マイカーを購入するにあたって、車両価格だけでなく維持費も考慮に入れると良いでしょう。一般的に普通車よりも軽自動車のほうが維持費が安いと言われています。では、軽自動車の維持費は実際どのくらいなのでしょうか。
この記事では、軽自動車の月当たりの維持費や維持費を安くするコツについて紹介していきます。また、普通車よりも軽自動車のほうが維持費が安くなる理由についても解説します。
軽自動車の月間の維持費は4万円弱
軽自動車の1年間にかかる維持費を見てみると、車種や使い方によって若干異なりますが、4万5000円程度です。普通車の維持費と比較すると、少なく見積もっても2万円以上、1か月あたりの維持費が安くなります。
なぜこのような金額になるのか、細かな内訳については以下で詳しく見ていきます。
ここからは、軽自動車の主な維持費と、どの程度費用がかかるのかについて見ていきます。軽自動車をこれから購入しようか考えている人は、ぜひ参考にしてください。
軽自動車の維持費として、無視できないのが自動車税です。毎年4月1日時点で車を保有している人が、課税の対象です。
軽自動車税は、車種関係なく一律の金額になります。2024年時点での課税額は1万800円です。もし2015年3月31日以前に新車登録した軽自動車の場合は7200円です。
2015年度以降、軽自動車税は増税されました。3600円もの増税なので、大きな負担と思うかもしれませんが、普通車を対象にした自動車税は、安くても2万5000円かかります。増税になっても、軽自動車のほうが負担は軽いということを覚えておきましょう。
車を運転するためには、自賠責保険に加入するのが必須条件です。しかし、自賠責保険は被害者の救済が主なので、自分たちのもしもの場合を考えると任意保険に加入する必要があります。
任意保険の保険料も、軽自動車の維持費で無視できない項目になります。
保険料は運転者の等級や条件、申し込み方法など、さまざまな条件で決まるため、一概には言えませんが、軽自動車の場合、年間でおよそ3万5000円と言われています。
普通車の場合、年間で7万円程度が相場です。普通車と比較して、軽自動車の保険料は半額になる計算です。
軽自動車を運転するためには、ガソリン代の負担も欠かせません。
軽自動車の燃費は、普通車と比較すると優れた車種が多いのでガソリン代の節約効果が期待できます。
燃費は車種によってまちまちですが、リッターあたり15kmで年間走行距離を標準的な10,000kmと仮定しましょう。ガソリン価格もその時々で上下動しますが、リッター160円のレギュラーを使用した場合、年間のガソリン代はおよそ10万6600円になります。
同じ条件でリッター12kmの普通車を運転する場合、年間のガソリン代は約13万3300円です。
こうしてみると、軽自動車のほうが年間2万円以上お得になります。
軽自動車は普通車と比較して車両価格が安い車種が多いものの、それでも安くて100万円前後はかかります。一括払いできない人もいるでしょうから、その場合は自動車ローンを組んで購入する形になるでしょう。
ローンで購入した場合、月々の分割払いの金額も月当たりの維持費に加算する必要があります。
諸費用込みで210万円の軽自動車を7年ローンで購入したと仮定します。すると年間のローン支払いは30万円です。月当たりのローン負担額は2万5000円になります。
ただし、これは計算を簡略化するために、無金利で計算しています。実際には金利が発生するので、実際の負担額はもう少し高くなると思ってください。
軽自動車も普通車と同様、新車購入時には3年後、その後は2年に1回のペースで車検を通さなければなりません。車検を通すためには検査費用のほかにも、自動車重量税や自賠責保険料の支払いも負担する必要があります。
軽自動車の車検費用は、どこに検査をお願いするかでも変わってきます。ユーザー車検は安く、ディーラーにお願いすると費用が高くなりがちです。
軽自動車の車検費用の相場は、およそ6万6000円です。2年に1回の費用なので、年間に換算すれば3万3000円になります。
ただし先に紹介したように、どこで車検を受けるかで金額は変わってきます。車検を依頼するまでにいくら費用がかかるのか、見積もりをあらかじめ取っておくと良いでしょう。
軽自動車を長く安全に運転したければ、定期的なメンテナンスが必要です。軽自動車の部品の中には消耗品があって、定期的な交換が必要な部品もあるからです。
エンジンオイルの交換やウォッシャー液の追加などが考えられ、理想を言えば年に数回メンテナンスをお願いしたほうが良いでしょう。さらに、きれいな状態を維持したければ、洗車の費用も必要になってきます。
どの程度のメンテナンスを希望するかで、年間のコストは変わってきます。
軽自動車の場合、約3万円がおおよその相場と考えましょう。普通車の場合、年間4万円程度が相場です。そう考えると1万円程度、軽自動車のほうがお得になる計算です。
ここまで紹介してきた各費用を総合すると、軽自動車の年間の維持費は48万5400円になります。月当たりの維持費に換算すると4万450円です。
一方、普通車の年間維持費を計算してみると、1.0~1.5リッターのコンパクトカーでも77万7800円程度かかります。月間に換算すると6万4800円程度です。
このようにしてみると、1か月あたりの維持費は軽自動車のほうが2万4000円程度安くなります。
移動の足としてマイカーは必要だけれども、できるだけ車の維持費は安くしたいと思っているなら軽自動車の購入を検討してみると良いでしょう。
軽自動車の維持費が安い理由について
上で紹介したように、軽自動車の維持費は普通車と比較してかなり安いことが分かりました。では、なぜ軽自動車の維持費は普通車よりも安くなるのでしょうか。
ここからは、軽自動車の維持費が安くなる理由について紹介していきます。
軽自動車の維持費が普通車と比較して安くなる理由として、無視できないのは法定費用の安さです。法定費用とは、「自動車税」や「自動車重量税」などの税金に関する費用です。
自動車税は、軽自動車の場合一律で1万800円です。普通車の場合はエンジン排気量によって課税額が決められます。最も小さなカテゴリーである排気量1.0リットル以下でも2万5000円かかります。
つまり、軽自動車税は自動車税の半額以下になるわけです。
軽自動車税が安く設定されているのは、規格によってコンパクトに製造するように定められているからです。軽自動車に搭載されているエンジンは、排気量660cc以下と決められています。普通車に搭載されているエンジンの排気量よりもかなり小さく抑えられているので税金も安くなるわけです。
自動車重量税は文字通り、車両重量に基づき課税額が決められます。コンパクトな軽自動車は軽量なので、こちらの税金も安くなります。
軽自動車の任意保険は、普通車と比較して保険料が安く設定される傾向です。
年齢や等級などの条件によって異なるものの、軽自動車の年間保険料はおよそ3万5000円です。普通車の年間保険料は約7万円が相場と言われています。よって軽自動車のほうが保険料負担は、普通車の半分程度で済む計算です。
任意保険の保険料は、事故リスクをベースにして個別に設定されます。軽自動車は普通車と比較してどちらかと言えば普段乗り、つまり最寄り駅までの送り迎えや買い物がメインです。長距離運転する頻度はさほど多くないので、事故リスクは低くなります。
また軽自動車は普通車と比較してコンパクトで軽量です。たとえ事故を起こしても、相手に与える損害も少ないので保険料も安くなります。
軽自動車の維持費が安くなるのは、メンテナンス費用の安さも理由の一つです。
メンテナンス費用の相場を見ると、軽自動車の年間費用は約3万円です。普通車は4万円程度が相場なので、年間1万円前後、安くなります。
軽自動車のメンテナンスコストが安い理由は、部品交換費用が安いためです。軽自動車は普通車と比較してコンパクトサイズで、重量も軽めです。普通車と比較して、車内の構造もシンプルなので、交換作業もスムーズに進みます。
軽自動車の整備費用は普通車と比較して安いので、こまめにメンテナンスして車のコンディションを常に整えておくのがおすすめです。
軽自動車の売買をする際の必要書類とは?
軽自動車の維持費を安くする方法
ここまで見てきたように、軽自動車は普通車と比較して維持費が安い傾向です。本人の努力次第では、軽自動車の維持費をさらに安くすることも可能です。
ここからは、軽自動車の維持費を安くするために、どのような対策をすべきか紹介していきます。メンテナンスや燃費を意識した運転など、常日頃からランニングコストを意識しましょう。
軽自動車を運転する時に、燃費がかからないドライビングテクニックを身につけましょう。ガソリン代がかかる運転は「急停止」や「急発進」が挙げられます。
ガソリンを無駄に消費しないために、停止する際は前からエンジンブレーキを使って、ゆっくりブレーキペダルを踏むように心掛けましょう。発進する際もアクセルを思いきり踏み込むのではなく、ゆっくり踏み込んでください。
そのためには、車間距離を十分開けるよう心掛けることが大事です。車間距離が十分あれば、前で何が起きても余裕を持って対処できます。
軽自動車の維持費を安く抑えるためには、常日頃からのメンテナンスを意識することも重要です。車のメンテナンスの中には業者にお願いしないといけない部分もあれば、自分でできるものもあります。
例えば、洗車やバッテリー交換は自分でやろうと思えばできます。業者にお願いせずに自分でメンテナンスすれば、それだけ維持費も節約できるわけです。
こまめにメンテナンスすれば、運転中に突発的なアクシデントを発生するリスクも低減できます。アクシデントが発生しにくくなれば、想定外の部品交換などの整備費用もかかりません。車検の時にまとめて部品交換が必要になって、整備費用が高くなることもなくなるでしょう。
任意保険に加入しているのであれば、保険の見直しを行うことで保険料を安くできるかもしれません。補償内容や条件などを確認せずに、自動更新しているようであれば見直してみる価値はあるでしょう。
例えば、使用目的の見直しをしてみてください。保険には「業務用」「通勤・通学」「日常・レジャー」の3種類があります。
「業務用」「通勤・通学」は、業務のためや通勤や通学のために車を使用するという意味ですが、もう一つ条件があって、1か月平均15日以上車を使用していることが前提です。
仕事や通勤通学のために使うことがあっても、それが月15日以内であれば、使用目的を「日常・レジャー」で申告してもかまいません。
「日常・レジャー」は、他の使用目的と比較して保険料が安いので、見直してみると良いでしょう。
軽自動車のローン返済を節約する方法について
普通車と比較して安いと言っても、軽自動車も多くの車種が100万円単位で、購入するのにお金がかかります。その際、一括払いできなければ、自動車ローンを組むことになるでしょう。
自動車ローンを組んで購入した場合、月々の返済も維持費の中の一つです。
ここからは、ローン返済の負担を軽減する方法について紹介していきます。これから軽自動車の購入を検討している方は参考にしてください。
他の借入同様、自動車ローンも元金の返済にプラスして利息支払いをしなければなりません。金利はローン商品によってまちまちなので、少しでも低金利のローンに申し込むことが維持費を安くするコツです。
いきなり1つの自動車ローンに絞り込むのではなく、複数のローンの金利を比較するよう心掛けてください。その上で利率の低い自動車ローンに申し込みます。
例えば、200万円の軽自動車を5年ローンで購入した場合をシミュレーションしましょう。もし金利6.0%の場合、月々の返済額は38,000円ほどかかりますが、金利1.5%の場合、月々の返済額は34,000円ほどです。月々の維持費を4,000円近く節約できます。
自動車ローンを組むにあたって、頭金を用意すればその分借入額を少なくできます。同じ借入期間でも、月々の返済額を節約できるわけです。
例えば、200万円の軽自動車を5年ローンで、4.0%の金利で購入したと仮定しましょう。もし頭金なしで購入すると、37,000円ほどかかりますが、80万円頭金として用意できれば、月々の返済額は22,000円程度です。15,000円近く月々の維持費負担を軽減できます。
全額支払えなくても、将来軽自動車を購入するためにコツコツ貯蓄すると良いでしょう。親が健在であれば、一部費用を負担してもらうのも一考です。
頭金をある程度準備できれば、審査を通過しやすくなるのもおすすめの理由です。低金利などより良い条件のローンからの融資も受けられるかもしれません。
もしできるだけ自動車ローンの月々の返済額を低くしたければ、返済期間を延ばすのも一つの手です。返済期間が延びれば、その分支払い回数が多くなるので1回あたりの支払額を安くできます。
例えば、200万円の軽自動車を4.0%の金利で購入した場合でシミュレーションしてみましょう。もし3年ローンであれば、1か月あたりの返済額は60,000円近くかかりますが、7年ローンで購入すると、1回あたりの支払額は27,000円ほどになります。3年ローンと比較して、30,000円以上も月々の支払いを安くできるわけです。
しかし、ローン期間が長引けば、それだけ余計に利息を支払わないといけません。ローンの支払総額は大きくなるので、その点は注意しましょう。