーターとは、送風機のことです。サーキュレーターがあれば、前席でクーラーを入れればその冷風が後部座席にも流れ込みやすくなります。
従来の軽自動車を見ると、送風口は前席のみのものがほとんどでした。エアコンをつけて前席はすぐに快適な温度まで下がりますが、後部座席は多少時間がかかっていました。そこで、サーキュレーターがあれば、前席と後席ほとんどタイムラグなしで快適な室温にできます。
軽自動車の中には「スライドドア」つきの車種も出てきています。
スライドドアがついていると、後部座席を乗り降りする時にスムーズです。
例えば、小さな子供がいる家庭の場合、子供を抱えたままドアを開け閉めすることもあるでしょう。スライドドアであれば、あまり力を入れなくてもドアが開閉できるので便利です。
また、スライドドアであれば、ドアを開けた際にそんなにスペースは必要ありません。狭い駐車場に車を停めた際にも隣の車にドアをぶつけるような危険性もありません。
普段よく利用する駐車場が狭ければ、スライドドアがついている軽自動車を購入するといいでしょう。
軽自動車のデメリットとして「安全性が低い」とよく言われます。ボディが弱いからだとされていますが、衝突安全性試験をクリアしているので普通車とほとんど変わりありません。
また軽自動車の中には安全性にこだわった車種も見られます。
例えば、前席だけでなく後部座席にもエアバッグを搭載している車種も少なくありません。衝突した時にエアバッグが膨らむことで、人間の受ける衝撃を軽減してくれます。
後部座席の安全性にこだわるのであれば、サイドエアバッグやカーテンエアバッグの搭載されている車種を選びましょう。両方とも横からの衝突対策のために取り付けられたエアバッグです。サイドエアバッグは後部座席の乗員の胸部、カーテンエアバッグは頭部を保護してくれます。
最近の軽自動車の中には、車中泊も楽しめるだけのスペースを確保しているような車種も見られます。そのような軽自動車は、後部座席が「フルフラット」になるものが多いです。
後部座席がフルフラットになれば、体を横にして休息も取れます。アウトドアが趣味で車中泊する機会のある方は、フルフラットになる軽自動車かチェックするといいでしょう。
またフルフラットになる軽自動車はレジャーだけでなく、日常生活でも重宝します。
例えば、後部座席を使用しない際にフルフラットにしておくと、後部座席もラゲッジスペースとして活用することが可能です。日用品の買い出しで商品をまとめ買いする際にもスペースの心配がいりません。
軽自動車の後部座席は狭いので、特に長時間のドライブだと体の負担が大きくなりがちです。長時間ドライブで少しでも体の負担を軽減したければ、後部座席に「アームレスト」がついているか確認しましょう。
後部座席にアームレストがついている車は決して多くありませんが、アームレストがついているかどうかで、ドライブの後の体の疲れ度合いに違いがあると言われています。
シートが多少硬くても、アームレストがついている後部座席のほうが快適な場合もあります。
アームレストに腕を乗せて、少し体重をかければお尻にかかる負担も軽減できます。また、アームレストがあると、腕の置き場にも困りません。そのため、後部座席でも快適に過ごせるでしょう。