「車検の時期ってそろそろだっけ?」と曖昧なまま放置していると、気付いたときには有効期限が切れているという事態につながりかねません。車検の有効期間は車種によって異なるため、自分が乗っている車について正しく把握していることが重要です。

この記事では、有効期間の違いについてだけでなく、いつどのように受けるべきか、期限切れを起こしてしまった際にはどう対処すべきかなど、幅広く解説します。安心して車を使い続けるために、ぜひ参考にしてください。

ポイント
  • 車検は、車種や区分により、それぞれ異なった有効期間が定められています。
  • 車検を受けるタイミングが早すぎると、実質的な有効期間が短くなる点に注意が必要です。
  • 車検が切れた車を移動させる際には、仮ナンバー取得やレッカー業者への依頼が必要です。
  • 車検満了日を正確に知りたい場合、車検証を確認するのが確実です。
  • 車検の品質重視の場合はディーラー、価格重視ならカー用品店やガソリンスタンドがおすすめです。

車検の有効期間は車種により異なる

車検の有効期間は車種により異なる
車検は、すべての車に一律で有効期間が定められているわけではなく、車種や使用目的によって異なることをご存知でしょうか。

例えば、一般的な自家用乗用車の2回目以降の車検は2年ごとですが、8トン貨物乗用車の場合は1年ごとになります。この違いを正確に把握しておかないと車検の時期を見逃してしまい、法律違反や追加費用発生といったリスクにつながるため注意が必要です。

車種による有効期間を正しく理解しておけば、無駄な費用や手間をかけず安心して車を使用できるでしょう。

【車種別】車検の有効期間

【車種別】車検の有効期間
車検がいつまで有効であるかは、車の種類によって異なるため、自分の車がどの区分に該当するのかを知っておくことは非常に重要です。同じ乗用車であっても、細かな区分の違いによって有効期間は1年だったり2年だったりします。

ここでは、車を「乗用車」「運送事業用」「レンタカー」の3つに分類して、それぞれの有効期間について見ていきましょう。

乗用車

自家用乗用車の車検有効期間は、新車登録後の初回までは3年、それ以降は2年ごとのサイクルです。この規定は、普通自動車だけでなく軽自動車にも共通して適用されます。

ただし、同じ乗用車であっても貨物車の場合は、内容が異なるため注意しなくてはなりません。車両総重量が8t未満の自家用貨物者では初回2年、以降1年ごとに、8t以上であれば初回から常に1年ごとの車検が必要です。

また、キャンピングカーやマイクロバスなどの特殊な用途のある車の場合、車体の構造や計上によって車検の有効期間がそれぞれ異なるため、個別に確認する必要があります。

こうした区分ごとの相違点を知っておくことにより、うっかり車検切れを起こすリスクを抑えることが可能です。

運送事業用

人や物を運ぶ運送事業用の車両は、公共の安全や業務の継続性を確保する目的から、一般の自家用乗用車よりも車検サイクルが短いのが特徴です。

例えば、バスやタクシー・ハイヤーといった旅客運送用の車両の場合は、初回から1年ごとに車検を受けなければなりません。

また、貨物運送用トラックでは、車両総重量が8t以上の場合、初回から1年ごとの車検が義務付けられています。8t未満のトラックでは、初回まで2年、以降は1年ごとと少し緩和されますが、一般的な乗用車よりは頻度が高いのが特徴です。

さらに、軽トラ等の軽貨物車両でも運送事業に使用する車両の場合、自家用とは区分が異なり、初回から2年ごとの車検が必要になります。

レンタカー

レンタカーは、不特定多数の人が利用することが前提とされており、車検の有効期間は一般的な乗用車よりも短めに設定されています。

普通・小型のレンタカーは、初回の車検まで2年、その後は1年ごとに受けなければなりません。レンタカーとして運用される車両は利用頻度が高く、走行距離も伸びやすいために、安全管理の観点からも厳しい有効期間が採用されています。

一方で、レンタカーであっても軽自動車の場合は、初回と2回目以降ともに2年ごとの車検が基本で、普通車のレンタカーと比べるとやや緩い基準が採用されているといえるでしょう。

新規登録から10年を超えると車検の有効期間は変わりますか?
車検の有効期間そのものは、新車登録から何年経過したとしても変動しません。例えば、自家用乗用車の場合、新車登録から初回の車検までの有効期間は3年、それ以降は2年ごとと定められており、登録から10年以上経ったとしても同じです。

車検はいつから受けられるのか

車検はいつから受けられるのか
車検のタイミングを正しく把握しておくことにより、車を安全な状態に保ち、法律に違反することなく運転を続けられます。

しかし、具体的にいつから車検が受けられるのか、その最適な時期はいつなのかといった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。

ここでは、車検を受けられる期間やタイミング、注意点などを詳しく解説します。

車検はいつ受けてもよい

車検は、有効期間の満了日よりも前であれば、いつでも受けられることをご存知でしょうか。そのため、旅行や長期の出張などの都合で車検を受けられない期間があっても、早めに受けることが可能です。

また、年度末や繁忙期を避けて車検を受けることにより、混雑を避けスムーズに整備・点検へと進めるでしょう。車検を受けるタイミングを調整すれば、整備工場の予約が取りやすい点もメリットです。

余裕を持っておくことにより、不具合が見つかった際にも慌てず対応できます。ただし、いつでも受けられると油断して、車検満了日を過ぎないように注意が必要です。

満了日の2ヶ月前から満了日までに受けるのが一般的

車検を受けるのは「有効期間満了日の1ヶ月前から」というのが一般的でしたが、2025年4月からの制度改正により、この期間が2ヶ月前からに拡大されました。

この変更により、車検を受けられる実質的な期間が延長されたため、受検希望者の都合により柔軟な対応が取れるようになっています。

例えば、3月は車検の需要が高まる時期であり、整備工場の予約が取りにくくなる傾向があります。しかし新制度では、より早めに車検が受けられるようになったため、混雑を避けスムーズな手続き進行が可能になりました。

満了日の2ヶ月以上前に受けると有効期間が前倒しになる

車検はいつでも受けられることをお伝えしましたが、満了日の2ヶ月以上前に受けると、新たな有効期間が前倒しになってしまう点に注意が必要です。

車検を有効期間の満了日より2ヶ月以上前に受けると、新たな有効期間が「車検を受けた日から」起算されてしまうため、車検の実質的な期間が短縮されてしまいます。

例えば、有効期間が3月31日までの車であれば、1月31日から3月31日までの2ヶ月間に車検を受ければ、次の満了日は2年後の3月31日になります。しかし、1月10日に車検を受けると次の満了日が2年後の1月10日となり、車検の有効期間が短くなるのです。

このように、車検を受ける日によっては次回の期限が変わるため、2ヶ月以上前に車検を受けるのは、特別な事情を除いて避けるのが無難でしょう。

初回の車検はいつ受ければよいですか?
自家用乗用車の場合は、新車登録から3年後が初回の車検時期です。その後は、2年ごとに車検を受ける必要があります。車検は、期間満了日前ならいつ受けても良いのですが、満了日より2ヶ月以上前に受けると、早く受けた分だけ有効期間が短くなってしまう点に注意が必要です。
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有効期間切れでも車検は受けられる

車検の有効期間が切れているだけでは違法ではなく、適切な手順を踏めば再度車検を受けることは可能です。

しかし、有効期間が切れている状態で公道を走ることは法律で禁じられているため、車検切れの車を移動させるためには、適切な手順を行わなければなりません。

ここでは、車検切れの車を再度車検に通す方法と注意点を解説します。

車検切れの状態で公道を走行するのは違反行為

車検の有効期間が過ぎている車で公道を走ることは、道路運送車両法に違反する行為です。無車検での公道走行には、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科される可能性があり、違反点数6点も加算され免許停止処分の対象となることもあります。

また、車検切れの状態で事故を起こしてしまった場合は、自賠責保険の有効期限も切れているケースがほとんどで、被害者への賠償責任をすべて自己負担で支払うことになりかねません。

任意保険の場合も、車検切れでは適用されない場合が多いため、リスクを避けるためにも、車検切れの車では決して公道を走らないよう注意する必要があります。

仮ナンバーを取得する

仮ナンバーを取得する
車検切れの車を整備工場や車検場に移動させる際には、市区町村の役所で申請できる「仮ナンバー(自動車臨時運行許可番号標)」の取得が必要です。

以下の書類を持参して、窓口で「自動車臨時運行許可申請書」を受け取り、申請手続きを済ませましょう。

  • 運転免許証
  • 車検証
  • 自賠責保険証の原本 など

仮ナンバーの有効期間は5日までで、使用目的や走行ルートも限定されているため、取得したら速やかに車検を受けることが大切です。

仮ナンバーを取得して、自走で整備工場などに向かえば、レッカー車を手配する費用が必要ありません。

レッカー業者に依頼して車を移動する

レッカー業者に依頼して車を移動する
仮ナンバーを取得せずに車検切れの車を移動させる場合、レッカー業者に依頼して運搬してもらう方法が一般的です。

牽引式のレッカー車では車両のタイヤが公道に接地するため、車検切れの車を移動できませんが、積載車(キャリアカーやセーフティーローダー)であれば移動できます。

車検切れの車を移動させたい場合は、まずレッカー業者に連絡を取り、目的を正確に伝えることが重要です。その場合の費用相場は業者によって大きく異なるため、同時にどれくらいの費用がかかるかも確認しておきましょう。

予約が必要な場合が多いため、早めに問い合わせてみることをおすすめします。

車検の満了日を確認する方法

車検の満了日を確認する方法
普段あまり意識していない方の場合、車検の満了日がはっきりと分からず不安に思うことがあるかもしれません。正しく把握しておくことで、余裕を持って車検の準備ができるため、日ごろから確認方法を忘れないようにしておきましょう。

ここからは、車検証や車検シール、自賠責保険証を用いた確認方法について具体的に解説します。

車検証(自動車検査証)をチェックする

正確な車検満了日を把握したいときは、まず車検証を確認するのが基本です。車検証は多くの場合、車のグローブボックス等に保管されており、その中の「有効期間の満了する日」という欄に次回の車検期限が明記されています。

満了日の欄に、例えば「令和7年3月31日」と記載されているのであれば、その日までに車検を受ける必要があると覚えておきましょう。

車検証は紛失や破損しないよう注意して決められた場所に保管し、車検の予定を立てる際や整備工場に連絡する場合に参照できるようにしておくことが重要です。

車検シール(検査標章)をチェックする

簡単に車検満了日を確認したい場合は、車のフロントガラスに貼られた「車検シール」を見るのが便利です。車検シールは運転席側上部に貼られており、外側から見た場合には、車検が満了する年が小さな数字で、月が大きな数字で記載されています。

運転席の内側から見ると、年月日まで正確に確認できるため、満了日を把握したい場合は運転席から見ると良いでしょう。

大体の時期を簡単に確認したい場合は、車の外から確認するだけでも大丈夫です。外からでも視認できるため、普段あまり車の運転をしない人でも、車のそばを通ったときなどにチェックするように意識することをおすすめします。

自賠責保険証で目安を確認する

車検の満了日を知りたいときには、自賠責保険証の「保険期間」も参考にできます。自賠責保険は、車検の有効期間に合わせて契約するのが普通であるため、保険満了日と車検満了日が一致しているケースが多いからです。

ただし、車検満了日と自賠責保険の満了日が必ずしも一致するとは限らないため、あくまで参考程度に留めておくのが無難でしょう。

自賠責保険証だけが確認できる状況というのも珍しいため、車検満了日を正しく知るためには、やはり車検証や車検シールで確認するのが確実です。

車検を早めに受けると、次回の車検期間はどうなりますか?
車検満了日の2ヶ月以上前に受けると、次回の車検期限が早くなり、実質的な有効期間が短くなる場合があります。以前は1ヶ月前からでしたが、現在は2ヶ月となったため、余裕を持って車検の予定を立てることが可能です。車検満了日を正しく把握して、無駄のないスケジュールを組みましょう。

車検を実施している業者・場所

車検を実施している業者・場所
車検を受ける際には、自ら運輸支局や軽自動車検査協会に持ち込む方法だけではなく、様々な業者・場所で受ける方法があります。

それぞれの業者には特徴があり、メリットやデメリットも異なるため、ニーズや車の状態に応じて最適なものを選ぶことが重要です。

ここでは、車検を実施している各業者の特徴を詳しく解説します。

ディーラー

車を購入する際に利用したディーラーに、車検や法定検査をすべて任せているという方は多いのではないでしょうか。ディーラーは自動車メーカーの正規販売店であり、特定のメーカーの車を専門的に扱っているのが特徴です。

ディーラーで車検を受ける際のメリットとして、メーカー基準に基づいた高品質な整備とサービスが受けられる点が挙げられます。純正部品を使用して、専門知識を持つ整備士による点検・整備が受けられて安心です。

一方で、他の業者よりも費用が高くなる傾向があります。費用の安さよりも、整備の質や安心感を重視する場合に適した選択肢です。

整備工場

整備工場は、地域に根ざした自動車整備施設であり、「認証工場」と「指定工場」の2種類があります。

認証工場は、整備や修理を行うことが可能ですが、車検の検査設備は有していません。そのため、車検の際は運輸支局などに車を持ち込む必要があります。

一方、認証工場の中には車検を自社工場で実施できる指定工場があり、そこでは外部に車を持ち出さずとも、その工場だけで車検を完結可能です。

整備工場に車検を出すメリットとしては、比較的費用が安価な点や、柔軟な対応が期待できる点が挙げられます。ただし、工場によって技術力やサービス内容に差がある点はデメリットといえるでしょう。

カー用品店

カー用品店では、タイヤやオイルなどの一般的なカー用品の販売だけでなく、車検の受付や整備も行っています。

大手カー用品店には国家資格を持つ整備士が在籍しており、車検の際に部品の交換なども簡単に行える点がメリットです。部品の在庫が豊富であるため、必要なパーツがすぐに調達できます。また、車検費用が比較的リーズナブルな点も魅力です。

ただし、すべての店舗が車検に対応しているわけではないため、事前に店舗に確認を取ることが必要になります。

ガソリンスタンド

普段よく行くガソリンスタンドなどでも、車検の受付や整備を行っている場合があります。

ガソリンスタンドで車検を受けるメリットは、費用が比較的安く済むことと、知っている店舗で手軽に依頼できることです。また、車検の相談を給油や洗車のついでにできるため、利便性が高いという利点もあります。

一方で、整備士の技術力や設備が店舗によって異なり、整備の質にもばらつきがある点がデメリットです。車検を外部の整備工場に委託している店舗の場合は、車の預かり期間が長くなる場合もあります。

運輸支局・軽自動車検査協会

運輸支局・軽自動車検査協会
運輸支局や軽自動車検査協会に、自ら車を持ち込んで車検を受けることを「ユーザー車検」と呼びます。

ユーザー車検の最大のメリットは、費用を大幅に抑えられる点で、法定費用のみで車検を通すことが可能です。

ただし、車検の予約から必要書類の準備、検査の受検など、すべての手続きを自分で行わなくてはいけません。また、検査に通らなかった場合は再検査や整備が必要となるため、車の整備や点検に自信がある方に適した方法です。

まとめ

①車検の有効期間は、乗用車や運送事業用車・レンタカーなどの区分によって異なる
②車検満了日より2ヶ月以上前に車検を受けると、有効期間が前倒しになる
③車検切れの車で公道を走行すると厳しい罰則が科される可能性がある
④車検満了日は車検証や車検シールで確認可能
⑤ディーラーや整備工場・カー用品店・ガソリンスタンドなどで車検を申し込める

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