事故車や「修復歴あり」と判定される車であっても、状態によっては十分に価値が残り、売却できるケースがあります。その理由は、修理してそのまま乗れる車として再販できるだけでなく、使えるパーツ(部品)の需要や、海外への輸出ルート、修理の仕上がりの良さなどが評価されるためです。
実際の査定額は、車の骨格(フレーム)にどの程度のダメージがあるか、損傷の範囲、年式や走行距離、安全性のほか、その業者が持つ再販ルートによって大きく変わります。そのため、一般的な買取店では値がつかないような車でも、事故車・廃車専門の買取業者であれば、独自の基準で高値がつくことも珍しくありません。
この記事では、事故車でも売れる理由や、修復歴があっても価値が残るケース、査定額が決まる具体的な仕組みについて分かりやすく解説します。
事故車と修復歴車は違う?まず整理したい査定評価の基準
事故に遭った車であっても、車の基本骨格に損傷がなければ通常査定に近い評価になる場合があります。
車の売却において「事故車」という言葉は広く使われていますが、自動車査定の現場では「事故歴」と「修復歴」は明確に区別されています。この違いを把握することが、適正な査定額を受け入れるための第一歩となります。
市場での価値は、単に「ぶつかったかどうか」ではなく、「車の安全性や走行性能に影響する重要部位を損傷したか」によって左右される仕組みです。外側のパネルやバンパーといったパーツの交換だけであれば、一般的なイメージほど大幅な減額にはならないケースも少なくありません。
どのような損傷が査定に影響を与えるのか、判定のフローと具体的な基準を一緒に確認していきましょう。

| 区分 | 事故歴車 | 修復歴車 |
|---|---|---|
| 定義 | 事故により骨格部分に影響を及ぼした車 | 日本自動車査定協会の基準による骨格部位の修正・交換歴がある車 |
| 対象部位 | フレーム、クロスメンバー、インサイドパネルなど骨格8部位 | フレーム、クロスメンバー、インサイドパネルなど骨格8部位 |
| 査定への影響 | 軽微な損傷であれば減額の幅は小さい | 骨格の損傷度合いに応じて30〜50%程度の減額傾向 |
| 市場での評価 | 実用上問題がなければ通常の中古車として流通 | 安全性への懸念から国内再販時は敬遠されやすい |
事故歴車と修復歴車は査定上の意味が異なる
一般的な会話で使われる事故歴車は、事故による大小さまざまな傷や凹み、修理を行った経歴のある車すべてを指します。一方で、査定のプロが価格を算出する際に基準とするのは修復歴車に該当するかどうかです。
どれだけ大きな事故に見えても、修復歴の定義に当てはまらなければ、査定上の扱いや減額幅は通常の車と大きく変わりません。
車の売り時はいつ?タイミングを誤ると損することも!
修復歴は「骨格部位の修正・交換」で判断される
修復歴の有無は、一般社団法人日本自動車査定協会(JAAI)などが定める統一基準に基づき、車の骨格部分(フレーム等)を溶接修理、または交換したかどうかで判断されます。
車の強度や剛性を保つコア部分に手が加わった車が、修復歴車として扱われる仕組みです。
バンパー交換のみでは修復歴車にならない場合がある
飛び石によるフロントガラスの交換や、接触事故によるバンパー・ドア・フロントフェンダーなどの外装パーツ(外板)の交換は、基本的に修復歴には含まれません。
これらのパーツはネジ留めされていることが多く、交換しても車の構造的な強度や直進安定性に直接影響を及ぼさないため、通常の部品交換として処理されます。
査定士は損傷の範囲を基準に評価を行う
査定士は目視や専用の工具を使い、ボルトの回し跡やシーラーの塗り直しの有無から、損傷が骨格にまで達しているかを確認します。
査定では、骨格部位に修正・交換歴があるかどうかを基準に、修復歴該当の有無が判断されます。
事故車にも中古再販・輸出・部品需要が存在する
骨格に大きなダメージを負った修復歴車であっても、市場価値が完全にゼロになるケースは稀です。
国内での中古車再販が難しい状態であっても、海外市場への輸出や、解体して取り出すリサイクルパーツとしての需要、さらには鉄資源としての価値など、多様な販路が価格を支える要因となっています。
- 損傷した箇所は、ボルト留めの外装パーツ(バンパーやドア)だけか
- 車の骨格にあたるフレームやパネル類の交換・溶接を伴う修理を行ったか
- 事故の後、実際にハンドルが取られるなどの走行上の違和感があるか
定義が整理できたところで、次は「骨格に損傷があると、なぜそこまで査定額が下がるのか」という具体的な減額のロジックと、その背景にあるリスクについて詳しく見ていきましょう。
事故車の査定額はなぜ下がる?減額率が決まる査定ロジック
査定額は「修理した過去」そのものではなく、修復に起因する「走行時の安全性低下リスク」と「再販時の買い手が見つかりにくい難易度」に基づいて減額されます。
修復歴のある車の査定額が下がる背景には、中古車市場における合理的なリスク管理が存在します。査定士がチェックしているのは、過去の事故の大きさそのものではなく、「その損傷が将来の安全性や走行性能にどう影響するか」、そして「次の買い手がどれだけ敬遠するか」という実質的なリスクの度合いです。
特に、車の骨格に一度歪みが生じると、どれだけ最新の設備で精密に修理したとしても、新車時と完全に同じ強度やバランスを取り戻すことは技術的に困難とされています。この見えないリスクが、査定額の引き下げという形で価格に反映される仕組みです。
具体的にどのような要素が減額の幅を左右するのか、その査定ロジックを一緒に整理していきましょう。

| 損傷部位・状態 | 安全性への影響 | 再販難易度 | 減額傾向 |
|---|---|---|---|
| フロントクロスメンバー | ラジエーターや足回りに近く、前方衝突時の強度に影響 | やや高い | 骨格の中では中程度(10〜20%減) |
| インサイドパネル・フレーム | エンジンを支える基盤であり、直進安定性に直結する | 高い | 中程度〜大幅な減額(10〜25%減が目安) |
| エアバッグの展開歴 | 強い衝撃を受けた証明であり、再装着コストも高額 | 非常に高い | 骨格損傷と合算され、最大級の減額 |
| 修復内容が不透明な状態 | 過去の修理精度が確認できず、潜在的なトラブルを内包 | 非常に高い | リスクを織り込むため減額幅が最大化 |
骨格の歪みは直進安定性に影響する場合がある
車のフレームやインサイドパネルは、ミリ単位の精度で全体のバランスを保っています。この骨格に一度歪みが生じると、直進時に車が左右のどちらかに流れてしまったり、高速走行時に不自然な振動が発生したりするリスクが残ります。
この走行性能への潜在的な悪影響が、減額の大きな根拠です。
フレーム修正車は再販時の敬遠要因になりやすい
中古車を購入する側の視点に立つと、同じ予算であれば修復歴のない車を選ぶのが一般的です。
販売店側にとっては「在庫として長期間残るリスク(滞留リスク)」が高くなるため、あらかじめ売れ残る可能性を想定し、買取時の査定額を低く設定せざるを得ないという市場心理が働いています。
修復内容が不透明な車ほど減額率が大きくなる傾向がある
オークションや他店で過去に修理され、どのような工程で直されたのか記録簿(修理明細など)が残っていない車は、査定士から「再発リスクが高い」と判断されます。
修理履歴や交換部位の記録が明確に残っている車は、修復内容の確認がしやすくなるため、査定時の判断材料として扱われます。
エアバッグ展開歴は安全性評価に影響する
事故の衝撃でエアバッグが作動した経歴がある場合、それは「車の骨格全体に強い慣性エネルギーが加わった」という客観的な証拠になります。
また、エアバッグの再装着には数十万円規模のコストがかかるため、未修理のまま作動歴だけが残っている場合は、パーツの復元費用分も査定から差し引かれます。
修理品質によって再販価値に差が出る
一口に修復歴ありと言っても、完全に真っ直ぐ走るようアライメント調整まで完璧に行われた車と、外観だけを取り繕った車では価値が異なります。
査定士は、溶接跡や左右のチリ(隙間の均一さ)などを確認し、修復歴の状態や修理内容を総合的に判断します。
年式と走行距離によって減額許容幅は変化する
修復歴による減額は、元々の車両価値(時価)に対する割合で算出されることが一般的です。そのため、新車に近い高年式車ほど減額される「金額」そのものは大きくなります。
一方で、元々の価値が下がっている低年式車や多走行車の場合、修復歴による追加の減額幅は相対的に小さくなります。
人気車種は修復歴があっても需要が残る場合がある
スポーツカーや本格オフロード車(SUV)、排気量の大きいミニバンなど、市場で指名買いされるような人気車種は、修復歴があっても「安く手に入るなら買いたい」という層が一定数存在します。
こうした車種特性がある場合、市場の強い需要に支えられ、想定よりも高値で買い取られるケースがあります。
- 過去の修理時に、どのような作業が行われたか記録簿や明細が残っているか
- エアバッグが作動するほどの強い衝撃を伴う事故だったか
- 現在乗っている車種は、中古車市場で一般的に人気が高いモデルかどうか
減額の理由が「次の買い手側のリスク」にあることが見えてきました。
では、国内では敬遠されがちなこれらの事故車が、なぜ完全に価値ゼロにならずに売却可能なのか、その裏側にある「3つの異なる市場」の価値構造を次に確認してみましょう。
事故車でも売れる理由|国内中古車・海外輸出・部品市場の価値構造
事故車は、日本の一般的な「中古車」として再販されるだけでなく、パーツの再利用や海外への輸出、資源としてのリサイクルなど、異なる価値基準を持つ複数の市場で取引されるため価格がつきます。
国内の中古車市場では敬遠されがちな修復歴車ですが、視点を別の市場へ移すと、そこには全く異なる評価基準が存在します。「乗るための車」としての価値が下がっても、「パーツの集合体」や「修理して長く使うためのベース車」としての価値は損なわれていないためです。
特に日本の車は、エンジンやトランスミッションをはじめとする基幹部品の耐久性が世界的に高く評価されています。そのため、外観や骨格に大きなダメージを負っていても、特定の販路を持つ業者から見れば「利益を生み出せる貴重な商品」に他なりません。
事故車がどのようなルートをたどり、どこに価値を見出されているのか、3つの市場の構造を整理してみましょう。

| 市場の種類 | 主な評価基準 | 需要が発生する条件 | 代表的な車種・状態 |
|---|---|---|---|
| 国内中古車市場 | 走行安全性、見た目の美しさ、修復歴の有無 | 軽微な修復歴、高年式、人気車種 | ミニバン、軽自動車、SUV全般 |
| 海外輸出市場 | 走る・曲がる・止まるの実用性、エンジンの頑丈さ | 現地の修復技術で安価に直せる状態 | ランドクルーザー、ハイエース、トラック |
| 部品再利用市場 | 主要パーツ(エンジン、電装系)の動作状態 | 外装は壊れていても、内部メカが生きている | 年式が新しく、部品単価が高い車種 |
| 資源リサイクル市場 | 含まれる金属の総重量(鉄、アルミ、レアメタル) | 他のすべての市場で価値がつかない状態 | 解体するしかない完全な大破車 |
国内中古車市場は安全性と再販性を重視する
日本のユーザーは、車の品質や安全性に対して非常に敏感です。そのため、国内市場では「修復歴なし」のクオリティが基本性能として求められます。
この市場で修復歴車を再販する場合、どうしても価格を大幅に下げて「安さ」を全面に出さざるを得ないため、買取時の査定額も厳しくなるのが特徴です。
海外市場では走行可能性が重視される地域もある
新興国を中心とした海外市場では、日本ほど修復歴の有無を問題視しない地域が数多くあります。「多少の骨格の歪みがあっても、問題なく走れば構わない」という実用性重視の価値観が主流だからです。
また、海外は日本に比べて人件費(修理工賃)が圧倒的に安いため、日本で廃車になるような大破車を安く買い取り、現地で完璧に直して走らせるというビジネスモデルが確立されています。
ランドクルーザーやハイエースは海外需要が残りやすい
海外で圧倒的な支持を得ているトヨタのランドクルーザーやハイエース、各種トラックなどは、事故車であっても驚くような高値で取引されることがあります。
これらの車種は、悪路走破性や耐久性が世界トップクラスであり、どれだけ傷ついても「直して乗る価値がある」と判断されるため、国内外のバイヤーが常に探しています。
エンジン可動車は部品需要が残りやすい
ボディの後方が大破していても、フロントにあるエンジンやトランスミッションが無傷であれば、それらは「リサイクルパーツ(中古部品)」として高い価値を持ちます。
全国の整備工場や海外の修理業者に向けて、補修用部品として個別に出荷できるため、車両全体としての価値が残る仕組みです。
年式が古い車は部品再利用市場で評価される場合がある
年式が古く、すでにメーカーからの新品部品供給が終了しているような車種(旧車や一部の人気スポーツカーなど)は、事故車であっても「部品取り車」として非常に重宝されます。
生き残っているパーツの一つひとつが希少価値を持つため、車としての機能を失っていても、部品単位の合算で高価買取が成立することがあります。
事故車専門業者は販路ごとに再販先を変えている
事故車を専門に買い取る業者が強気な価格を提示できるのは、上記のような「国内」「海外」「部品」「資源」という複数の販路を自社で保有、または提携しているからです。
持ち込まれた車の損傷度合いや車種特性を瞬時に分析し、「最も高く売れるルート」を逆算して査定するため、一般の買取店では値がつかない車にも価格を提示できます。
- エンジンは問題なくかかり、自走できる状態か
- ランドクルーザーやハイエースなど、海外で極めて人気の高い車種か
- 損傷はボディの一部に留まり、再利用できそうなパーツ(ドアやライト、内装)が残っているか
事故車であっても、次の行き先(販路)次第で価値がしっかりと残ることが分かりました。では、実際に売却を検討する際、「手元の傷ついた車を一度自費で修理してから売るべきか、それともそのまま売るべきか」という、最も迷いやすい損益の分岐点について確認していきましょう。
一般買取店と事故車専門業者は何が違う?査定基準と販路を比較
一般買取店は「国内での再販」を前提に減額方式で査定しますが、事故車専門業者は「海外輸出や部品化」を前提に加算方式で査定するため、損傷が激しい車ほど専門業者のほうが評価が高くなります。
事故車を現状のまま売却する際、どの窓口を選ぶかによって最終的な手取り額に大きな開きが出ます。これは業者の良し悪しではなく、それぞれの業者が得意とする「出口(再販ルート)」の違いによるものです。
一般的な買取店は、買い取った車を主に国内の業者向けオークションに出品するか、自社の店舗で国内の一般ユーザーに再販します。そのため、国内で不人気となる修復歴車に対しては、リスクを避けるために査定額を厳しく下げざるを得ません。
一方で、事故車を専門に扱う業者は、最初から国内での再販を考えていません。パーツや資源、海外輸出という独自の販路を持っているため、一般的に価値ゼロ(むしろ処分費用が必要)とされた車にも、具体的な買い取り価格を提示できる仕組みがあります。
両者の構造的な違いを比較してみましょう。

| 比較項目 | 一般の自動車買取店 | 事故車専門の買取業者 |
|---|---|---|
| 主な再販ルート | 国内の中古車オークション、国内自社店舗 | 海外輸出、リサイクルパーツ市場、金属資源リサイクル |
| 査定の基本スタンス | 無事故の基準価格から、損傷分を引いていく(減額) | 残された部品や海外需要から、価値を足していく(加算) |
| 修復歴への対応 | 減額幅が大きく、大破車は「買取不可」になることも | 修復歴があっても、車種や部品の状態で適正評価 |
| レッカー等の費用 | 自走できない場合、レッカー代や手数料が自己負担に | 動かない車でも、原則「引取費用無料」の業者が多い |
| 向いている車の状態 | 外装の軽い擦り傷程度、修復歴なし、高年式・人気車種 | 骨格まで歪んだ大破車、エアバッグ作動車、水没・炎上車 |
通常買取店は国内再販基準で査定しやすい
一般の買取店は、次の買い手となる国内の一般ユーザーが「修復歴」をどれだけ嫌がるかを基準に値付けを行います。そのため、骨格に少しでもダメージがあると判断された時点で、オークションの相場に基づいた機械的かつ大幅な減額が行われます。
自走できない状態の車ともなれば、保管や移動のコストがかさむため、マイナス査定(処分費の請求)になるケースも少なくありません。
事故車専門業者は輸出や部品化も含めて査定する
事故車専門業者の査定士は、「この車種のこのエンジンは、今どきの東南アジアやアフリカでいくらで取引されているか」「無傷で残っている左ドアとテールランプは、国内の補修パーツとしていくらで売れるか」という視点で車を見ます。
車としての形が崩れていても、中身のパーツの市場価値から逆算して査定するため、一般店とは根本的に異なる高値がつくことがあります。
自走不能車でも無料引取対応の業者がある
事故の衝撃で足回りが曲がってしまったり、エンジンがかからなかったりする自走不能車の場合、一般店では自前の積載車の手配やレッカー費用を数万円単位で差し引かれるのが通例です。
しかし、事故車専門業者は動かない車を回収するインフラを自社で持っていることが多く、どれだけ大破していても「レッカー代・引き取り手数料無料」を撤回しない会社が主流となっています。
査定前に修復歴を隠すと再交渉リスクがある
少しでも高く売りたいからと、過去の事故や修復歴を故意に隠して査定を受けるのは極めてハイリスクです。プロの査定士は修復の痕跡をほぼ確実に見抜きますし、万が一意図的に隠蔽して契約した場合は、契約不適合責任(旧瑕疵担保責任)を問われ、大幅な減額や契約解除、損害賠償を請求されるトラブルに発展します。
なお、売主が修復歴を認識しておらず、プロの査定士も見落としたケースでは責任を問われない判例もありますが、分かっている事実はすべて淡々と伝えるのが最も安全です。
複数販路を持つ業者は査定幅が出やすい
同じ事故車専門業者のなかでも、提携している販路の数によって査定額に差が出ます。
「海外輸出だけに強い業者」よりも、「海外輸出も、国内の解体パーツ網も、アルミ・鉄の精錬ルートも持っている業者」のほうが、その車の状態に合わせた最高の売り先を選択できるため、結果としてユーザーへの買取提示額を高く設定しやすくなります。
- 近くの一般買取店に相談した際、「値がつかない」と言われたり処分費用を提示されたりしたか
- 車の損傷状態は、自走ができないほど深刻、またはエアバッグが飛び出すレベルか
- 提示された査定額に、レッカー代や手続き代行費用などの「隠れた引き下げ要素」が含まれていないか
業者の得意分野によって、提示される金額のロジックが180度異なることが整理できました。
それでは最後に、これまで確認してきたすべての条件を踏まえ、あなたの目の前にある車を「売却」「廃車」「部品利用」「継続使用」のどれに進めるべきか、最終的な意思決定のチェックリストを確認してみましょう。
事故車をどう処理する?売却・廃車・部品利用・継続使用の判断基準
事故車や修復歴のある車でも、傷の程度、再利用できるパーツ、車種の人気度によっては十分に売却可能です。査定額は「事故をしたから」という理由だけで一律に下がるわけではありません。車の骨格(フレーム)にダメージがあるか、傷の範囲、修理の仕上がり、自走できるか、年式・走行距離、そして業者の転売ルートなどを総合的に見て決まります。
特に査定額に大きく響くのは、車体の骨格部分(フレームやピラーなど)を直したり交換したりしている場合です。一方で、バンパーやドアを交換しただけなら法律上の「修復歴車」にはなりませんが、修理のきれいさや現在の外装の状態はチェックされます。修理した際の見積書、整備記録簿、事故当時や修理後の写真があれば、査定がスムーズになるので用意しておきましょう。
日本国内で中古車として売るのが難しい状態であっても、海外への輸出、エンジンや電装品などのパーツ(部品)としての再利用、鉄くずなどの金属資源としての価値は残っています。そのため、一般的な買取店で「値がつかない」と言われた車でも、事故車や動かない車を専門に扱う業者であれば、独自のルートを活かして値段をつけてくれることがあります。
売却先を選ぶときは、提示された金額だけでなく、レッカー代などの引き取り費用、手続き代行費、契約後の減額ルールの有無、入金時期までしっかり確認しましょう。知っている事故歴や修理内容を隠さず正確に伝え、複数の業者の査定額やその理由を比べることで、今の車を一番高く売る方法が見えてきます。
最適な処理方法は「現在の走行安全性」と「この先の使用予定」の組み合わせによって決まるため、状況に応じた客観的な分岐ルールに沿って選択します。
事故に遭った車を最終的にどう扱うべきかは、感情を脇に置き、「現在の損傷度合い」と「これからどうしたいか」という実務的な条件を掛け合わせて判断することが最も確実です。どの選択肢を選べば経済的な損失を抑えられ、かつ安全性を確保できるかは、状況ごとに明確な分岐点が存在します。
例えば、直さなければ真っ端ぐ走らないほどの損傷であれば、無理に乗り続けるのは安全面から非合理と言わざるを得ません。一方で、外観に大きな傷があっても機関系が正常であれば、手放すにしても高値で売却できる可能性が十分に眠っています。
迷いをなくし、次の具体的なワンステップを踏み出すための判断マトリクスを一緒に確認していきましょう。

| 選択肢 | 主な成立条件 | メリット | 注意点・リスク |
|---|---|---|---|
| 現状売却 | 自走の可否を問わず、車種やパーツに一定の需要がある | 修理費の先払いが不要、手元に現金が残る | 一般店ではなく事故車専門店を選ぶ必要あり |
| 廃車手続き | 市場価値がつかない低年式・大破車、車検が残っている | 普通車で条件を満たせば自動車税や重量税などの還付対象になる | 軽自動車税には還付制度がなく、手続きを怠ると無駄な税金を払い続ける |
| 部品・資源利用 | エンジンなどの主要部品が無傷、または人気車種 | 車としての形が崩れていてもパーツ単位で加算 | 安全走行に関わる部品の解体は許可業者へ依頼する必要がある |
| 継続使用 | 骨格の歪みが軽微、修理後の安全性が完全に担保される | 乗り換えの初期費用を抑え、愛車を維持できる | 将来売却するときの査定額は大幅に下がる |
自走不能でも売却可能なケースはある
「レッカー車で運ぶしかないから売却は諦めて廃車にするしかない」と思い込む必要はありません。
前述の通り、足回りが大破して動かない車であっても、事故車専門業者にとっては海外への輸出車両や部品取り車としての価値が十分にあります。処分費用を払って廃車にする前に、まずは専門業者に現状のまま査定を依頼するのが合理的な手順です。
修理後も長期利用するなら安全確認が前提になる
もし売却せず修理してそのまま乗り続ける道を選ぶのであれば、費用の安さだけで工場を選ばず、フレーム修正機や4輪アライメントテスターを完備した信頼できる工場で直すことが絶対条件です。
安全性が不完全なまま乗り続けると、将来的にタイヤの異常摩耗やブレーキ時の挙動不審といった実務的なトラブルを抱えるリスクが高まります。
重量税や自動車税の還付対象になる場合がある
車を解体して永久抹消登録を行い、かつ車検残存期間が1ヶ月以上ある場合は、「自動車重量税」や「自賠責保険料」の還付対象になります。また、普通車であれば毎年春に先払いしている「自動車税(種別割)」も、抹消登録後の残存期間に応じて月割りで還付されます。
一方で、軽自動車に課される「軽自動車税(種別割)」には月割り還付制度が存在しないため、同じ廃車手続きでも車種によって戻る金額に差が生じます。なお、自賠責保険料は一時抹消登録でも条件を満たせば還付申請が可能です。
部品需要が残る車種は解体価値が出る場合がある
市場に多く出回っている量産車や、反対にマニア向けの希少車種は、解体時のパーツ需要が非常に旺盛です。
車全体としてはスクラップ同然に見えても、「生きているナビやオーディオ」「無傷の内装シート」「触媒に含まれる貴金属(レアメタル)」などが個別に評価され、解体業者や資源リサイクル業者を通じて思わぬ価値を生み出すことがあります。
- 提示された修理見積もりを受け入れて直した後、安全への不安はなく、その車に乗り続けられるか
- 車検が数ヶ月以上残っており、廃車手続きによる「税金の還付」を受け取れる状態か
- 自分で廃車手続きを行う時間的余裕があるか、あるいは費用をかけずに業者に一任したいか
選択肢それぞれのメリットと、進むべき条件がクリアになりました。
最後に、事故車の売却や処分において、多くの人が直前でつまずきがちな細かい疑問についてFAQ形式で整理します。
よくある質問(FAQ)
まとめ
事故車は骨格を修理していると国内での査定額は下がりやすいですが、海外へ輸出したり、使える部品だけを再利用したりする別のルートがあるため、修理をせず「そのままの状態」でも、価値に見合った価格で手放すことができます。
バンパーやドアを交換しただけなら、査定上の大きなマイナスにはなりません。
自費で何十万円もかけて直しても、それ以上に査定額が上がることは滅多にありません。そのまま売るのが合理的です。
国内の中古車としては敬遠される車でも、海外市場や部品市場では「貴重な資源」として喜ばれます。
修理は一切せず、そのままの状態で事故車専門の買取店に売る。
保険金や自費を使って、信頼できる工場できちんと直して乗り続ける。
車検や自賠責保険が1ヶ月以上残っているなら税金の戻り(還付)をしっかり受け取りつつ、引き取り費用がかからない業者に廃車を頼む。
事故で車が傷ついてしまうと、もう価値がなくなってしまったように思えて落ち込んでしまうものです。しかし、市場の仕組みを冷静に見渡せば、残されたパーツや金属としての価値など、車にはまだたくさんのお金になる要素が眠っています。
いくらで売れるか、あるいは税金がいくら戻るかといった条件を一つずつ確認して、一番負担の少ない方法を選んでみてくださいね。












