車に乗っていたら急に調子が悪くなった、という経験をしたことがある方もいるでしょう。そのときは修理に出すことになりますが、車のメーカー保証について詳しく知っている方は少ないかもしれません。

保証内容が記載された保証書は、車検証と一緒に入っています。6ヶ月点検や12ヶ月点検、車検などで、もしかしたら見たことがあるかもしれません。

今回は、車の保証内容と保証を上手く利用する方法について、詳しく解説していきます。いざという時のために、保証内容はきちんと理解しておきましょう。

車の保証は2種類ある

車の保証は2種類ある
車の保証は大きく分けると2種類に分類されます。それは「メーカー保証」と「販売店保証」です。保証内容は双方異なります。

近年、日本の自動車製造技術は世界屈指であり、故障が少ないことでも定評があります。そうはいっても自動車部品は30,000点程あることから、思わぬ故障をしてしまうこともありえます。

そんなときに保証してもらえることは、大変ありがたいことです。それでは、実際のところどのような保証があるのか詳しく解説していきます。

メーカー保証

自動車の各メーカーは、新車を購入してもらったお客様に対して、安全性の確保と性能を維持させていく必要があります。そのため、少しでも違和感を感じた場合には、無償で点検を行っています。

点検の際、使用している部品に不具合が見つかることもあるかもしれません。そのときは、交換や修理をして快適な状態を保つようにしていきます。

このように、自動車を快適に走行できるよう、メーカー保証を設けているのです。それが自動車メーカーの役割でもあります。

また、購入した地域から引っ越しなどで違った地域に住むようになった場合においても、購入したディーラーではなく、住み始めた近隣にメーカー系ディーラーがあれば、保証を受けることも可能です。

各メーカーのディーラーは、全国各地に多く店舗を構えています。何かトラブルがあったときに直ぐに見てもらえる安心感は自動車を所有しているユーザーにとって気持ちが楽になる要素でもあるでしょう。

販売店保証

販売店保証は販売店が独自に設けている保証で、保証の対象部分についても販売店によって異なります。

メーカー系ディーラー保証の場合は、消耗部品(バッテリー、タイヤなど)、オイル系、ボディ内外、外装部品等を除いた部位が保証対象になることが通例です。一方、中古車の販売店保証は、期間や走行距離が短く設定されていることが一般的です。

中古車は、新車と比べて販売している段階である程度劣化や消耗が進んでいます。そのため、故障のリスクが高くなる分、そのような保証設定になっているのです。

安全を確保するブレーキやミッション系は保証に入っているのが一般的ですが、その他は有料になるケースもあります。

エンジン系など故障すると高額の修理費を支払うものは、保証がついているか事前に確認することをおすすめします。また、中古車の購入の際は、販売店からメーカー保証継承を説明されることもあるので、注意しておきましょう。

メーカー保証の中には種類が2つある

メーカー保証では、部品によって「一般保証」と「特別保証」に分類されます。

保証書にはそれぞれ保証期間が定められており、明記されています。保証内容によって保証する範囲や期間は異なっているので、きちんと確認しておかなければなりません。

それでは、詳細についてお伝えしていきます。

一般保証とは?

一般保証とは?
一般保証は、自動車の一般的な部品の修理や交換をする保証です。車両本体というよりは、付属品に対して不具合がある際に点検・修理をします。

付属品というのは、例えば以下のようなものが該当します。

  • エアコン
  • オーディオ
  • カーナビ
  • ドアミラー
  • ワイアレスロック
  • パワーウィンドウ など

メーカー保証には、タイヤやオイルなどの消耗品等は、保証の対象外になります。

保証期間は各メーカー共通で、初年度登録から3年以内または60,000km以内と決まっています。その期間内であれば保証を受けることが可能です。

しかし、期間内であっても保証を受けられない場合もありますので、気をつけましょう。

一般保証を受けるポイント①保証書の名義人である

一般保証を受ける際に、保証書を確認する必要があります。どこを確認するかというと、保証書の名義人が自分の名前になっているかどうか、という点です。

名義が異なっているときには、保証を受けることができません。中古車を購入したときには、保証書の名義人が前のオーナーになっている(保証が継承されていない)ことも考えられます。

そのため、名義人が自分であるかどうかを、あらかじめチェックしておくことが大事です。

一般保証を受けるポイント②定期的にメンテナンスを実施

普通乗用車の場合、車検を2年又は3年で実施しなければ、公道を運転できなくなります。しかし、点検は車検だけを行っていれば良いわけではありません。

法定点検以外にも、6ヶ月点検や12ヶ月点検があります。この点検を受けていない自動車に関しては、保証の対象にならない場合があります。

メーカー保証を受ける際には6ヶ月点検や12ヶ月点検を受けることが必須事項であることが多いので、メンテナンスは定期的に実施しておきましょう。

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特別保証とは?

特別保証とは?
特別保証は、自動車の走行や乗員の安全のために、重要な部分を保証してくれるものです。

重要な部分というのは、例えば以下のようなものが該当します。

  • エンジン
  • ステアリング
  • エアバッグ など

期間も一般保証よりも長く設定されており、走行年数が経過していて不具合が出てきたときにも、対処してもらえるようになっています。

特別保証の保証内容や期間、保証条件について、ここから詳しくお伝えしていきます。

特別保証の保証内容は?

エンジン部品や動力伝達部分など、重要な機能を果たす部品が保証対象です。

具体的には、以下の部品が該当します。

  • エンジン機構
  • 動力伝達装置
  • サスペンションアクスル
  • ステアリング機構
  • 排気ガス浄化機構
  • エアバッグ
  • 電子制御機器
  • 燃料電池機構 など

走る・曲がる・止まるに関わるエンジンなどの駆動系の部品が、メインの保証内容となっています。

特別保証の保証期間は?

特別保証の保証期間は?
保証期間は5年または、走行距離が100,000kmのいずれか早いほうが対象になります。

一般保証よりも安全に走行する為に必要な保証ですので、期間や走行距離が長く設定されているところもポイントです。

年数の経過や走行距離が増えてくることによって、自動車も部品関係が劣化してくることもあります。勿論耐久性も兼ね備えていることもありますが、走行する環境によっても耐久性は左右されます。

そのため、メーカーとしてもある程度幅を持たせてメンテナンスが行えるように、保証を強化するのでしょう。

特別保証の保証条件は?

保証条件については、車検証に入っている一式に「メンテナンスノート」があります。

メンテナンスノートは、自動車のカルテのようなものです。定期点検を行った際に、どのような整備や調整を行ったか、分かるようになっています。実際に見たことがあるという方もいるかもしれません。

例えば、法定点検の12ヶ月点検を行う場合には、普通自動車の点検項目は26項目あります。室内点検では主にブレーキ関係の点検、エンジンルーム点検であれば、エンジン回りのオイル漏れやベルトの緩み、点火プラグ、バッテリー、エアクリーナーエレメントの状況、冷却水の確認などがあります。

また、下回りはマフラーなどの損傷確認やブレーキドラムまたはブレークディスクとパッドの状況、ドライブシャフト連結部の緩み、タイヤの状況など多岐に渡ります。

それらの点検内容を明記してあるので、実際自動車の状況が一目で分かるため整備する側としても状況がつかみやすくなるのです。

したがって、保証条件としては、点検・整備の履歴が残っていることが保証の対象になり、取扱説明書等に従って正しい利用や点検を実施している自動車が保証を受けられます。

各メーカーによって特別保証に違いがある

各メーカーによって特別保証に違いがある
足並みが揃っている一般保証に対して、各メーカーによって保証内容や期間に違いがあるのが特別保証です。

そのようになっている背景として、メーカー独自の技術開発には相違があり、ハイブリッドカーや電気自動車の普及に伴って、個々の車種に応じて保証内容が異なりつつあることが現状としてあります。そのため、一般保証のように同一の範囲内での修理や点検が難しく、各社バラバラになってしまうのです。

近年では、ボディ外板の表面に発生した錆も塗装保証として対象になるメーカーも増えてきています。しかし、取扱書に記載されているメンテナンスを実施している場合に適用されるので、使用過程で塗装を傷つけてしまった場合には保証対象外になることは知っておきましょう。

延長保証をすることも可能

メーカーの希望としては、安全性を確保した上で、顧客に対して車を利用してもらいと考えています。そのため、メーカーの一般保証や特別保証が終了した後も、顧客が希望すれば有料で保証を延長することも可能です。

例えば、新車購入時に保証延長手続きを取っておくと、一般保証や特別保証の期限・走行距離が過ぎても、その時点からメーカー保証と同程度の保証を継続されることが可能です。

長期保証するメリットは、メーカー保証と同程度の保証が続くことによって、年数に伴って不具合が生じたときに突発的な費用負担が少ないことが挙げられます。リスクを未然に回避できることは、日常生活の視点から考えても良いといえるでしょう。

申し込みは、メーカー系ディーラーへ依頼することになります。しかし、いつでも加入できるわけではありません。現状、新車購入時や車検時に限られていますので、その時期になったときに担当者と相談してみることをおすすめします。

中古車購入の時は保証継承出来るか確認

中古車購入の時は保証継承出来るか確認
中古車として自動車を購入した場合に、チェックすることがあります。その自動車が、新車保証としての有効期限があるかどうかです。

もし有効期限が残っているときには、保証継承を行うことができます。

新車から考えると、2回目の車検まで(5年)までは期間として保証継承することも可能です。そのため、中古車を購入する際には、気に入った車を選ぶことも大事ですが、万一故障してしまったときに備えて保証を選ぶことも重要です。

保証のポイントとして、保証書やメンテナンスノートがあることが必須になります。それでは、保証継承の方法等について詳しく解説していきます。

保証継承する方法は?

先程、中古車についても有効期限が残っていれば、保証を受けることができるとお伝えしましたが、現状あまり知られていないことかもしれません。

保証継承の方法は次の通りです。

まず、購入者の名義に変更をする必要があります。そのためには、系列のディーラーに自動車を入庫し、12ヶ月点検相当の点検を受けます。費用としては、12,000円〜20,000円程度です。

保証継承の手続きについては、中古車を購入した販売店に依頼し代行してくれる場合もありますが、してもらえないときには、購入後に自分で手続きをすることも可能です。

保証継承が適用されないケースとは?

保証継承が適用されないケースとは?
保証継承することで、安心して自動車を運転していくことができます。しかし、保証継承を完了したとしても、適用されないケースもあります。

基本的なことを守っていれば保証継承が適用されないケースは少ないですが、故障してから知らなかった、とならないようにすることは大事です。

以下3つのことについて覚えておきましょう。

①前オーナーまたは自身の過失による故障

現在所有しているオーナーによる過失に伴う故障・故意の故障については、適用対象外になることがあります。

例えば、エンジンオイル交換を行わずエンジンが傷んでしまったときなどは、管理をする上での過失になってしまいます。

また、現在の所有者だけではなく、以前乗っていた前オーナーにも当てはまります。その際は保証適用除外になるので、確認しておきましょう。

②保証継承する前に故障

自分の名義に変更をしてから継承の手続きを取る場合には、保証の適用期間までにタイムラグが生じることがあります。

例えば、保証継承する前からパワーウィンドウの調子が悪かったとします。それを修理するときは、自己負担となります。

先程もお伝えしましたが、保証継承するためには、事前に点検を受ける必要があります。そこで現状の自動車の状況を確認するので、どこに不具合があるかディーラーは理解しています。

保証継承された時期から不具合が出たときに保証するので、以前から調子の悪い箇所については保証対象外です。あくまで、保証継承した時期の後からの故障について対応するので、その点には気をつける必要があります。

③改造している

基本的に、メーカーは純正部品を使って故障した場合に保証を行います。そのため、軽微であっても購入した自動車が改造されたものであったときには、新車保証が継承されない可能性もあります。

例えば、マフラーを純正ではなく、社外品を装着しているときには保証の対象外です。

自動車には、純正のパーツ以外にも合法として適用できる非正規品のパーツもあり、車好きでなくても格安な部品などに変える方もいます。しかし、正規ディーラーはメーカーの技術が集約されていることもあり、正規品でなければ思わぬ不具合が発生するかもしれません。

万一、正規品でない箇所の修理をして再度不具合が起こった場合は、責任を負いきれないこともあると考えられます。

本来のメーカーの自動車を維持していくことが目的である以上、改造された車に保証をすることは難しいでしょう。そのため、中古車購入の際は、どのようになっているか確認しておくことは必須だといえそうです。

販売店保証の注意点

販売店保証の注意点
今までメーカー保証について解説してきましたが、販売店保証については、どのようなものがあるのか、気になるところでしょう。

販売店保証は、保証期間と走行距離に関してもお店によって大きく異なっています。

走行距離に関しては、「1ヶ月・1,000km」「3ヶ月・5,000km」などの短い保証から「1年〜3年・走行距離無制限」(但し有料)など様々です。

また保証内容についても、部品の種類・保証限度額・免責金が必要など、購入した販売店によっても違います。

例えば、大手の中古車販売業者だと、1年目の修理費は無料で、2年目以降は免責金として修理をするごとに毎回10,000円かかる設定になっているところもあります。

そして、加入条件として普通自動車は新車から7年未満で70,000km以下、軽自動車は新車から6年未満で60,000km以下で、車検や点検を中古車販売業者で行うことを条件にしています。

メンテナンス費用は、自動車を維持していく為にも必要なことです。なるべく安くしたいのがユーザーの本音でしょう。そのためにも、購入時にどのような保証があるのか、どこまでなら保証対象になるかを事前に聞いておくことが必要です。

故障や起きてしまう前に、販売店に確認しておくことをおすすめします。

まとめ

①車の保証は、大きく分けると「メーカー保証」と「販売店保証」の2つになる
②メーカー保証には「一般保証」と「特別保証」がある
③一般保証は、3年又は60,000kmまでメーカーが保証し、付属品が対象となる
④特別保証は、5年又は100,000kmまでメーカーが保証し、車の走行に不可欠な部分が対象となる
⑤中古車を購入する場合は、「保証継承」ができるか確認し、早く行うことで保証を受けられる
⑥中古車購入の場合は改造されていない車を選ぶことで、メーカー保証を受けやすくなる
⑦販売店保証は販売店によって保証内容が異なるので、よく確認する

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