「自動車保険にはブラックリストがある」といった話がインターネットでしばしば見られます。結論から言うと、各保険会社でブラックリストなるものを用意しているのは事実です。

この記事では、具体的にブラックリストにはどのような人が載っているのか、どのくらいの期間滞納すると載ってしまうのか見ていきます。

また、ブラックリストに載るといろいろな不都合が生じるかもしれません。どのようなデメリットが生じるのか、ここで紹介します。

自動車保険にはブラックリストが存在する

自動車保険にはブラックリストが存在する
自動車保険の世界では、ブラックリストなるものが存在しています。かといって、ブラックリストという冊子が出回っているわけではありません。

保険会社では示談担当者がいます。示談を担当する部署では、自動車保険の契約をするにあたって制限をつけてほしい人に関するデータを持っています。これを比喩としてブラックリストと呼んでいるわけです。

ブラックリストに関する情報は、示談担当者から営業部に提供されます。営業はその情報を基にして、契約をどうするか検討し直す形になります。場合によっては契約を断られたり、いろいろと条件をつけられることもあります。

ブラックリストに載ってしまう人の条件は、保険会社によってまちまちです。その中でも主な項目について、以下で紹介します。

ブラックリストに載ってしまう人とは?

ブラックリストに載ってしまう人とは?
ブラックリストに載ってしまう人の条件は、保険会社によってまちまちです。

その中でも主な項目について、以下で紹介していきます。

等級の低い人

個人で車を保有し、自動車保険で契約する場合にはノンフリート契約になるでしょう。

ノンフリート契約には等級がありますが、極端に等級の低い人はブラックリストに載るかもしれません。等級は1~20等級まであり、無事故であれば1年経過するたびに1等級アップします。一方、事故で保険を使うと等級が下がってしまいます。

等級が低いのは、事故を起こす危険性の高い人です。そのため、極端に等級が低いと今後事故を起こしかねないとされ、加入を拒否される場合があります。

保険会社で何等級以下だとブラックリストに載るかは、判断が分かれます。しかし、1等級や2等級だとブラックリストに載る可能性は高いです。

1等級や2等級になる人は、新規加入して比較的早い段階で立て続けに事故を起こしている人を指します。そのような人との契約はリスキーだと、保険会社でも判断する可能性はあります。

事故を頻繁に起こす人

等級はそれなりに高いけれども、事故を連続して起こしているとブラックリストに載る可能性があります。今後も事故を再度起こす危険性があると判断されるためです。

等級はある程度高いが、事故を起こして短期間で大きく等級を落とす人も時折見られます。そういった場合、家族から等級を引き継いでいる可能性が高いです。

その人の家族が安全運転を心がけていたので等級は高かったが、引き継いだ人がのちに事故を多発していることが、うかがえます。引き継いだ人はもともと事故リスクが高く、家族から引き継いでいなければかなり低い等級だったかもしれません。

事故の回数は、1年間に3回以上事故を起こすとブラックリストに載る公算が大きいです。中には1年間に3回以上事故を起こしても、契約できる自動車保険もありますが、契約できる保険会社の選択肢はかなり狭まると思ってください。

飲酒運転をした人

飲酒運転をしたことが発覚すれば、まず間違いなくブラックリストに載ります。

飲酒運転には酒気帯び運転や酒酔い運転などいろいろとありますが、どのような形であれ、お酒を飲んで運転して事故を起こせば全員ブラックリスト扱いです。自動車保険の契約も更新も拒否される可能性が高いので、注意しましょう。

お酒を飲んだ状態で運転することは固く禁じられています。酒気帯び運転で甚大な事故を起こした事例もあり、飲酒運転に対する毅然とした態度がとられるようになりました。お酒を飲むと正常な判断ができないので、事故リスクが高くなります。

このような、事故リスクの高い人とは自動車保険の契約を結ばないとしている保険会社が大半です。

反社の関係者

暴力団関係者の人もブラックリストに載るため、自動車保険の契約はできません。これは、国全体の傾向に基づくものです。

現在、日本各地で暴力団排除条例があります。どのような企業であっても、暴力団に対して経済的利益を供与するのは禁じるという条例です。これは全ての保険会社共通で、自動車保険の申し込みをしても加入は拒否されます。

保険会社では、契約するにあたって反社チェックを行うことが多いです。インターネットなどで検索にかけて、反社とのつながりがあるか、逮捕歴があるかなどを調査します。反社の関係者であることを隠して契約しても、のちに発覚する可能性が高いです。

保険金詐欺をした人

自動車保険で詐欺を働いたことのある人は、ブラックリストに載ります。このような保険会社に損害を与えるような違法行為を行えば、自動車保険に加入することは難しくなります。

保険金詐欺の立証は、場合によっては困難を極めるかもしれません。たとえ完全に立証できなくても、グレーと判断されれば要注意人物扱いにされるでしょう。

保険金詐欺とまでいかなくても、保険金を請求する過程で虚偽の報告をした場合もブラックリストに載る可能性があります。

特に多いのが、運転者限定で保険に加入している場合です。運転者限定の対象ではない人が運転して事故を起こせば、本来は保険金が受け取れません。そこで、運転者限定の対象が運転手だったと偽って手続きしようとする人もいます。

こちらも虚偽報告が発覚すればブラックリストに載りますので、申告は正直に行いましょう。

高級車を保有している人

厳密にいうとブラックリストに載っているわけではありませんが、高級車で自動車保険に加入する場合、要注意人物と判断されるかもしれません。

高級車は契約に関して制約を設けられる可能性があります。特に車両保険に関しては、制約がつくかもしれません。他の補償は大丈夫でも、車両保険をつけるのは断られる場合があります。

車両保険は、事故などで車を傷つけられた時の修理費用を賄うための保険です。そのため、高級車の車両保険を認めると莫大な保険金を支払うことになります。

何をもって高級車と判断するかは、保険会社によってまちまちです。しかし、一つの目安になるのは、車両本体価格が1,000万円を超える場合です。車両本体価格が1,000万円を超える車なら、車両保険を断られる可能性があります。

ブラックリストが解除される期間

ブラックリストが解除される期間
もし何らかの問題を起こしてブラックリストに載った場合、基本的に解除するのは難しいと思ってください。ブラックリストで契約を拒否されたら、その保険会社で再度契約を交わすのは困難です。

しかし、車を保有して運転する以上、やはり保険はつけておきたいでしょう。もしどうしても今まで加入していた自動車保険がよければ、交渉してみるのも一つの手です。

ただし、そのままでは契約は難しいことがほとんどです。そこで、保険料が上がっても構わない、車両保険の免責金額を大きくするなどの譲歩をすれば、保険会社も考え直してくれるかもしれません。

今の保険会社が無理でも、別の保険会社では契約できる可能性もあります。そのため、ブラックリストに載った自分でも契約させてもらえる自動車保険は無いか調べてみましょう。

選択肢はかなり狭まるかもしれませんが、可能性はゼロではないので、粘り強く自動車保険を探してみてください。

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ブラックリストに載った場合の措置について

ブラックリストに載った場合の措置について
自動車保険にはブラックリストがあることを説明してきました。ブラックリストに載ってしまうと、いろいろなデメリットが生じます。

では、具体的にどのようなデメリットが生じうるのでしょう。主な不利益について、いくつかピックアップしていきます。

ブラックリストに載った場合、どんな不利益を生じる可能性がありますか?
ブラックリストに載ってしまうと、自動車保険の契約を断られる可能性があります。すでに契約している自動車保険でも契約謝絶といって、契約更新を断られるかもしれません。
契約を断られる可能性

ブラックリストに載ってしまった場合、自動車保険に申し込んでも加入を断られる可能性があるので注意しましょう。

保険に申し込むと、保険会社で審査を行います。もし問題があると判断されれば、契約を拒否される場合もあります。

保険会社も営利を追求している企業です。保険金の支払いよりも保険料収入のほうが大きくならないと、利益を確保できません。そのため、保険金を支払わないといけないリスクの高い人は禁止事項とするのです。

保険会社の中には、リスク管理を担当する部署が設けられています。申し込みがあると、そこで審査が実施されます。ブラックリストに載っていることが判明すれば、審査でふるいに落とされる可能性が大きいです。

特に近年は損保業界の競争は激化していると言われています。以前よりも審査が厳しくなっているため、ブラックリストに載っていると契約できる可能性は低いです。

契約謝絶になってしまう

ブラックリストに載ってしまうと、契約謝絶される可能性があります。契約謝絶とは、契約や更新を断ることです。

契約謝絶になれば、別の保険会社の自動車保険に入り直さないといけません。自動的に契約更新できないので、手続きも一からやり直しです。

1等級や2等級など極端に等級が低いと、ブラックリストに載り契約謝絶される可能性もありますが、短期間で2回も事故に巻き込まれ、等級が低くなる場合もあるでしょう。このように自分が事故を引き起こしたのではなく巻き込まれた場合には、契約更新できる場合もあります。

ただし、条件付きとなるかもしれません。保険会社によって様々ですが、車両保険は外すという条件の場合が多いです。

契約拒否されてしまったら?

もしブラックリストに載ってしまって自動車保険の契約更新できなければ、別の保険会社を探すことになります。

通販型はネットで申し込みをするので、データだけで断られる可能性が高いです。そのため、代理店型の保険会社に申し込んでみましょう。

代理店型の場合、担当者と対面で話を進めていくので、ブラックリストに載っていても交渉次第で融通を利かせてくれる可能性があります。この時に大事なのは、こちらが譲歩することです。譲歩して、保険会社が契約してもいいように折り合いをつけるように話してみましょう。

例えば、一定部分は自腹で賠償をする免責金額を設定する方法です。免責を設定すれば保険会社も保険金支払いを一部免除されるので、契約してもいいとなるかもしれません。

自動車保険の保険料を滞納した場合について

自動車保険の保険料を滞納した場合について
貸金業のブラックリストに載るのは、悪質な延滞があった場合も原因として挙げられます。

では、自動車保険の保険料を滞納した場合はどうなのでしょう。結論から言うと、保険料の「滞納期間」によってブラックリストに載るかどうかが決まります。

自動車保険の保険料の支払いを忘れたのですが、ブラックリストに載ってしまいますか?
数日うっかり保険料を支払うのを忘れてしまった場合であれば、即ブラックリストに載る心配はありません。しかし、3か月以上延滞しているなどの悪質な滞納の場合には、ブラックリストに載る可能性があります。
2カ月間の滞納であればセーフ

自動車保険の保険料を滞納したら、即ブラックリストに載るかというとそうではありません。うっかり保険料の期限を忘れて数日滞納してしまっても、すぐに保険料を支払えば大丈夫です。

2か月程度の滞納であれば、ブラックリストに載ることは無いと言われています。強制解約もされないので、心配しなくてもいいでしょう。

ただし、2か月滞納していると自動車保険の補償が一部適用されない可能性がありますので注意してください。補償内容がすべて適用されるためには、滞納分の保険料をすべて支払うことです。

2か月滞納した場合は、一括で2か月分の保険料を支払う必要があるため、いつもよりも割高な保険料を負担しないといけなくなります。

また、口座振替の方も2か月延滞するとコンビニなどで支払うことになるので、あらかじめ留意しておきましょう。

3カ月を超えると強制解約

自動車保険の支払いを3か月以上にわたって延滞しているのであれば、ブラックリストに載る恐れがあります。ブラックリストに載った以上、現在契約している自動車保険も強制解約扱いとなります。

2か月までの滞納であれば、保険会社もうっかり支払うのを忘れていただけと判断してくれるでしょう。しかし、3か月以上になると意図的に支払いをしていない悪質なケースと解釈します。

そのため、ブラックリストに載ってしまい、強制解約扱いにされてしまいます。もし保険料の支払いができなければ、少なくても2か月目までに支払いができるようにしておきましょう。

強制解約されれば、それ以降は自動車保険による補償は受けられません。人身事故や物損事故を起こして賠償額を請求されれば、自己負担で全額賠償することになります。場合によっては、億単位の賠償を請求されることもあります。

保険料を滞納しているのであれば、速やかに支払うのが賢明です。

信用情報におけるブラックリストと自動車保険の加入について

信用情報におけるブラックリストと自動車保険の加入について
ブラックリストというと、金融事故のことを差すのが一般的です。信用情報においてブラック情報を持っている人の場合、自動車保険に加入できるのでしょうか。

また、そもそもブラックリストという言葉がよく分からないという方もいるかもしれません。そこで、ブラックリストとは何かについても併せて説明しますので、参考にしてください。

金融事故を起こしてブラックリストに載っているのですが、自動車保険に加入することはできますか?
いわゆる金融事故を起こした場合でも、それだけの理由で自動車保険の契約を拒否されることはまず無いです。自動車保険は金融商品ではないので、そもそも信用情報はチェックしません。
ブラックリストとは?

クレジットカードを作ったり、ローンを組んだりすると、債務額や返済状況について信用情報に記録されます。その中に事故情報があり、これに載っているとブラックリストに載った状態ということになります。

ブラックリストに載る条件は様々です。例を挙げると、長期間における延滞です。一般的には3か月以上にわたって延滞した場合には、事故情報が登録されます。

その他には、任意整理をはじめとした債務整理を行った場合も事故扱いです。

ブラックリストに載ると、お金の借り入れが厳しくなります。各種ローンが組めなくなり、クレジットカードを作るのも難しくなります。また、第三者の保証人になることもできなくなるため、人によっては不都合を感じるかもしれません。

ブラックリストを理由に自動車保険の加入を拒否されることはない

ブラックリストに載ると、クレジットカードを作ったり、ローンを組んだりするのが難しくなります。しかし、自動車保険の契約はできます。

自動車保険はそもそも金融商品でないため、自動車保険の契約の可否を判断する審査において、信用情報機関に照会することもありません。金融事故におけるブラックリストに載ったとしても、自動車保険の契約は組めます。

クレジットカードは使えないので保険料をクレジット決済にはできませんが、支払方法を銀行引き落としにすれば問題なく手続きはできます。

金融事故と保険会社のブラックリストは全く別物なので、混同しないように注意しましょう。

まとめ

①自動車保険の世界でもブラックリストはある
②ブラックリストに載ると契約を拒否されたり、補償条件を制約されたりする可能性がある
③金融事故を起こしてブラックリストに載っただけでは、自動車保険を拒否されることは無い
④一度ブラックリストに載ってしまうと解除は難しい
⑤自動車保険の支払いを3か月以上にわたって延滞してしまうと、ブラックリストに載る恐れが高い

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