車の所有者は新車の場合3年後、それ以外は2年に1回のペースで車検を通すのが義務となっています。車検を通すとシールが発行されます。
この車検シール、どこに貼るべきかルールがあるのをご存知でしょうか。ここではどこに車検シールを貼るべきか、どのような手順で貼るのかについてまとめました。
車検シールを貼るのは、車のオーナーにとっての義務です。もし車検シールを持っていても貼らずに行動を運転すると罰則対象になるので、ペナルティについても見ていきます。
そもそも車検シールとは何か
車検を通したときに交付されるシールのことを、一般的には車検シールと言います。ただし、正式名称は「検査標章」です。
サイトによっては「車検ステッカー」と紹介されている場合もありますが、同じものを指していると思ってください。車検シールは普通自働車と軽自動車で異なります。
車検シールを貼ることで、「この車は国の定めた保安基準に適合している」という証明になります。別項で詳しく見ていきますが、車検シールが交付されたら、速やかに車のフロントガラスに貼らなければなりません。
車検シールは、2種類の異なるものが発行されます。普通自動車用と軽自動車用の2種類です。
普通自動車用と軽自動車用の車検シールは、見た目で異なります。軽自動車用の車検シールは黄色いデザインをしています。
一方、普通自動車用の車検シールはブルーをベースにしたデザインです。発行しているところも異なり、普通自動車用は陸運局であるのに対し、軽自動車は軽自動車検査協会になります。
車検シールにはいくつかの情報が記載されています。若干レイアウトは異なりますが、簡単に言うとその車検シールの有効期限が中心です。
また、表面と裏面とでは記載に違いが見られます。表面には2種類の数字、裏面には文字による記載です。
表面は大きな数字と小さな数字によるレイアウトとなっています。例えば大きな文字が「12」・小さなものが「4」だった場合、令和4年12月が有効期限という意味です。
一方、裏面には上部に「自動車検査証の有効期間の満了する日」と書かれています。その下に「○年○月○日」と書かれていて、こちらが有効期限です。
軽自動車用の車検シールも基本的には同じになります。しかし、表面の年に当たる数字を楕円で囲んでいるのが大きな違いです。
車検シールを普段あまり良く見ていない人も多いかもしれません。この車検シールですが、近年デザインが変わっています。
2017年の発行分から、車検シールのデザインが変更されました。どのような違いがみられるかについて、ここで見ていきましょう。
2017年以前に採用されていた車検シールは、2004年から使われてきました。このときの変更点は、MOTASによるプリントになるという手法の違いがメインでした。
MOTASとは、自動車登録検査業務電子情報処理システムのことです。サイズも変更され、バイクのナンバープレート用のものと同じサイズになりました。
車検シールのサイズが小さくなり、1cm×1cmと枠が設けられていました。このため、文字の掲載できるスペースが狭くなり、3cm×3cmしかなくなってしまったのです。
結果、文字が小さくて見えにくいと不評の声が上がりました。そこで視認性の向上を目指したのが、2017年以降の車検シールです。
2017年から採用されている新しい車検シールは、サイズ自体は4cm×4cmと従来と同じサイズです。しかし、従来の1cm×1cmの枠が撤廃されました。
そのため、サイズいっぱいに文字を表記できるようになったのです。その分文字が大きくなって、視認性の向上に成功しました。
また、普通自動車用の車検シールは、年度の表示スタイルが変わっています。年度が進むにしたがって、時計回りで異なるところに表示されるようになりました。
数字が確認できなくても、年度がどこに書かれているかですぐに有効期限が確認できるようになったわけです。このように、遠くからでも有効期限が一目で確認できるような工夫が施されています。
車検シールを貼らないとどうなる?
車検を通すだけでなく、交付された車検シールを貼るのも車の所有者の義務です。もし車検シールを貼らずに公道を走行させると罰則規定もあります。
これは、道路運送車両法にも記載されていることです。また、同じ法律には車検のシールをどこに貼るのか、貼り方なども決められているのでここで詳しく紹介します。
車検を通して車検シールが交付されたら、速やかに車の所定の位置に貼り付けましょう。これは、道路運送車両法の第66条に記載されていることです。
条文には「検査標章を表示せずに運行してはならない」という内容が書かれているため、もし車検シールを貼らずに公道を走行した場合、処罰の対象になりえます。ペナルティの内容ですが、50万円以下の罰金です。
なかなか大きな罰則を科されてしまうので、車検を通したらすぐにシールを貼るという習慣をつけましょう。ただし工場などで車検を通す場合、運輸支局に書類を提出してもらう必要があり、その場でシールを受け取ることはできません。
この場合、「保安基準適合標章」というものが交付されます。15日間の期間限定で有効なシールですが、車検シールの代わりになるものです。
検査をクリアすると、車検シールが交付されます。ディーラーなどにお願いした場合、お店の方で車検シールを貼ってくれる場合もありますが、基本は自分で貼らないといけません。
車検シールの貼り方についても決まりがあります。まず表面と裏面を貼り合わせます。
貼り合わせの終わったところで、フロントガラスの内側にそのシールを貼り付けて完了です。車検シールの貼るべき位置も決められているので、場所を確認した上で貼るように心がけましょう。
車検シールの貼る場所ですが、車種によって異なります。自分の所有するモデルの場合、どこに貼ればいいか実際に貼り付ける前に確認しておいてください。
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車検シール貼り方について解説
車検シールを車に貼らなければならない、それだけでなく貼り方にも決まりがあります。ここでは車検シールの貼り方について、詳しく解説していきます。
車検シールを貼るにあたって、車種によって決められた場所のあることはすでに紹介しました。どこに貼るのか、どのような手順で貼るのかについて見ていきましょう。
車検シールの貼る場所は画一的に決まっているわけではありません。車種によってフロントガラスのレイアウトも違ってくるので、3タイプ別で貼る位置を規定しています。
まずバックミラーのある車の場合、フロントガラスの上部に貼ってください。
2つ目はバックミラーのない車の場合で、このような車種では運転手の座席から最も離れたフロントガラスの上部です。例えば日本では右ハンドルの車が多いですが、この場合、逆サイドのフロントガラスの左上に貼り付けます。
最後は、フロントガラスの上部に着色の見られる車です。この場合、着色部分に貼り付けてしまうと外部からの確認ができないので、着色部分のないところまで下げて車検シールを貼り付けます。
続いて車検シールを貼る手順について解説します。手順とは言いますが、そんなに難しいことではありません。
これまで何度か紹介したように、普通自動車と軽自動車では異なる車検シールは発行されます。そこで、普通自動車用と軽自動車用に分けて、貼り方の流れについて見ていきましょう。
普通自動車用の車検シールを貼る場合、「ミシン目A」という表記があるはずです。このミシン目Aの部分で山折りにしてください。
ミシン目Aから右半分をはがしていきます。今度は「ミシン目B」と表記されている部分があるので、ここで谷折りにしましょう。
そして、透明シールの上に水色シールを貼っていきます。続いて水色シールの残りをはがしたら、透明シールの上に貼って2種類のシールを貼り合わせていきます。
2枚のシールを貼り合わせたら、台紙からはがします。フロントガラスの所定の位置に貼り付ければ完成です。
軽自動車の場合、まず黄色シールの右半分をはがします。「ミシン目1」と記載されているところから右半分をはがしますが、この部分を山折りにするとはがしやすくなります。
次に「ミシン目2」という部分を谷折りにしましょう。透明シールの上に黄色シールを貼り付けていきます。
あとは黄色シールの残りの部分をはがしましょう。透明シールの残りの部分の上に貼れば、2枚のシールが貼り合わさった状況になるはずです。
2枚のシールが貼り合わさったのを確認したら、台紙からはがします。フロントガラスの所定の位置に貼り付ければ完了です。
古い車検シールの剥がし方
新車以外の場合、新しい車検シールが発行されたら古いシールははがさないといけません。車検シールは一般的なものと比較して、粘着力は強めです。
そのため、強引に引きはがそうとするときれいにはがなくなってしまいます。できればシールはがしを使った方がいいでしょう。
もしシールはがしがなければ、中性洗剤で代用することも可能です。こちらを直接シールに塗りこんでいきます。
次にラップをシールの上に重ねて10分くらいそのままにしておいてください。
次に、車検シールではがしていきます。スクレーパーという専用の道具があれば使うのが好ましいです。
もしない場合は、定規やプラスチック製のカードなどでも代用できます。はがし残しがあれば、ウェットティッシュなどできれいに拭き取ってください。
車検シールは再発行できる?
車検シールを発行してもらったけれども、紛失してしまった、間違った貼り方をしてしまったという方もいるかもしれません。この場合でも心配する必要はなく、再発行は可能です。
しかし再発行手続きをお願いする際には、所定の手続きが必要です。再発行までの流れや注意点について、まとめました。
車検の再発行手続きは、日本全国にある運輸支局でお願いできます。以下で詳しく見ていきますが、必要書類を持参して所定の手続きをすれば再発行してもらえます。
まずは最寄りの運輸支局がどこにあるのか、ホームページなどで確認しましょう。再発行の申請ですが、日本全国どこの運輸支局で手続き可能です。
自分の車のナンバープレートに記載されている管轄以外の運輸局でも受け付けてくれます。また対象の車両を持ち込む必要もありません。
極端な話、北海道で通した車検シールの再発行を沖縄の運輸支局でお願いすることも可能です。近くの運輸支局で速やかに手続きをしてください。
車検シールの再発行手続きをする際には、いくつか必要書類があります。二度手間にならないように、しっかり持参して手続きを進めましょう。
申請書と手数料納付書、車検証、印鑑が必要です。申請書と手数料納付書は陸運局の窓口で受け取れます。車検証については原本が必要です。また印鑑については実印ではなく、認印で構いません。
検査標章再交付申請書と車検証、印鑑が必要です。検査標章再交付申請書は軽自動車協会の各支所で受け取れますし、ホームページからもダウンロードできます。車検シールの貼り間違えなど手元にある場合には、一緒に提出してください。
普通自動車でも軽自動車でも、車検シールの再発行をお願いする場合には手数料がかかります。普通自動車も軽自動車も再発行手数料は一緒で、300円です。
300円現金をそのまま支払うのではありません。印紙を購入し、手数料納付書に貼り付けて提出という形で支払います。
普通自動車の場合、陸運支局に専門の窓口があります。こちらで料金を支払えば、印紙が交付されますので納付書に貼り付けます。
軽自動車の場合、軽自動車検査協会が窓口です。こちらでも印紙を販売しているので、まずは購入しましょう。
印紙は、再発行の申請を行う当日のものでなければなりません。そのため、再発行の申請を行う際には、300円は忘れずに持参してください。
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車検シール以外に貼るステッカーもある
車検を定期的に通すことは、自動車の所有者の義務です。車検シールをフロントガラスの所定の位置に貼り付けるのも義務であるということは、ここまで紹介しました。
しかし、そのほかにも条件によっては貼らなければならないステッカーもいくつかあります。こちらで詳しく見ていきましょう。
中には罰則の対象になるようなものもあります。
フロントガラスに「点検整備済」と記載された円形のステッカーが貼り付けられている車両を見たことがあるという方もいるかもしれません。これは定期点検標章と言います。
定期点検標章には、次回の定期点検を受ける時期について記載されたステッカーです。定期点検標章については表示義務はないので、貼っていなかったとしても罰則の対象にはなりません。
しかし、期限切れの定期点検標章をそのまま貼り付けて公道を運転した場合は、保安基準違反になってしまいます。定期点検標章をフロントガラスに貼っているのであれば、有効期限がどうなっているのか時折確認するといいでしょう。
リアウィンドウやサイドウィンドウに貼られているステッカーのひとつが、保管場所標章です。保管場所標章は、車庫証明をとっていることの証拠になります。
保管場所標章は法律によって表示(貼り付けること)が義務づけられています。しかし、保管場所標章を貼っていなかったとしても罰則規定はないため、何らかのペナルティを科されることはありませんが、やはり貼っておいた方がいいでしょう。
保管場所標章にはいろいろな情報が記載されています。主な情報として、標章番号と保管場所の都道府県・市区町村名、車庫証明を交付した警察署が記載されています。
最近では地球にやさしいエコカーも街中で見かける機会が増えています。エコカーの場合、車両にステッカーが貼られていることが多いです。
エコカーでステッカーの貼られている車両は、一定の基準をクリアしています。低排出ガス車もしくは燃費基準達成車にはステッカーが貼られているはずです。
エコカーに関するステッカーは、表示義務はないものとなっています。貼っていなかったとしても、ペナルティを課せられることもありません。
ちなみにエコカーの場合、車検証にステッカーと同じ旨の内容が記載されています。こちらでも確認できるのでステッカーを貼る必要はないとされています。
ファッションとしてステッカーを貼っている車両もしばしば見かけます。しかし、フロントガラスには余計なステッカーを貼ると法律違反に問われる可能性があるので、注意しましょう。