車検の際には整備費用の他に法定費用を負担しなければなりません。法定費用はいくつかの項目で構成されますが、その中の一つが「自動車重量税」です。
自動車重量税は文字通り、車両の重量に基づいて金額が決まります。他にもエコカーかどうかによっても税額は異なります。
エコカーの場合、基本的に自動車重量税は減税されます。その、エコカー減税の概要についてここでは見ていきましょう。
また、車検のときには自動車重量税以外にも法定費用は発生します。他にどのような費用が発生するかについてもまとめました。
自動車重量税の基礎知識
車検の際に負担する費用の中の一つに、自動車重量税があります。自動車重量税とはどのようなものか、詳しくは知らないという方も多いかもしれません。
そこで、ここでは自動車重量税とは何かについてまとめました。車両の重量の他にも、税額を決める要素がいくつかありますので、併せて紹介していきます。
自動車重量税とは?
自動車重量税は、車両の重量をベースにして課税額が決まる税金のことで国税です。車検時に決められた金額を納税します。
自動車重量税を支払うときは、次の車検までの税額を一括で支払う必要があります。
自動車重量税の金額ですが、普通車の場合は0.5トンごとに区分されています。0.5トン当たり4,100円ずつ増税していきます。
軽自動車の場合も同様に重量税は課税されます。金額は重量関係なく「一律6,600円」となっています。
なお、軽自動車でも普通自動車でも、もし残存期間が1ヶ月以上あるタイミングで廃車にすると、残りの自動車重量税は月割りで還付されます。
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自動車重量税を決める要素
自動車重量税は、車両の重量を元にして税額が決められます。しかし、重量だけで税額が決まるわけでもありません。
重量の他にも、車種や年式などの要素も税額を左右させます。その中の一つにエコカーかどうかという部分も含まれます。
ここからは自動車重量税を決める要素について詳しく説明します。
自動車重量税の税額を決める要素で欠かせないのは、車両の重量です。
マイカーの重量がどのくらいかについては自分で簡単に調べられます。マイカーを保有している方は、車内に車検証を携帯しているはずです。この車検証の中には車両に関する情報が記載されていますので、重量も表記されています。
普通自動車の場合、0.5トンから始まります。そして0.5トンごとに重量税が変わってくる仕組みです。
もし車両重量が2,000kgであれば、2トンまでの区分の税金が適用されます。一方2,001kgになると、2.5トンまでの区分扱いとなります。
自動車重量税は車検証に記載されている重量がベースです。車検を受ける前に自分の愛車の重量がどのくらいか確認しておきましょう。
自動車重量税は、保有している車種によっても変わってきます。
まず「普通自動車」か「軽自動車」かで、税額の仕組みが異なりますので注意しましょう。普通自動車の場合は0.5トンごとに区分されていますが、軽自動車は重量関係なく、一律で同じ金額になるのが大きな違いです。
また「自家用車」や「事業用自動車」かによっても、税金が変わってしまいます。3ナンバーもしくは5ナンバーの自動車は自家用乗用車で、1ナンバーもしくは4ナンバーの車は自家用貨物車扱いです。
乗用車か貨物車かで車検期間も変わってきます。乗用車は2年ごとですが、貨物車は1年ごと車検を受ける必要があります。ちなみに軽自動車の場合だと乗用車も貨物車の区分もありません。
自動車重量税の税額を決める際に無視できない要素として、年式があります。
年式とは、新車登録の段階から何年経過しているかというものです。基本的に年式の古い車になると、自動車重量税は増税されてしまいます。
年式と重量税の関係ですが、2つのラインが引かれています。
まず「13年経過した車両」です。13年経過すると、同じ重量であっても増税されてしまいます。そして「18年経過した車両」になると、13年時よりもさらに増税されてしまいます。
少なくても数千円、重量によっては数万円単位で増税されてしまうので注意しましょう。
こだわりがなければ、低年式で増税対象の車両を保有しているなら新しい車に買い替えるのも一考です。
「エコカー減税」という言葉を耳にしたことがあるという方は、多いかもしれません。いわゆるエコカーを保有していると、通常の税額よりも安くなる制度です。
エコカー減税の対象になるのは、自動車税と自動車重量税です。
エコカー減税の対象になるかどうかは、国土交通省の定める排気ガスと燃費の基準を達成しているかで決まります。排気ガスと燃費の基準は特定の年度で設定されます。その基準を何パーセント達成した車種かによって、減税の幅も変わってくる仕組みです。
ちなみに、国土交通省の認定を受けたエコカーには、ステッカーが貼られているはずです。自分の愛車がどの基準に該当しているのか、ステッカーで確認してみましょう。
自動車重量税はいつ払う?
自動車重量税を納付するタイミングは車検のときです。
ディーラーや整備工場で車検をお願いする際には、お店の方に整備や点検費用とともに支払います。
自分で検査を行うスタイルで注目を集めているユーザー車検の場合は、陸運局で自動車重量税納付書を受け取り、そこに印紙を貼り付ける形で納付します。
車検をどこで受けるにしても、自動車重量税は先払いという方式をとっています。次回の車検までの期間の重量税をまとめて支払うということです。
自家用車の場合、新車登録時には向こう3年間の税金を納付します。そして車検を受ける際には、次の車検である2年後までの税金を一括で支払います。
エコカー減税と車検の関係
エコカーであるかどうかが、自動車重量税を決める要素の一つだということを上記で紹介しました。そこで、ここではエコカー減税と車検の関係について、もう少し深堀りしてみましょう。
エコカー減税はエコカーを持っていれば、ずっと続くものではありません。あくまでも期間限定で適用される減税措置です。
また、エコカー減税はこれまで何度か内容が変更されました。ここでは2021年度時点における最新のエコカー減税制度についてみていきます。年度が替わると税額が変更される可能性もあるため、注意しましょう!
エコカー減税とは文字通り、エコカーと呼ばれる車を保有している人を対象に、減税措置の取られる制度です。エコカーという言葉を知っていても、具体的にどんな車種を指すのかは、よくわからないという方もいるでしょう。
エコカーとは、環境に配慮する「エコロジー」と節約を意味する「エコノミー」の「エコ」の組み合わさった車です。
環境にやさしいというのは、二酸化炭素や窒素酸化物といった地球温暖化の原因物質の排出量を少なく抑えた車のことです。一方、節約というのは、燃費を指します。燃費性能に優れた車であることも、エコカーの条件です。
国が定めた排気ガスと燃費基準をクリアしていると、エコカー認定されます。車種によっては減税の他にも、購入時に補助金が出るといった、さまざまな恩恵を受けられます。
エコカー減税における自動車重量税の減税は、どのようにして行われるのでしょう。これは、従来の重量税から何パーセントか割引になる、という形になります。
では、何パーセント減税になるのでしょうか?これは、国の定める基準をどの程度達成しているかで決められます。
2021年時点では、2030年度の基準でどの程度達成しているかということです。2030年度基準の90%以上達成していると、初回車検時100%減税、つまり免税となります。75%達成で50%・60%達成で25%減税です。
電気自動車も近年増えつつありますが、電気自動車についても100%減税すなわち免税扱いです。また電気自動車は2030年度基準が120%達成だと、2回目の車検も重量税は免税となります。
エコカー減税の制度ですが、これまでに何度か変更があり、2019年にも変更された点がありました。これは、2019年10月1日の税制改正が関係しています。
これまで自動車を購入するときに課税されていた自動車取得税が廃止され、その代わりに環境性能割と呼ばれる新しい税制が設けられました。
環境性能割の決め方ですが、環境負荷軽減(燃費基準値達成度など)に応じて、非課税、1%、2%、3%の4段階に区分けされています。
税制の見直しによって、自動車取得税そのものがなくなってしまいました。結果的にエコカー減税の対象になるのが、車検時には自動車重量税のみとなったわけです。
また、エコカー減税の基準は、その時々によって変わってくるので、その点にも注意が必要です。2021年時点では2030年度の基準が適用されています。
車検を受けるたびに自動車重量税が課税されますが、ずっとエコカー減税が適用されるわけではありません。
エコカー減税が適用されるのは、基本的に初回の車検時だけだと思いましょう。2回目以降はエコカーでも減税の対象にならない車種が多いです。
ただし、一部例外があります。2021年5月から適用されているエコカー減税制度の下では、電気自動車と2030年度基準120%以上達成しているエコカーであれば、2回目の車検も免税です。
電気自動車の他にも「燃料電池自動車」「プラグインハイブリッド自動車」「天然ガス自動車」なども同じ扱いになります。
エコカー減税は、そもそも期間限定の措置でした。最初は2009年までとなっていましたが、何度か期間延長され現在に至っている状況です。
最終的には2021年4月末までと決められていましたが、2021年度税制改正の結果、さらに2年間の延長が認められました。そのため、2021年時点で、エコカー減税が適用されるのは2023年4月30日までに新規登録された自動車です。
しかし、これまでも何度か延長が繰り返されていることからもわかるように、再延長の可能性も否定できません。延長されるたびに、軽減率は引き下げの傾向も見られますので、できるだけ早くエコカーを購入した方が、その恩恵も多く受けられるでしょう。
量産のHV自動車が発売されてから20年以上経過したこともあり、中古車マーケットを見ても、いわゆるエコカーは活発に流通しています。
もし、中古のエコカーを購入した場合にエコカー減税の恩恵を受けられるかどうか気になるかもしれません。
エコカー減税の中で「中古車特例」というものがありました。中古車特例とは、エコカーの場合自動車取得税の軽減措置が受けられるというものです。
しかし、2019年9月30日をもって、自動車取得税そのものが廃止されました。それに伴い、エコカー減税の中古車特例も実質終了した形になっています。
自動車重量税は、中古車特例の対象外です。つまり中古のエコカーを購入しても、減税措置は取られないということです。
車検付きメンテナンスパックは必要なのか?費用対効果を徹底解説!
車検時に自動車重量税の他にかかる費用
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車検を受ける際には、整備費用と法定費用を負担する形になります。法定費用の中の一つが、これまで紹介した自動車重量税です。
しかし、法定費用は自動車重量税の他にも、いくつか項目があります。主要な自動車重量税以外の法定費用について、ここで紹介しましょう。
自動車を保有している方は、自賠責保険に加入しているでしょう。強制保険という別名があることからもわかるように、自動車の所有者には加入が義務付けられています。
保険なので、保険料を負担する必要があります。自賠責保険料は24ヶ月で満期になりますので、車検のときに更新して保険料を支払わないといけません。車検を受ける際に保険料を支払えば、向こう2年間の更新ができるので問題ありません。
しかし、車検切れギリギリで検査を通す際には注意が必要です。車検の有効期間は満了日の24時までですが、自賠責保険は満了日の昼12時までとなっています。
また、もし車検切れで検査を受ける場合には、25ヶ月分の保険料を支払わないといけません。1ヶ月余計に保険料を支払わないといけないので、注意してください。
車検の法定費用の中には、手続きにおいて発生する手数料も含まれます。印紙代はどこに依頼するかによって変わってきます。
軽自動車1,100円、普通自動車1,200円
軽自動車1,400円、3ナンバー1,800円、5ナンバー1,700円
指定工場の方が安く済むのは、自前で検査を行う設備が整っているからです。また、保安基準適合証も自前で交付できます。
認証工場の場合、陸運局に車を持ち込まないといけません。また保安基準適合証も交付できないので、余計に手数料が発生してしまいます。
エコカー減税以外の優遇措置について
エコカーを保有していると、自動車重量税の優遇措置が受けられることはすでに紹介しました。しかし、その他の面でも優遇措置の受けられる可能性があります。
エコカーの優遇措置について、以下にまとめました。いろいろな優遇措置を受けられるので、車のメンテナンスコストを圧縮できる可能性が高いです。
グリーン化特例は、エコカーのような環境性能の優れた車に対して、自動車税と軽自動車税の種別割に対して適用される減免制度のことです。
エコカー減税同様、基準の何パーセントを達成しているかによって減免率が異なります。電気自動車であれば75%の減税が受けられます。
その他にも2030年度の燃費基準が70%と90%達成だと減税を受けられるのですが、こちらは営業用乗用車のみの適用です。
グリーン化特例も何度か期間が延長されています。2021年の段階では、2023年4月末までが適用期間です。今後も延長される可能性はありますが、内容が変更される可能性もあるので注意しましょう。
2019年10月1日をもって自動車取得税が廃止されたことは上記で紹介しました。その代わりに新しく制定されたのが、環境性能割です。
環境性能割は、燃費性能をベースにして税率の決まる制度です。自家用乗用車の場合、条件によって最大非課税になる可能性があります。
2021年現在、2030年度の燃費基準がベースです。電気自動車と2030年度基準85%達成していれば、非課税となります。75%達成している車であれば、取得価額の1%の課税です。同じく60%達成で2%、それ以外は3%税金を負担します。
エコカーを保有していると減税措置の他に、補助金が出る可能性もあります。例えば「CEV補助金」です。
CEV補助金は、正式名称「クリーンエネルギー自動車導入促進対策費補助金」といいます。次世代自動車振興センターの審査を受け、環境性能に優れた新車と承認された車を購入するにあたって補助金が出るのです。
具体的にどのような車に適用されるのか気になる方もいるかもしれません。それは以下のような車です。
- 電気自動車
- プラグインハイブリッドカー
- 燃料電池自動車
- クリーンディーゼル自動車
他にも、補助金制度が新たに導入されるかもしれません。インターネットなどで最新の情報をチェックしておきましょう。