ネットオークションやフリマアプリなど、今では個人でも手軽に自分の持ち物を売り出せるようになりました。

自分の車も、業者を介さずに個人間売買するという方もいます。

間に業者を入れないことで、中間マージンが発生しません。その分高値で売却できる可能性があるのがメリットです。

一方で車を自分で売る場合、どんな手順を踏めばいいか分からないという方もいるでしょう。

そこで、この記事では個人売買で車を売る流れや必要な手続き、注意すべきポイントについてまとめました。

個人売買の基本的な流れ

個人売買の基本的な流れ
初めて車を個人売買する際、どんな流れで進めればいいか分からないという方もいるでしょう。以下では、個人売買で車を売る流れについて見ていきます。

買取業者に車を売る際は、業者が事務手続きを代行してくれます。しかし、個人売買の場合は業者がやってくれていた部分も自分でやらなければなりません。

価格設定をする

価格設定をする
まず、愛車をいくらで売り出すか決めます。価格は基本自由に設定できます。

しかし、あまり高値にすると買い手がつきません。買い手が納得できる、購入したいと思える価格設定にしてください。

そこで重要なのが相場です。

自分の愛車が中古車市場でどれくらいの価格で取り引きされているのか調べてみましょう。そのためには中古車販売店などのホームページが便利です。

販売店の中には、簡易査定のサービスをサイトで提供しています。こちらで愛車の車種、年式、走行距離を入力すればおおよその買取価格が出てきます。

相場に近い価格で売りに出せば、買い手もつきやすいでしょう。

買い手と交渉して契約書を作成する

もし買い手がついたのであれば、売買に関する条件や取り決めを直接交渉して詰めていきます。

買い手の方から「もう少し値引きしてほしい」という価格交渉を持ちかけられる場合もあるので、できる限りの対応をしましょう。

最終的に売主と買主の間で合意に達したのであれば、契約書を作成します。口約束だと後々言った言わないのトラブルに発展する恐れがあるので、書面にて残しておくことが大切です。

契約書の書式については特に決まりはありません。しかし、必要事項は忘れずに盛り込んでください。具体的には以下の内容を記載します。

  • 売却価格
  • 売却する車種
  • 支払方法と期日
  • 税金、保険料、手数料の負担をどちらがするか など

契約書のテンプレはネットでもいろいろと出ているので、こちらをベースに作成するといいでしょう。

車の代金支払いと受け渡し

契約書を交わして、所定の期日に車を引き渡します。

個人売買の場合、車の引き渡しと代金支払いは同時に行うことが多いです。そうしないと「車を引き渡したのに代金が振り込まれない」「お金を払ったのに車が届かない」などのトラブルが起こりえます。

もしきちんと代金回収したければ、フリマアプリの利用がおすすめです。

フリマアプリの場合、買い手が商品を受け取った連絡がないと代金が振り込まれないシステムになっています。これなら資金が回収できない、商品が届かないといったトラブルを回避できます。

ただし、全てのフリマアプリでこのようなシステムをとっているわけではありません。どのようなシステムになっているかチェックしたうえで、どのサービスを利用するか検討しましょう。

諸手続きを行う

車を売却する際には、各種事務手続きを進める必要があります。

業者に売却した場合は業者にやってもらえますが、個人売買の場合は自分で全てこなさないといけません。

まず、必ずやっておかないといけないのが「名義変更」の手続きです。この手続きをしておかないと、車を手放しても自動車税の納税通知書が自分のところに届いてしまいます。

また、次のオーナーが事故を起こした場合も、皆さんが巻き込まれるかもしれません。このようなトラブルに巻き込まれる恐れがあるので、名義変更手続きは済ませておいてください。

車を所有している方で、任意保険に加入している方も多いでしょう。もし次のオーナーが異なる任意保険に入っている場合は、新規契約もしくは車両入替の手続きが必要です。その際、車種や年式などで保険料が上下する可能性がありますので、注意しましょう。

売主が準備すべき書類

売主が準備すべき書類
個人売買をするにあたって、必要書類がいくつかあります。必要書類も自分で全て準備する必要があります。

必要書類は売主も買主もそれぞれ用意しなければなりません。ここでは売主がどのような書類を準備しなければならないのかチェックしていきましょう。

車検証

まずは車検証です。

車検証は車を運転する際に携帯することが義務付けられています。車検を普段見かけないという方は、ダッシュボードに入っていることが多いので確認してみましょう。

個人売買した場合、車検証の名義変更手続きが必要です。名義変更する際に車検証の原本が必要になるので、必ず用意してください。

車検証が見つからない場合、再発行手続きが必要です。皆さんの住んでいるところを管轄する運輸支局で再発行を受け付けています。

また、車検切れしている車は公道を走れません。そのため、仮ナンバーを取得したり、運搬してもらったりして車検を通す必要があります。

車検を受ける目的でも車検切れの車を公道で走らせると、罰金などのペナルティが課されるため、注意しましょう。

実印と印鑑証明

個人売買する際、契約書などの書面を残す必要があります。これらの書面に押印しなければならないため、印鑑も準備しましょう。

この時使用する印鑑は実印です。そのため、実印を証明するための印鑑証明書も必要書類の一つです。

役所で印鑑登録をしていない場合、まずは登録手続きを済ませてください。その後に印鑑証明書を発行することができます。

印鑑証明書は発行されてから3か月以内のものが有効です。あまり早く印鑑証明を交付してもらうと、期限切れになってしまうことも考えられます。この点も頭に入れておきましょう。

軽自動車の売買の際は認印でもいいため、印鑑証明書は必要ありません。

自動車税納税証明書

自動車税納税証明書も売主が準備すべき必要書類の一つです。

自動車税は4月1日時点で車を所有している方に納税義務があります。

自動車税を納税していないと、次のオーナーが負担しなければなりません。また、車検を受けられなくなるので買い手に迷惑がかかります。

そこで、自動車税を確実に納めていることを立証するために納税証明書を準備しましょう。納税証明書とは、銀行やコンビニで納税した際に返却される通知書の半券です。

もし捨ててしまって紛失したのであれば、再発行手続きを済ませてください。再発行は各都道府県の税務署でしてもらえます。

自賠責保険証

自賠責保険証を車売却時には準備しておいてください。

自賠責保険は強制保険ともいわれ、車を運転する際には加入が義務付けられています。

自動車を売買する際には、自賠責保険の名義も変更しなければなりません。この時に自賠責保険証の原本が必要です。

もし自賠責保険証を紛失してしまったのであれば、加入先の保険会社で再発行手続きします。どこの保険会社か分からない場合は、車を購入したディーラーなどに問い合わせてみましょう。

自賠責保険料は、次の車検までの2年分を前払いします。もし残期間があれば、残りの保険料をどうするか買い手と交渉しておくことを忘れないでください。

リサイクル券

リサイクル券も売主が準備しておくべき必要書類です。

法律に基づき、所有者は車を廃車処分する際のリサイクル料金を負担しなければなりません。

リサイクル券は、リサイクル料を支払ったことを証明する書類です。車を廃車するまでは、リサイクル料を預託している形になります。

リサイクル券を買主に引き渡す代わりに、預託金を買主に請求することができます。廃車する際は最後のオーナーがリサイクル料を負担することになるからです。

リサイクル券を紛失したのであれば、再発行は原則不可です。

紛失した場合、自動車リサイクルシステムのホームページに「自動車リサイクル料金の預託状況」というサイトがありますので、こちらで「預託済み」と証明できれば車は売却できます。

「預託済み」と書かれているページをプリントアウトすれば、リサイクル券の代わりになります。

譲渡証明書

譲渡証明書も準備しましょう。

買取業者に売却する場合はお店のほうで用意してくれますが、個人売買の場合は自分で準備しなければなりません。

譲渡証明書は個人売買で車の所有者が変更された時に、誰から誰にオーナーが変わったかを証明する書類になります。売主の実印を押印する必要があるので、忘れないでください。

譲渡証明書は、国土交通省のホームページに掲載されています。こちらをダウンロードして、プリントアウトして準備してください。

また、運輸支局の窓口でも用意しています。運輸支局に買い手に来てもらってこちらで手続きすれば、職員がアドバイスしてくれるのでスムーズに売却も進められるでしょう。

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車売却時に必要な手続き

車売却時に必要な手続き
通常、買取業者に車を売却すれば、事務手続きは全てお店がやってくれます。しかし、個人売買の場合は全て自分で行わないといけません。

ここからは個人売買の際に済ませないといけない手続きについてここで紹介します。

どのように手続きを進めるか、手続きするにあたって注意すべきポイントについてもまとめました。

名義変更手続き

個人売買をする際は、車の名義変更の手続きが必要不可欠です。

車は登録制度を採用していて、所有者が変更になった場合は運輸支局で名義変更手続きをします。

名義変更手続きをする際には、いくつか必要書類を準備しなければなりません。

  • 車検証
  • 自賠責保険証
  • 自動車税納税証明書
  • 買主の車庫証明
  • 譲渡証明書
  • 売主と買主の印鑑証明書 など

譲渡証明書は売主から買主に車が譲渡されたことを証明する書類になります。

譲渡証明書には売主と買主の実印による押印が必要なため、売主と買主、両者の印鑑証明書も必要です。

中には買主が単独で名義変更手続きを行う場合もあります。この場合は「売主の委任状」が必要になるので、忘れずに作成しておきましょう。

自賠責保険の名義変更

自賠責保険も売主から買主に名義変更をする必要があります。

車両に紐づいている保険なので、自賠責保険だけ名義は売主のままというわけにはいきません。

自賠責保険の名義変更は、加入している保険会社で行います。まずは保険会社に連絡をしてください。

オペレーターの方から名義変更手続きに関する案内がなされますので、案内通りに関連書類を準備して、買主と売主の双方が署名捺印します。また、自動車売買契約関係書類も併せて提出する必要があります。

保険会社によって、必要書類は異なりますのでオペレーターの指示に従いましょう。中には買主の住民票や運転免許証の提示を求めるところもあります。

任意保険の名義変更

自賠責保険とは別に、任意保険に加入している方も多いでしょう。自賠責保険だけでは、いざ事故を起こした時に必要な補償金額が賄えない恐れがあるためです。

まず売主が車を買い替えるのであれば「車両入替」の手続きを行ってください。車両入替を行えば、等級などが引き継げます。

今回の売却を気に車の運転をやめようと思っているのであれば「解約手続き」を進めます。

今後また運転する可能性があるのであれば、10年間現在の等級が引き継げる「中断証明の手続き」をするのがおすすめです。

買主の方が今回初めて車に乗る場合は、任意保険に新規加入しておきましょう。もし任意保険にすでに加入しているのであれば、売主同様車両入替の手続きを進めます。

売買契約書の作成方法

売買契約書の作成方法
売買契約書は必ず作成しておきましょう。

個人売買の世界では「売却代金が振り込まれない」「車検証などの書類が送られない」「購入直後に車が故障した」といったトラブルが起こりやすいです。

このようなトラブルを回避するためにも、取引内容を書面に残しておくことをおすすめします。

契約書には車両情報や代金の支払い方法、引き渡し期日、責任の所在などを記載します。その他にも作成日や売主と買主の署名、住所なども記載しておいてください。

必要事項を明記すれば、契約書として有効です。

もし法的効力を持った契約書を作成したければ、行政書士や弁護士などプロに相談するのがいいでしょう。車の売買では、まとまった金額が動きますので、プロの監修のもと契約書を作成するのがおすすめです。

名義変更手続きをするタイミングについて

名義変更手続きをするタイミングについて
個人売買における名義変更手続きは、できるだけ早く行いましょう。

もし名義変更をしないで4月1日をまたいでしまうと、前のオーナーに自動車税の納税通知書が届いてしまいます。また、事故を起こした場合も前のオーナーの責任問題につながりかねません。

できるだけ速やかに名義変更手続きを進めなければいけないのはそのためです。

中には買主だけで名義変更手続きをすることもあります。その場合には車の引き渡し時に、名義変更に必要な書類は全て渡しましょう。

手続きが終わったら名義の変わった車検証のコピーを送ってもらうと安心です。

売主と買主が一緒に運輸支局に行って、名義変更手続きをするのが一番早いです。確実に名義が変わったことが確認できます。

個人売買の注意点

個人売買の注意点
個人売買は素人が取り引きするということになるので、いろいろなトラブルが発生する可能性があります。

では、具体的にどんなリスクを伴うのでしょう?

ここからは個人売買での主なトラブルを紹介します。

名義変更がされない

個人売買のリスクの中でも大きいのは、名義変更がされていない場合です。

買取業者に売却する際は、プロなので確実に名義変更してくれるので安心です。しかし、個人売買の場合、買主が行います。

中には名義変更するのを忘れてしまう、何らかの事情で怠ってしまうことも考えられます。そうなると、自動車税の請求が前のオーナーに行ってしまいます。

また、買主が交通事故や交通違反を犯すと、前のオーナーに出頭を命ぜられる可能性があります。その結果、違反点数や罰金が売主の方に行ってしまうかもしれません。

いくら「もう車は手放した」と警察に行っても取り合ってもらえない可能性が高いです。そのため、車の売買が成立した時点で、速やかに名義変更の手続きを行ってください。

瑕疵担保責任の問題

個人売買で車を売却する際には、できるだけ車両に関する細かな情報を伝えることです。これを疎かにすると、後々トラブルに発展する可能性があります。

車を売るにあたって、「不利になる情報は伝えたくない」と思うかもしれません。しかし、修復歴や事故歴などを伝えていないと、次のオーナーが車の不具合による深刻なトラブルに巻き込まれるかもしれません。

もし売主が車に欠陥などの問題があることを知っているのに、買主に伝えずに売却した場合、キャンセルされる可能性は高いです。代金を受け取っているのであれば、返還請求されるでしょう。

車を売る時には、良いことも悪いことも全て公開しておくべきです。

まとめ

①個人売買の場合、個人間で交渉して価格などの取り決めを行う
②全ての手続きは自分で行わないといけない
③名義変更の他にも自賠責保険や任意保険の手続きも必要
④名義変更をしないとトラブルが起きるので注意が必要

※本記事は公開時点の情報になります。
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