軽自動車の駐車場を設計する時には、最適な寸法を知ることは重要です。駐車スペースが狭すぎると、停めにくさや隣接する車への接触リスクが増えますし、逆に広すぎると土地の無駄遣いに繋がります。
この記事では、軽自動車に最適な駐車場の寸法に加え、それぞれの駐車場タイプの特徴や選び方について詳しく解説します。
軽自動車の駐車場の寸法はどのくらい?
軽自動車の駐車場の寸法を決めるには、まず自分の車のサイズをしっかり確認することが重要です。マイカーの車両の長さ、幅、高さに合わせて駐車場のスペースを確保することで、快適に駐車できる環境を作ることができます。
車の大きさには差があるので、まずはマイカーの大きさを確認してみましょう。
一般的な車のサイズについて
駐車場の寸法は、今持っている車のサイズだけでなく、将来的に購入する可能性のある車のサイズまで、十分に考慮することがポイントです。
駐車場の基準は、法律によって厳密に設定されていないため、自分で決める必要があります。駐車場のサイズは、所有している土地と家の大きさ、土地の形、近隣の建造物との距離、道路の広さや形状、そして使用目的などに応じて、柔軟に決めることができます。自由度が高い分、後悔しないためにも慎重に検討しましょう。
軽自動車とミニバンのような大型車では、車両の長さで160cm、幅が約37cm、高さが約25cmとかなり大きな差があります。軽自動車用に駐車場を作成したけれど、子供が生まれてミニバンを買いたいと思っても、軽自動車のサイズで設計された駐車場では、ミニバンの購入を見送るか、他に駐車場を借りるしか方法がなくなってしまいます。
駐車場の設計を進める前に将来的なことを考えつつ最適なサイズを決定することが重要です。
軽自動車は、税金が安かったり、燃費が良かったりと維持費の安さから人気となっています。また、車の中でもコンパクトな車体となっているため、取り回しの良さも魅力です。
軽自動車はコンパクトな車体が特徴なため、駐車スペースを節約できるといったメリットもありますが、利用しやすい駐車場を作るためには適切な寸法を確保することが最重要になります。
軽自動車の駐車場サイズを考える時は、長さが4.0m、幅が2.0mが基本的な目安となっていますので、この寸法を基準に考えるようにしましょう。ただし、軽自動車の中には、高さが1.75mを超える車種もありますので、高さに制限を設けている駐車場の場合には注意が必要です。
また、将来的により大きな車を購入する可能性がある場合を踏まえて、余裕を持たせ、少し広めの設計を検討すると良いでしょう。
駐車場を設計しようと思っているのなら、国土交通省が提示している基準も参考にしましょう。その内容は以下になります。
- 軽自動車の場合…長さ3.6m、幅2.0m
- 小型乗用車の場合…長さ5.0m、幅2.3m
- 普通乗用車の場合…長さ6.0m、幅2.5m
軽自動車だけでなく、様々な車種に対応する駐車場を設計しようと思っている場合には、長さが6.0m、幅2.5mのスペースを基準とすると良いでしょう。
ただし、駐車場を設計するスペースに制限があるような場合には、長さが5.5m~6.0m、幅を2.5m~3.0mの範囲で設計することで、最低限の利便性を確保することができます。
国土交通省が提示している基準を確認し、参考にしながら駐車場スペースを計画することによって、将来的にも快適に利用できる駐車場が設計できます。
駐車場を設計する際には、車を停めやすいことはもちろん、乗り降りのしやすさについても、しっかりと考慮していく必要があります。
ベビーカーや大きな荷物を積み下ろし、小さな子供を抱っこして乗り降りすることを考慮すると、通常よりもドアを大きく開けるスペースが必要となるため、その分をプラスして考えましょう。
普通自動車の場合は、長さが6.0m、幅が2.5mが国土交通省の指標となっています。このサイズの駐車場でも、片側に寄せて駐車すれば60cmのスペースを確保できますので、問題ないとも言えます。
しかし、窮屈な思いをすることも多くなるでしょう。
余裕を持って車の乗り降り、荷物の出し入れをするのであれば、長さが6.5m、幅が3.3mの駐車場スペースを確保することをおすすめします。このサイズの駐車場であれば、寄せずに真ん中に駐車したとしても70cmを超えるスペースを確保できますので、不具合を感じることはありません。
また、長さを6.5m確保できれば、バックで駐車する際に余裕が生まれ、バックドアへの荷物の積み下ろしも快適にできます。
駐車場のスペースを考える時には、車のサイズはもちろん、その他の寸法にも注意を払うことが必要です。特に「車路」と「駐車場の出入口」については十分に考慮しましょう。
車路は、駐車場内で車が通行するためのスペースのことです。駐車をする時に、車を切り返す際に利用されるため、駐車の難易度に大きな影響を与えています。
車路を広く確保すると、駐車の難易度が低くなりますので、駐車の際にボディを傷つけるリスクを減らせます。車路の幅は、一般的に3.5mと言われていますが、向かい合って駐車するような駐車場の場合には、リスクを減らすため5.0m以上の広さを確保しましょう。
駐車場の出入口が狭すぎると、車が出入りする時などに、2台がすれ違えないので、毎回大変な思いをします。片側3.6m以上、2台分だと7.2m以上の幅を確保できれば、車同士がスムーズにすれ違えるようになります。
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【駐車場のタイプ別】それぞれのメリットとデメリット
駐車場を設計する際には、駐車場の大きさだけでなく、駐車場のタイプのことも考えなければいけません。
駐車場には「オープンタイプ」「カーポート」「独立式ガレージ」「ビルトインガレージ」の4タイプがあり、それぞれにメリットとデメリットがあります。
ここからは、この4タイプの特長やメリット、デメリットを紹介します。
オープンタイプは、壁や屋根の無い構造の駐車場です。
オープンタイプが持つ最大のメリットはコストです。設置コストはもちろん、維持費用も他の駐車場よりも安く抑えられます。駐車場を作る際に予算を重視している方にとって、最適な選択肢だと言えるでしょう。
また、柱や屋根を必要としないため、限りあるスペースをフルに活用することができるといったメリットもあります。
しかし、雨や風、雪、紫外線などの影響を遮るものがありません。そのため、天候の影響を受けやすいといったデメリットがあります。
また、外部から車が丸見えの状態になりますので、いたずらや盗難など、セキュリティ面において防犯面において一抹の不安が拭えないのも事実です。
カーポートは、柱と屋根で構成された駐車場です。簡易的な構造を持ちながらも、一定レベルの保護性能を持っています。
メリットとしては、設置費用を抑えつつ、車の天敵ともいえる紫外線や鳥のフン、軽い雨から車を守ることができる点です。
さらに、カーポートの中でも「後方支持タイプ」「背面支持タイプ」など、デザイン性の高いカーポートを選ぶことによって、住宅全体の外観をおしゃれに演出することも可能です。
デメリットとしては、柱が少ないタイプでは安定性に欠けるため、強度を補強するために追加の工事が必要になるケースがあります。また、横からの風雨や砂ぼこり、雪、紫外線などを防ぐことは難しいといったデメリットもあります。
カーポートは、メリット・デメリットを理解した上で、設置環境や設置目的に応じて選ぶことが重要です。
独立式ガレージは、屋根と壁があり、出入口には車が出入りできるようシャッターを完備した、完全密閉タイプの駐車場です。
雨風や紫外線など自然環境の影響に左右されないため、車への負担の無い状態で車を駐車できます。また、限られた人しか出入りすることができませんので、盗難やいたずらのリスクを最小限に抑えられます。そのため、車の工具やスノータイヤ、洗車道具などの収納スペースとしても活用できるなど、魅力的なメリットが多い駐車場です。
しかし、独立式ガレージを作るためには高額な建設費が必要であることや、固定資産税を納めなければいけなくなるので、金銭的な負担は大きくなります。
また、ガレージを建築する際には役所への確認申請が必要になるため、手続きにかかる手間や時間もデメリットと言えるでしょう。
ビルトインガレージは、住居と一体化した構造を持つ駐車場です。住宅の一部として設計されているので、雨の日でも濡れずに乗降できます。
また、住居内にあることやシャッターが備わっているため、駐車場の中でもトップクラスの防犯性と車両保護性能を両立しています。
さらに、マイカーが家の一部にあるということで、「愛車を身近に感じたい」という車好きの方には特に人気があります。
しかし、建築コストが他の駐車場と比べ高額になることや、ガレージ自体が居住空間の一部を占めるため、居住面積を狭くしてしまうといったデメリットがあります。
ビルトインガレージは、高い利便性とセキュリティといったメリットだけでなく、設置費用や設計面での課題を理解した上で選ぶことが重要です。
【駐車スペース別】2台以上の駐車場を作る際のポイント
複数台の使用を目的とした駐車場を作る際は、作る駐車方式によって、必要となるスペースや設置後の利便性が異なってきます。
ここからは、縦列駐車、並列駐車、直角駐車における3つの駐車場の形式について、それぞれの特徴や注意点を詳しく解説します。
縦列駐車は、道路に対して平行に車を配置する駐車方法です。通常の駐車場が設置できないような変形地や狭い土地においても、駐車場として活用でき、他の駐車方法と比べて柔軟性の高い駐車方式だと言えます。
限られたスペースでも土地を有効活用できるメリットを活かすことによって、敷地面積を節約するなど、様々な目的で多くの駐車場に採用されています。
デメリットは入出庫する際の難易度です。縦列駐車は車を前後に並べて駐車するため、奥に停めた車を出庫する際には、手前の車を一時的に移動させなければいけません。
また、駐車スペースに面した道路の幅が狭い場合には、駐車操作が難しくなるといったデメリットもあります。そのため、スペースの効率性を重視する場合には、道路の状況や運転スキルを踏まえた上で、慎重な計画が必要となります。
並列駐車は、車両の側面が道路に向かう形で配置する駐車方法です。縦列駐車のように、複数の車を連続して配置するのは同じです。しかし、前後の車を移動させることなく入出庫ができるため、より実用性の高い駐車方式と言えます。
駐車場を設計する時には、スペースが駐車する車両の全長の2倍以上、幅は駐車する車の全幅に0.9mから1mほどプラスした大きさを確保することによって、駐車や出庫の際に安全性と利便性が向上します。
さらに、大型車やワンボックス車を駐車する予定のある場合には、車幅に加えて約1mのスペースを追加することで、余裕を持った駐車ができるでしょう。
ただし、並列駐車は車両の切り返し操作が必要となるため、ある程度の運転技術や慣れが必要である点はデメリットだと言えます。駐車スキルに自信の無い場合には、少し余裕を持って駐車スペースを設計するなど、利用者の運転スキルや駐車環境に応じた設計が必要です。
直角駐車は、車両を道路に対して垂直に配置する駐車方法で、一般的には車庫入れ方式とも呼ばれています。
この駐車方式が持つ最大のメリットは、入出庫がとても簡単であるということです。入出庫の難易度が低いことで、車の運転が苦手な人でも、ストレス無く利用できます。
また、時間をかけずに駐車できることから、住宅地だけでなく店舗の駐車場などにも広く採用されています。
デメリットは、駐車場を設置する際に広いスペースの確保が必要である点です。そのため、自宅の敷地や外構部分にある程度の広さがないと選ぶことができません。
具体的には、車両のトランクを開閉する余裕を持たせるために車の全長に1mを加えた奥行きが求められ、車幅に対して1.2mを追加した広さが必要です。また、駐車場に隣接する道路の幅が狭い場合、特に4m以下の狭い道路では、さらに広い駐車スペースが必要になるため、敷地条件を慎重に検討しなければなりません。
直角駐車は利便性が高いですが、スペースの制約や設置場所の条件を考慮した上で導入しましょう。
駐車場を計画する際には、現在の生活スタイルだけでなく、将来的なライフスタイルの変化も見据えた計画が必要です。
例えば、訪問者が多い家庭の場合には、来客用の駐車スペースを設けることで、路上駐車による近隣トラブルを回避できます。また、車椅子が必要になったことを想定して広めのスペースを確保したり、必要であれば段差の無い仕様やスロープの設置も検討したりといったことも必要になってきます。
これらの要素を取り入れれば現在だけでなく将来的にも使いやすい駐車場を計画できますので、長期的な利便性を確保できます。
駐車場の車止めは必要?
車止め(パーキングブロック)は、駐車場で車両の停止位置を示すための設備です。運転者が安全に駐車できるようサポートするだけでなく、駐車スペースから車体が飛び出さないようにストッパーの役割も担っていますので、周りの歩行者などの安全も守っています。
スーパーや大型の商業施設などに必ずといって良いほど見かける車止めですが、最近ではカー用品店やホームセンター、ネットショップなどでも気軽に購入できるようになっています。そのため、駐車場を設計する際に合わせて設置する方も少なくありません。
車止めは、石材やコンクリートのものが一般的です。しかし、プラスチックやゴム、ステンレス、ゴムなどの素材が使用されているものも登場しています。それぞれデザインや重さ、耐久性などに違いがありますので、導入する際には外構のデザインや目的に合わせて使い分けるようにしましょう。
駐車場の車止めには様々なメリットがあります。その中でも重要なものを3つご紹介します。
まず1つ目のメリットは、駐車スペースの明確化です。車止めを設置すると、車止めを目安に車庫入れを行いますので、車両を適切な位置に誘導できます。
車止めを基準に駐車することで、車両を適切な位置に誘導でき、限られたスペースを効率よく活用できます。特に商業施設など、多くの車が集まる駐車場では、車止めを活用することで混雑を緩和し、スムーズな利用が可能です。
2つ目のメリットは、事故防止効果です。車止めは後退時の行き過ぎや、建物や壁への衝突を未然に防ぐため、入出庫時の誤操作によるトラブルを未然に防ぐ効果があります。
また、運転が苦手な方にとって視覚的なガイドとして機能するため、車庫入れなどの成功率を向上させ、車庫入れ中の事故の確率を下げる効果もあります。
3つ目のメリットは、家全体のデザイン性を向上できることです。車止めは、様々な素材で作られたものが販売されています。素材だけでなく多種多様なデザインがありますので、外構の雰囲気や住居のスタイルに合わせて選ぶことができます。
イメージと合わせて選んだ車止めは、駐車場と住宅のデザインを繋ぎ、一体感のある空間に仕上げられるため、見た目の印象をより良いものに変えてくれるでしょう。
車止めの設置には多くの利点がありますが、同時にデメリットについても考慮する必要があります。メリットとデメリット両方の情報を把握することによって、後悔の無い選択をすることができます。
固定タイプの車止めを使用する場合、設置に手間とコストがかかる点が挙げられます。固定タイプには、コンクリートなど重量のある素材が使用されている場合が大半を占めています。
そういった重量のある素材の車止めを設置する際には、専門業者に依頼するケースが一般的です。設置には業者に依頼する際に発生する工事費用、時間などがあるため、コスト面での負担を考慮しましょう。
また、一度設置した車止めを撤去する際にも負担がかかります。一度設置した車止めを撤去しなければならなくなった時には、設置作業と同様に、取り外し作業にも手間と時間がかかります。
固定タイプの車止めは地面に固定しますので、個人での設置場所の変更が難しいです。駐車場の用途やレイアウトが変わる場合には、不便さを感じる可能性があります。
置くだけタイプの車止めには、手軽に設置できるといったメリットがある反面、使用中に位置がズレやすいといったデメリットがあります。特に頻繁に車の出し入れを行う駐車場では車止めが少しずつズレることがあるため、安全面でのリスクを生むかもしれません。
運転者が車止めがズレていることに気付かずにバックした場合、目印にしている車止めがズレているため、後方にある壁などに接触する事故を引き起こすリスクがあります。また、軽量な材質で作られた車止めは、車のタイヤの接触だけでなく風や衝撃によって動きやすいため、正しい位置に設置しなおさなければいけないという手間もあります。
このように、固定タイプ、置くだけタイプのそれぞれに、メリット・デメリットがあります。これらの点を考慮した上で、設置場所や用途に合わせて選択するようにしましょう。
車止めを設置する際には、駐車場の規模や車両の種類に応じた適切な間隔を設定することが重要です。例えば、軽自動車を駐車する前提で制作する駐車場の場合には、車止めの間隔をおおよそ60cmに設定するのが一般的です。
しかし、普通車の場合には70cm、大型車両に至っては、は70cm以上に広げることが求められます。この車止めの間隔を正しく守ることによって、視認性や安全性を向上させることが可能となります。
正しい間隔で設置された車止めは、限られたスペースを最大限に活用できるといったメリットがあります。そのため、車止めの設置位置を計画する際には、駐車する車両の全長や幅を正確に測定した上で、その情報を基にレイアウトを調整することが重要です。
このプロセスを適切に行うことで、駐車場全体の利便性と安全性を高めつつ、長期的に快適な利用が可能な駐車場を実現することができます。
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