ガソリンエンジン車は、当然ながらガソリンがタンクに入っていないと走行できません。車を売却したいと思っているが、売却する際はガス欠状態で引き渡すというわけにもいかないため、どのぐらいガソリンを入れておけばいいのか悩んでいる方もいるかもしれません。

また、近年はガソリン代が高騰しているため、売却して人手に渡る車なのにガソリンを満タンにしておくのはもったいないと思う方もいるでしょう。

そこで今回は、車を売却する際にガソリンの残量はどう影響するのか、適切な量はどのぐらいなのかなどを解説していきます。

車の売却時にガソリンの残量はどのように影響するのか徹底解説

車を売るタイミングは、故障した時や車検の期限が迫った時、乗りたい車が販売された時など人によって様々です。

車を売却することを決めたけれど、ガソリンタンクの残量がどの程度あればいいのか疑問に思う方もいるかもしれません。

ガソリンを満タンにしているとその分査定額を上げてくれるのか、気になる方もいるでしょう。

そこで今回は、車の売却時にガソリンの残量はどのように影響するのかという点を徹底的に深堀りしていきます。

ガソリンを満タンにしても査定に影響を与えることはほぼない

ガソリンを満タンにしても査定に影響を与えることはほぼない
日常的に車を使用していると、ガソリンタンクに燃料が満タンに入っていれば相当な距離を無給油走行できるため、ドライバーとしては安心です。ガス欠になってしまうと大変なので、いつも満タン給油を心掛けている方も多いかもしれません。

しかし、買取査定においては、ガソリンを満タンにしていたとしても査定に影響を与えることはほぼないと考えていいでしょう。そのため、買取査定を受けるからといって、わざわざお金を払ってガソリンを満タンにしておく必要はないとされています。

車を売るときにガソリンを満タンにしておくと査定は有利になりますか?
ガソリンの残量は査定に影響しないため、満タンにしているからといって査定が有利になることはほとんどないと考えていいでしょう。
理由①ガソリンの残量は査定のチェックポイントではない

買取査定の前にガソリンを満タンにしておく必要がない一つ目の理由は、ガソリンの残量がそもそも査定のチェックポイントになっていないからです。

もっと言えば、ガソリンが満タンでも空っぽに近くても、査定におけるその車の評価と査定額は全く変わりません。

車の査定は、車の車種・走行距離・年式・グレードなどから基準となる本体評価額が決まります。その後、エンジンや各部品、外装内装の状態を詳しくチェックして、ダメージがあればその分を減額していくという流れです。

その他にも車にはタイヤ・ブレーキパッド・ワイパーなどといった消耗品が数多くついており、ガソリンも大きな意味でこの消耗品に含まれます。

消耗品が新しく痛みが少ない場合、査定において加点ポイントとして評価されることがあります。しかし、他の消耗品に比べてガソリンは圧倒的に消費スピードが早いため、たとえ満タンに入っていても、加点ポイントとしてはほぼカウントされません。

また、実際には半年程度なら問題なく使用できますが、長期間タンクに入ったままのガソリンをそのまま使うことに不安を感じるユーザーもいます。そのため、ガソリンが残っていることが転売時のセールスポイントになることもないため、買取業者としては満タンだからといってプラス査定することはありません。

理由②車の印象UPにもそれほど効果はない

レンタカーや代車の返却時は「満タン返し」がルールとなっていることが多いです。ガソリンが減った状態で車を返却しようとすると満タン給油を促されますし、それを頑なに拒んだ場合は違約金を請求されるケースもあります。

そのため、「車売却時はガソリンを満タンにしておくのがマナー」だと勘違いしている方もいるかもしれません。

しかし、知人同士の譲渡ならともかく、業者への売却において「ガソリンを満タンにしておくべき」といったルールやマナーはないとされています。また、車の印象が良くなったり悪くなったりすることもありません。

ガソリンを満タンにして車を売ることで起こりえる悪影響

ガソリンを満タンにして車を売ることで起こりえる悪影響
車を売却するからといってガソリンをわざわざ満タンにした場合、かえって悪影響が起こる可能性もあるため注意が必要です。

ここからは、ガソリンを満タンにすることで起こりえる悪影響と、悪影響が起こってしまう理由を詳しく解説していきます。

車を売るときにガソリンを満タンにしていることで、査定が不利になることはありますか?
ガソリンは可燃性の強い危険物であり、満タンになっている車を長期間保管すると、その管理・保安に手間と労力がかかってしまいます。そのため、大きくはありませんが、査定時に若干の減額対象として判断されてしまう可能性があります。
補充したガソリン分が「余計な出費」になる

まず確実に起こるデメリットとして、減っていたガソリンを満タンまで補充するのにかかった費用が、ユーザーにとって「余計な出費」になってしまうことが挙げられます。

その理由は、ガソリンが満タンであっても、売却時の買取査定にはほぼ影響を与えないからです。そのため、ガソリンの価格が年々上がってきている今、車の売却に先立ってガソリンを満タンにする金銭的メリットは全くないとされています。

さらに、ガソリンが満タンである場合、買取業者の判断によっては車の査定額が減額されてしまう可能性もあります。

良かれと思って買取査定前にわざわざガソリンを満タンにしたのに、「余計な出費」が増えた上に、マイナス査定になってしまっては意味がありません。

ガス欠寸前で止まりそうな状態ではない限り、ガソリンを補充する必要はないでしょう。

買取店側に「余計な手間と労力」がかかる

買取店の判断次第にはなりますが、ガソリンが満タンの車を買い取ると「余計な手間と労力」がかかるため、その車本来の査定評価額から減額されてしまう場合もあります。

その理由は、ガソリンは引火性の高い危険物であるため、満タン状態の車を長期間管理するには、防犯・防災・保安面で手間と神経を使うからです。

また、ガソリンに明確な使用期限はありませんが、劣化するまでの期間は半年程度と言われています。ガソリンが満タンの車を買い取り、それがすぐに売れれば特に問題はありませんが、長期間売れない場合は、入っているガソリンをそのまま使ってしまうと、エンジンなどに不具合が出てしまう可能性があります。

だからといって、満タンになっているガソリンをガソリンタンクから抜くのは手間がかかりますし、抜いたガソリンは再利用することもありません。

車の管理やガソリンを抜いたりするのに余計な手間と労力がかかるため、その分が買取査定額から差し引かれてしまうのです。

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車を売るときの最適なガソリンの量とは?

車を売るときの最適なガソリンの量とは?
ここまで解説してきたとおり、車を売却する前にガソリンを満タンにすることで、買取査定に影響を与えることはほぼありません。そのうえ、かえって悪影響を及ぼす可能性のほうが高いとされています。

それでは、車を売るときに最適なガソリンの量はどの程度なのでしょうか?

以下で詳しく見ていきましょう。

車を売るときにガソリンはどのくらい入れておくといいのでしょう?
車は給油ランプが点灯しても、かなりの距離を走行することができます。しかし、給油ランプがついたままの状態では不安なうえ、査定のために複数の買取店をはしごすることも考えられます。そのため、給油ランプがつく寸前の状態でキープするのがベストでしょう。
「ガス欠寸前」は不安だからやめておこう

車をできるだけ高く売りたいのであれば、一つの買取店に絞り込むのではなく、複数の買取業者で査定を受けて、その査定額を比較しましょう。

買取店同士の位置関係が近いと、談合とまでは言いませんが相場的に買取査定額が揃ってくることもあります。

また、「買取額に納得がいかなかった」「次に乗りたい車がなかなか見つからない」などといった理由から、車の売却を延期したり、見合わせたりするケースもあります。

このように、愛車を高く売る方法を実践するために離れている複数の買取店を回る場合や何らかの理由で車の売却を取りやめた場合は、当然ある程度タンクにガソリンが残っている必要があります。

売る予定があるからとガス欠寸前にしたせいで、買取店を回っている時や売却を中止して日常運転に戻った時、万が一ガス欠になってしまうと厄介です。

満タンはおすすめしないと前述しましたが、ガス欠寸前も不安なので、やめておいたほうが無難です。ある程度走れる距離のガソリンは入れておく、もしくはガソリンの量を気にしながら走行しましょう。

売ることが決まっているなら給油ランプがつく寸前がベスト

複数社を回った結果、納得のいく買取額を提示してくれるところを見つけて売ることが決まったのであれば、「給油ランプがつく寸前」がベストのガソリン残量だと考えられます。

給油ランプはタンク内のガソリンが一定量を切り、給油が必要になったことをドライバーに知らせるものです。これが点灯したら、すぐ給油しないとガス欠してしまうと焦る方もいるかもしれませんが、ランプが点灯してから大体50~100kmは走行できます。

この程度の距離を走行できれば、売却時の車両引き取りも十分可能です。また、何らかの理由で引き取りが伸びても、給油ランプの点灯を明確な基準として細かく給油量を調整できます。

売却に備えてガソリンの量を上手に調整するコツ

売却に備えてガソリンの量を上手に調整するコツ
車を売却する時はガソリンの残量を「給油ランプがつく寸前」にしておくのがベストだと説明しました。

しかし、ガソリンを満タンにしておくのは簡単ですが、給油ランプがつく寸前に細かく調整するのは案外難しいものです。

そこで最後に、車の売却に備えてガソリンの量を上手に調整するコツを時系列に沿って紹介していきます。

①愛車の実燃費を普段からしっかり把握しておく

車を売却する時にガソリンの残量をうまく調整するためには、まず自分の車の「実燃費」を把握しておくことが大切です。

しかし、具体的に1Lあたり何km走るかまで知っておく必要はありません。ガソリンメーターの目盛りと距離メーターを参考に、「この位置なら給油ランプがつくまで〇㎞程度走れる」ということを知っておけば大丈夫です。

例えば、自分の車のガソリンメーターがちょうど半分まで来たら、給油ランプが点灯するまで150km走行できるとしましょう。この時、その車の1日あたりの走行距離が30kmなら、「5日後には給油ランプが点灯する」と予想できます。

このように、ガソリンメーターの目盛りの位置と走行距離で給油ランプの点灯するタイミングを予想できれば、上手にガソリン残量を調整できるでしょう。

②実燃費を参考にこまめな給油を心掛ける

実燃費を把握して給油ランプの点灯タイミングを予想できるようになれば、ほぼ調整はうまくいったと言えます。後は、売却予定日(車両を引き渡す日)に合わせ、少しずつ「給油ランプが点灯する直前」に近づけていくだけです。

しかし、ガソリンが入ってないと不安でいつも満タン給油が基本、という方の場合、意外と細かい調整は難しいと感じるかもしれません。

念を押しておくと、車は給油ランプがついてもかなりの距離を走れます。ベストと言った点灯直前を保っていれば、よほど遠出をしない限りガス欠して立ち往生することはないでしょう。

そのため、車の売却することを決めたら、普段は満タン給油していても一度給油ランプ点灯まで給油を我慢してください。その後は、L単位や1,000円単位など、自分が管理しやすい単位に区切ってこまめに給油するようにします。

そうすることで、ベストなガソリン残量で車を売却することができますし、ガス欠の心配もなく保てるでしょう。

③売却が目前に迫ったら車を使わないというのも手

査定見積もりの比較をしっかり行い、売却先が決まって引き渡し予定日直前でガソリンの残量がベストに近づいているなら、車を使わずにバスや電車などといった交通機関で代用する手もあります。

しかし、タクシーまで使うメリットはありませんし、バスや電車の利用も2、3日と続くと大変かもしれません。コスト的にも、ガソリン給油し車を使ったほうが安上がりの場合もあります。

しかし、査定後に新たな傷やへこみ、故障などが発生すると再査定が必要になるケースもあり、減額されるとその後の予定まで狂ってしまう可能性があります。そのため、査定後は特に車の使用を最低限にとどめておいたほうが安心です。

④調整できないからとガソリンを抜くのは避けたほうが無難

車を売却するときにガソリンを満タンにしないほうがいい・するべきではないと説明しましたが、査定に悪影響を与えるにしてもそれは微々たるもので、大きく買取額が下がるわけではありません。

ガソリンスタンドや修理工場などに依頼すればタンクからガソリンを抜くことも可能ですが、5,000円~10,000円程度のコストがかかるため、採算は合わないでしょう。

また、自分でガソリンを抜くことは大変危険です。そのため、うまく調整できず残量が多いと思っても、そのままの状態で査定に出すようにしましょう。

まとめ

①車のガソリンを査定前にわざわざ満タンにするメリットはほぼない
②ガソリンの残量は査定のポイントに入っておらず、満タンにすることで担当者に好印象を与えるわけでもない
③ガソリンを満タンにするには費用がかかる、買い取った車の管理にも手間がかかるため、むしろ満タンでないほうがよいとされている
④車の売却をする時にベストなガソリンの残量は「給油ランプが点灯する寸前」
⑤ガソリン残量を調整するために「実燃費の把握」をしたうえで、「こまめな給油」を心掛けよう
⑥車の引き渡し日が決まり、ベストなガソリン残量になったら、車を使わずに他の交通機関でしのぐというのも一つの手
⑦調整に失敗して残量が思ったより残ってしまっても、ガソリンを抜いてまで調整する必要はない

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