はじめての車買取では、業者にすべてを任せれば安心だと考えている方も多いかもしれません。しかし、なかには悪徳業者も存在しているため、売主側も買い取りの際の注意点を確認しておくことが必要です。

優良な業者との取引でも、契約書類の内容や、引き渡し前までいくつか注意点があります。トラブルを防ぎ、減額や損害賠償を発生させないためにも、事前に注意点を確認しておきましょう。

この記事では、車買取時の契約書類で確認したい注意点を紹介します。売主に基礎知識があれば、安心して車買取の取引ができるでしょう。

車買取時の契約トラブルにおける注意点

高額な費用が動きやすい車買取では、一般的な買い取りと事情が異なるものがあります。これから車買取を考えているなら、どんなトラブルがおこりやすいか知っておきましょう。

どんなトラブルがあるのか未然に知っておけば、いざという時に対処できるかもしれません。よくあるトラブルの注意点について、紹介していきます。

注意点①車買取の契約完了後はキャンセルできない

注意点①車買取の契約完了後はキャンセルできない
車買取で契約を交わすと、基本的にキャンセルはできません。契約が成立すれば、それぞれが法的な効力をもつ債務者と債権者の立場に変わるからです。

契約後にキャンセルするケースとしては、「他社でもっと高く買い取りをしてくれると言われた」「売りたくなくなった」などの理由が考えられます。

しかし、どちらの理由も、売主による一方的なキャンセルで、正当な理由とは言えません。

車買取の売買契約が成立しているなら、業者側は売主の一方的なキャンセルで損害賠償や解約料を請求できます。契約直後なら業者の損害は大きくないことが多いのですが、その場合でも解約料の請求は妥当です。

注意点②ローンが残っている車は売却できない

注意点②ローンが残っている車は売却できない
現在所有している車の支払いが残っている場合は、車買取が利用できません。ローンが残っている車は、車の名義人はローン会社であることが少なくないからです。

ローン会社の名義になっていれば、車買取での手続きが複雑になってしまいます。名義となっている金融機関が名義変更に合意することは一般的にないため、ローンを完済して自分の名義に変更しなければなりません。

何らかの事情でローンが残る車の買い取りをしてもらいたいなら、ローンが残っていても買取可能な業者を探す必要があります。ローン残債額より買取額が高ければローンの完済がしやすいため、車を買い取ってくれるかもしれません。

また、ローンの残債額より買取額が低い場合は、残りのローンを現金で完済するか、新たなローンを組む方法を考えましょう。

ローンが残っている車の名義が自分や家族名義なら、車の買い取りは可能です。

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注意点③再査定で減額する業者もある

注意点③再査定で減額する業者もある
車買取業者によっては、再査定による減額を言ってくる場合があります。売買契約が済んだ後に再査定をすることも多いため、注意が必要です。

業者が減額を言ってくる理由は、当初より「多くの修理歴がみつかった」「エンジントラブルがみつかった」といった場合が多いです。

売主としては、最初に言われた査定額よりも安くなってしまうため、売るべきか迷うでしょう。ただし、売主が故意に修理歴を申告しなかった場合は、減額を理由にキャンセルすると伝えると、損害賠償を請求してくる業者もあるため注意してください。

このように、再査定によるトラブルは、車買取でたまにみられています。

売主が車の状況を正しく申告し、そのうえで業者が不具合を見逃したなら、業者側の過失です。売主が減額に応じる必要はありません。

車買取の契約書におけるチェックポイント

トラブルを防ぐため、契約書ではいくつかのチェックポイントがあります。誠実な対応をしてくれる車買取業者であれば、契約書の内容に問題はないでしょう。

しかし、これから紹介する項目でもれやミスがある場合は、契約を結ぶかどうか注意してください。契約書の単純なミスで必ずしも悪徳業者だとは言えませんが、不明な点があればきちんと確認しておくことが重要です。

金額が一致しているか?

車買取の契約書におけるチェックポイント 金額が一致しているか?
売買契約書にある合計金額は、査定額と一致しているか確認しましょう。契約書の金額が間違っていると、その通りの金額での支払いとなってしまいます。

いくら口頭で100万円支払うと業者が言っていても、契約書が100円と記載されていれば、100円しか支払われない可能性があります。契約書は法的な効力をもち、売主が判を押してしまえば記載内容通りでの契約が成立するためです。

記載されている金額が一致していないなら、担当者に直接聞いてください。単なる記載ミスであれば、ことなく済みます。

業者は売主からだまし取ろうとしたのではなく、単純なミスだったのでしょう。ただし、車買取業者のなかには悪徳業者もいるため、金額は必ずチェックするようにしてください。

諸費用の記載があるか?

車買取の契約書には、諸費用の欄があります。具体的には、自賠責保険料・リサイクル料・自動車税などです。

どの料金も前払いのため、車買取時期によっては残りの期間分は返還扱いになります。ただし、業者によっては買取金額に税金類を含めている場合があるため注意してください。

買取額とは別に返金してくれなければ、それぞれの料金分、買取金額から減額になったのと同等でしょう。または、特約事項に「諸費用を返金しない」と書かれていれば、業者は返金する必要がありません。

業者によっては、諸費用そのものの項目が抜けている場合もあります。項目がないと取り扱い方法がわかりませんから、担当者に詳しく聞くようにしてください。

支払い時期と方法は書かれているか?

車買取の契約書におけるチェックポイント 支払い時期と方法は書かれているか?
車買取は、買取金額を受け取るまでが一連の流れです。契約書に、支払い時期と支払い方法が記載されているか確認しましょう。

詳しい記載がなければ、なかなか振り込まれなくても売主は文句を言えません。または、6か月後など極端に長い期間が記載されていると、その通りの支払いになってしまいます。

契約書には「契約後7営業日以内」など具体的な期間が書かれているかを必ずチェックしてください。

また、支払いは銀行振込なのか現金払いなのか、一括か分割かも確認します。車買取額の支払いは、現金なら車と書類を引き渡した即日が多くなっています。銀行振込では、最大でも1週間くらいが目安です。

支払い時期と方法は売主にとって重要項目のため、口頭での約束ではなく、書面にあるか確認しておくと後々安心です。

車両情報は正しいか?

契約書には、車両情報が詳しく書かれているかも、確認しておくことが必要です。車両にはそれぞれの個体を識別するため、車台番号があります。

また、契約書に車種・年式・グレード・登録番号・ボディカラーも記載されているか確認しておいてください。業者によっては、車両情報を詳しく記載しない場合があります。

契約書に車台番号などの情報があると、悪用されにくいメリットがあります。信頼できる業者への依頼なら悪用のリスクは少ないかもしれませんが、将来的なリスクを減らすため、記載を求めると安心です。

車台番号は、国土交通省が付与する番号で、同じ番号はありません。名義が変わっても車台番号は変わらないため、誰が所有したのかわかるようになっています。

確認する場合は、ボンネットをあけたエンジンルーム内をチェックしましょう。エンジンルーム内にない場合は、運転席のシート下を確認してください。

解約条件は書かれているか?

車買取の契約書におけるチェックポイント 解約条件は書かれているか?
契約書に解約条件が書かれているか確認しておきましょう。車買取で解約はしないと思っているかもしれませんが、解約は売主の一方的な理由だけでなく、業者による減額が理由になることもあります。

解約は業者にとって損失になる恐れがあることから、売主に厳しくなる条件が多くなっています。基本的に車買取でクーリングオフは適用されないため、条件は詳しくチェックしておいてください。

確認したい内容は「解約ができるのか」「解約できる期間の条件はあるか」「違約金が発生するか」などです。

業者によっては、どのような条件でもキャンセルを受け付けていない場合があります。良心的な業者であれば、サービスのひとつとして解約期間を設けているところもあります。

解約料の項目は、具体的な金額だけでなく、パーセントで表示されている場合があります。

特約事項があるか?

契約書の特約事項は、業者が有利になる条件が書かれていることがあります。内容は業者が好きに決めていいため、売主にとって不利な条件がないか確認しましょう。

特約事項の項目で多いのは、諸費用の返金がない内容です。契約書に書かれている内容は、契約を結べばそれに従う必要があります。

悪徳業者だと、業者の利益を大きくする内容が書かれているかもしれません。特約事項の内容は、説明を受けた内容になっているか確認してください。

売主に不利な条件が書かれており、納得できなければ契約書にサインしないようにしましょう。売買契約をしなければ、キャンセルをするのも自由です。

引き渡し日や方法の記載があるか?

車買取の契約書におけるチェックポイント 引き渡し日や方法の記載があるか?
車の引き渡し日や方法は、売主が確認しておきたい項目です。契約書に書かれていれば、特別な理由がない限りその日に車を引き渡さなければなりません。

一般的には、契約書を渡したその日に車を引き渡すことが多いです。訪問査定を依頼して、その日のうちに契約を結べばその日に引き渡すことも考えられます。

引き渡し日や方法は、交渉次第で調節可能です。車で通勤している方は車がなくなると困るため、次の車が納車されるまで引き渡しを待ってもらいましょう。

車の引き渡し方法は、自分で店舗に運ぶのか、業者の担当者が引き取りにきてくれるのか確認してください。担当者が引き取りにくる場合は、帰りのことを考えて2人で対応することが多いです。

登録名義変更日や名義変更期限があるか?

車を引き渡したら、業者が名義変更をします。名義変更の日程を確認しておくと、自動車税の発生トラブルを防ぐことができます。

自動車税は4月1日時点の持ち主に課せられる税金です。名義変更日によっては、次の年の自動車税納付通知書が売主側に届くかもしれません。

例えば、3月20日に車買取をしてもらい、名義変更が4月2日になっていると注意が必要です。4月1日時点では売主の名義のため、自動車税の納付義務は売主側にあります。

4月1日前後の車買取の場合は、業者も早めに手続きしてくれると思いますが、念のため登録名義変更日を確認しておいてください。名義変更自体は、業者がやってくれるため心配ありません。

瑕疵担保期間があるか?

車買取の契約書におけるチェックポイント 瑕疵担保期間があるか?
売却後に車の重大な不具合があると、売主は瑕疵担保責任に問われることがあります。いつまでも責任を負うわけにはいかないため、瑕疵担保期間を確認しましょう。

もちろん、車を売却した際に、売主が事故歴や車の傷などを正しく申告した場合に限ります。もし、売主が嘘をついた場合や重大な不具合を隠していたなら、瑕疵担保責任に問われます。

売主に問題があると判断された場合は、契約解除や損害賠償を請求されるかもしれません。きちんと申告すれば心配はありませんが、念のため瑕疵担保責任のペナルティについても確認しておくと安心です。

事故の責任の記載があるか?

車買取後に事故があれば、常識的に考えれば業者側の責任です。しかし、悪徳業者に当たると買取前にあった傷だと嘘をついて売主に責任を押し付ける場合があります。

このようなトラブルを防ぐため、自己の責任に対する項目があるか確認してください。契約書に記載がないと、業者の言い分が通ってしまう恐れがあります。

とくに注意したいのは、車を引き取りしてから名義変更までの期間です。すぐに名義変更をしなければ、車買取後も売主の名義となっています。

悪徳業者は、車の名義が売主である理由から自己の責任を押し付けようとするかもしれません。ただし、契約書に明確な記載があれば、安心して取引ができるでしょう。

記載がなければ項目を追加してもらうことをおすすめします。

車買取で引き渡しまでの注意点

車買取で引き渡しまでの注意点
売買契約が済むと、車を引き渡さなければなりません。とくに引き渡しまでの期間があくと、売主側のミスで問題が出てくる場合があります。

車の引き渡しまでに注意したいことをいくつか紹介します。

車に傷をつけない

引き渡しまでの期間内に車に傷をつけると、減額になる可能性があります。業者に内緒にすればバレないだろうと考える方もいるかもしれませんが、業者はプロなので嘘はつかないようにしてください。

売主の対応が悪ければ、買取自体がキャンセルされてしまい違約金も請求されるかもしれません。せっかく売買契約が成立したのですから、引き渡し日まで車の扱いには慎重になりましょう。

内緒にすれば信用を落としますが、正直に申告すれば減額を最小にしてくれる可能性があります。1cm未満の小さな傷であったり浅い傷であったりすれば、コンパウンドで目立たなくなる場合があるため、自分でも対処してみましょう。

事故を起こさない

車買取で引き渡しまでの注意点 事故を起こさない
引き渡し前に事故を起こしてしまわないように注意しましょう。事故を起こしたら、傷をつけた場合と同様に、買取業者に連絡をしてください。

また、事故であれば、修理費用を保険で対応できるかもしれません。保険が使える場合でも、内緒にしないで車買取業者に相談してから修理してください。

保険を使って修理できれば、査定額に影響しない場合があります。

ガソリンを残しておく

引き渡し時は、業者が車を移動できるくらいのガソリンを残すといいでしょう。ガソリンを使い切ってしまうと、業者が車を移動する際にガソリンがなくなるかもしれません。

場合によっては、業者からガソリン満タンや1,000円分など量を指定される場合があります。指定があれば、その内容に従うようにしてください。

私物の置忘れに注意

車買取で引き渡しまでの注意点 私物の置忘れに注意
引き渡したら最後に、車内に私物がないか確認しましょう。車のダッシュボードやサイドポケットなど、一通りチェックすると安心です。

忘れやすい箇所としては、カーオーディオにCDなどを入れたままにしてしまうことです。また、トランクルームも私物のチェックを見逃しやすいので、注意して見るようにしてください。

私物があれば業者が連絡してくれることもありますが、引き取り期間が決まっていると、その後は破棄する場合があります。

パーツは純正品に交換しておく

契約で車外パーツを純正品に交換することになっている場合は、引き渡し前に交換してください。査定額は純正品を基準にしているため、忘れないよう対応しましょう。

ただし、契約になければ、わざわざ純正パーツを買って取り付ける必要はありません。

書類を準備しておく

車買取で引き渡しまでの注意点 書類を準備しておく
車の引き渡し前までに、必要書類がそろっているか確認してください。車検証などは車内にあるものだと勘違いして、渡し忘れてしまうことがあります。

すべての書類がそろっていることを確認してから、車を引き渡しましょう。書類によっては準備に数日かかる場合があるため、事前の確認がおすすめです。

まとめ

①車買取の契約完了後のキャンセルはできない
②ローンが残っていないか注意する
③再査定の減額に注意しよう
④車買取の契約書は必要事項をチェックしよう
⑤契約してから車を 引き渡すまでも注意が必要な事項もある

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