車に乗っている方は知っていると思いますが、定期的に車検を通さないといけません。車検では車のさまざまな部分の点検が実施されます。
その中の一つに、ヘッドライトに関する点検も含まれます。もし保安基準を満たしていなければ、たとえヘッドライトだけでも車検は通りません。
ヘッドライトの基準には明るさだけでなく、いくつか項目が設けられています。そこで、ここではヘッドライトの測定基準について詳しく見ていきます。
車検でのヘッドライトの検査基準の基礎知識
車検の検査項目の中にヘッドライトも含まれています。そんなヘッドライトの検査基準は主に3種類あります。それぞれどのような基準が設けられているかについて見ていきます。
また、ヘッドライトの検査基準は時折変更されることがありますので、2021年の最新情報についても紹介します。
ヘッドライトの検査基準は3種類
ヘッドライトの車検におけるチェックポイントは一つだけではなく、3つの項目が用意されています。それは以下の3つです。
- 光量
- カットライン
- 色味
どれか一つでも基準を満たしていないと車検は通りません。それぞれの基準内容についてまとめましたので、参考にしてみてください。
ヘッドライトの保安基準の最初は「光量」です。ライトを点灯したときに、前方をどのくらいの範囲照らすことができるか検査されます。
こちらの項目は、ライトやバルブそのものが対象ではありません。リフレクターに反射した光が規定の量を確保できているか、チェックします。
光量の測定基準は、カンデラという単位が使われます。光度測定点が定められているのですが、1灯あたり6,400カンデラ以上あることが条件です。
中にはヘッドライトをカスタマイズしている方もいるでしょう。この場合、十分な光量を確保できていない可能性があります。
車検に出す前に不安であれば、自分で十分な明るさを確保できているか確認しておくと安心できます。
ヘッドライトの測定項目に「カットライン」があります。「光軸」という言葉で紹介しているところもありますが、対象は一緒です。ヘッドライトを点灯させたときに、正しく照らしているかどうかチェックする項目です。
左肩上がりに光が照らされているかどうか確認しましょう。日本は左側通行なので、両方のヘッドライト共に左肩上がりになっているはずです。
光の境界線が不明瞭になっていないか見てください。光軸はヘッドライトをいじることで、ずれてしまうことがあります。
例えばバルブを交換した、車に強い衝撃が加わった場合などです。また、サスペンションなど他のパーツの劣化でもずれることがあります。
心当たりのある方は、車検前にチェックしておくといいでしょう。
ヘッドライトの「色味」も車検の検査項目の一つです。純正パーツの場合、まずこの部分はクリアできるでしょう。しかし、カスタマイズして社外品を取り付けている場合には、注意が必要です。
社外品のライトを見てみると、黄色みがかったものから青みの強いものまでいろいろあります。
色味の単位はケルビンで表現されます。ヘッドランプの場合、4,000~6,000ケルビンが基準です。
青みの強いライトは検査に引っかかる可能性があると思ってください。また、黄色もあまり度合いの強いものは落ちる恐れがありますので、注意しましょう。
ヘッドライトのカバーが汚れていると、色味が変わってしまうことがあります。車検前にカバーの状態も確認しておくようにしてください。
車検付きメンテナンスパックは必要なのか?費用対効果を徹底解説!
最新の車検の保安基準とは
車検のヘッドライトの検査基準ですが、これまで何度か変更が加えられています。そのため、ここからは2021年時点における最新の基準について見ていきます。
ただし、今後変更がさらに加えられる可能性もありますので、最新情報をチェックすることを忘れないでください。
ヘッドライトの測定は、ロービームとハイビームの両方で基準が設けられています。これは道路運送車両法にも記載されていることです。
どれだけ先にある障害物を照らすことができるかがチェック項目です。ハイビームは100メートル、ロービームは40メートル先の障害物を照らすことができるかどうかが確認されます。
ヘッドライトの基準にカットラインがあることはすでに紹介しました。カットラインの基準は前方10メートルの位置がどうなっているかがチェック項目です。
ヘッドライトの検査に自信がなければ、これらの基準を満たしているかどうか確認しておきましょう。実際にヘッドライトをつけて、どれだけの範囲を照らせているか目視します。
ヘッドライトは、ハイビームとロービームの2種類があります。車検の基準となるのは2021年現在、ロービームです。
これまでは長いこと、車検の基準対象はハイビームでした。しかし2015年に変更され、現在ではロービームを検査対象にしています。
ハイビームを主体とした旧検査と比較して、2015年以降採用されている新基準の方が厳格化しています。これまでの検査であれば問題なくクリアできたヘッドライトでも、新しい基準の元では引っかかる可能性も考えられます。
変更されたことを頭の中に入れて、どう対処するか考えた方がいいでしょう。
新しい基準では検査対象がハイビームからロービームの測定に変更されました。なぜこのような変更が加わったのかというと、それは需要の変化です。
本来はハイビームは走行用、ロービームはすれ違ったときに使われるヘッドライトでした。現在の車種では、ハイビームを使用する場面は少なくなっています。ロービームを使用する場面が増えてきたため、ロービーム重視の検査になったわけです。
また、車両業界の変化も大きく関係しています。1998年9月からロービーム基準で製造する方針に変更されました。それまではハイビーム基準だったのですがこの変更により、車検の基準も変わっています。
また、2015年には新しい基準で製造された車の普及率が9割に達したことも、変更のきっかけになっています。
2015年にロービーム基準に変更された車の普及率が増えたことで、ロービームが基準を満たしているかを重視した方がいいということをお伝えしましたが、ハイビームは必要ないかというと、決してそうでもありません。
日本全国にある試験場の中には、ロービーム対応していないところも一部あります。ロービームの測定ができない以上、ハイビームを測定して基準を満たしているかどうか検査されます。
1998年にロービームをベースにした車両が製造されるようになったのは、すでに紹介した通りです。1998年当時はロービーム測定のできる試験場はあまりありませんでした。
しかし、今ではロービームで測定できる試験場が大半になりました。ただし、すべての試験場がそうなっているわけではありませんので注意しましょう。
車検のヘッドライト測定で落ちる車の特徴
車検のヘッドライト基準を満たすことができず、落ちてしまう車両も少なからず存在します。そのような車を見てみると、審査落ちしてしまう主な理由がいくつかあります。
ここからは、審査落ちする車の主な特徴について以下にまとめました。該当する項目がないか、検査に出す前にセルフチェックしておきましょう。
車検落ちする車両のヘッドライトを見てみると、「レンズの部分が黄ばんでいる」もしくは「曇っている」ケースが少なくありません。このような状態でヘッドライトを照らしても十分な光量を確保できなくなります。
また、2015年からハイビームからロービーム基準と変更されました。ハイビームと比較して、ロービームの方がレンズの影響をより強く受けるといわれています。
もしレンズに黄ばみや曇りが確認されたのであれば、その部分を磨いてみてください。もし磨いても状況が変わらないようであれば、レンズそのものを交換するのがおすすめです。
曇りや黄ばみで光量が十分確保できていないと、運転時も危険です。その意味でもレンズの状態は定期的に確認しましょう。
車検に通らない車両の中で、ヘッドライトをカスタマイズしているケースがあります。特に社外品のバルブを使用していると、検査落ちする危険性が高いです。
社外品のバルブの場合、もともと取り付けられている車のリフレクターとフィットしないという理由があります。光が反射することで、照射が正常にできなくなってしまいます。
もし社外品のバルブを使っているのであれば、純正のものに付け替えるのがおすすめです。社外品だとカットラインも明確でなくなり、それで車検に引っかかる恐れも出てきます。
社外パーツだと光量も不十分です。夜間走行しているときに周りの状況が確認できなくなり、事故のリスクも高まります。
ヘッドライトの検査の際に、まずカバーやライトの状態をチェックされます。正しく取り付けられているかどうか、状態などを確認します。
もしカバーに何らかの破損が見られれば、その時点で車検不通過になる可能性が高いです。カバーの部分にひびや割れがあると、光量も十分確保できません。
カバーは、ちょっとした拍子でダメージを受けることがあります。ガードレールや塀などに少しこすっただけでも、ひび割れが起こることがあります。
もしカバーにひび割れなどの破損が確認できれば、早めに新しいものに交換しておきましょう。もしそのまま走行していると、警察に指導される可能性もありますので、交換がおすすめです。
社外品のヘッドライトを取り付けていても、車検を通すことは可能です。ただし社外品の場合、特に注意したいのはヘッドライトです。
2015年の車検制度の変更では、ヘッドライトの色で認められるのは原則白色のみです。ライトの色が白かどうか確認しておきましょう。
別項で紹介した通り、色味はケルビン数で測定されます。見た目で白と確認できる色合いであれば、まず保安基準の規定するケルビン数の範囲内にあると思っていいでしょう。
多少黄色がかったものでも、車検通過できる可能性はあります。青色のものは基本NGになるので、純正品など基準を満たすライトに取り換えてください。
ヘッドライトの種類と車検
ヘッドライトにはいろいろな種類がありますが、どのような素材を使っているかによって分類できます。種類は主に以下の3つです。
- ハロゲン
- LED
- HID
この3種類にはそれぞれ異なる特徴があります。素材ごとに車検を通すにあたっての注意点がありますので、以下でまとめました。
ハロゲンランプとは、不活性ガスとハロゲンガスを封入し、フィラメントを通電させることで光るものを指します。一般的な光源の一つで、国内でのシェアをみると大きなウエイトを占めています。
しかし、HIDやLEDの台頭にとって、少し押され気味です。ハロゲンランプは、どんなにかかっても5,000円程度と、低コストなところが魅力ですが、以下で紹介する別の2種類と比較して、明るさで劣るので注意しましょう。
また、ハロゲンは寿命が1,000時間程度と短命なところもネックです。ある日突然ヘッドライトが点灯しなくなる恐れもあるので、寿命が近づいているのなら早めに交換することをおすすめします。
LEDライトは家庭用の照明でも広く普及していますが、ヘッドライトでも使われる場合が増えています。電気を直接光に変えることのできる点が特色で、省電力で長持ちです。
価格は10,000~20,000円と高額ですが、10,000時間程度持続するといわれているのでコスパで見るとなかなか優秀です。近い将来、ハロゲンに変わって主流になるとみられています。
もしLEDのライトに交換したのであれば、光軸に注意しましょう。もともと別の種類の取り付けられていた車種にLEDライトを取り付けると、光の出し方が異なります。
車検を通すためには、車検対応のバルブに交換することも重要です。
HIDライトは、2000年ごろから普及したといわれています。アーク放電を使って光る仕組みです。
3種類の中でも、もっとも明るいといわれていますが、明るすぎることで車検に引っかかる恐れがあるので注意しましょう。
また、HIDライトは明るくなるまでに時間がかかるため、ロービームだけというケースも少なくありません。ロービームだけHIDの場合、ハイビームはハロゲンが使われている場合が多いです。
ハロゲンは短命なので、ある日ハイビームを使おうと思ったらつかなかったということもあり得ます。ハイビームはそんなに頻繁に使用するものではないかもしれませんが、いざというときのために、定期的に交換するように心がけましょう。
車検付きメンテナンスパックは必要なのか?費用対効果を徹底解説!
ヘッドライトで車検落ちした際の対処法
車検に出したところ、ヘッドライトの項目で不合格になる可能性も十分あります。その場合には基準を満たしていない部分を修正して、再度検査に出さないといけません。
どのような対処をすればいいか以下にまとめましたので、落ちたときの参考にしてみてください。また、確実に車検を通すためにはテスターの利用も一考なので、ここで紹介します。
ヘッドライトで車検落ちしてしまう方を見てみると、レンズの汚れが原因というパターンがあります。レンズの汚れで照射を邪魔して、十分な光量を確保できないためです。
もしそうであれば、レンズを専用のクリーナーやコンパウンドなどできれいに磨いてみてください。クリーナーやコンパウンドをウェスなどにつけてふき取ることで、簡単な汚れならきれいにできる可能性が高いです。
しかし、頑固な汚れだと、ウェスで拭いたくらいでは除去できないかもしれません。その場合には、レンズ用の黄ばみ取りがカー用品店などで販売されているので、こちらを使えば黄ばみなどもきれいにできます。
いろいろと磨いても汚れが取れないようであれば、レンズを交換することも検討した方がいいでしょう。
近年、ユーザー車検を受ける方も増えてきています。自分で検査を通す方法で、ディーラーや整備工場よりも費用を抑えることができます。
もしユーザー車検でヘッドライトが不合格になって、再度申し込むのであれば、その前にテスター屋で点検を受けるといいでしょう。テスター屋さんは車検の試験場の周辺にあることが多いです。
特に光軸で引っかかった場合、基準を満たしているか専用の測定機器が必要なため、自分で調整するのは難しいです。テスター屋さんには測定機器が用意されているので、基準をクリアしているかどうかあらかじめ確認できます。
数千円で利用できるので、何度も車検を受ける手間を省くために利用してみるといいかもしれません。