車を売却したのにも関わらず自動車保険の解約手続きをしていなければ、速やかに手続きすることをおすすめします。車を手放すと自動的に自動車保険も解約されるわけではないので、余計な保険料を支払うことになります。
解約するのを忘れていた場合、さかのぼって解約手続きすることは可能なのでしょうか?また、解約する際に取得しておいた方がいい中断証明書についても説明していきます。
自動車保険はさかのぼって解約できるもの?
自動車保険の解約手続きをするにあたって、解約日を自由に設定することはできるのでしょうか?
過去にさかのぼって解約することができるのか、自動車保険を解約をする方法について詳しく説明していきます。
過去にさかのぼって解約や契約変更はできない
結論から言うと、解約日よりも前にさかのぼって解約することはできません。例えば、愛車を売却もしくは譲渡などで手放したとします。その時点で手続きを忘れて後日手続きをする場合、売却した日を解約日にはできません。そのため、車を売る際には保険の解約手続きも忘れずに行いましょう。
また、解約だけではなく、契約内容の変更も過去にさかのぼってすることはできません。そのため、結婚して名字が変わった、引っ越しで住所が変わった場合などは、その都度すぐに変更手続きをしてください。
過去にさかのぼることはできませんが、申し出があった日以降に解約や契約変更をする場合は日付指定に対応しています。
自賠責保険の名義変更は必要あるの?手続きの仕方も教えます!
自賠責保険は自分で手続きする必要なし
自動車を保有している方は、自賠責保険に加入しているでしょう。もし車を売却した場合、任意保険と違って自賠責保険の解約手続きは必要ありません。しかし、名義変更の手続きは必要です。
買取業者やディーラーに車を売却した場合は、お店側で手続きしてくれることがほとんどです。そのため、こちらで何かをする必要はほぼないと思っていいでしょう。
しかし、ネットオークションなどで個人売買した場合はお店を介しません。自賠責保険の名義変更手続きも自分で行わなければならなくなるので、注意してください。
自賠責保険料は一般的に次の車検までの2年分をまとめて前払いします。しかし、車検が満期になる前に売却することも考えられます。
通常、自賠責保険料は売却する際に還付されません。還付されるのは、対象の車両を廃車にする時のみです。しかし、買取業者の多くは自賠責保険料の残期間分を買取価格に上乗せする形で返還してくれます。
ただし、この残期間の上乗せは義務というわけではないため、上乗せしてくれない買取業者もあります。そのため、見積書などで自賠責保険料の残期間分が上乗せされているかどうかをきちんと確認しておきましょう。
任意保険は自分で手続きする必要がある
自賠責保険は買取業者やディーラーが名義変更手続きを行います。しかし、任意保険の場合、車を手放すなら自分で解約手続きを進めないといけません。
自賠責保険は強制保険ともいわれるように、車を保有する人は絶対加入する必要があります。一方、任意保険は全員が加入しなければならない保険ではありません。任意で加入する保険である以上、解約も任意となります。
車を売却して、もう車には乗らないということであれば、手放す時までに解約手続きを済ませましょう。
もし今の愛車を売却して新しい車を購入する場合は、補償対象の車両を変更する「車両入替」の手続きが必要です。忘れずに手続きしてください。
任意保険と解約返戻金
任意保険は自分で解約しない限り、契約が続きます。そのため、忘れずに解約手続きをしましょう。
解約する際、自動車保険の有効期間が残っている場合があります。支払方法によっては、すでに支払っている残期間分の保険料が戻ってくる可能性があります。
任意保険の支払方法と解約返戻金の関係について、ここで詳しく見ていきます。
自動車保険の保険料を年払いしている場合、途中で解約すると解約返戻金が戻ってくる可能性があります。
解約返戻金の支払方法は保険会社によって若干異なりますが、一般的に「短期率」をベースにして算出しているところが多いです。
短期率とは、既経過期間に応じて定められている係数のことで、計算式としては以下のようになります。
例えば、「年間保険料が5万円」で「すでに経過した契約期間が10日間」だったとします。そして「既経過期間が10日までの場合、短期率が15%」と定められているのであれば、解約返戻金の額は以下のようになります。
既経過期間は保険始期日をベースにします。始期日を過ぎてしまうと1カ月進んだ短期率で計算されるので、解約返戻金が少なくなってしまいます。
返戻金をできるだけ多くもらうためにも、解約する際は早めに手続きを進めましょう。
月払いで自動車保険の保険料を支払っている場合、返戻金は戻ってきません。解約日の月まで保険料を支払っていれば、それでおしまいです。
しかし、月払いも年払いと同様、保険始期日が保険料支払いのベースになっています。もし保険始期日までに解約手続きを済ませないと、1カ月余計に保険料を支払うことになってしまいます。
また、自動車保険を月の途中で解約した場合、残り期間分の保険料が日割り計算で戻ってくることはありません。この部分も理解して、どのタイミングで車を手放すか検討してみると良いでしょう。
自賠責保険の名義変更は必要あるの?手続きの仕方も教えます!
満期解約時の手続き
ちょうど車を手放すのが任意保険の満期に当たる場合、基本的には何も手続きする必要はありません。満期になって更新しなければ、自動的に契約はそこで終わりになります。
しかし、自動車保険によっては「自動継続特約」がついている場合があります。この特約は自動的に契約を更新してくれるものなので、解約手続きが必要になります。
解約する際は、契約期間末日の前月10日までに申し出る必要があります。これを忘れると、契約更新されてしまいますので、注意しましょう。
自動継続特約がついているかどうかは、保険証券などで確認できます。
解約と併せて行いたい中断証明書について
車を手放した後、何年か経ったらまた車を買うかもしれません。その時のために、中断証明書を取得しておきましょう。
ここからは、中断証明書とはどのようなものかについて詳しく説明していきます。
任意保険の等級は契約者の事故歴に応じて1~20等級に区分されます。
また、等級の数字が上がると保険料の割引率も上がるため、20等級近くの等級を持っていると、かなり保険料はお得になります。
新規契約をすると通常は6等級からスタートします。その後、無事故で保険を1年間使わなかった場合は翌年度の等級が1つ上がり、逆に事故を起こして保険を使った場合は等級が下がってしまいます。
もし任意保険を解約してまた車に乗ることになった場合、新規契約扱いとなるため以前の等級に関係なく、6等級からのスタートになってしまいます。そのため、保険料の負担額も以前と比較して大きくなります。
車を手放すことになったが、今後また車に乗る可能性が少しでもあれば、中断証明書を発行してもらうのがおすすめです。
中断証明書とは、手続きから10年間は自動車保険を新規契約した際、以前の等級が適用されるというものです。
特に7等級以上の等級を持っている方は、中断証明書の発行をしておくといいでしょう。もし向こう10年以内に再び車に乗ることになったら、お得な保険料で契約できます。
例えば、今は都市部では公共交通機関に恵まれていて、車を運転する必要のないところに住んでいたとします。しかし、今後もしかすると転勤などで引っ越さないといけなくなるかもしれません。
引っ越し先が地方で、公共交通機関のあまりないところという可能性もあります。そうなると、交通の足としてマイカーがどうしても必要になるかもしれません。
このような想定外のことが起きるかもしれないので、念のため中断証明書を発行しておくのがおすすめです。
中断証明書は、保険契約をしている方全てに発行してもらえるものではありません。中断証明書を発行してもらうには、いくつか条件があります。
まずは、解約時の等級が「7等級以上」ある人が対象となります。中には、解約前の契約中に事故を起こして保険を使った方もいるでしょう。この場合3等級ダウンするので、ダウンした後の等級が7等級以上なければなりません。
次に、申請期限がありますので注意しましょう。保険会社によって若干異なりますが、一般的には「解約日から13カ月以内」となります。
中断証明書を発行してもらうには、このように条件がありますので、不安であれば保険会社に前もって問い合わせておくといいでしょう。
中断証明書の発行手続きの流れは以下の通りです。
- まずは、任意保険に加入している保険会社に連絡しましょう。オペレーターから手続きのやり方について案内されるので、その指示に従って手続きを進めます。
- 中断証明書を発行するにあたって、いくつか必要書類を準備しなければなりません。廃車もしくは譲渡証明書、保険証券は必要です。
- 中断証明書取得依頼書に必要事項を記入して、必要書類と一緒に提出すると中断証明書が発行されます。
手続きはそれほど難しくないので、念のため中断証明書を取得しておくといいでしょう。
中断証明書を取得したほうがいい理由として、本人以外の人が車を保有することになった場合に活用できる可能性があるという点が挙げられます。
中断証明書を使って以前の等級が適用されるためには、いくつか条件がありますが、その中の一つに「記名被保険者と車両保有者の配偶者や同居親族であれば等級を引き継げる」というものがあります。
しかし、同居親族でなければ等級の引き継ぎはできないので注意してください。例えば、大学入学や就職で実家を出ている子供には等級を引き継ぐことができません。
このように10年以内に自分は乗らなくても、家族が運転する可能性があれば、中断証明書を取得しておくと保険料がお得になります。
自動車保険の二重契約に注意が必要
車をいったん手放して、また乗ることもあるでしょう。もし以前の自動車保険の契約を解約せずに次の車を保有した場合、別の保険に加入するとまれに「二重契約」になることがあります。
特に以前の自動車保険に自動継続特約がついていると、ずっと契約が更新され続けているかもしれません。
ここからは、二重契約になった場合の対処法について紹介していきます。
自動車保険の二重契約は、まず起こらないと考えて大丈夫です。保険会社は申請があった場合、契約状況などについて確認をします。
しかし、二重契約が起きることが全くないとは言い切れません。例えば、自動車保険で長期契約していた場合です。
通常、自動車保険は1年契約ですが、保険会社の中には3年や7年といった長期契約に対応しているところもあります。長期契約することにより、更新手続きを毎年やらずに済む、保険料が割引になるなどのメリットがあります。
メリットがある一方、長年契約に関する手続きを行っていないと、保険に関する意識が希薄になるというデメリットもあります。車を売却しても、解約を忘れることも十分あり得るでしょう。
そして、解約手続きを忘れたまま新しい車に乗ることになり、新規契約すると二重契約になってしまうのです。
もし二重契約になってしまうと、2つの保険会社に対して保険料を支払うことになります。つまり、保険料を余計に支払うということです。
二重契約をしていれば保険金が両方の保険会社から入ってくるのではと思う方もいるかもしれませんが、実はこれもあり得ません。2つの自動車保険で契約していても、一部の例外を除き2つ分の保険金は受け取れないこととなっています。
前の自動車保険を解約せずに二重契約になっているのであれば、速やかに解約する必要があります。
車をまた購入して自動車保険に加入したところ、自宅から別の保険証券が出てきたとします。しかし、その保険証券がまだ有効かどうか、確認できない場合もあるかもしれません。
もし二重契約になっているかどうか分からなければ、まずは保険会社に問い合わせるのが賢明です。そして、自分の保険の加入状況を確認してください。
保険会社では、契約者に関する情報共有を行っています。個々の契約者が正しい等級を引き継ぐためです。
契約者に関する情報は、データベースで保管されているでしょう。そのため、保険会社に相談すれば、二重契約になっているかどうかすぐに確認できます。
もし保険会社に確認して二重契約になっていたなら、どちらかを解約しなければなりません。
通常は後に契約したほうの自動車保険を解約します。なぜかというと、等級が低いからです。
等級は保険会社を変えても原則引き継がれます。保険会社では、契約時には等級確認をします。等級確認することで、二重契約を防ぐ役割もあります。
しかし、何らかの事情で等級確認をスルーして二重契約になっている場合、前の自動車保険に正しい等級が反映されています。後に加入した保険には、等級が引き継げません。つまり、新規契約で6等級の扱いになっているはずです。
等級の高い以前の自動車保険を生かしたほうが、保険料もお得になります。そのため、もし二重契約であることが指摘されたら、基本的には後に加入した自動車保険を解約しましょう。
基本的には二重契約になっている場合、前の自動車保険を残します。しかし、補償内容などが魅力的なので、2つ目の自動車保険を残したいと思うこともあるでしょう。
この場合、ただ単に最初の自動車保険を解約するだけでは済みません。2つ目の保険は無効な等級になっているからです。そのため、いったんは2つ目の自動車保険を解約しましょう。こうしてまずは二重契約の状況を解消します。
すると、最初の自動車保険で適用されている等級を引き継げるようになります。そこで、2つ目の保険に乗り換える形で再度加入する方法を取ります。
この時、等級の引き継げ可能な期間を忘れずに確認してください。等級が引き継げるのは、前の自動車保険の契約が切れてから7日以内です。
もし7日を超えてしまうとせっかくの等級が引き継げなくなるので、乗り換えは早めに済ませましょう。